俗説として、「つむじ」が2つあるのは「天才」だったり、「きかんぼう」だったり、「気難し」かったりするそうです。
何故そういう間違った説が広まるのかも含め、今回は「つむじ」について調べてみました。
つむじとは?
「つむじ」は漢字では「旋毛」と書きます。頭部の毛が渦巻き状に生えている部分のことを指します。頭頂部の毛は前向きに、それ以外の周りの毛は下向きに生えています。この向きの違う生え方をしている毛の境目となる部分が渦巻き状になったものが「つむじ」です。ほとんどの「つむじ」が後頭部にあるのは、この毛の生え方の向きが理由です。
頭頂部の毛が前向きに生えているのは、衝撃から頭部を保護するためだと言われています。
つむじの数
人種に関係なく、1つが圧倒的に多く約90%を占めます。2つが約7%、3つが約3%、1つもない方や3つ以上の方も稀にいるようです。
つむじの数と、健康や髪質には関係がありません。また、頭頂部に2つ並んだつむじは、「鳥居つむじ」といって、縁起の良い出世つむじだと言われていますが、これも俗説です。
つむじの場所
つむじは後頭部にある事が多いことは前述しました。その場所ですが、真ん中にある方は約20%、右にずれている方が約50%で、左にずれている方が約30%と言われています。
「つむじ曲がり」という表現は、性質がねじれていて素直でない人を指す言葉で、「へそ曲がり」や「鼻まがり」とほぼ同意です。へそや鼻は比較的身体の中心に位置していることが多いようですが、つむじは違います。イメージだけで、つむじは頭の真ん中にあるということから同じ意味で使われるようになったようです。
つむじの巻き方
つむじの中心部から、時計回りに巻いている場合には「右巻き」です。反時計回りに巻いている場合は「左巻き」となります。この巻き方は遺伝的な要素が強いようで、人種によって偏りがあることが分かっています。
- 日本人(モンゴロイド) ほぼ50%づつ
- 韓国や中国(日本以外のモンゴロイド) 右巻き60~70% 左巻き30~40%
- 白人(コーカソイド) 右巻き80% 左巻き20%
つむじの巻く方向と、健康や髪質には関係ありませんが、日本人は世界的に左巻きの多い民族であると言えます。
<余談1>
「左巻き」は、変わり者・頭の回転が鈍いことを指す俗語です。諸説ありますが、お釈迦様のつむじが右巻きだったそうで、その逆の左巻きは愚鈍であるとの説が生まれたとのことです。
しかし、DNAの2重らせん構造は左巻き、植物のつるは種によって右巻きか左巻きが遺伝的に決まっています。この「左巻き」もなんの根拠もない俗説です。
つむじは遺伝?
つむじの数と毛が巻く方向は遺伝することが分かっています。両親のどちらかがつむじを2つ持っている場合には2つになる確率は高くなります。
母親の胎内にいるときから数も巻く方向も決まっているんです。突然変異はありますが、つむじが1つ同士の両親からは2つ以上のつむじの子どもはほぼ生まれません。
ここからも俗説に繋がる手がかりがあります。つむじに関心を示すのは、2つ以上ある家系の可能性が高いからです。つまり、つむじが1つであれば当然なので、つむじに対して何の興味もありません。
しかし、2つ以上の可能性が多い家系の人物は気にすることが多くなります。その場合、特徴をもった人物(天才、個性的、何らかの障害など)がいると、「あの人はつむじが2つだからね」という人物評が出来上がりやすくなるのです。
つむじは増減するの?
前述の通り、つむじの数は生まれつき決まっています。後から努力によって、増やしたり減らしたりすることはできません。
つむじが多いメリットとデメリット
つむじが多いことで得られるメリットは、珍しいということだけです。
デメリットは、髪をセットする際に思う通りになりにくいことです。つむじも1つの個性として受け入れるしかないですね。
なぜいろいろな俗説が生まれるのか?
俗説とは、世間に言い伝えられている根拠のない説のことです。
偉業を成し遂げた天才や、手の付けられない荒くれ者など、目立つ人物が(偶然)「2つつむじ」だったとします。そうすると、根拠はなくても情報だけが独り歩きして定着していくのです。
目立つ人物は、他の人と何か違いがあるのではないか?という心理が働いたときに、たまたま共通点として「ふたつつむじ」が該当してしまったため、このような説ができあがります。
つむじについての言い伝えの類は、ほぼ俗説といっても差し支えありません。ただ、ひとつだけ「つむじがハゲやすい」のは事実なんです。
俗説の中、ただ1つの正解は「つむじはハゲやすい」?
つむじは髪が生える方向が分岐する場所なので、引っ張られることや日光に暴露されることが多く、ハゲやすい場所の1つです。
特に女性はつむじの部分を分け目とするケースが多く、数十年にわたる負荷によって薄くなってしまう傾向があるようです。
つむじハゲの判断基準
つむじが渦を巻いていれば、まだ大丈夫です。薄くなっているのを感じているのであれば、早めにケアを始めてください。
もし、つむじが渦を巻いていなければハゲ始めているサインです。だんだんとつむじがなくなり、地肌の部分が広がってきます。
つむじハゲは他のハゲと違う?
つむじがハゲる原因は通常の男性型脱毛症と異なり、誤った頭皮ケアや生活習慣が原因がほとんどです。対処が早ければ早いほど、進行を食い止め元通りにすることが可能となります。
いくつかのポイントがありますので、該当したら改善することをお勧めします。
生活習慣の見直し
ストレス
ストレスがかかると頭皮の血行が滞ります。身体の抹消部(心臓から遠い部位)は血管も細く、もともと血行が悪くなりやすい部位です。なるべくストレスを溜めないようにすることと血行を良くすることを心がけてください。
睡眠
睡眠中には様々なホルモンが活発に分泌されます。その中でも、「成長ホルモン」は髪だけでなく、怪我の回復、基礎代謝のアップなど様々な健康によい作用があります。しっかりと寝ることでリラックスに繋がり、ストレスも減少します。
食事
髪が伸びるためにはタンパク質が欠かせません。良質なタンパク質を摂る事を心がけてください。ダイエット中の方も、身体を維持するためには必要な成分なので不足しないように気を付けてください。
また、大豆などに含まれる女性ホルモン様の働きをする「イソフラボン」の摂取も薄毛を防ぐ効果があるとされています。生理不順の改善や肌の保湿力向上など、おまけの効果も期待できます。
頭皮への負担を減らす
洗髪
髪を洗うと言いますが、実際に洗う必要があるのは髪ではなく頭皮です。髪を洗うことに重点を置きすぎると、頭皮がしっかりと洗われずに薄毛の原因となります。
また、洗髪よりも重要なのがすすぎです。現在のシャンプーには様々な成分が配合されているため、すすぎ残りがあると頭皮に負担がかかってしまいます。頭皮が炎症を起こしていたり、フケが出やすくなったなどの症状がある人は、すすぎ残りが原因かもしれないので要注意です。
つむじがある頭頂部は皮脂の分泌が活発なため、しっかりと洗って清潔に保つ必要があります。薄くなってしまうと、更に薄くなるのでは? という恐れから、あまり洗わなくなる方がいますが、これは間違いです。トラブルを抱えている場所ほど、清潔を保つ必要があります。
日焼け防止
つむじは頭頂部にあるため、日差しを浴びやすくなっています。日差しの強い時期・時間の外出の際には、帽子を被るなどの対応が必要です。最近では、頭皮に優しいタイプの髪用日焼け止めスプレーなども市販されていますので、帽子が苦手な方にはお勧めです。
髪型
つむじ部分で髪を分けている方は要注意です。髪の重さによって頭皮に負担がかかってしまいます。また、常に同じ髪型をすることで、頭皮が日焼けする原因にもなります。
分け目を適度に変えることで、頭皮の負担を減らし日焼けも防止することができます。
治療
通院
薄毛が急速に進行してきた場合や、生活習慣を改善しても薄毛が改善されない場合には専門のクリニックに相談したほうがよさそうです。多くの専門クリニックでは無料相談を行っており、治療前にしっかりと相談することができます。
薄毛によくないのはストレスを溜めることです。一人で悩んで悪化させるよりは、治療を行わずとも専門家に相談するだけでも心が楽になるのではないでしょうか?
セルフケア
市販の育毛剤やサプリメントでも良質な製品が多くあります。その際に気を付けたいのが、高価なものほど効果があるわけではないことです。自分の症状に合わせた製品を選ぶことが重要になります。
また、頭皮のマッサージも血行が良くなるので薄毛の改善に効果があります。強すぎる刺激は逆効果になりますので注意してください。
こめかみの辺りから頭頂部へ向かって、頭皮を持ち上げるようにマッサージします。この際に指の腹を使って、優しく行ってください。頭皮にハリが出て活性化すると、顔の皮膚も自然と上側に引っ張られるので、しわやホウレイ線なども目立たなくなる効果があります。
まとめ
つむじに関する俗説はいろいろとありますが、ほとんど全てにおいて根拠がありません。そもそも調査研究を行っているかどうかも怪しいところです。
つむじハゲについては、何年も同じ髪型を続けている(分け目や髪をまとめる際に)と発生しやすくなるようです。気分転換も兼ねて、月にに1回くらい髪型を変えてみるのもいいかもしれません。
2つ以上つむじがあると珍しいため、とやかく言われることもあるでしょうが、気持ちを強く持って生きてください。
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