ひと口にアレルギーと言っても、いろいろな種類があることをご存じでしょうか?
食べ物のアレルギーについては認識が甘く、一歩間違えると死の危険性があるにもかかわらず、「何でも好き嫌いせずに食べなさい」と、間違った認識で無理強いする人もあるようです。
ここでは、食べ物のアレルギーの中でも、有名でありながら、あまり認識されていない、「くるみアレルギー」について紹介していきたいと思います。
この記事の目次
◆くるみアレルギーとは?
アレルギーと聞くと、通常、春先のスギ花粉症などが思い浮かぶ人も多いでしょう。鼻水やくしゃみなどで苦しんでいる人は、少なくないですよね?
実は、体質によって、食べ物にアレルギーを持っている人があります。有名なものでは、小麦粉や卵、落花生、ピーナッツなどが挙げられます。
近年、スーパーなどで食べ物を入手する場合、アレルギーになる可能性のある成分を含んだものには、パッケージに分かるように書かれている商品が多くなってきているようです。
ここで取り上げているくるみについても、無意識のうちに、1回や2回は目にしていることと思いますが、その症状については、他のアレルギー源となりうる食品と同様、あまり認知されてはいないように思います。
そこでここでは、くるみアレルギーの症状が疑われる場合の対処法なども含めて紹介していきたいと思います。
◆くるみアレルギーはナッツアレルギーの一種
お菓子などのパッケージを見ると、ナッツ類と記載されているものをよく見かけます。ナッツ類と言われるものの中には、有名なピーナッツから、クルミやカシューナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなどまでが含まれます。
ですから、くるみアレルギーも、ナッツアレルギーという症状の一種ということになります。ナッツアレルギーという名前なら、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
ここからは、まず、くるみなどのナッツ類について、そのいくつかを簡単に紹介しておきましょう。
○くるみ
クルミは木の実の一種で、北半球の温帯地域で多く見かけることができます。木の高さは8メートルから20メートルほどで、ちょうど梅の実のように、外側が青い果肉で覆われています。
その中の、核と呼ばれる硬いタネのような部分の中に、私達がよく知っているナッツのようなくるみが入っています。
○アーモンド
アーモンドは実は、バラ科の木の実で、リンゴや杏の仲間です。
木の高さは約5メートルほどで、アンズやモモと同じように、白や桜色の花を咲かせます。果肉は薄く、食べることはできませんが、種の部分を食べるため、ナッツ類に分類されているのです。
○ピーナッツ
ピーナッツはナッツと名前にありますが、くるみやアーモンドとは異なり、木の実ではありません。マメ科の植物で、草の高さは25センチから、せいぜい50センチです。豆の部分ができるのも地中ですので、分類上は異なる植物といってよいでしょう。
ですが、症状としては、ピーナッツアレルギーの患者は、およそ30パーセントが、ナッツアレルギーの症状を併発するため、ナッツ類とピーナッツ類は、共通のアレルギー源と言ってよいようです。
○症状が重く、耐性ができにくい
通常、食物が原因のアレルギーは、そのほとんどが年齢を重ねるにつれて耐性を得ることができるとされています。
ところがナッツアレルギーは耐性を得ることが困難で、成長しても、アレルギー症状が出続けることが多いとされます。
しかも、ナッツとピーナッツのアレルギー症状が発症すると、他のアレルギーに比べて重い症状が出るようです。
そのため、ナッツアレルギーを軽視すると、場合によっては患者が命を落とすこともあります。
最近では、このアレルギーの発症率は増加しているとされており、注意が必要です。
◆くるみアレルギーの主な5つの症状
食べ物のアレルギーは、胃や腸からアレルゲンとなる食べ物が消化・吸収され、全身の臓器に運ばれて炎症を引き起こします。くるみアレルギーの症状も、全身で見られる可能性があるようです。主な症状を5つ紹介していきます。
皮膚の症状
皮膚が赤くなったり、じんましんや湿疹になったり、かゆみを感じたりします。また、血管の運動性浮腫という、まぶたや唇のまわりがむくんでしまう症状が現れることもあります。
粘膜の症状
目や鼻、口などの粘膜に異常が見られることがあります。例えば、目が充血したり、かゆみを覚えたり、涙が出たりします。鼻の場合には、くしゃみや鼻水、鼻づまりが現れます。口の場合には、口の中や唇、舌が腫れたり、喉のかゆみ、イガイガを感じたりします。
消化器の症状
おなかが痛くなったり、吐き気や下痢、血便などの症状が現れる場合があります。
呼吸器の症状
例えば、喉が締め付けられるように苦しく感じたり、圧迫感やむくみを感じたりして、声がかすれたり、ゼーゼー・ヒューヒューと喉が鳴ったりする、呼吸困難が現れる場合があります。
アナフィラキシーショック
アナフィラキシーとは、「生命の危機にさらされるほどの急な全身性アレルギー反応」のことです。食物によって引き起こされる場合、食物アナフィラキシーと言います。アナフィラキシー症状は、短い時間で発症し、生命に危険が及ぶといわれます。
ここまで述べてきたような皮膚・粘膜・呼吸器・消化器などの症状が、2つ以上見られ、しかも、血圧が下がり、意識がぼーっとしている様子が見られる時には、アナフィラキシーショックが現れているといえるでしょう。
世間では、食物のアレルギーでここまでの重症になるとはあまり知られていませんが、重症になる時には、多くの場合、1時間以内という短時間に症状が出るようです。
◆くるみアレルギーの対処法、および検査方法は?
ところで、くるみアレルギーかどうかは、どうすればハッキリするのでしょう?自宅で、くるみアレルギーとおぼしき症状が現れた場合、自分で何か対処する方法があるのでしょうか?
アレルギーはある日突然症状が現れる場合もあるようですから、しっかりと知識を身に着けて、いざというときにも落ち着いて対処したいものです。ここからは、どうすればよいかを紹介していきましょう。
○例え食物アレルギーでない場合も病院を受診
万が一、アレルギー症状が疑われる場合には、くるみアレルギーに限らず、すぐに医療機関を受診しましょう。
もちろん、受診した結果、食物アレルギーでも何でもない、という場合もあるかもしれませんが、問題が判明する場合もありますので、油断せず、対処することが大切です。
○検査方法は血液検査が多い
食物アレルギーの検査方法には、皮膚試験や、経口負荷試験などいろいろあるようですが、通常は、血液検査が行われることが多いようです。
これは、RAST法と呼ばれ、血中の抗体を検査することで、卵や牛乳、小麦などのアレルギーの有無を調べることができるのです。
また、皮膚検査の時には、パッチテストと言われるような、出血しないような小さな傷を皮膚に付け、そこから薬液を染み込ませて反応をみる検査が行われます。
検査方法の中でも、最も確度が高いといわれるのが経口負荷試験です。
ただ、実際にアレルギー源と考えられる食べ物を口にするため、重いアレルギー症状を発症するリスクが心配されます。
◆くるみアレルギーの予防法は?
まだアレルギーを発症していないけれども、これからアレルギーを発症しないよう、予防する方法を知りたいと思う人もいるでしょう。
しかし、残念ながら、アレルギーの予防法として確立されたものはないようです。しかし、以下のような点に注意を払っていくとよいでしょう。
○検査を受ける
アレルギーは、事前に検査を受ける機会がなければ、自分がどんなアレルギーを持っているのか、突然発症するまでわからないことも多いのです。
また、くるみやナッツアレルギーに限らず、食物アレルギー全体についての知識をしっかりと身につけようとすることが大切です。
○わずかな体調の変化を知る
虫に刺されたわけでもないのに、子どもがかゆみを覚えているようだ、など、わずかな変化を感じたら、アレルギーの症状が出ていないか、注意深く見るようにしましょう。
○スキンケアがアレルギー予防になる可能性も
実は、まだ研究段階ではありますが、スキンケアをしっかり行っていくことで、食物アレルギーの予防になる可能性があるようです。
食べた物は、胃や腸で分解され、吸収されるときに体内に取り込むべき成分とそうでない成分を判別しています。
ところが、アトピーなどで肌荒れの症状がある場合、体にとってよくない成分が、空気中に浮遊し、皮膚から直接入ってきてしまうことがあるようです。
皮膚の健康が予防になると断言はできませんが、可能性は大きいようですので、ぜひやってみてはいかがでしょうか?
◆くるみアレルギーを防ぐには
もし、くるみアレルギーの体質と分かったら、普段からどのようなことに気をつけていけばよいでしょうか?
当たり前のことかもしれませんが、紹介して、日頃の生活で意識していきましょう。
○食品の成分表示を見る
スーパーなどで食品を購入するときには、パッケージをよく見て、くるみが含まれていないか確認しましょう。場合によっては、目に見えなくてもペーストに含まれている場合がありますから、表示に「くるみ」「ナッツ類」とないか、よく見てみましょう。
○外食の場合には店員に確認
ファミリーレストランなどでは、サラダやパンにくるみがよく入っているため、店員に確認を取るようにしましょう。店によっては、アレルギー源が含まれていない食べ物のみのメニューを紹介してくれます。
◆まとめ
いかがでしたか?
軽視されがちな食物アレルギーですが、場合によっては、生命の危機にさらされるかもしれない症状が引き起こるものだと、お分かりいただけたかと思います。
アレルギー症状が敏感な患者は、そのお菓子にくるみが含まれていなくても、同じ工場の生産ラインでくるみを扱っているだけで、重症を引き起こすこともあるようですから、食品を買うときや外食など、十分に注意をしていきましょう。