ホモシスチン尿症には食事療法が必要?症状・原因・治療法を知ろう!どんな薬を使用する?

ホモシスチン尿症は、新生児スクリーニングまたは新生児マス・スクリーニング検査の対処となる疾患の一つです。新生児に判断できる病気で診断された場合は、食事治療を徹底するなどする必要があります。

そこで、ホモシスチン尿症について処置方法や原因等を徹底紹介しようと思います。

ホモシスチン尿症とは?

ホモシスチン尿症とは?

ホモシスチン尿症は、先天性の病気になります。アミノ酸の代謝経路にある「シスタチニオンβ合成酵素」に障害があり尿中に大量に排泄される病気です。

ホモシスチンが体内にたまり生後の早い時期に血液検査などで判断できることがあり、赤ちゃんのうちに治療を始めることができれば、発育や知能などの遅れを防止できたりと深刻な事態を回避でき普段と同じ生活をすることができるようになります。

ただし、出産時は無症状で気づきにくく発見が遅れたケースもあります。

治療が送れると重篤性や合併症の危険が増します。一般的には、1歳頃から症状が出始めることが多く3歳頃になると骨格などに異常がみられ発育に支障を引き起こします。そして、血中のメチオニン濃度の調整が上手く機能しないと血栓症や塞栓症により亡くなる事もあります。

ホモシスチン尿症の検査は、世界各国で行なわれおり新生児スクリーニング対処疾患のアミノ酸代謝異常症の1つになります。

ホモシスチン尿症の特徴

ホモシスチン尿症の特徴

ホモシスチン尿症は、先天性の病気になり遺伝性の高い病気になります。

発生確率は低く約100万人に1人発病で子供の頃に現れる病気で先天性アミノ酸代謝異常症・ビタミンB12代謝異常症・葉酸代謝異常症シスタチオニン合成酵素欠損症などが原因となります。

先天性アミノ酸代謝異常症について

ホモシスチン尿症は、先天性アミノ酸代謝異常症の一つとされておりタンパク質の元になるアミノ酸を代謝するのですが、その一部のアミノ酸の利用や分解が正常にできなくなり体内に蓄積されてしまい、発育の原因や痙攣や昏睡状態を引き起こす原因となります。

その他にもアミノ酸代謝異常症の原因には、「メープルシロップ尿症」「シトルリン血症」「フェニルケトン尿症」「シトリン欠損症」があります。

ビタミンB12代謝異常症

タンパク質を作るアミノ酸やビタミンの代謝に働きかける物質を助ける役割があります。

ビタミンB12ですが、遺伝の情報が記録されるDNAの合成にも関りを持っておりビタミンB12が不足すると、悪性の貧血や神経の障害を引き起こす事もある。

シスタチオニンβ合成酵素欠損症

シスタチオニンβ合成酵素欠損症とは、アミノ酸の1つでありメチオニンの代謝産物であるホモシスチンを変換させる酵素が欠損してしまうことで発症します。シスタチオニンβ合成酵素欠損症は、ホモシステインからシスチンを生成する経路にあり、シスタチオニンβ合成酵素(CBS)が低下することで、ホモシスチンが蓄積されると言われています。

そして、ホモシステイン代謝にはもう一つの経路に再メチル化によるメチオニン合成であり、CBS欠損症をスクリーニングしていると言われています。

常染色体劣性遺伝性疾患

ホモシスチン尿症は、常染色体劣性遺伝性疾患になっているとも言います。

この病気は遺伝性のものなので、両親のどちらかが病気の遺伝子を持っている場合に、その子供に発生することがあります。発症率は、25%ほどと言われており4人に1人が発症すると言われています。

発症するケースの特徴としては、

  • 両親とも保因者である場合は、子供への発症率は25%ほど
  • 両親とも発病者である場合は、子供への発症率は100%
  • 両親が近接婚である事が多い
  • 両親や兄弟姉妹は健常者である可能性が高い

そして、孫へ遺伝する確率は、100人に1人の割合で保因者が存在すると仮定すると、約0.25%ほどになります。したがってそれほど気にする病気ではないのですが、両親とも保因者であると少し注意が必要です。

ここまでが、ホモシスチン尿症状の特徴となります。ではどういった症状が現れるのかご説明したいと思います。

ホモシスチン尿症の症状

ホモシスチン尿症の症状

ホモシスチン尿症状は、色々な箇所に現れ眼や骨格や精神遅延や発育障害など、命に関わる症状が発症する事があります。

水晶体亜脱臼の症状が起こる

ホモシスチン尿症状は、眼に症状が起こることがあり発症してしまうと水晶体亜脱臼が起こります。水晶体亜脱臼が発症すると近視や乱視を引き起こし、眼鏡やコンタクトでも矯正できないほど視力が落ちることがあります。

そして、10歳までに80%以上の症例で水晶体亜脱臼が起こると言われており注意が必要です。
水晶体は細い糸のようなもので支えられており、片方をチン小帯もう片方は虹彩につながっておりこの糸が、切れてしまうと水晶体亜脱臼の症状が起こります。

骨格に異常が現れる

ホモシスチン尿症状になると、「骨粗相症」や「高身長」や「クモ状指」「側弯症(わんきょくしょう)」「凹足(おうそく)」「外反膝(がいはんしつ)」「鳩胸(はとむね)」などの骨格に異常が現れ、3歳頃から発症が始まります。

血栓症によるリスク

ホモシスチン尿症状は、血栓症や塞栓が現れる事があります。血栓症が起こると死亡リスクが高まり心筋梗塞や脳梗塞を起こし亡くなる事があります。血栓症は思春期以降に起こることが多く、治療は一生行っていく必要があります。

症状としては、かゆみや肌の変色や肥大し足がむくみやすくなったりします。そして深部静脈血栓症から肺塞栓症が発症した場合は、肺動脈を塞いでしまい、呼吸困難につながることもあります。

精神遅延や発育障害が起こる

ホモシスチン尿症は、中枢神経系の異常がありその症状として起こることもあります。「知的障害」や「てんかん」「精神障害」が症状として現れ、1歳から2歳頃に発育などに遅れが現れ、一般的には歩行することができる年齢に達しても歩けなかったり知的障害がみられるようになります。

ここまでが、ホモシスチン尿症の症状になりますのでその症状を治療するための方法をご紹介したいと思います。

ホモシスチン尿症の治療方法

治療法

ホモシスチン尿症の治療方法は、一般的には食事治療や栄養管理をしっかりおこなうことが大切になってきます。食事の制限をしっかり行わないと、心筋梗塞や脳血栓を引き起こしてしまうことがあります。

食事での治療方法

ホモシスチン尿症での食事治療は、そもそもホモシスチンはメチオニンというアミノ酸から作られているため、有害なホモシスチンを低下させて、シスチンが合成されないように食事に高シスチンを摂取する必要があります。

乳児期での治療には、治療用のメチオニン除去するミルクを使用します。この特殊なミルクは、「雪印乳業」や「明治乳業」が治療用に販売しております。しかしメチオニンは乳児が成長するには欠かせないアミノ酸であるため、最小限に抑えたメチオニン摂取が必要になります。

このメチオニンは、母乳や低メチオニンミルクや低タンパクの食事を与え、乳児用ミルクと併用したりしてメチオニンの摂取量をコントロールする必要があります。

低メチオニンミルクは、牛乳アレルギーがある場合は服用できません。そして低メチオニンミルクは粉ミルクとして売られており40~60℃に調整後は、品質の問題上2時間以内に服用しなければなりません。血液のメチオニン濃度は、「1mg/dL」以下になっていればいいと言われています。

この食事治療を一生して行く必要があり、血栓症が発症してしまうと死亡リスクが高まりますので、食事には気をつけなければなりません。

ビタミンB6を投与する

ホモシスチン濃度を低下させることで治療できる患者もいます。ビタミンB6を投与することで食事での厳しい制限を緩和させることができます。

ビタミンB6とピリドキシンを併用するとより効果があると言われています。

ただし、ビタミンB6を大量摂取しすぎると、「筋緊張低下」や「意識障害」や「急性呼吸不全」や「肝障害」などの症状を発症した事例があるため実施する時期などをしっかり考える必要があります。

ピリドキシンを大量投与する

ピリドキシンを大量投与にする患者はビタミンB6反応型と診断されたの患者になります。ビタミンB6反応型かを判断する方法は、ホモシスチン尿症と診断後に、高シスチンと低メチオニンの両方の食事療法を行い、生後6ヶ月頃に、ピリドキシン40 mg/kg/日を10日間投与し、血中のホモシスチンとメチオニンの値を低下させます。

この段階で値が低下することが確認できれば、薬の投与量を徐々に下げます。

効果が確認することができなければ食事療法を行い、2~3歳で体重が12.5kg頃になる頃に再度ピリドキシンを500mg/日の投与を10日間試し経過を診ることになります。

ビタミンB6反応型と判断されたら、ピリドキシンを大量投与(30~40mg/kg/day)とビタミンB6を一緒に投与すること、食事療法を和らげることができます。

少し前まではホモシスチン尿症と確定されたら、ピリドキシンを「500mg/日」投与を10日間していたのですが、これを新生児や乳児におこなうと、「急性呼吸不全」「筋緊張低下」「意識障害」「肝障害」などを起こす事例があったため、改定されております。

そして、長期に大量投与すると末梢神経障害の事例があるため、1000 mg/日以上を成人で投与するのはリスクがあります。

年長児にはベタインを併用

年長児のホモシスチン尿症を治療する方法として、ベタインを一緒に投与することがあります。ベタインを一緒に投与することで、ホモシステインで起こる再メチル化を活発化させメチオニンに代謝することで、ホモシステインの値を低下させることができます。ベタインの投与量は年齢によって異なります、11歳以上には「1回3g」11歳未満には「1回50mg/kgを1日2回」投与します。

ただし、ベタインだけでホモシステインの値をコントロールするのは難しいため、食事療法と一緒に併用する必要があります。もしベタインで治療している最中に脳浮腫を発症してしまった場合は、高メチオニン血栓が原因と推測されており、ベタイン投与中のメチオニン値は「15 mg/dL (1000 μmol/L)」以下にしなければなりません。

ベタインは、食事療法を和らげる効果があり効果に期待ができますが、副作用に関してもいくつか気をつけなければならないことがあります。

ベタインの副作用について

ベタインを使用することでの副作用は、

  • 発熱
  • 血中メチオニン値上昇
  • 感染性腸炎
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 変色歯

などが症状として発症する可能性があります。

その中でも、脳浮腫になることもあるので注意が必要です。ベタインはまだ2014年1月に新薬として現れたばかりなので、有効性や安全面を確認しながら投与をするかしないかを決めることが義務付けられています。

シスチン不足にL-シスチンを投与

シスタチオニン合成酵素が欠損してしまうと、ホモシステインからシスタチオニン、そしてシステインへの転換がなくなってしまうためシスチン不足が発生します。

シスチンが不足してしまうと、眼や骨格に異常が発症する可能性がありますので、シスチン値が低下したときにはL-シスチンが投与されます。

サイスタダンでの治療

サイスタダンとは、ホモシスチン尿症の治療薬になります。ホモシステインをメチオニンへと変換することで血中にあるホモシステイン濃度を低下させます。

サイスタダンの飲み方は、水やぬるま湯に溶かして飲むか口に含んで飲むことができます。使用量は下記のように定められています。

年 齢 1回量 飲む回数
11歳以上 3g 1日2回
11歳未満 体重1kg あたり50mg 1日2回

もし飲み忘れてしまった場合は、その時に1回分を摂取してください。

決して2回分を一度に摂取しないようにしましょう。摂取量が多いと体に異常をきたす場合がありますので、服用してしまった場合はすぐに医師に相談することをおすすめします。

遅発や発育に症状がでた場合

新生児マス・スクリーニングの際に、ミルクの摂取が不十分だと血中のメチオニンの値が基準値以下となり、マス・スクリーニングの対処とみなされないことがあります。

こうなってしまうと、思春期等に遅発などが起こります。この場合処置方法は、ピリドキシンを大量投与して治療していく方法が一般的です。

ホモシスチン尿症と判断された後どうする?

ホモシスチン尿症のその後

ホモシスチン尿症と判断されたあとのフォローアップ指針が定められています。一般的評価と栄養学的評価があり、どんな状態が検査されます。最初は月に1回以上検査が行なわれ、状態が安定すると最低3ヶ月に1回行なわれます。

検査内容は、

  • 身長・体重測定
  • 血漿アミノ酸分析、血漿総ホモシステイン測定
  • 末梢血液像、一般的な血液生化学検査項目
  • その他の上記以外の栄養学的評価に関係する骨代謝を含めた一般的項目も、「病歴」「食事」「摂取」「身体発育」に鑑みて適宜測定します。

その次に「神経学的評価」という検査があります。発達のチェックを年に1回実施され、頭部のMRIの検査を1~3年の間に1回程度行います。

もし脳梗塞症状が認められた場合はその時に応じて検査をし、てんかん合併時だった場合も年に1回検査を行います。

成人期の患者に対しての治療方針について

成人期の患者に対しての治療方針については、ホモシスチン尿症が発症している患者は一生涯を通じて治療をしていく必要があります。治療方法は、フェニルケトン尿症とは違い年齢に関係なく治療維持目標値が変わることはありません。※フェニルケトン尿症も発達や運動能力に関係する神経症状に異常がみられる病気になります。

若年成人以降では血栓の恐れがあるためそれを予防するために「アスピリン(血液を固まりにくくする作用がある薬)」や「ジピリダモール(血管を広げ血流をよくする薬)」が投与されることがありますが、長期的に効果があるとは言えません。

女性の場合の注意点

女性患者の場合、経口避妊薬の摂取を避ける必要があります。

手術ができない場合は、輸液過剰にないようにしっかりモニターし、患者が自由に水分を摂取できるように1.5倍量の維持輸液を投与し続けなければなりません。

妊娠と出産に関して

成人女性の妊娠や出産時には、血栓症発症のリスクが高いため「低容量アスピリン」の妊娠に内服し妊娠第 3期から出産後6週間は、低分子ヘパリン投与による血栓を防ぐ提案がされています。

医療費について

ホモシスチン尿症になってしまった患者、専用の食品の購入やベタイン服用から定期的な検査を行なう必要があるため、それなりの治療費がかさみます。新生児などは、新生児マス・スクリーニングが受けられるためそれほど治療費はかからないのですが、成人期での費用はそれなりに強いられてしまうのが現状です。

ここまでが、ホモシスチン尿症と判断された場合に行う検査などになります。

まとめ

ホモシスチン尿症は、早期に発見することができれば、治療を早く受けることができ成長しても重大な病気に繋がりにくくなりますが、食事療法などを一生通じで治療を行わなければならないため、よく医師と相談しながら治療を進めていく必要があります。

ただし発生率は100万人に1人と言われていますので、それほど気にする病気でもありません。

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これらを読んでおきましょう。

  
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