傷口が化膿する原因は?治療方法を知っておこう!

生活の中で細かい怪我はどうしても避けられないものです。中には傷口が化膿して熱をもったり赤く腫れたりという事もよく起こります。

そのうち膿みが出ればよくなるだろうと甘く見てしまうのは危険な場合があります。傷の治りが遅くなり跡が残ってしまったり、悪化すると全身に重い症状が出る場合があります。小さな傷だからと軽視せず適切な対策を取る事ができるよう、何が起こっているのかとどのように予防すればよいかについてまとめました。

傷口が膿んでしまう原因や可能してしまう意味についても知っておき、正しい対処法を行っていきましょう。

化膿する理由

半月板損傷

化膿が起こる理由は、傷が自然に治る能力にあります。膿むことに一体どういった意味があるのかを知って置きましょう。

傷口が膿んでしまうメカニズムなどについても知っておき膿んでしまう状態変化について理解しましょう。

傷口が治るまで

外からの刺激により皮膚がダメージを受けると、組織が壊れて正常な組織が壊れて傷となります。傷で血管までが切れると出血が起こります

軽い傷の場合の自然治癒の流れは以下の通りです。

血管が切れて出血が起こると、血小板が働き血を止めます。次に、白血球やマクロファージという細胞を含む体液が働き、傷口についてしまったごみ、細菌をきれいにします。これらの体液が乾いてかさぶたとなり、その下で毛細血管の修復や新しい表皮の生成が起こり、かさぶたがとれて傷がふさがります。

化膿が起こる理由

化膿は、傷が治る工程のうち白血球やマクロファージが出て来る段階で起こります

傷口からブドウ球菌、レンサ球菌、緑膿菌などの細菌が入り込んで繁殖し、炎症を起こして赤く腫れ、痛みを感じるようになります。

化膿というのは「傷口が細菌により炎症を起こしている」状態を指し、

  •  腫れ
  •  赤み
  •  痛み
  •  発熱

のいずれかがある場合を炎症といいます。傷口では細菌と白血球、マクロファージが戦っており、生きている菌や戦って死んだ菌•白血球•マクロファージが膿みとなって現れます。

傷口が化膿するメカニズム

傷口が化膿してしまう問題は傷口を消毒することで防げるというものではありません。化膿はばい菌とは違うメカニズムで発生している状態になります。

傷口がじくじくしてきたり、傷口を覆うようにかぶせているガーゼなどにその液体が染みてしまうことなどが発生してしまう場合、これはバイ菌が発生しているんじゃないか?と思う人も多いかと思いますが、このじくじくしているのは細胞成長因子が集まってきていて傷を修復しようとしている状態になります。

傷が発生してしまった場合まず血が流れて出血が確認されます。それを止めるために血小板が集まってきて血液凝固因子を放出し血を止血します。その後、好中球やマクロファージが集まってきて傷口に付着しているバイ菌や細菌などを食べてくれます。さらに線維芽細胞が集まり、最後に表皮細胞が皮膚を補修していきます。

化膿して傷口が熟していたり、白くなっているのは傷口が治っている証拠なのです。

化膿しやすい人

足首 靭帯損傷

傷口が化膿しやすい状態になっている人のはどの様な傾向があるのでしょうか?可能しやすい人の特徴を紹介していきます。

自分がこれらの特徴に当てはまっていないか確認してみましょう。

冷え性である

化膿しやすい体質は、傷が治るのに時間がかかり、身体が負けてしまうような状態にあります。

冷え性の場合、交感神経を緊張させてしまうため血流が悪くなり、白血球の一種である顆粒球を増やします。白血球の成分は増えすぎると常在菌にも反応するようになるため、白血球の死骸が増えて化膿しやすくなると考えられています。

糖尿病などの病気を持っている

糖尿病の場合化膿しやすい傾向が出るので気になる場合は検査を受ける事をお勧め致します。

糖尿病にかかってしまていると、血中の血糖値が上昇し、白血球が正常に働けなくなります。結果的に傷口の治療が遅くなってしまい、傷口が膿んでしまう状態が長くなってしまいます。

血中の糖分を栄養に更に菌が増殖をしてしまうことでも傷の治りが遅くなてしまう事に繋がります。感染症や傷の治癒が遅くなってしまうなどの状態になります。

清潔過ぎる人

一つの説として、「清潔すぎて化膿しやすくなる」というものがあります。普段からたびたび手を洗い消毒する等、清潔さを心がけるあまり常在菌までもがいなくなってしまい、ちょっとした菌にも抵抗できなくなってしまうというものです。消毒液によって肌が荒れてしまう事もあります。とはいえ傷口が出来た場合に放置するのは危険なので、医療機関での判断に従いましょう。

肌を常に洗浄してしまったり、消毒しすぎることでも傷口が完治しにくい状態になり、常に化膿している状態から抜け出せない場合があります。

ステロイド性内服薬を長期間使用している人

ステロイド成分の含まれている薬品には内服薬や軟膏の外用薬などがありますが、傷口が化膿している場合にはステロイド性の薬品を使用すると、逆に化膿している状態が悪化してしまう可能性があります。

病院などでは皮膚が化膿している状態が確認された場合は抗生物質や非ステロイド性の軟膏などの処方が行われます。ステロイド剤には副作用があり、皮膚の萎縮やかぶれ、皮膚の赤らみ、感染症の悪化などの症状が発生してしまう場合があります。

ステロイド剤には成分の濃度によって弱いものから非常に強力なものまで種類がありますので、副作用は成分の強いものを使用するほど強くなります。

内服薬では特に副作用を引き起こしやすく、全身症状が出やすくなります。もし化膿がしやすくなるなどの症状を気にする場合は掛かり付けの医師に相談して行きましょう。

傷口から起こる危険な病気

熱が下がらない 病気

化膿している傷口には、外から入って来てまだ生きている細菌と白血球、マクロファージの死骸が含まれています。傷口に膿みが溜まったままで居る場合、生きている細菌がずっと傷口に居ることになってしまいます。また、白血球は戦って死ぬ時に活性酸素を放出します。この活性酸素によって周りの組織が破壊される事があります。

さらに身体の抵抗力が下がっている場合、この菌が全身に回って以下のような重い感染症を引き起こすことがあります。

敗血症

敗血症とは、感染症を起こしている場所から血液中に細菌が入り込んで起こる全身の症状です。肺炎や腎盂腎炎から引き起こされる事が多い病気ですが、傷口から起こる場合もあります。

震えや悪寒を伴う発熱が主な症状で、重くなると低体温を起こします。敗血症性ショックを起こすと、血圧の低下や意識障害を起こし、重要な臓器への障害により多臓器障害症候群を併発する場合もある非常に危険な病気です。

蜂窩織炎

皮膚の深い所から皮下脂肪組織にかけて発生する細菌による化膿性の炎症です。傷口から入った細菌感染が皮膚の深い部分に広がって起こるものです。

患部の広い範囲が赤く硬くなり、熱をもって腫れます。皮膚がやぶれると潰瘍ができる事があります。

リンパ浮腫になっている人など、リンパ液によるむくみがある場合、ここから侵入した最近がリンパ液の中で培養されてしまい炎症が重くなりやすいので、傷や虫さされに特に注意すべきです。

破傷風

ちょっと昔の病気なイメージがありますが、日本でも毎年100名程の方が感染しており、そのうちの何割かは死亡してしまうという現役の恐ろしい病気です。

破傷風は他とは異なり、破傷風菌という菌による感染症です。破傷風菌は毒素を作り出すため、毒素によって様々な症状が起こります。

倦怠感がまず起こり、開口障害(口が開きづらくなり、ひきつり笑いのようなこわばりがおこる)を特徴としています。悪化すると全身の筋肉の痙攣を起こします。

空気に弱い菌なので浅い傷から感染する事は稀ですが、1cm以上の傷が出来た場合は危険です。土が傷口から入り込んだ場合や錆びた刃物、釘などによる怪我は化膿していなくても病院を受診した方がよいでしょう。

ベーチェット病

ベーチェット病は難病に指定されている病気でもあります。中近東の地方に発生しやすいことからシルクロード病とも呼ばれています。現時点で有力視されている原因としては遺伝的な要因により発生している場合と、細菌やウイルスが関係して白血球が過剰に活動してしまい、炎症などを引き起こす事が関係していると考えられています。

HLA-B51という性質を持っている人が多く発生している病気であり、この遺伝子を持つ人が中等に多いことから遺伝的な問題が提唱されています。日本にも多く見られていて、特に男性に発生した場合に重症化しやすい傾向があります。

目、口などの粘膜や皮膚や外陰部などに症状を発症させます。血管病変が発生してしまう場合もありこの症状が引き起こった場合に傷から化膿に発展してしまう可能性が高まります。

稀に注射や小さな切り傷でも化膿してしまう場合もあります。

予防と対策

病気

化膿は、怪我をした時の外側からの対策を行う事と、体質自体の改善を日常生活の中で行う事で予防する事ができます。

傷が発生してしまった場合の対策法などを紹介します。注意点を知って有効に対策していきましょう。

傷口を清潔に保つ

予防や対策について、化膿はその多くがブドウ球菌やレンサ球菌など、空気中に普通に居る細菌により起こっているため、傷口ができたらこれをきれいにして、治る間も汚れないように気をつけましょう。また、化学物質の接触が化膿の理由となる場合もあります。

また、疲れやストレスが多い場合など、免疫力が弱っている状態だと傷口の治りが遅く、化膿しやすくなります

湿潤療法

傷が早く治りやすいと言われている方法が湿潤療法です。消毒液は周りの細胞をいためてしまうという考えから出たもので、患部の浸出液の中には傷を直す成分や常在菌も含まれているためこれを利用しようという方法です。

湿潤療法の場合、消毒液を使いません。止血をしたら傷口をきれいに洗い、ワセリンで覆ってラップをして乾燥を防ぎます

ただし、糖尿病の場合や動物によるかみ傷の場合などは注意が必要な点や、まだ取り扱いのない医療機関もあるので、選択の際は各自確認の上で取り入れてみて下さい。病院を探す上でも湿潤療法を行っているかどうか確認してみましょう。

キズパワーパッドなどの新型の絆創膏もこの湿潤療法を最も簡潔化した方法になります。

化膿しにくい体質をめざす

前述の通り、化膿しやすい体質の特徴として

  •  冷え性
  •  免疫力が低い
  •  糖尿病

が上げられます。

これらを正常に保つためには、一般的な免疫機能を高める対策、たとえばストレス解消や睡眠時間の確保、適度な運動などを気に掛ける必要があります。

また、化膿しやすい体質を改善するためには、食事の際に以下の点を工夫する事が有効です。

○:抗炎症性の食べ物(青魚、エゴマ油、くるみ)

○:植物性乳酸菌(キムチや漬け物類など)

○:亜鉛(牡蠣)

×:女性ホルモンの多い食材(牛乳やたまご)

×:炎症性の食べ物(肉)

糖尿病の疑いがある場合は病院に行きましょう。

傷口を乾燥させない

傷口を乾燥させないことが傷口を治療する上では最も有効な対処法になります。湿潤療法でも同じことを行っている要素になります。

傷口を乾燥させてしまうことは、砂漠で水を与えずに人間に仕事をさせている様な状態と同様の意味になります。皮膚の修復細胞も、正常に働くためには適度な水分が必要になります。

なので逆に化膿していても、ある程度水分が保持している状態が好ましい状態になります。

傷ついている真皮の細胞は乾燥してしまうことで死んでしまいます。さらに真皮の表面にある毛穴や汗管も死んでしまいます。死んでしまった細胞は元に戻ることはないので乾燥させてしまうことは逆効果になります。注意しましょう。

ガーゼを使用しない

傷口が発生してしまった場合にガーゼを使用して傷口を覆ってバイ菌が入らないようにや膿んでしまった汁を吸わせて治療する方法がありますが、ガーゼは傷口を治療する上では逆効果になります。

ガーゼは水分を吸ってしまいますので、膿で傷口を治療している重要な水分を乾かして乾燥させてしまいます。なので皮膚の表皮で発生してしまっている傷の治療を遅らせ、傷の治癒を妨害してしまう原因になってしまいます。

傷が発生してしまったらガーゼや包帯で傷口を覆うというのが一般的ですがこの認識は間違いなので注意しましょう。しかし更にバイ菌が侵入しないように対処することは有効になります。

なので絆創膏などでまず乾燥を防ぎながらその上に包帯やガーゼなどで覆ってカバーしていくほうが効果的でしょう。

まとめ

現代は医療が発達しているため、昔程には怪我から大事になるケースが少ないように感じられます。そのためついちょっとした怪我を軽く考えてしまいますが、ストレスや生活習慣で免疫力が下がっており、清潔な環境に慣れている現代人の場合、いざ入って来た菌にあっさり競り負けてしまう可能性が充分にあります。

ちょっとした怪我から重大な全身の病気につながってしまわないよう、適切なケアが不可欠です。特に動物に噛まれた傷や釘で指してしまった傷などは感染しやすいので注意しましょう。

まずは、傷口が出来てしまった場合はすぐに水で洗い流す事という点を覚えておいて、その上で、腫れる・痛みが出るなど何かおかしな事があったらすぐに医療機関で診察を受けましょう。

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