突発性難聴とは、聞いた事がない人でも、突然耳がよく聞こえなくなる病気なのでは…と想定できますが、実際はどんな病気で、どんな症状が現れるのでしょうか。
また、突発性の難聴によって入院は必要なのでしょうか?
この記事の目次
突発性難聴とは?
突発性難聴とは、突然、誰にでも起こり得る病気です。現在、1年間に3万人~4万人前後がこの突発性難聴を発症すると言われています。割合としては、100人に2人程度(0.02%)の確率で発症すると言われています。
軽い突発性難聴ですと、”耳がつまる”、”耳にまくが張った”ような、ぼーっとした感覚が続いたり、”音が耳の中で響き、反芻してしまう”、または”割れてきこえる”などといった症状が現れます。また、重度の場合は、突然耳が聞こえなくなってしまう場合もあるようです。
さらに、突発性難聴は、主に聴覚に症状が現れますが、これとともに、”めまい”、”吐き気、おう吐”を生じる事があります。
いずれにせよ、急に聴覚に異常をきたすものですので、いつ誰がなってもおかしくない病気です。
突発性難聴の症状
突発性難聴の症状をもう少し詳細に見て行きましょう。
急に音が聞きづらくなる
急に飛行機の離着陸や、エレベーターに乗った時のように、”耳にまくが張った”ような、ポーンとした感覚が続くようになります。もちろん、これは耳抜きやあくびをすることで解消されることはありません。
また、まったく聞こえないわけではなく、耳が詰まったような感じになり、聴覚が著しく衰える場合が大半ですが、重度の場合は、急に聴覚が失われてしまうことあもるようです。
このような症状は、両方の耳に同時に起こる事は少なく、まずは、片方の耳だけに症状が現れる事が多いようです。
耳鳴りや目眩
突発性難聴を発症した約半数の患者さんが、回転性のめまいを症状として訴えています。突発性難聴が耳鳴りやめまいを起こす仕組みを、耳が音をキャッチする仕組みと密接に関係しています。
耳の奥には、音の振動を伝えると同時に、平衡感覚を担う「三半規管(さんはんきかん)」という部分があります。この、三半規管に水がたまると、平衡感覚が乱れ、ぐるぐると天井や床が揺れて見えるような症状を引き起こします。これを「メニエール病」とよんでいます。
突発性難聴では、耳の内部に何らかの異常があった場合に引き起こされますが、内部の異変が三半規管内の水分量に異変を起こし、めまいや耳鳴りを引き起こすようです。
また、このめまいが激しい程、聴覚の異常に気付きにくくなり、難聴であることの発見が遅れてしまう傾向があります。一般的には、めまいを伴うほど突発性難聴の症状としては重く、回復も悪くなります。
突発性難聴の原因
現在、だれもが発症する可能性がある突発性難聴ですが、未だその原因は解明されていません。しかし、いくつか原因として考えられる事があります。
ウイルス説
ヘルペスや、はしか、インフルエンザなどのウイルスが耳の内部の粘膜に感染し、突発性難聴を引き起こすという説です。
人は、音を聞き取る際に、中耳の耳小骨から伝わった振動を内耳の蝸牛内を満たしているリンパ液に伝えます。この時に有毛細胞という細胞を振動させることで、音を電気信号に変え、脳へ伝えることで、音を認識できるようになります。
突発性難聴では、このウイルス説によると、有毛細胞がヘルペスや、はしか、インフルエンザなどのウイルスによって障害を引き起こすために発生すると言われています。
内耳循環障害
耳の中の血流循環が悪くなり、内耳の機能が低下してしまうため、突発性難聴が引き起こされるという説です。
内耳の血流の循環が悪くなると、血栓や出血、内耳血管の収縮などのさまざまな疾患が引き起こされ、突発性難聴を引き起こすのではないかと考えられています。
機能障害
筋肉や内部の細胞に障害が起きる事で、聴覚を担う部位の血流が悪くなり、十分な血流を提供できないため、聴覚に異常を起こしているとも考えられています。
神経伝達障害
カイロプラクティックでは、CTやMRIといった精密検査の結果に反映されないような小さな障害が複雑に絡み合ってしまったため、神経伝達機能に障害が起きることが原因ではないかと考えられています。
突発性難聴かなと思ったら
「あれ、聞こえにくい?」、「いつもより目眩がひどい?」という、いつもと違う感覚があれば、突発性難聴かもしてません。自己判断は禁物です。すぐに医師の診察を受けた方が良いようです。
受診までのスピードが大切
突発性難聴の場合は、いつもとは明らかに異なる症状が現れるので、すぐに「おかしいな」と気付くはずです。しかし、まったく聞こえなくなるわけではありませんし、耳鳴りやめまいは、「疲れ過ぎかも?」と自己判断で、病院にすぐに訪れないケースも多いようです。
しかし、突発性難聴は、難聴のなかでも治りにくい疾患の1つで、症状が出てから治療開始までがに時間がかかる程、聴力が戻りにくくなります。
症状が現れてから2日以内に病院を受診するのがベストではありますが、少なくとも1週間以内には、遅くても2週間以内には一度医師の診察を受けるようにしましょう。
目眩や耳鳴り、吐き気を伴う場合は、内科を受診しがちですが、内科では突発性難聴かどうかの判断がつきにくいのが現状です。少しでも聴覚に問題があるかなと感じた場合は、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
突発性難聴は治るの?
突発性難聴は、発症から医師の処置を受けるまでの時間がかかればかかるほど、回復に時間がかかり、聴覚への影響も大きくなります。また、残念ながら、早めに治療を受けたとしても、全ての方が感知するわけではありません。
完治するのは発症した方の中の3分の1と言われています。残りの3分の1はある程度の回復が見込めますが、難聴を残してしまうケース。残りの3分の1は回復が見込めないままだと言われています。
また、以下のような人は完治が難しいとされています。
- 発症後、2週間以上を経過したて医師の手当を受けた方
- すでに高度難聴(聴力レベルが90dB以上)の方
- 回転性めまいを同時に発症した方
- 高齢者
- 糖尿病、動脈硬化のある方
突発性難聴の入院の必要性
突発性難聴と診断されたら、「もしかしたら、聴覚がこのまま戻らないんじゃないの?」と心配になってしまう方も多いはずです。
そんな場合は、一刻も早く医師の手当を受けたいものです。そこで、突発性難聴と診断された場合、入院は必要なのでしょうか。
入院が必要ないケース
難聴の度合いや、症状が軽度の場合の方、もしくは、突発性難聴の症状が発症してから1~2日以内に医師を受診した方は入院の必要性は低くなります。
数日間、飲み薬で症状が回復するかどうかを経過診察します。初診から2~3日以内に、再度、聴力の再検査を行った上で、入院治療に切り替える必要があるかどうかを判断します。
突発性難聴で入院が必要なケース
では、どのようなケースは入院が必要なのでしょうか?
難聴の度合いが重い
難聴の程度が重い方は、入院をお勧めします。
”通院していたが、治らなかったので、後日入院する”という選択肢はないと考えた方が懸命です。出来る限り、聴覚への後遺症を軽度にし、早期回復のためにも、「突発性難聴かな?」と思われる症状が出てから、できるだけ早く医師の診察を受け、治療することが大切です。
適切な治療時期を逃してしまった後に入院による治療を受けたとしても、その効果はあまり期待できないでしょう。最初に診断された時が、入院するかどうかを決断する時なのです。医師と相談した上で、入院することをお勧めします。
めまいがひどい場合
天井や床がぐらぐら動いているようなめまいがある方は、入院による、より早期の集中的な治療が必要です。めまいが激しい程、難聴であることの自覚が遅れてしまいがちですが、一般的には、めまいを伴うほど突発性難聴の症状としては重く、回復にも時間がかかると言われています。
症状が出てから5日異常経っている場合
突発性難聴の症状が出てから、5日以上経過してしまった上で病院を受診した方は、判断に迷う事なく、入院された方が良さそうです。
早急に、十分な検査を行い、投薬や治療を行う必要があります。この検査の結果、軽度の突発性難聴の場合は、通院治療への切り替えが可能です。
突発性難聴の治療
突発性難聴になってしまった場合、実際どのような治療がすすむのでしょうか。
副腎皮質ホルモン薬
一般的には、飲み薬が中心で、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)、利尿薬、ビタミン薬、血流改善薬などが処方されます。
副腎皮質ホルモン薬の副作用は?
副腎皮質ホルモン薬は、副作用が気になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、耳鼻咽喉科で処方される副腎皮質ホルモン薬は、継続しても1~2週間程度のものですので、副作用が出ることはまずありません。服用しない事による、回復の遅れや後遺症も考えられます。
また、勝手に服用を中止と、症状が悪化してしまう危険性もありますので、医師の指示に従って用法・容量を守って服用するようにしましょう。
まとめ
原因が未だに解明されていない突発性難聴ですが、日頃から心がける事で出来る限り発症を防ぐ事ができます。突発性難聴と同時に発症しやすいメニエール症についても、ストレスが一番の原因とされています。ですので、まずは休養をしっかりとえるようにし、日頃からリラックスできる時間を確保するよう心がけるようにしましょう。
突発性難聴は、一度完治すると、再発しないと言われています。しかし、完治した場合を除いては、予防を心がけることで、聴覚を失ってしまう可能性のある重大な病気を避ける事ができます。
定期的に心身をリフレッシュし、ストレスを溜めないような生活習慣を心がける事が、この病気の原因が特定出来ていない今、私たちにできる唯一の予防策と言えそうです。
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