僧帽弁逸脱症とはどんな病気?症状や原因、診断方法や治療方法を理解しよう!

集団で心臓の超音波検査をするとだいたい1人か2人は見つかる心臓の構造の異常で、僧帽弁逸脱症というものがあります。

女性に多く見られる症状で、ほとんどのケースでは心音にノイズが混じる程度で大きな問題もないのですが、場合によって重い症状がでることもある疾患です。

今回はその僧帽弁逸脱症について、どのような症状があって、どのくらいから治療が必要なのか、そういったところを紹介していきます。

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僧帽弁逸脱症とは?

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僧帽弁逸脱症ってどんな病気?

僧帽弁逸脱症(Mitral valve prolapse)は僧帽弁という左心房と左心室を分ける心臓弁での血流の漏れおよび少量の血液の逆流が心音にノイズとして混ざるという症状のことをいいます。

統計的に女性に多い疾患ですが、ほとんどのケースでは、僧帽弁逸脱症は単に超音波検査のときに心音の濁りということで表面化するだけであり、日常生活においてなんら問題はありません。

僧帽弁逸脱症ってどんなことが起こっているの?

僧帽弁は血流を管理し、心臓の左心房と左心室の間で血流の逆流を防いでいます。特に左心室から全身に向かって血液が流れていきますから、全身へ向かうはずの血液が肺の方へ逆流してしまうのを防いでいるという点で僧帽弁は大切な部位といえるでしょう。

僧帽弁逸脱症の場合、血液の逆流を防ぐために本来ならピタッとくっついている僧房弁が、本来あるべき位置からずれていたり、弁を閉めるときの閉まり具合が十分でなかったりして、左心室から血液が心臓の拍動によって送り出される際に、血流が少し戻ってきてしまうということが起きています。そのため、僧帽弁閉鎖不全症という言い方をされることもあります。

僧帽弁狭窄症とは違う

僧帽弁逸脱症と似たような疾患として、僧帽弁狭窄症というものがあります。これは僧房弁逸脱症が閉まり切らずに開いてしまうとは逆で、僧房弁と周りの組織がかちかちに凝り固まって、弁の開放が制限されてしまう現象です。

この症状がひどい場合、左心房から左心室へ向かう血流が邪魔され、左心房のなかに血液が充満します。充満した血液の圧力でさらに今度は左心房から肺へと血液があふれ出て、最終的には血液が肺にあふれ、症状が起きた患者さんは心不全を起こしてしまいます。

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僧帽弁逸脱症の原因

赤ちゃんの写真

僧帽弁逸脱症の場合は、僧帽弁狭窄症と比べるとまだ命の心配は少なくて済みますね。しかし、どうやって心臓の弁がずれたりするのでしょうか?

僧帽弁逸脱症は先天的なもの?

僧帽弁逸脱症の患者さんのほとんどは、先天的に僧房弁が血液の逆流が起きてしまうような心臓の構造をしています。

もちろん、重篤な僧帽弁逸脱症の場合、たとえば僧帽弁が本来の位置とは異なる位置に付いていて、血流を調節する役割をまるで果たすことができていなければ問題になりますが、ほとんどの場合、そこまで危機的な症状が現れることはありません。

僧帽弁逸脱症は遺伝する?

「先天的」な疾患の場合気をつけておきたいのは、疾患が先天的に発現しているということと、それが親からの遺伝によるものかどうかは別問題であることです。安易な決めつけは優生学的な発想に安易に繋がってしまう可能性があります。

ただ、僧帽弁逸脱症に関して言えは、アメリカで行われた約800万人を対象とした調査の結果、家族で遺伝する傾向があることがデータで示されています。ただし、僧帽弁逸脱症が遺伝するからといって、重篤な症状が発現するかというと、それも別問題です。

生まれたときから弁がずれてる?

先述したように、僧帽弁逸脱症の患者さんのほとんどが先天的にそのような症状をもっておられるわけです。

ただ、本人の自覚がなく、超音波検査ではじめて自分が僧帽弁逸脱症だったと分かることが多いです。しかし、患者さんご本人は今までも検査後も、問題なく日常生活を送れていたのであれば、たいして気にする必要はないでしょう。

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僧帽弁逸脱症の症状

心臓

僧帽弁逸脱症は先天的な疾患で、さらに家族に遺伝する可能性があるということでした。ただ、日常生活を送る上で僧帽弁逸脱症であっても全く問題ないといわれても、家族に遺伝する可能性があるなどと示唆されるとどんな症状が出る可能性があるのか気になりますよね。

続いては、僧帽弁逸脱症にどのような症状があるのかをみていきましょう。

軽めの症状の場合

ほとんどの僧帽弁逸脱症患者は、自分の心臓のなかでどのようなことが起こっているか知らずに暮らしています。なぜなら、僧帽弁逸脱症のほとんどのケースではそもそも逆流している血流の量もほんの少しだからです。

心臓から毎回だいたい4,000mLの血液が送り出されているという話ですから、数滴漏れたからといってどうということもありません。

中くらいの症状

胸痛といって、胸の痛みがあるのがよく見られる、分かりやすい僧帽弁逸脱症の症状です。これは少しやっかいで、胸が痛むというのはむやみに不安をあおり立てます。ただ、これによって心臓病や突然死、その他心臓疾患のリスクが高まるということはないようです。

また、年齢を重ねるとともに、僧帽弁逸脱症の患者は僧房弁からの血液逆流およびそれに起因するうっ血性心不全を起こすリスクが高まるという報告もあります。これは経年とともに心臓の筋肉も衰え、血流に弁の調整能力が押され出すということが原因のようです。

その他の症状

その他激しい動悸や失神、手足のしびれや知覚過敏なども、副次的ですが僧帽弁逸脱症の程度によっては発症することもあります。

ただし、専門家のなかにはこれらの合併症状と僧帽弁逸脱症がどれくらい関係しているのか懐疑的な方もいらっしゃるようで、実際のところ、たまたまそのような症例があったというだけでは判断が難しいと思われます。

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僧帽弁逸脱症を診察する方法

イルカ

軽度であれば、一般には特に問題はないように思われる僧帽弁逸脱症ですが、症状次第では命にも関わる疾患だということが分かりました。

続いては、僧帽弁逸脱症は実際にどのようにして発見されるのかみていきます。

聴診器で見つける

もっとも簡便なのは、医師が聴診器を当て、患者さんの心音を聴くことです。僧帽弁逸脱症の場合、心臓の通常の拍動の音に加えて血液が逆流する異音が混じっているため、それが拾えれば僧帽弁逸脱症の可能性を疑います。

超音波検査で調べる

いわゆるエコー検査というものです。心臓の組織と動きを視覚図にする技術を用いて、僧帽弁逸脱症を発見することができます。

だいたい100人検査すれば数名はこれで僧帽弁逸脱症が発見されるそうです。

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僧帽弁逸脱症の治療

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僧帽弁逸脱症の検査法はエコー検査がかなり確実かと思われます。では、もし僧帽弁逸脱症が見つかった場合はどうしましょうか?

軽度のものは治療の必要なし

僧帽弁逸脱症はほとんどの人に何か問題をもたらすことはありません。軽度の僧帽弁逸脱症はごくありふれた疾患なのです。

したがって、その場合は、一般的に何も特別な治療を施す必要はないと思われます。

血液の逆流が激しい場合

血液の逆流が激しく、ひどい胸痛や心不全のリスクが高いと予想される場合、外科的な処置によって治療を試みるという選択肢が見えてきます。

僧帽弁逸脱症に起因する血液の逆流の場合、血流を調整できない弁を人工弁に入れ替えたり、修復したり手術が効果的だと考えられます。特にうっ血性心不全を抱える患者さんの場合、手術するのが一番症状の改善に効き目があると言われています。

ただし、エコー検査の結果、僧帽弁逸脱症の症状が現在のところほとんど何もリスクはないと医師が判断した場合、手術以外で患者にあったベストな方法を選択することもあります。

対症療法的な処置

手術をして、僧帽弁逸脱症を根治する必要がない、もしくはできない場合は、それとどうやってうまく付き合っていくかが大切になってきます。

そのため、胸痛がある患者さんには痛みが緩和するようなお薬やBeta-blockersなどとよばれるストレスホルモン遮断するお薬を投与したり、カフェインのような心臓を刺激する飲食物を避けるようにアドバイスしたり、リラクゼーションによって患者さんのストレスを減らしたりします。

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僧帽弁逸脱症のフォローアップ

フィリピーナ

基本的に、僧帽弁逸脱症のほとんどの症例では大掛りな手術や投薬による治療は必要なく、また、症状が少し重くても、患者さんに合った治療方法を選択すればよいようです。

では、僧帽弁逸脱症の患者さんは日常的にどのようにこの疾患と付き合っていけばよいのでしょうか?

後天的に僧帽弁逸脱症になる可能性もある?

自覚症状のない僧帽弁逸脱症の患者さんは特に治療の必要はないと言われても多少は不安があるかと思います。実際に経年とともに心臓弁の力が弱まれば、結果的に僧帽弁逸脱症を悪化させ、たとえば肺に水が溜まったり、心不全のリスクを高めたりということは十分考えられます。

また、今回は僧帽弁逸脱症の先天的な要素ばかりを紹介してきましたが、実際には時として後天的に、何らかの理由で僧房弁の一部が欠損するなどして僧帽弁逸脱症になってしまう患者さんもいらっしゃいます。

検査は専門医のもとで2、3年に一回ほどで十分

ではもし、僧帽弁逸脱症の場合の日常的な検査について考えてみましょう。僧帽弁逸脱症を抱える身にとっては、問題ない問題ないとはいえ何かの拍子で心不全などにならないか不安な気持ちもありますから、定期的に検査に行きます。

どれくらいの頻度でいけばよいかというと、症状が軽度の場合、循環器系の、特に心臓の専門医の方に診てもらう時間を2、3年に一度取る程度で十分だと思われます。それによって症状の変化や何か心臓に問題があったときに早期発見が期待できます。

症状がもう少し激しい方は、半年から一年に一回、エコー検査を受けて、症状に変化がないかどうか確認されるとよいでしょう。

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まとめ

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今回のまとめは以下の通りです。

1.僧帽弁逸脱症は左心室から左心房へ僧帽弁の隙間を抜けて血液が逆流してしまう疾患で、先天性のものが多い

2.僧帽弁逸脱症の症状はほとんどの場合意識することもないくらい軽微。ただし、症状によっては胸痛があったり、心不全のリスクを負っていたりする

3.僧帽弁逸脱症はだいたいエコー検査でわかる

4.僧帽弁逸脱症の治療方法は症状によってさまざま。ただ、重い症状の場合、手術はかなり効果のある手段

5.自分の症状に応じて、年に2、3回か半年に1回か選んで症状の観察を続けていくとよい

僧帽弁逸脱症は患者さんによって症状はまちまちですし、本人にとっての症状や手術に対する感じ方は異なります。一律にどの治療方法が絶対的に正しいと断言することは難しいです。患者さんひとりひとりが自分の体と信頼のできる医師と相談して治療方法を選択されるとよいでしょう。

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