何気なくするいつもの耳掃除、でも気がつくと耳垢が湿っている。しかも耳垢がにおうような気がする。なんていうことはありませんか?
普段から耳垢が湿っている人も、普段は湿っていないのに、今は湿っているという人も。病気なの?と考えてしまいますよね。そんな耳垢が湿っているときの原因と対処法についてまとめてみました。
耳垢って何?
耳垢とは、耳の中の垢のようなものを指し、具体的には空気中のホコリや皮膚が剥がれ落ちたもの、また外耳道の耳垢腺という場所から出る分泌物などが混ざったものを言います。
また耳垢には殺菌や防虫効果があるといわれています。そして適度な耳垢は、その脂肪分が耳の中の乾燥を防ぎ保護する役割もあります。
ですので耳垢掃除については、したほうが良いとする意見としなくて良いとする意見があり、その理由もさまざまで、耳垢の性質などにもよるので気になるようでしたら、かかりつけの耳鼻科のお医者さんに聞いてみるのも良いでしょう。
乾性耳垢
耳垢が乾燥して粉状であったり、パリパリとしている状態のものを言います。日本人の多くがこの乾性耳垢だと言われています。
湿性耳垢
耳垢に湿り気があり、場合によっては臭いを発している耳垢です。
欧米に多く見られる耳垢と言われています。この湿性耳垢の人は体質的に体臭が強い傾向にあると言われています。また湿性の度合いも湿ったような状態のものから粘土状になっているものまでさまざまです。同じ人によってもその季節や体調などで耳垢の状態が変わることもあります。
耳垢が湿っている原因は?
耳垢が湿っている原因として考えられるのは、耳の中にあるアポクリン腺が多くあり、汗をかきやすいからということです。
アポクリン腺とは?
アポクリン腺とは、汗の出る汗腺といわれるものの1つです。汗を出す汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類の腺があります。
エクリン腺は、全身にある小さな汗腺です。主に体温の調節をする役割があります。エクリン腺から出る汗のほとんどは水分で、ほぼ無臭です。
アポクリン腺は、わきの下や陰部、耳の中、肛門、乳輪など限られた場所にある汗腺です。汗も粘り気のあるような白っぽい汗が出るのが特徴です。
この白っぽい汗の構成成分は、たんぱく質や脂質、糖質、アンモニアや鉄分などが含まれ、この汗が常在菌や雑菌などと一緒になり特有の臭いを発することがあります。これがわきがなどといわれるものです。
汗が原因?
個人差はありますが、耳の中がうっすら湿っているときと、時に流れ出すぐらい水分が多いときがあるのも、上記のようなアポクリン腺から汗が出ているためです。また人によっては湿った耳垢から特有のにおいを発するのも、アポクリン腺からでる物質に雑菌や常在菌などが混じったことによるものだということが分かっています。
実はアポクリン腺の量というのは、個人差があり、遺伝的要素の強いものだということが分かっています。日本人の場合はその割合は少なく、およそ100人に10人程度が湿性耳垢であるのに対し、欧米人は約8~9割の人が湿性耳垢であると言われています。
また年齢によっても変化することがあります。アポクリン腺の活発になる成長期などは耳垢が湿っていることが多いのですが、成長期を過ぎると乾性耳垢になり、年齢を重ねるとまた粘度が高まるということもあります。
わきがとの関係
よく耳垢が湿っている人はわきがの可能性があるといわれますが、本当でしょうか?
耳垢が湿っている原因として、耳の中のアポクリン腺量が多いことが原因である可能性がわかりました。耳の中のアポクリン腺が多いということは、わきなどそのほかの場所も同じように多い可能性があります。
アポクリン腺量が多いと分泌物も多く、常在菌などと合わさってニオイを発する可能性もあるので、耳垢が湿っている人はわきがの可能性があると言われています。また、わきがに限らずアポクリン腺量の多い人は、そのほかの部分でも常在菌や雑菌などの繁殖で臭う場合もあります。
耳垢が湿っているのは病気の可能性も?
耳垢が湿っている原因として疾患も考えられます。
中耳炎
中耳炎は、鼓膜の裏のほうで炎症が起き、膿がたまる疾患です。その原因は主に鼻の炎症などからくることが多く、花粉症や風邪の季節などによく併発して起こります。熱や耳のひどい痛みなどで発見されることも多く、子供がよくかかる疾患でもあります。
耳垢が湿っていたり、耳をよく引っ張っている、耳の痛みがある、熱があるなどの症状があれば早めに耳鼻科など医療機関を受診しましょう。ひどくなると鼓膜の切開などの必要が出てきて、完治まで時間がかかることがあります。
中耳炎については、中耳炎が大人に現れるとどんな症状?治療方法も紹介!の記事を参考にしてください。
外耳炎
外耳炎は、耳の入り口近くから鼓膜までのところのどこかで細菌が感染してしまい、炎症が起こる耳の疾患です。耳掃除のしすぎや耳に水が入ったりすることが引き金となって起こります。
子供に多い疾患ですが、大人でもかかります。耳を押したり引っ張ったりすると痛みを感じたり、子供の場合は熱を出す場合もあります。耳垢が湿っていて臭う他に耳に痛みなどがないかを確認しましょう。気になるようでしたら、耳鼻科など医療機関への受診をオススメします。
外耳炎については、外耳炎の治し方を紹介!症状によって変わる治療方法とは?の記事を読んでおきましょう。
耳垢のニオイ対策
耳垢が湿っていること自体は疾患以外に特に問題はないのですが、それがにおいを発していると気になりますよね。そんなときの対策は何かあるのでしょうか?
清潔に保つ
耳垢が湿っていてにおいを発する場合は、アポクリン腺から出る汗と常在菌や雑菌が混じることが原因でした。なのでにおい対策には耳の中を清潔に保つことが一番です。
まずは雑菌の繁殖してしまった耳垢を取り除きましょう。ただし、必要以上に耳掃除をしてはいけません。外耳炎や中耳炎などになる可能性があるからです。あくまでも麺棒程度で取れるだけに留めておきましょう。
食生活の改善
アポクリン腺の量は個人差でもあり、変えることは出来ません。その代わりアポクリン腺からでる汗の量や質を変えることで、においの元を取ることは出来るかもしれません。
アポクリン腺は、肉類などの動物性たんぱく質や油などの脂質を多くとることで働きが活発になるといわれています。アポクリン腺の働きを抑えるためにも肉や脂質を抑え、野菜や魚、豆類などを中心とした食生活に変えていくこともよいでしょう。
また、汗やにおいを抑える働きのあるサプリメントなども必要に応じて摂っても良いかもしれません。
病気の予防する
耳垢が湿っていて気になるからといって、耳掃除のしすぎや耳の中をいじくるのはやめましょう。中耳炎や外耳炎になる可能性があるからです。
特に中耳炎の場合は、耳垂れといって、耳の鼓膜の裏にあった膿が鼓膜を破って出てくることもあります。強烈な痛みを伴うのでたいがいの人は分かるのですが、稀に痛さを伴わない場合もあり、耳垂れを湿った耳垢がたれてきたと勘違いして、耳掃除でさらに耳を傷つけてしまうことがあるようです。
自己判断で耳の疾患にかかる前に、まずは湿った耳垢が気になるときは耳鼻科などの医療機関に受診してみてもらいましょう。
まとめ
いかがでしたか?湿った耳垢はアポクリン腺や疾患が原因の可能性があることがわかりました。またその湿り方には個人差や体調や環境でも変化することもわかりました。
湿った耳垢でも健康であれば何も問題はありません。においが気になるようでしたら、清潔に保ち、食生活などから体質改善をすることで気にならなくなるでしょう。まずは自分の耳垢の状態を把握し、必要以上の耳掃除などをやめ、耳の健康に気を配ることから始めましょう。
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