智歯周囲炎とは?症状や原因、治療法を知ろう!家でできる対処方法はなに?

あなたは、智歯周囲炎という疾患をご存知ですか?多くの方は、智歯周囲炎という疾患名はご存知ないでしょう。しかし、「親知らず」が生えるべき歯茎に炎症が起こることは知っていたり、あるいは既に経験済みかもしれません。

実を言うと智歯周囲炎とは、「親知らず」の周囲に炎症が起こる疾患のことなのです。こう聞くと、智歯周囲炎が一気に身近な疾患に思えたのではないでしょうか?

そこで今回は、智歯周囲炎についての概要をまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

智歯・親知らずとは?

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まずは、智歯(親知らず)についての基礎知識を、おさらいします。

智歯とは?

智歯は、上下の歯列の最奥部に位置する第三大臼歯(だいきゅうし)のことで、一般的には「親知らず」と呼ばれています。

智歯は17~21才頃に萌出します。萌出(ほうしゅつ)とは、歯が生えることです。ただし、智歯の萌出には様々な異常が生じることが多く、また、先天的に智歯が欠如している場合もあります。

臼歯とは?

ちなみに臼歯とは、歯列の後方に位置して比較的平らで臼状の奥歯のことで、食物をすり潰して消化しやすくする作用を持っています。

智歯の萌出異常

智歯が生えてくる際に、歯列から外れて横や斜めに生えてくることがあります。また、智歯が存在するものの、歯茎や歯肉が被ったままで半埋伏状態であったり、完全に埋伏していたりする場合もあります。

このような智歯の萌出異常が生じるのは、現代の人間の顎が小さくなっているために、智歯が生えるためのスペースが無くなっていることに原因があります。

先天的な智歯の欠如

大昔は調理技術が乏しく、硬い食物をかみ砕いたり、すり潰すために臼歯が発達しました。しかし、時代を経るに従って調理技術などの進歩により、人は硬いものを食べる機会が減少しました。

このような流れで、現代の人間の顎は小さく退化したと考える見解や進化と考える見解もあります。いずれの見解にしろ、実際に現代人の顎が小さくなった骨格変化により、智歯の萌出異常が起こっています。さらには、智歯の先天的な欠如も見られるようになっています。

現在の日本人では、本来上下4本あるはずの智歯のうち、少なくとも1本以上を先天的に欠如している人が約30%もいるとされています。

智歯周囲炎とは?

では、智歯周囲炎とは、どのような疾患なのでしょうか?

智歯周囲炎は、智歯の周辺が何らかの原因によって細菌に感染して炎症を起こす疾患です。つまり、親知らずの周囲の歯茎・歯肉に炎症が生じている状態を智歯周囲炎と言うのです。

智歯周囲炎の原因

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智歯周囲炎は、どのような原因によって生じるのでしょうか?

智歯周囲炎の原因

智歯周囲炎は、次のような原因によって発症すると考えられています。

  • 智歯の萌出異常
  • 劣悪な口腔環境による細菌感染
  • 様々な細菌
  • 疲労やストレスなどによる免疫力の低下
  • 生活習慣

智歯の萌出異常

上述のように、現代人は智歯の萌出異常が起きやすくなっています。そして、実際に智歯の萌出異常が生じると、智歯が歯列から外れて横や斜めに生えてきたり、智歯に歯茎が被ったままで半埋伏状態であったり、智歯が完全に埋伏していたりします。

このような智歯の萌出異常によって、智歯と隣の歯との間に歯周ポケットという谷間・隙間が発生します。そして、この歯周ポケットに食物のカスが溜まり、細菌の発生しやすい環境が生まれます。

劣悪な口腔環境による細菌感染

このように歯周ポケットに食物のカスが溜まり、細菌が繁殖すると細菌に感染する可能性も高まります。そして、細菌に感染すると、智歯周囲炎として炎症が発生するのです。

ちなみに、歯磨きをサボっている場合のように自ら口腔環境を劣悪にしている場合は当然として、毎日歯磨きしている場合でも、歯周ポケットがあると細菌感染の可能性が高まります。というのも、歯周ポケットがあると、磨き残しがどうしても発生してしまうからです。

様々な細菌

このように細菌に感染することで、智歯周囲炎が生じます。この智歯周囲炎の原因菌は、さまざまな細菌です。

代表的なところでは、好気性菌・嫌気性菌・ブドウ球菌・連鎖球菌・紡錘筋・大腸菌・肺炎菌・口腔スピロヘータなどです。場合によっては、複数の細菌に混合感染することもあります。

そもそも口腔内には、約400種類の細菌が存在しているとされています。このような常在菌は無害であることが通常です。しかし、何らかの要因で身体の免疫力が低下すると、常在菌であっても悪さをする細菌に感染してしまいます。

疲労やストレスなどによる免疫力の低下

上述のように免疫力が低下すると、細菌に感染して智歯周囲炎を発症します。免疫力を低下させてしまう要因としては、いろいろなものが考えれらます。

  • 疲労や睡眠不足
  • 風邪などの疾患
  • 精神的ストレス

生活習慣

アルコールの過剰摂取や喫煙の習慣がある人は、智歯周囲炎の発症可能性が高くなるとされています。というのも、アルコールの過剰摂取は免疫力の低下につながりやすいとされていますし、喫煙は血管を収縮させるため血行が悪くなり口腔環境を悪化させやすいとされているからです。

智歯周囲炎の症状

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では、智歯周囲炎では、どのような症状が現れるのでしょうか?

智歯周囲炎の症状

智歯周囲炎では、次のような症状が現れます。

  • 歯茎の発赤と痛み
  • 歯茎の腫れ
  • 膿の漏出
  • 口臭が強くなる
  • 口が開かなくなり、下顎や頬が腫れる
  • 骨膜炎や蜂窩織炎(ほうかしきえん)を継発する可能性

歯茎の発赤と痛み

智歯周囲炎の代表的な症状は、歯茎の発赤と痛みです。智歯の周囲の歯茎に炎症が生じると、通常だとピンク色に近い歯茎が、明確な赤色に変化します。

また、炎症によって痛みも生じます。その痛みは、一般にズキズキと表現されるような鈍痛で、患部を押すと痛みが大きくなります。この痛みは、ひどい場合には夜も眠れなくなるほどに強く感じられることもあります。

歯茎の腫れ

智歯周囲炎では、多くの場合に歯茎の発赤が、すぐに赤く腫れてきます。

膿の漏出

炎症により歯茎の腫れが進行すると、そこから膿が出てくることがあります。炎症の起きている患部が化膿しているためです。

口臭が強くなる

智歯周囲炎の原因となる歯周ポケットには、食物のカスが溜まりやすくなります。そして、歯周ポケットの汚れは、歯磨きでもなかなか完全に清掃できません。この歯周ポケットに残ったカスは、口腔内の細菌によって分解される過程でガスを発生させて口臭となります。

また、炎症が原因で患部が化膿すると、その膿は強い臭いを発するため、口臭がさらに強くなります。

口が開かなくなり、下顎や頬が腫れる

歯茎が腫れて、膿が溜まるような状態まで炎症がひどくなると、炎症の範囲も広がります。つまり、口を開閉するための筋肉などにも炎症・腫れが生じて、口の開閉が難しくなります。そのため、口を開閉するための筋肉などが存在する下顎や頬も腫れるのです。

骨膜炎や蜂窩織炎を継発する可能性

智歯周囲炎の適切な治療をせずに放置した場合、炎症が拡大し骨の周囲にある骨膜にも炎症が発生する可能性があります。顎の骨の骨膜に炎症が起きる疾患を顎骨骨膜炎と言います。

蜂窩織炎は、主にブドウ球菌や連鎖球菌への感染によって、皮下組織に炎症が生じる疾患です。患部が腫れて、痛みを伴います。蜂窩織炎の症状の最大の特徴は、患部が化膿してしまい、この膿を排出すると蜂の巣状の空間ができていることです。

さらに放置していると、最悪の場合は敗血症に陥り、死に至ることも考えられます。敗血症は、化膿性病巣から血液中に病原菌が侵入して全身症状を呈する疾患です。

智歯周囲炎の発症の特徴

智歯周囲炎は、腫れや痛みが現れても、1~2週間も経過すると症状が落ち着きます。

しかしながら、疲労やストレスなどで身体の免疫力が低下すると、症状が再度ぶり返してきます。このように、智歯周囲炎の症状は繰り返し現れる特徴があります。

智歯周囲炎の治療方法

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では、智歯周囲炎が発症した場合、どのように治療していくのでしょうか?

家庭での応急処置

智歯周囲炎が発症した場合、口腔外科や歯科医院で受診することが望ましいのは言うまでもありません。しかしながら、得てして休日や夜などに痛みが出てくるものです。そのような時は、次のような応急処置を行いましょう。

  • 市販薬の痛み止めを服用
  • 口腔環境を清潔にする
  • 患部を冷やす
  • 疲労回復と栄養補給

市販薬の痛み止めを服用

痛みが強く現れる場合は、眠れなくなる可能性もあります。睡眠が不足すると、免疫力が低下して症状が拡大してしまいます。

そこで、常備薬として市販の痛み止めがあれば服用しましょう。

口腔環境を清潔にする

口腔環境が悪いと症状が拡大してしまいます。ですから、イソジンなどの刺激の少ないうがい薬で口腔内の消毒・洗浄を行いましょう。

患部を冷やす

智歯周囲炎で発赤や腫れを生じている場合は、患部を冷やしましょう。患部を冷やすことで、炎症の拡大を抑制することができます。

疲労回復と栄養補給

智歯周囲炎の原因の一つは、免疫力の低下でした。ですから、免疫力を回復させるためにも、積極的に栄養を補給して疲労を回復させることが重要です。

口腔内に痛みが生じているので、栄養の補給がしにくいかもしれませんが、咀嚼の必要がないゼリー飲料などで可能な限り栄養を摂取しましょう。

智歯周囲炎の治療方法

智歯周囲炎で医療機関を受診すると、次のような治療が行われます。

  • 抗生物質(抗生剤)の投与
  • 口腔内の洗浄と消毒、膿の除去
  • 歯肉粘膜弁除去術(しにくねんまくべんせつじょ)
  • 智歯の抜歯

抗生物質(抗生剤)の投与

まずは、智歯周囲炎の原因となっている細菌を退治するために抗生物質(抗生剤)を投与します。抗生物質の投与によって、原因となっている細菌を退治することができ、炎症を鎮めることができます。

投与される抗生物質は、原因菌が複数にわたることもあるため、広範囲の細菌に効果があるペニシリン系やセフェム系の抗生物質が選択されます。

口腔内の洗浄と消毒、膿の排出

抗生物質の投与により患部の炎症症状を沈静化させるとともに、口腔内の洗浄と消毒を行います。口腔内の洗浄・消毒後、膿が溜まっているならば、膿を排出します。膿の排出方法は、症状が軽度であれば歯周ポケットからの自然排膿も考えられますが、症状が進行している場合は切開による排膿を検討します。

口腔内の洗浄や消毒は、後述する歯肉粘膜弁除去術や智歯の抜歯を行う前段階の治療として重要です。

歯肉粘膜弁除去術

抗生物質の投与と口腔内の消毒・排膿で、智歯周囲炎の腫れや痛みはある程度消失させることが可能です。

しかしながら、智歯の萌出異常が解消されなければ、歯周ポケットも温存され智歯周囲炎の再発可能性が残ります。

そこで、歯肉粘膜弁除去術あるいは智歯の抜歯を実施することで、智歯周囲炎の再発可能性を低減します。

歯肉粘膜弁除去術とは?

この歯肉粘膜弁除去術は、智歯が半埋伏状態や完全に埋伏している状態の場合に、智歯を覆っている歯肉を外科的に切除することで、智歯を露出させる簡易な手術のことです。歯肉粘膜弁除去術は、被覆粘膜弁切除術とも呼ばれます。

歯肉粘膜弁除去術により、歯周ポケットは解消され、歯磨きもしやすくなります。

智歯の抜歯

智歯が歯列から外れて横や斜めに生えてきている場合は、歯肉粘膜弁除去術よりも智歯の抜歯を選択することが多くなるでしょう。というのも、歯列から外れて智歯が生えているために、構造的に食物のカスが溜まりやすく智歯周囲炎の再発可能性が非常に高いからです。

最終的には、患者さん自身の判断になりますが、智歯周囲炎を今後も繰り返すよりは智歯を抜歯することで、根治を目指す判断をされる方のほうが多いようです。

抜歯後は、1週間程度は違和感や不快感が残りますが、傷の修復ととも違和感や不快感は治まっていきます。

受診する診療科は?

智歯周囲炎になった場合、どの診療科を受診すべきでしょうか?

症状が軽ければ、歯科医院を受診するのが通常です。ただし、口が開かないなど症状が進行している場合は、最初から口腔外科のある大きな病院を受診しましょう。

また、抜歯も歯科医院で実施できる場合が多いのですが、智歯の歯根と神経の距離によっては大きな病院での治療を勧められる場合があります。

智歯周囲炎の予防法

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できることならば、智歯周囲炎に罹患して痛い思いをしたくありませんよね。ですから、智歯周囲炎を予防できるに越したことはありません。そこで、智歯周囲炎の予防法を明らかにしていきます。

口腔環境を清潔に

智歯周囲炎の原因の一つは、口腔環境の悪化によって細菌感染することでした。ですから智歯周囲炎の予防法は、口腔環境を清潔に保つことです。

当然と言えば当然のことですが、智歯周囲炎に罹患することを避けるためには、日々の歯磨きなどの口腔ケアが重要と言えます。食事の後や就寝前の歯磨きを習慣づけるようにしましょう。

休養する

智歯周囲炎の原因の一つに、疲労やストレスなどによる免疫力の低下がありました。ですから、適度に休養を取ることが智歯周囲炎の予防につながります。

仕事や勉強などで忙しい日が続くと、体力が消耗して免疫力も低下してしまいます。これも当たり前のことですが、忙しい日々の中でも適度に休養を取ることが智歯周囲炎の予防には重要なのです。

生活習慣を改める

アルコールの過剰摂取や喫煙の習慣がある人は、智歯周囲炎の発症可能性が高くなるとされていました。ですから、このような習慣がある人は、その習慣を改めたほうが良いかもしれません。

抜歯

智歯周囲炎などの疾患が起きる前に、智歯(親知らず)を抜歯してしまうことが最大の予防法かもしれません。

もちろん、智歯が正常に生えていれば、抜歯する必要はないでしょう。しかしながら、少しでも異常な生え方をしているのであれば、将来的に智歯周囲炎のリスクがあります。智歯の状態は、歯科医院でレントゲン検査をすることで調べられますから、歯科医に相談してみましょう。

まとめ

いかがでしたか?智歯周囲炎の概要について、ご理解いただけたでしょうか?「親知らず」の周囲の炎症と言うと、大した病気ではないだろうと考えがちです。たしかに、智歯周囲炎も大半の場合は、早期に対処することで大事には至らないでしょう。

しかしながら、大した病気ではないだろうと適切な治療をせずに放置してしまうと、重篤な疾患につながる可能性もあります。ですから、「親知らず」の周囲が腫れたり、痛みを覚えた際には、すみやかに口腔外科や歯科医院を受診して、適切な治療を受けるようにしてください。

また、口腔環境を清潔にするなど、智歯周囲炎にならないように予防意識を持つことも重要です。決して智歯周囲炎を甘く見ないでくださいね。

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