腎臓の痛みの原因は?背中や腰に痛みがある場合は病気?

人間の臓器の図は良く見ますが、考えてみれば私達の身体は立体です。なので、意外な所に意外な臓器がある場合も多々あります。

腎臓もその一つで、二つある事や尿を作る働きをしている事は分かっているのですが、意外と場所がはっきりしないなという方もいらっしゃるかと思います。腎臓は思っている以上に背中側にあります。そのため、腎臓が痛い事に気が付かず、腰痛や背中の痛みと勘違いしてしまう危険性が非常に高いと言えるでしょう。

腎臓の場所や痛みの特徴、病気の可能性などについてまとめました。また病気が発生している時に同時に発生する症状などについても紹介しますので腎臓の病気の初期症状などについて知って、すぐに病気に気付ける様にしておきましょう。

腎臓とは

腎臓

そもそも腎臓とはどんな働きをしていてどのあたりにあるのか再確認してみましょう。腎臓の事について知ることで、病気が発生した時にどの様な症状や問題が発生するのかについても、なんとなく理解るようになるでしょう。

症状や腎臓に悪影響を及ぼす行動などについても検討が付くように、まずは腎臓の働きなどについて学習していきましょう。

腎臓の働き

腎臓は、握りこぶしくらいの大きさで豆のような形の臓器です。腰のあたりに左右2個存在しており、ここで血液中のいらないものを濾過していらないものを尿として排出しています。一つ150gと小さな臓器ですが、様々な働きをもった臓器です。

前述の通り、尿を作る働きはよく知られていますが、そのほかにも

  • 塩分と水分の排出をコントロールし、血圧を整える
  • 血液を作る細胞に対して指令を出すホルモンを分泌する
  • 体液の量、イオンのバランスを調整する
  • カルシウムを吸収するために必要なビタミンを作る

といった働きを持っており、血液や骨など様々なものに密接に関わっています。

腎臓には一分間に200mlの血液が流れ込み、これを濾過しています。一日に濾過する量は1400リットルとも言われており、大体ドラム缶7つ分を漉している事になります。その割に腎臓の血管は非常に細い作りになっており、血管が異常をきたす事も多いようです。

また、再生が不可能な臓器である事もあり、特に気を配るべき臓器です。

腎臓は一つでも生命維持には問題ない

腎臓は二つある臓器ですので、もしその内の一つを移植したり、病気で除去してしまう事になっても、生命の維持には問題なく、今まで通りに生きていくことが出来ます。

しかし、若干の生活上の制限がかかってしまうという事はあります。例えば塩分制限を設けなくてはいけないことや、激しいマラソンなどの運動や過度な負担のかかる運動ができなくなってしまう事になります。

当然腎臓が一つになってしまうと片方の腎臓だけで血液を濾過しなくては行けないので、それだけ負担は大きくなります。ですので老化にともなう腎臓の機能低下などの問題に関しても影響は大きくなります。

ですので、上記の制限を設けて出来るだけ長期間活動できるように機能を維持していく補助的な活動を続けていかなくてはいけません。

また、妊娠などを控えている女性の場合には早めの出産が推奨されます。しかし負担が増えることは間違いありません。しっかり産婦人科と泌尿器科などの専門家の意見を聞いて相談して目的を達成していきましょう。

腎臓は病気や外傷が原因で片方を失ってしまう事もありますが、元々先天的に一つしか持っていない人も存在します。

50歳まで健康体で、50歳以降に始めて検査で発覚する人もいらっしゃいます。

腎臓の位置

脇腹や背中、腰の痛みがあるなと思っていたら、実は腎臓が痛かったといったケースがあります。

腎臓は、横隔膜の下の背中側に存在します。手を後ろに回し、脇腹と背骨の中間あたりにあり、腰が痛いときにとんとん叩くあたりにあると考えるとわかりやすいかと思います。

元々腎臓などの臓器には痛覚が存在していないので、痛みを感じるのはその周囲までに炎症が広がった場合に腹膜などが痛みを感じているものでもあります。位置的にはちょうど腰辺りに痛みが発生しますので腰痛と間違いやすいでしょう。

腎臓に痛みが出る病気と治療

腎臓

腎臓の痛みは、腎臓が腫れて腎皮膜が引っ張られる事によるもの、腎臓の炎症、腎臓が移動する事などにより起こります。以下に代表的なものについてまとめました。

発生している症状から、どの病気の可能性が高いかを診断してみましょう。

尿管結石(尿路結石)

腎臓から尿が運ばれる経路に結石が出来ると、尿がうまく排出できなくなるため腎臓内に溜まってしまいます。この事により腎盂(腎臓と尿管の接続部)の内圧が高くなって腎臓が引き延ばされて痛みが生じます。腎盂の内圧が高くなる事を水腎症と呼びます。

尿管結石の原因は血液中のカルシウム濃度が高い事や、動物性蛋白質の採り過ぎによるシュウ酸、尿酸の増加が考えられます。一般的に、尿管に結石がある場合には非常に強い痛みが出るのに対して、腎臓の中に石がある場合は自覚症状があまりないと言われています。

尿路結石が発生している場合に出る症状としては、突然発生する腰付近の激痛、吐き気、嘔吐、血尿、排尿痛などがあります。特に男性に発生しやすい症状となります。

しかし、無自覚なことも多いので注意が必要です。発生原因となる動物性タンパク質や甘いもののとり過ぎ、過度な飲酒、塩分のとり過ぎなどが危惧される場合に発生する確率が高いと言えるでしょう。

詳しくは、尿路結石の原因はストレス?治療や予防方法を紹介!を読んでおきましょう。

大きくなるまで気が付かない事も多いので、尿の状態がおかしい場合には注意しましょう。

 尿管狭窄

尿管狭窄はその名の通り尿道が狭くなって排尿の障害を起こす病気です。

先天性のものと後天性のものがあり、後天性の場合は何らかの外傷(骨盤の骨折や打撲など)によって尿道に傷ができ、これが治る過程で組織の瘢痕を生じ、尿管が狭くなったというケースが多く見られます。

尿管狭窄によって腎臓に痛みが起こる仕組みは尿管結石の場合と同様に水腎症によるものです。狭窄部の切除やバルーンによる拡張によって治療します。

尿管狭窄は発生する確率も非常に低く、形成術などを手術で行う場合は非常に難しい治療になります。腕の良い医師を探して治療を行ってもらうことをおすすめします。

尿管腫瘍

尿管に腫瘍ができるもので、多くはがんであると考えられます。尿路の閉塞によって水腎症を起こし腎臓に痛みが生じます。

結石の場合と異なり、軽度の痛みがあるとされており、肉眼でわかる血尿を伴う事が多く診られます。

腎臓がん

腎臓にがんが出来ても、初めはほとんど気が付きません。がんがある程度大きくなって初めていろいろな症状が出るので、何かしら自覚症状が出た場合はすぐに病院で診察を受けるべきといえます。

腎臓がんによって引き起こされる腎臓の痛みは、これまでと同様水腎症によるものです。がんによって尿管などが塞がり、腎臓の圧力が高まって痛みを生じます。

また、血尿を伴い、がんが大きくなった場合には触った時にぐりぐりとしたしこりが確認出来る事もあります。また、進行すると血圧の上昇や高カルシウム血症などの症状が現れる事があります。

腎臓のう胞

腎臓のう胞は、腎臓にできる水ぶくれの事を指します。水ぶくれ自体は身体に悪い影響を及ぼす事はないのですが、ここから腫瘍に変化したり、あまりにも大きくて周りを圧迫する場合があるため、大きい場合は治療を行います。

水ぶくれの圧迫による水腎症によって痛みを生じます。

腎梗塞

腎臓の血管が詰まってそこから先が壊死する病気です。突発的な痛みが特徴で、発熱、嘔吐などを伴い尿量が減少します。不整脈などの心臓疾患でできた血栓が飛んで来るというケースも多いので、心臓疾患のある方は注意が必要です。

薬物治療や手術によって治療されますが、腎不全を起こしている場合は透析が必要です。速く治療を開始する事が予後に大きく関わる病気です。

遊走腎

腎臓が下垂する病気です。腎臓は膜で覆われていますが、この膜を支えている周りの組織が弱いと腎臓を支えきれずに移動してしまうのです。やせ形の女性に多い病気です。コルセットなどで固定しながら、筋力の強化を行う事で改善される事が多く、手術で対応する事は極めて稀です。

この病気の場合、腎臓に鈍痛を感じるといった症状が出て、横になったり座ったりする事で痛みが改善します。

糖尿病

いろいろな症状の原因となる糖尿病ですが、腎臓にも悪影響を及ぼします。糖は血管を傷つける作用があるため、血液が流れるたびに血管は傷ついてしまい、修復の過程でどんどん硬くなってしまいます。前述の通り、腎臓の血管は非常に細いためダメージを受けやすく、このことによって濾過の機能が壊れてしまいます。

さらに、糖分を含んだ尿による感染が起こると、菌が尿管を通じて腎臓に入り込んで状態の悪化を招く事があります。

詳しくは、糖尿病は完治する?症状や治療方法について!の記事を参考にしてください。

痛み以外に現れる症状について

腎臓が痛いのか背中が痛いのか、簡単に判断するのは難しいですが、以下のような症状が合わせて出た時には腎臓の病気による機能低下を疑う必要があります。

一時的では無く、継続的に発生している場合や、徐々に症状が重くなっていく場合には注意してください。

トイレが近い

腎臓での炎症や機能低下が発生する事で、尿が小出しにでてきて頻尿になります。1回に出る尿の量は少ないですがトイレに行く回数が増えてすぐにトイレに行きたくなります。

1日に3〜10回程度の回数であれば正常と判断できます。10回を超えて1日にトイレに行っている場合は一度泌尿器科などでの検査をしたほうが良いでしょう。

腎臓の病気でなくても膀胱炎や糖尿病などの別の病気の可能性も考えられます。

手足がむくむ

これは腎臓の機能が低下していることで、体の四肢などに不純物が蓄積してしまい、全身がむくみやすくなってしまう問題です。

著しくむくみが発生している状態は、状態がかなり悪化している事も危惧されます。腎不全から慢性腎不全、腎梗塞などの問題が発生し、手遅れになると、人工透析をしないと命に関わる事もあります。

顔、腕、足、などに原因不明のむくみが長期的に発生している場合は一度精密な検査をしてみると良いでしょう。

貧血、立ちくらみ

腎臓の病気や機能の低下から発生する腎性貧血があります。

腎臓の機能低下からエリスロポエチンというホルモンの分泌が低下してしまう事で発生する貧血のことを腎性貧血と言います。通常の貧血の場合には鉄分の補給をすることで症状は緩和されますが、腎性貧血の場合にはそれでは解決されません。

尿毒症から血液内の栄養分も低下してしまって栄養不足からの健康被害なども発生します。これが腎臓の機能低下から来る貧血です。

疲れやすい・息切れ

腎臓の機能低下と、体力がなくなることとは何の関係も無いように感じますが、血液内の酸素を供給しているヘモグロビンの量や栄養量が減少することでエネルギー不足に陥ってしまい、疲労を感じやすくなるという関係性があります。

また、腎臓の病気を発生させる人は、高い塩分の食事や動物性蛋白質を過剰に摂取しているなどの関係で糖尿病にもかかりやすく、体型もだらしなくメタボになっている男性が多いという特徴があります。

ですので、この関係性からも疲れやすい、息切れがしやすいという問題が発生しやすいでしょう。特に腎不全ほどに腎機能が低下している人の場合には非常に体力の低下を感じるでしょう。

しかしこの症状には人によっては個人差が大きくありますので、あまり疲労を感じない人もいらっしゃいますし、まだまだ現役で肉体労働をしているという人も存在します。

人工透析や慢性腎不全などの問題を抱えている人は出来るだけ激しい運動などは避けて体を労ってあげましょう。

腎臓を健康に保つには

腎臓に良い食べ物

健康な腎臓を保っておく事は、病気を防ぐだけでなく、何か病気を発症してしまった際に起こる腎臓の機能低下を防ぐ事にもつながります。

腎臓の機能を保つために行うべき対処法について紹介します。以下の方法を取り入れて、病気につながらないように、また重度の症状に発展させないように対策して行きましょう。

蛋白質をとる

蛋白質は必須の栄養素なので、腎臓のためにも適量摂取する事が大切です。牛や豚といった重めの肉よりも、鶏、魚などを選ぶと腎臓に負担をかけずに蛋白質を採る事ができます。

過剰に摂取することは腎臓の機能が低下している場合、タンパク尿が発生したりする原因となります。ですので適度にバランスよく食事を摂取して血液の栄養バランスを整えていきましょう。

塩分を控える

塩分を多く採ると、血圧の浸透圧が上がり、腎臓の濾過機能がフル稼働しなければならなくなります。この状態が長く続くと腎臓は段々と疲れてしまって病気の原因となるのです。

水分などを十分摂取することも重要です。もし塩分の濃いめの食事を取った場合はしっかり水分などを摂取して濃度が濃くならない様に対策していくと良いでしょう。

ストレス

ストレスと腎臓、どう関わっているのかピンと来ませんが、ストレスは血流を低下させるため、当然腎臓にとってもよくありません。ストレスによって引き起こされる血圧・ホルモンの変化は腎臓の血管を硬化させてしまいます。

できるだけストレスを溜めないよう、規則正しく生活するようにしましょう。

早期発見

腎臓の病気の中には、遺伝が関係するものがあります。ご家族に腎臓の病気を持つ方がいらっしゃる場合は特に気をつけるべきでしょう。ちょっとした尿の色の変化などでも腎臓の状態が分かります。おかしい所があったらすぐ病院に行きましょう。

また、高血圧と腎臓の病気の間にも関連があります。高血圧によって腎臓が病気になるパターン・腎臓が悪くて血圧が上がるパターンの両面があるので、血圧が高めの方は気をつけましょう。

まとめ

腎臓は2つあるため、片方が悪くなってももう片方がちゃんと働いている限りは自覚症状がなかなか現れません。気が付いた時には悪化してしまっている事もあるので、ちょっと痛いだけだからと我慢せず、早めに病院で治療を受けましょう。

また、一般的な生活習慣の改善は腎臓の健康にも多いに役立ちます。いろいろなメリットがあるので、規則正しい生活を心がけてみましょう。

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