肝硬変という病気にかかると、もう治らないという風に言われています。実際には現代の医学では治る見込みがあることはわかってきています。ただ肝臓というのは、「沈黙の臓器」と言われ、病状が進行しても痛みを感じないために手遅れになることが多く、そのために治らないということが言われていたようです。
最近では、早期発見での治療を行えば、かなりの確率で治る見込みがあります。今回はその肝硬変とその症状や余命に関してお伝えいたします。
肝硬変とは?
肝硬変の定義は特にはっきりしていないというのが実際のようです。けれども一般的に解釈している意味は、血液検査での数字の異常、CTやエコーでの異常発見、肝臓組織の検査によって判断されます。
そして、読んで字のごとく、肝臓が固まってしまうことです。これは、B型C型肝炎ウィルスやアルコール性の肝炎によって傷ついた肝臓が、修復のためコラーゲンが増えて硬化するためです。そいして肝臓の機能が低下してしまいます。
これらはさらに悪化すると、肝臓ガン、肝不全へと進行しますが、直接肝臓が痛むわけでなく、身体に現れる症状によって判断することが多いようですが、定期的に血液検査による方法での判断も怠らないようにしたいものです。
肝硬変の検査法
肝硬変の疑いがある場合は、検査としてエコー、CT検査、MRI検査などの画像診断、内視鏡検査、組織検査、血液性化学検査などがあります。年に一度の健康診断で血液検査をしていれば、ほぼその異常を把握できることと思います。
もし数値などが上がっているような異常がみられたら、今度は画像での検査をすることが望ましいかと思います。これを怠ることは命取りになる可能性もあります。
肝硬変の感染経路
主に肝硬変にかかる原因として肝炎ウィルスのよるものとされています。肝炎はB型は主に母子感染で出産時に母体から感染します。C型肝炎は体液や輸血での感染が多かったのですが、現在は輸血での感染はほぼありません。
肝硬変は直接での死因にはならず、大体が肝ガンとなり死ぬ人は年間で3万人と年々増加の傾向にあります。その内の80%はC型肝炎が原因と見られます。
これらは身体に異常があっても放っておいたり、再検査をしなかったりと言う人が結構いるかと思われます。進行はじわじわと進むため、いろいろな身体にあらわれる症状で医師の診断を仰ぐようにした方がよいかと思われます。
肝硬変の症状
では、肝硬変の症状について紹介します。
黄疸
これは、身体が黄色くなっていくことです。特に目立つのは目の白い部分が黄色くなることです。また、黄色を通り越して赤黒くなることも多いようです。
羽ばたき振戦
腕を伸ばす、手を広げる時に震えが起きます。振戦とは神経的な問題で指先などが意識しなくても震えてしまうことです。羽ばたきとは、ちょうど鳥の羽ばたきのように震えることから、羽ばたき振戦といいます。
女性化乳房
男性の場合ですが、ホルモン異常を発症し、乳房がふくれて、女性のような状態になることです。かなり目立つような形に膨れます。
睾丸萎縮
こちらも男性特有の症状で、睾丸が小さくなることです。
腹水
お腹の部分に水が溜まります。かなり末期的な症状ではあります。タイミングを見て、水を抜くわけですが、抜いても抜いてもどんどん溜まってきます。
筋萎縮
筋肉が肝臓の代謝機能を肩代わりするために、萎縮が起きます。つまり筋肉の減少です。そして、足がよくつったりする傾向があるようです。
手掌紅斑
手のひらが赤くなることです。肝硬変が進むと、赤くなる傾向にあります。
浮腫・むくみ
肝臓の働きが悪くなることにより、リンパ液や血液の中の老廃物が排出されずに、流れが悪くなります。それがやがてむくみやところどころでコブのようなものができます。これが浮腫です。
皮膚掻痒感
かなり進行してしまうと、黄疸症状がでますが、その際にむずむずや痒みの症状が出てきます。これが掻痒感です。
肝硬変の原因
主な理由はやはり、アルコールを摂取し続けることで、肝臓の疲弊から引き起こすこととなりますが、最近ではアルコール性の肝硬変でも肝炎ウィルスが発見されていることから、アルコールが必ずしも原因とは限らないという報告もされています。
C型肝炎
C型の肝炎ウィルスにより発症することです。最近はこの肝炎ウィルスが原因なのが80%でそのうち、65%がC型肝炎という報告があります。この肝炎ウィルスが原因ということは、もはや防ぎようのないものです。
ですが、このC型肝炎はほとんどが輸血等により感染するケースがほとんどのようです。他、身近な例でいうとピアス、入れ墨などの不衛生な針治療が原因とされます。
B型肝炎
こちらも肝炎ウィルスが原因と考えられます。こちらは逆に割合は低く、15%程度という報告が上がっています。やはり、不衛生な針治療などが原因の他、母子感染で出産時の産道で感染しますが、最近は出産時での感染は完全に防げるようになっています。
アルコール性疾患
アルコール摂取が原因と考えられる場合、一体どれくらいの量を飲むとなるか、が問題です。一般に酒は百薬の長といって、適度な量は健康状態をキープし、長生きに貢献するともいわれています。
この場合の量としては、アルコールそのものの量にした場合は、一日60ミリリットルを10年続けるという説があります。また、別の説では日本酒5合を20年という風にもいわれています。
日本酒5合はビールに換算すると大瓶5本で、毎日5本を20年という摂取量は普通では考えられえない量です。その意味では、これは少し信憑性がありません。ただ、多くの患者はアルコール依存症の人が罹患しているようですので、なまじ信憑性がないともいえないかもしれません。
ただ近年、アルコール依存にによる肝硬変は減少の傾向にあり、では原因は何かというと脂肪肝によるものが原因と考えられています。これは、お酒に限らないのですが、高脂肪や糖分の多い食事を取ることで血中の脂肪が増え、肝臓が脂肪を処理しきれずに、肝臓の周りに脂肪が張り付いてしまうことです。これを脂肪肝といい、最近では原因とトップに上げています。いわゆる肥満やメタボが結びついているようです。
これも結局は痛みなどの自覚症状がないために、気づきにくいものでもあります。健康診断で肝臓の機能を表すガンマGTPやGOTが増えてきて初めて気づくといった具合です。この時点でお酒の量を減らすと問題はありません。
まだ、肝臓の細胞が破壊されてないので症状は進みませんが、ほとんど人は、そこでお酒や高脂肪、糖分の多いものの摂取を止めていないというのが現状です。
肝硬変の余命
肝硬変と聞くと、やはりもう後がないと考える人がほとんどです。正直以前はさすがにそのように捕らえてた人がほとんどでした。ですから、その症状の進行により3年といわれる人もいましたし、5年といわれた人もいました。
しかし、先ほども書きましたように肝炎ウィルスを消すことができるようになりました。と言っても100%ではなく、だいたい80%~90%程度と言うことです。これに関しては、そうとうな医学の進歩と言えるでしょう。
でも、これはあくまでも純粋な肝炎ウィルスに対する統計数字で、他に別の症状を訴えている人には当てはまりません。肝硬変にかかる傾向の人は、だいたいが肝臓ガンや糖尿病を併発しています。
最近はアルコール性の疾患が少ないと書きましたが、結局はそれ以外の無理な身体への扱いがこれらの病状を悪化させているからです。おそらくそのような併発をしている場合には、余命として考えるともっと短いものになっているのではないのでしょうか?
肝臓の機能
肝臓の機能について知っておきましょう。
毒の中和
食事に含まれている微量の毒物の他、アルコール類も中和するために肝臓は働いています。また、喫煙の習慣がある人にはやはり毒の中和を行っています。
解毒
肝臓が栄養素を体内に合う栄養素に変換することを行っていますが、その変換の際に毒がでます。アンモニアなどがそうですが、それを排出することを行っています。
肝硬変になりますと、この解毒作用が鈍くなり、老廃物が体内に残ったりしてしまいます。
胆汁を作る
胆汁は、体内に入ってきた脂肪を分解する分泌液で、肝硬変の人は、胆汁の分泌が減り脂肪が分解しにくくなるため、便や尿から脂肪の排出や臭いがきつくなったりします。また、そのために脂肪肝になります。
肝硬変の予防法
予防方法を知っておくのが一番ですね。
運動を行う
肝硬変にかかる人は、生活習慣病の傾向にある人が多いようです。その意味でも、適度な運動をすることが必要です。運動をしない上に、それなりの食事をしてしまうことで、脂肪肝につながるということのようです。
シジミ汁を飲む
昔から肝臓にはシジミ汁と言われ、シジミに多く含まれるオルニチンが肝臓には良いといわれてきました。それは現在も当てはまります。特にお酒を大量に飲んだ時は、オルニチンが効果があります。
しかし先に述べたように、肝炎ウィルスによる肝硬変が多いので、あまりお酒が原因とはならず、そういう意味では、シジミ汁も肝炎ウィルスに影響があるとは考えにくいとは思いますが、肝臓を疲れから守ることでは有効な方法です。
ストレス、疲れをためないようにする
やはりストレスや疲れは影響を及ぼすと思われます。日々に疲れも自分なりに解消する方法をさぐるとともに、ストレスも溜め込まない工夫が必要となります。内臓はどこもやはりストレスの影響を受けやすいものです。それは肝臓も同様で、しっかりと解消をしましょう。
コーヒーを飲む
コーヒーには、肝硬変の発症を抑制する効果があると報告があります。飲みすぎはよくないとは思いますが、手軽な予防法といえるかと思います。
まとめ
いかがでしたか。肝硬変は死の病と言われ、宣告されたが最後というものでしたが、最近ではその症状によっては、治る病気となってきたのには驚きです。ただ、感染した場合には防ぎようがあまりありませんが、アルコールの過剰摂取により、悪化した場合には、やはり自覚の問題といえるのではないのでしょうか?
いくらアルコールが好きだからと、自分の身体を痛めつけてまで飲む必要はないかと思います。
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