足が痺れる事って日常的によくあり、長時間同じ姿勢を行っていたりするとジンジン痺れて、歩行するのも大変な時ありますよね。
その痺れ方にも色々あるのをご存じでしたか?また圧迫が原因でない足の痺れは病気かもしれません。
腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)
腓骨神経麻痺とは、膝の関節の裏側から膝の外側に向かって走っている腓骨神経が、何らかの影響で外部から長い時間圧迫され、麻痺を起こしてしまう事を言います。
症状
主に下肢の外側部分から足の甲部分が痺れを起こします。足に響くようなジンジンとした痺れを感じ、その部分を触っても感覚が無いほど皮膚の感覚が鈍ります。
痺れた状態から、足首を上に曲げる事が出来なくなり、歩行する事が困難になり、つまずいてしまったり足を引きずる形になります。
原因
原因は圧迫になります。
腓骨神経は膝の関節の裏側から外側の腓骨骨頭を巻きこむように配置されています。ですので骨の上に神経が乗っている状態で皮膚のすぐ下に神経がある状態です。
体の奥深くに位置する神経は筋肉や脂肪組織で保護されていますが、すぐ下にある状態ですと外側からの影響を受けやすいのです。長い時間足を正座にしたり、足を組んだり、固い地面に横向きで暫く同じ体勢でいると麻痺を起こします。
治療や対策
麻痺した部分のほとんどは、数分で元の状態に戻ります。普段の生活で足を組む人は、交互に組みなおすか足組みをやめましょう。正座などをしなければいけない場合という時が必ずあると思うのですが、その時足をクロスさせて座ると麻痺を軽減又は無くす事が出来ます。
また、膝の裏を締め付けるような靴下などは履かないようにしましょう。特に正座などする機会が無く足の甲が痺れている人で、靴下の締め付けが原因だったという場合があるので見直してみて下さい。
前足根管症候群(ぜんそくこんかんしょうこうぐん)
前足根管症候群とは、深腓骨神経麻痺(しんひこつしんけいまひ)とも呼ばれており、足の親指と人差し指の間辺りから甲付近にかけ痺れが起きる状態の事です。
症状
足の親指と人差し指の間にジワジワとした痺れが起こります。
原因
日常的に履いている靴がきつい場合や、紐の縛り方がきついのが主な原因になります。他にスポーツをする際、走る際に自分の足と靴が合っておらず圧迫される事により起こります。
治療や対策
まずは自分の足に合った靴を選ぶという事です。また、紐をきつく締めすぎないよう注意して下さい。足の甲部分にパッドなどを入れて紐で締め付けなくても良いように工夫しても効果があります。
腰椎椎間板ヘルニア
足の甲のしびれが腰椎椎間板ヘルニアにより起きている場合があります。
腰椎椎間板ってどこにあるの?
腰椎は腰の部分に位置していて、5つの骨で出来ています。上半身を支えるという重要な役割をしている場所です。
腰椎の骨と骨の間には椎間板と呼ばれているクッションのような物があります。体をうまく支えられるように、上からの圧力をうまく散らしてバランスを保っています。他にも、骨と骨だと前後の動きをする際ぶつかり合ってしまいますが、この椎間板のクッションがあるとスムーズな動きに出来るのです。年齢と共に椎間板がへたって来たりクッション性が落ちてくるので上半身を支えきれなくなったり、骨や関節部分に影響を及ぼし変形してしまう場合もあるのです。
どんな病気なの?
では腰椎椎間板ヘルニアとは、どうなった状態なのでしょうか。何かしらの原因で椎間板に亀裂が入ってしまい、圧力をうまく散らせなくなってしまいます。そして亀裂の部分から椎間板の中心にある髄核が脱出してしまい、周りの神経組織を圧迫してしまう病気です。
「ヘルニア」とは本来あるべき場所から脱出している状態の事を指す言葉です。腰椎の神経には重要な神経が集まっており、この圧迫のせいでその重要な働きを失ってしまうのが、この病気の1番の問題になってきます。
症状
腰にある神経は腰から足にかけて大きい範囲を支配しています。腰の部分で情報伝達している神経に障害が出てしまうと、情報伝達が足の先まで届かず体がいう事を聞いてくれなくなります。
多くの場合初期症状としては腰痛が現れます。そして進行していくと片方の足に痛みや痺れが現れます。太ももから足のつま先まで電気が走るような痛みと痺れが現れる事が多く、咳やくしゃみをした際に痛みが強くなるのが特徴的になります。
また、感覚異常が起きて足を触っても感覚が無いような、薄皮1枚挟んで触っているような感覚に陥ります。そして腰椎椎間板ヘルニアになった人で、よく段差もないのにつまづいてしまうという人がいます。これは、神経の情報伝達が上手くいかないので勿論筋肉にも影響が行きます。足に力が入りにくくなり、それが長期間続いてしまうと筋肉が痩せてしまう事もあります。もっと酷くなると排尿や排便の感覚がわからなくなってしまう場合があります。
原因
腰椎椎間板ヘルニアの発症は、これが原因!という物は無く色々な因子が影響して発症するのです。普段の姿勢や腰への無理な負担・生まれつきの体質や骨の形・加齢に伴う衰えなどなど、自分で気を付けていてもなってしまう場合があるのです。
椎間板にかかる負荷は、座ったり立ったりという簡単な動作でも体重の2・5倍もの圧力が加わると言われています。普通の動作でもそれほどの圧力なら、無理な体勢や刺激ではもっと負担がかかるという事です。
治療
治療は主に保存療法を行っていきます。保存療法とは摘出や手術などを行わない治療法になります。腰にはコルセットなどで固定し安静が必要となります。激しい痛みがある場合は、局所麻酔やステロイド薬を注射し、痛みを和らげてくれます。消炎鎮痛薬や筋緊張弛緩薬が有効で、これらの治療をして安静にしていれば約3か月ほどで軽快していきます。
痛みだけでなく、運動麻痺が出ている場合や排尿・排便の感覚が無い障害がある場合には、手術療法を薦められます。
――手術方法――
1.後方椎間板切除術
異常が起きている部分を、背中側から切開してヘルニアを切除する方法です。先進麻酔をして5~8cm切開し、背骨の一部を削り取ります。そして脱出している椎間板を部分的に取り除いていきます。これが腰椎椎間板ヘルニアで一番行われている手術方法ですが、心臓疾患など何かしらの理由で全身麻酔が行えない人はこの手術を受ける事はできません。
一番行われている手術方法だけあって、治療の実績が多いので安心出来る手術方法になります。しかし、取り除いた腰椎部分が弱くなる為また髄核が脱出しやすくなるため、再発する可能性もあります。
費用は入院費を含め10万円程度になります。(※保険適用時)
入院期間は1,2週間ほどで手術時間は長くて2時間ほどです。
副作用など
脊髄や神経の損傷:施術中に脊髄や神経根を損傷してしまい障害が起きる場合があります。
脊髄変形:体を支える支柱の役割を果たしている脊髄に変形が起き、体が不安定になる場合があります。
感染性合併症:手術部分から細菌が侵入していまい、感染性の合併症が起きる場合があります。
2.椎間固定術
金属などで骨を固定する方法です。腰痛が酷い場合に後方椎間板切除術と一緒に行われる事が多いです。
3.経皮的椎間板療法
背中を切開せずにヘルニアを切除する手術法で、比較的新しい手術方法になります。この両方の1番のメリットは切開しないというところです。レーザーで行う手術なので傷痕が残らないというのは、患者さんにとって嬉しいですよね。他にも局部麻酔で出来る、再発しても何度も出来る、入院する必要がないので日帰りできますし、翌日から日常生活が可能というメリットがります。
しかしこの療法は全ての腰椎椎間板ヘルニアに適応しているわけではありません。椎間板が脱出している程度により適応するか決められるのですが、大きく脱出している場合はこの療法は出来ないので注意して下さい。
この手術方法は保険が適用しないので高めになります。費用は約40万ほどと考えて下さい。
入院についてはその病院によって異なりますが、日帰り出来る場合と入院しなければいけない場合があるので、それについては各病院で確認して下さい。
副作用など
この療法での副作用は確認されていないので、費用は高いですが安心は出来るかと思います。
日常生活で気を付ける事
腰椎椎間板ヘルニアの原因は生まれつきや加齢に伴うものですが、日常生活で気を付ける事によって少しは改善できる可能性もあります。
・長時間同じ姿勢えお続けないように心がけましょう。座っているだけでも腰に負担が掛かっているので、少しでも姿勢を変えて圧力を分散して一部に負担が掛からないようにする事が大事になります。また、椅子に座る際自分に合っていない高さのものに座り続けていると腰にとても負担が掛かるので、デスクワークなどをしている人は気を付けて下さい。
・荷物などを持ち上げたり、高い場所から重い荷物を下す時にも腰に大きな負担が掛かります。特に腰を捻りながら持ち上げたり下したりするのは避けて下さい。背中がそらないように高いところにある荷物は高さにあった土台を利用するなど工夫して下さい。
また、腰回りの筋肉を鍛える事で負担を軽減する事が出来ますし、柔軟性を高めると負担に強い腰になるので、筋肉トレーニングやマッサージなどをするのも良いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?圧迫されて痺れるという原理は皆さんよくご存じだったと思いますが、腰椎椎間板ヘルニアでも足が痺れるという事を知らなかった人は多いのではないでしょうか。
どちらにせよ日常生活で改善する事が出来るので、見直ししてみて下さい。
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