腎臓病の食事制限について!症状によってメニューを変える?

腎臓病というと、不治の病、人工透析、身体が色黒…。ちょっと怖いイメージがする病気と思ってしまいます。確かに治りにくいし、時間もかかります。

実は日本人で一番患者の数が多いのが腎臓病であるというのも事実なのです。腎臓は肝臓と同じく非常に頑張り屋の臓器で、痛みを感じないことあり、自覚症状がないまま進行してしまいます。

例えば腎不全などは、腎臓の機能が20%になって初めて、もろもろの症状が現れるという厄介な臓器なのです。ただ、健康診断での血液検査での数値をチェックしていれば早めに気づきます。悪くなっている人はその数値を放っておいた人がほとんどです。

今回はその腎臓病を改善するための食事法についてお伝えします。

腎臓病の種類

腎臓

腎臓病には非常にたくさんの種類があって、それぞれ特徴があります。また、腎臓そのものが原因となる原発性の腎臓病と、他の病気からの影響でかかる続発性腎臓病とに分かれます。また、進行の度合いによって、急性と慢性とにも分かれます。

急性腎炎

腎臓の中には血管が糸くずをまとめたように固まっている糸球体というものがあり、血液はここを通ってろ過されますが、何らかの影響で糸球体に異常が発症し、ろ過の働きが悪くなるのが腎炎です。特徴的なのが、他の腎臓病は治りませんが、この急性腎炎は治療により完治します。

このろ過の機能が悪くなることで、血液の中の不老物が体外に排除できず、身体の調子はもちろん、他の臓器などにも悪影響を与えます。それともう一つの特徴として10才位までの子供に発症するケースが非常に多いとの報告もあります。ですが、必ず子供だけとは限らず、まれに大人もかかります。

症状

急性という名の通り、急に機能が悪くなり、尿が出にくくなり、もしくは血尿が出ます。また、熱を伴い、扁桃腺やのどが腫れます。全身を倦怠感が襲い、むくみなど症状もでます。

治療法と食事制限

細菌が腎臓内に影響を与えることで起こる症状ですが、細菌が減ることにより、快方へと向かいます。ですが、6か月をめどに検査をし、細菌が残っていないかは確認を必要とします。ここを怠ると、治るものも治らず、悪化したり長引いたりすることもあります。

特に子どもの場合は、学校等も様子を見ながら登校するようにし、身体を動かすことは、徐々に慣れるようにした方がいいでしょう。

  • 尿の出が少ない→塩分の摂取を控える。1日3グラム~6グラムをめどにする
  • むくみがひどい→尿をたくさん排出するように、利尿薬を使用する
  • 発熱などの症状→抗菌薬を投与して、炎症を抑えます

慢性腎炎

急性腎炎と同様の症状がでますが、こちらはじわじわと進行するため、身体に現われる症状も気付きにくいことが特徴です。しかも厄介なことに改善の余地があまりありません。その時点より悪くならないようにすることが第一前提となります。

症状

急性腎炎と同様、発熱、尿の出が悪い、血尿、倦怠感などを伴う他、顔色が悪くなったりします。急性と違い、症状が1年以上にも渡って続くのを慢性腎炎といいます。

治療法と食事制限

症状は悪化していくのが慢性腎炎の特徴ですが、最終的には人工透析で血液をろ過することが必要になり、腎臓の機能が低下するのを防ぐことが治療のメインとなります。

  • 尿の出が悪い、血尿がある→塩分の摂取を控える
  • 腎機能低下→たんぱく質の摂取を控える
  • 倦怠感、食欲減退→カロリーのあるものを食べる

腎盂炎

膀胱炎の影響で、膀胱から尿や不要物が排出されずに逆流するような状態で腎臓に負担がかかる状態です。

症状

主に発熱、寒気、嘔吐、全身の倦怠感や、膀胱炎の症状に似た、排尿時の痛みなどを伴います。これが、続発性の腎臓病で、膀胱炎が引き金となります。

治療法と食事制限

膀胱炎は排尿を我慢することから、膀胱に炎症を起こすもので、それが更に内部の腎臓に影響を及ぼすものです。ですから、尿をたくさん出すようにすることが大事です。それに加え、腎臓が痛みを覚えますので、判断はつきやすいかと思われます。

  • 水分→制限せずに多めに取り、排尿を促す
  • カリウムの摂取→排尿を促す

腎不全

腎臓が完全にその機能を果たせなくなった状態で、急性と慢性があります。

症状

急性腎不全は、急激に腎臓の機能が低下し、腎臓の血管が詰まり、腎臓で作られた尿が何らかの影響で体外に排出されないことです。また、慢性腎不全は、糖尿病や高血圧が原因とされ、徐々に機能が失われてしまうもので、以後は元の状態に回復することはない、というのが特徴です。

治療法と食事制限

基本的には、これ以上の悪化を防ぐことが目的となり、薬の投与の他、腎臓への負担を極力減らす食事制限を合わせて行います。

  • たんぱく質→制限し、体重1キログラムあたり、0.5グラムを目指す
  • カロリー補給→たんぱく質が多くならぬよう、糖質や油ものでカバーする
  • 水分→適切な量をとる
  • 塩分→極力取らないよう、制限をする

ネフローゼ症候群

一般に腎臓病に現れる症状全体を指すもので、単体の病気ではありません。

この症状は、たんぱく質が尿より排出される、血液中のたんぱく質が低下する、血液中のコレステロールが増加する、全身にむくみが発生するなどです。つまり、これらの症状が発生することをネフローゼ症候群といいます。

尿毒症

腎臓の機能が落ちてくると、血中の尿素や毒素が解毒されずに血液中に多く含まれてしまいます。

そのため、疲れやすくなり、食欲が減少、貧血、むくみ、息苦しくなったり、尿の量が減ったりします。これも腎臓病にかかると一般的に出る症状です。

腎臓病全般に共通する食事などの制限

食事

全ての腎臓病に通ずる食事制限について紹介します。

水分を減らす

腎臓を悪くすると、むくみや腹水の症状がみられます。体液の調整機能が劣ってくるためですが、そのために水は制限せざるをえません。ただ、病状によっては、水分制限をそれほどしなくてもいいものもあります。それが腎盂炎ですが、腎盂炎以外は、医師の指示に従い制限が必要となります。

また、水分というのは、飲み物として飲むものだけでなく、野菜など一般的な食べ物にもたくさん含まれています。それらの分も含めて、ということになりますので、注意してください。

塩分を制限する

腎臓の働きが落ちているため、ナトリウムの排出機能も低下しています。そのため、余分な塩分が排除できず、体内に残った塩分により、血圧が上がってしまう傾向があります。

基本的な塩分の摂取適正量はだいたい3グラム~6グラムです。これはもう、本当に薄味です。ほとんど、味がない食べ物と考えていいと思います。また、取る量は少ないといっても、使用する塩は自然塩を使ってください。自然塩ですと、通常のナトリウムのみの塩よりも余分な塩分が体内には残りにくく、ミネラルなどの必要栄養素が取れますので、症状によってはプラスになります。

塩分も水分同様に、食品に含まれている塩分も考慮に入れてください。食品に含まれている塩分というのは実は結構な量であることが多いのです。一般的には判断がしにくい、加工物であるソーセージやハム、かまぼこなどです。また、漬物も塩分が多いので気をつけましょう。

たんぱく質を制限

たんぱく質は摂取して分解されると有害である窒素が7割ほど出ます。腎機能が落ちているところへ、更に負担がかかることを避けるためにたんぱく質制限をするわけです。

通常の人は体重の1キログラムあたりにたんぱく質1グラムが妥当です。ですが、腎臓病の人は1キログラムあたり0.5グラムから0.6グラムが理想とされます。

ですが、このような老廃物が溜まるなら、摂取しなくてもいいと考えてしまいますが、実際にはたんぱく質は身体を作る重要な栄養素なので、最低限の量は必要となります。不足すると、代謝ができず、身体がやせ衰えてしまいます。そのことは理解しておいた方がいいでしょう。

エネルギーの確保

これらのもろもろの制限をしますと、当然身体のエネルギー不足になります。身体を動かすエネルギーとして、糖質類や油分を補充する必要があります。油は少量でもカロリーは多めですので、質の良いオリーブオイルやこめ油、マヨネーズなど、サラダにかけるといいでしょう。

カリウム制限

腎臓病では、カリウムが排出されずに体内に多く溜まってしまいます。カリウムは体内で過剰になると、神経の伝達系の異常や、不整脈を起こします。この場合はカリウムが多く含まれている食べ物を制限するようにします。バナナ、梨、すいか、豆類、イモ類に多く含まれますので注意してください。

まとめ

実は腎臓病と言うくくりで言えば、一番患者の数が多い病気と先に述べましたが、これは表面的に表れている患者の数だけで、実際には潜在的な人も含めるととんでもない患者の数がいます。これは一体どういうことを意味しているかというと、症状が出にくいということもありますし、身体の不調を訴えても医者嫌いの人も多く、診察とか再検査を受けない人が多いということを表しています。

早めの診察を受け、病気の状態も重くならないうちに治療を行っていれば、本人も痛い思いや大変な思いもしないし、回りにも迷惑をかけないのに、放置する人が実に多いのです。それに、医療費だって、個人負担分もかかるし、健康保険の費用も国から支払われていますが、無駄に計上されているということになります。

これだけ世界に誇る長寿の国ではありますが、その裏には寝たきりや不調のままの人が多いのです。これは実に嘆かわししことです。ちょっとでも気にかかったら、早々に診察を受け、早々に治す努力をしましょう。これは、はっきりいって運が悪いから病気になったとかいう問題ではなく、本人の問題としか言いようがないと思う気がします。

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