ハウスダストによるアレルギーは、単なるほこりっぽくてくしゃみが出るといった症状ではありません。場合によっては気管支の炎症やアトピー性皮膚炎を引き起こす事があり、軽く考える事はできません。
アレルギー対策はまず発症しないようにする事が第一。そこで、アレルギーの起こる仕組みとその予防方法についてまとめました。
アレルギーが起こる仕組み
アレルギーとは、そもそも人の身体に備わっている機能を原因として起こります。人の身体には体内に侵入した異物を追い出すために免疫の機能が備わっており、外界から侵入して来た外敵に対して退治するよう働いています。
この働きがあるおかげで身体は外敵から守られているのですが、同じ異物に対して攻撃を繰り返しているうちにこの機能が過剰に働くようになってしまい、身体にいろいろな症状を引き起こすのです。代表的な症状は以下の通りです。
・アレルギー性鼻炎…くしゃみや鼻水、鼻づまり
・アレルギー性結膜炎…目のかゆみ、充血、結膜のむくみ
・アトピー性皮膚炎…皮膚の乾燥、かゆみ
・気管支喘息…激しい咳き込み、息苦しさ、痰
アレルギーというと花粉症を連想しますが、上記のように目や鼻に症状が出る人だけではなく症状は様々で、気管支で起きると喘息になり、皮膚で起きるとアトピーになる事が分かります。
また、アレルギーの怖い所に一つアレルギーを発症すると他のアレルギーも発症しやすくなるという点があります。特に、小さい頃にアトピーにかかったお子さんはハウスダストにもアレルギー反応を示す事があり注意が必要です。
ハウスダストについて
近年問題となっているアレルギーの一つに、ハウスダストを原因とするものがあります。
ハウスダストとは室内の塵を中心とするものの総称で、アレルギーを引き起こす物質が混合したものを呼びます。特に1mm以下の目に見えないごみをハウスダストと呼ぶ事が多く、具体的にはホコリ、繊維くず、ペットの毛、人間の皮膚と花粉、ダニの死骸、カビ、細菌などが含まれます。また、喫煙者の方がいらっしゃる場合はタバコの煙もハウスダストに含みます。非常に小さなものなので空気中に舞い上がりやすく、人が吸い込みやすくなってしまいます。
ハウスダストの1/3は家の外から来たものと言われており、家の中のあらゆるところにふわふわと浮いています。人が動き回らない夜間はだんだんと落ちて床に溜まりますが、人の動いている時間帯や出入りがあるとハウスダストが舞い上がり、吸い込んでしまう事になります。
0.001mmのハウスダストは大体9時間で1m落下するというデータがあるため、朝のばたばたで舞い上がったハウスダストは夕食の頃に落ちて来る計算になります。丸ごと食べてしまっているかもと考えるとかなり恐ろしいです。
さらにハウスダストによるアレルギーがやっかいなのは、原因は完全には取り除けない点にあります。食物や花粉と違い、普通に暮らして行くためにはどうしても避ける事ができないので、出来るだけ発症しないよう気をつけておく必要があります。
アレルギーになりやすい体質とは
アレルギーになりやすい人の体質には特徴があり、このような特徴を持つ方の場合ハウスダストに対してもアレルギー症状が出る事があります。
遺伝
アレルギーには遺伝の影響が多少あると言われています。
両親がアレルギーの遺伝子を持っていながら発症していない場合、お子さんに症状がでる場合がありますが、逆にお子さんが遺伝子を持っていたとしても発症しない事も有りうる、という事になりますのでご両親が心の負担を感じる必要はありません。
遺伝の影響はあるけれど発症するかどうかは環境などほかの要因も関わっているといえ、やはり環境を整える事が大切です。
気管支が弱い
気管支が元々弱い方や、風邪をひいて気管支が弱ってしまった場合、ここからアレルゲンが体内に入りやすくなります。元気な時は平気だったホコリやダニなどによってアレルギーが引き起こされる事があります。
次項の内容とも関連しますが、気管支の弱い方は特に、掃除の際にマスクを着用する事をお勧め致します。
乾燥肌
乾燥肌の方は皮膚の表面の防御力が弱いため、外部からの刺激が体内に入りやすくなっています。
角質層はもともと、鱗のように閉じた状態になっておりこれがバリア機能になっています。保湿の不足や水仕事などで肌が荒れるとバリア機能が正常に働かなくなり、アレルゲンがたくさん体内に入って来る事でアレルギーの発症につながります。
日本人は特にきれい好きで手を洗いすぎる傾向があると言われています。こまめな保湿を心がけ、冷ための水で洗うようにするとよいでしょう。乾燥肌については、カサカサ肌とおさらば!乾燥肌の5つの原因と4つの対策とは!の記事を参考にして下さい。
低体温
35度代の体温の方を、低体温と呼んでいます。低体温の方の場合、免疫力も低くなっているのでアレルゲンに抵抗する力が弱くなってしまいます。低体温については、低体温の人は要注意!体温が低いと起こる悪い事と原因と対策の記事を参考にして下さい。
ストレスが多い
アレルギーの症状は自律神経に大きく関わっています。ストレスにより自律神経の働きが乱れる事で免疫のバランスも崩れるため、アレルギーの症状が強く出てしまう事があります。簡単に出来る事ではないかもしれませんが、できるだけストレスを溜めない生活を送るようにしましょう。
これらの体質、免疫などについて対策を行う事でアレルギーの発症を抑え、発症しても症状が重くならないよう予防ができます。
住環境に関して
ハウスと名前が付く通り、ハウスダストによるアレルギーを予防するためには住環境を整える必要があります。ハウスダストを取り除くためには掃除をすべきですが、住環境が掃除の方法にも気を付けるべきポイントがあるのでチェックしておきましょう。
カーペットは生活スタイルに合わせて選択を
ハウスダストを吸着しないフローリング、それに対してハウスダストを吸着して舞い上がらないようにするカーペット、とそれぞれの特性があるためどちらが適しているかは生活のスタイルによって選択すべきでしょう。
例えばお母さんが歩き回るそばでお子さんは床に座って遊んでいる、というような状況が有りうるのであればカーペットを敷く方がよいといえます。
どちらを選ぶにせよこまめな掃除は必要ですが、特にカーペットを敷いた場合は掃除機のヘッドをカーペットに押しつけ、1mを5秒くらいかけてゆっくり往復させるようにするとホコリをしっかりと取ることができます。まず毛流れを逆立てるように、終わったら逆から毛流れを整える方向に掃除機を掛けます。
床を拭き掃除する
ハウスダストは床に溜まっている事があるので、床に汚れが溜まった状態で掃除を始めるとこれが舞い上がってしまいます。
乾いた布などでそっと拭くだけでもよいので、掃除のスタートは床の掃除から始めると安心です。
ほこりの溜まりやすい場所をチェックする
天井や照明の上、窓枠などに溜まったホコリはふわふわと床に落ちてきます。いくら掃除してもなんだか床にごみが落ちているという場合、このあたりに溜まったホコリのせいかもしれません。
ホコリが溜まりやすいのは、上記の他にエアコンフィルター、棚、テレビの上、カーテンレールなどです。この周辺についてはこまめな掃除が必要です。
換気をしっかり行う
気密性がよすぎる事でハウスダストによるアレルギーが誘発される事があります。
近年サッシの機能が向上し、気密性が非常に良くなっています。良い事ももちろんありますが、ハウスダストについていえば外に出る事がないという事になり、長時間ハウスダストが室内に停滞する事により、アレルギーが起こりやすくなるのでこまめな換気が必要です。
ただし、風の強い日は逆にほこりや砂が部屋に飛んで来てしまうので窓を開けるのは控えた方がよいでしょう。
まとめ
くつろぎの場所であるはずの家の中でアレルギーになってしまうというのは非常につらいものです。ハウスダストのアレルギーは体質の他、掃除でも予防する事ができるのでぜひ発症前に対策しましょう。
体質改善の他、日々の掃除でも予防ができますが、正しい掃除方法でないと余計にハウスダストを吸い込んでしまう事につながります。これから大掃除の季節になりますが、マスクをしたり、できるだけハウスダストが舞い上がらないようにするなど、ハウスダストを吸い込まない対策を整えましょう。
関連記事として、
・水アレルギーの原因や症状はどんなもの?似ている病気も紹介!
これらの記事も合わせてお読みください!