身体に良くないとわかっていても、寝起きや食後の一服がやめられない…しかし、タバコを吸うと、吐き気がしたという経験を持つ人は、喫煙者にとって、あまり珍しいことでは無いでしょう。
仕事が忙しいとき、イライラしたとき、ついつい吸いすぎてしまったとき、あるいは、ある日突然、タバコによって吐き気がすることもあります。いかなるヘビースモーカーでもその日のコンディションによって、普段は吐き気を感じなくともヤニクラを感じて吐き気が発生してしまう場合もあります。
症状が軽いと、つい見逃してしまいがちですが、吐き気の症状は身体が発している危険信号かもしれないのです。めまいや下痢などの症状がある場合は要注意です!
ただのヤニクラだと安易に考えていると折角のサインを見逃してしまうことになるかもしれません。
ここでは、タバコを吸うと吐き気がするときに考えられるいくつかの原因や、改善策をご紹介します。
タバコを吸うと吐き気がする原因
喫煙者のみだけでなく、普段タバコを吸わない人も、タバコの煙で気分が悪くなることがあります。原因はいくつかあげられますが、タバコによって吐き気を感じる人は、場合によって病院で診察してもらわなければならないこともあるのです。
具体的にどのような原因が考えられるのか、早速見ていきましょう。
ニコチン代謝ができていない
タバコに含まれるニコチンという有害物質が体内に入ると、身体はそれを消滅させようとします。人によっても代謝の良し悪しが異なりますが、日本ではニコチン代謝がうまくできない人が10人に1人という高い割合でいると言われています。
そういった人は、タバコを吸わない人でも、煙を吸い込み、吐き気を催す場合があります。
そして、吸いすぎて吐き気を催す人も、ニコチンを分解しきれなくなったことが原因と言えるでしょう。そもそもニコチンそのものに、神経を刺激して吐き気を催す作用があるので、吸い過ぎると吐き気をもたらすのは、当然と言えます。ひどい場合は、貧血や痙攣を起こすこともあるのです。
また、多くの人が喫煙する、紙巻タバコは、タバコの葉だけではなく、燃焼剤や人口の化学薬品添加物も一緒に燃やしています。これらの薬品が、吐き気の原因となっている場合もあるようです。
実際に、紙巻タバコではなく、葉巻やパイプ、キセルに変えると、吐き気がおさまったというケースもあります。
タールの影響により中毒症状を起こしている
いわゆるヤニクラといわれる症状で、タバコを吸いはじめの人には特に良く見られる症状です。
タールもニコチンも両方共有害性物質になりますが、ニコチンは依存性物質でタールは歯の色を茶色くしたりする粘着性の有害性物質になります。
タールは発がん性物質でがんを誘発するリスクを高める物質としても知られていますが、このタールが含まれていることでニコチンを効率よくは今で届ける役割も果たしています。
ニコチンのような神経系への影響は大きくありませんが、咽頭がん、肺がん、膀胱がんなどの病気を誘発する可能性が高まってしまう問題を持っています。
粘着性の物質で喉や気管の粘液に付着し、胆や咳を誘発して吐き気を誘発する場合があります。粘り気の強い痰が喉の奥に絡むことで吐き気が強く出たり、痰が吐きたくなる事があります。
タールの成分が強ければ強いほど、この症状は強く現れるので、吐き気が強く出てしまう場合は成分含含有量が少ないものを吸うようにしましょう。
一酸化炭素の影響による吐き気
タバコに記載されている有害物質はタールやニコチンだけだと思われがちですが、その他にもタバコを燃やした際に発生する一酸化炭素も一緒に吸い込んでいます。
この一酸化炭素も注意すべき物質の一つで、この物質は吸い込むことで血液中に入り込み、ヘモグロビンと結びついて体中を満たして酸欠の症状を引き起こします。
結果、タールやニコチンに強い体質を持っていても、酸欠による立ちくらみやめまいや吐き気の症状を引き起こしてしまうこともあります。
吸っている人の他にも同じ室内にいる人も同じように症状が現れる場合があります。喫煙室などはタバコの煙と一酸化炭素が充満しているので、換気が十分に行われていない空間でタバコを吸っていると慢性的な一酸化炭素による酸欠の状態になってしまう可能性もあります。
頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りなどの症状が発生している場合には、一酸化炭素中毒になっている可能性も高くあります。最悪の場合、脳細胞に対して障害作用を引き起こし、脳障害などの後遺症が残ってしまう場合もありますので、十分注意しましょう。
副流煙の影響を受けている場合でも同様の症状が発生します。むしろフィルターを通っていない煙を吸っているので、影響は大きくなります。
逆流性食道炎
はっきりとした関係はまだ分かっていないのですが、統計的に見ると、喫煙者は逆流性食道炎になりやすく、重症化しやすい傾向があります。これには、いくつかの理由があります。
一つ目は、タバコに含まれる様々な有害物質が(ニコチンを含む)、食道の粘膜に悪影響を及ぼすこと。そして、二つ目は、喫煙によって唾液の分泌量が減少するので、胃酸を中和する働きが弱まるという理由です。
さらに、煙を吸い込んだときに、胸内の圧力が高くなり、胃液を上へ押し出す力が働き、胃液の逆流を招く可能性があるとも考えられています。
ひどくなると、就寝時など、身体を横にする体勢になると、タバコを吸っていないのに、胃液が上がってくるようになってしまうこともあります。そこまで悪化した場合は、病院で受診した方が良いでしょう。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胃腸炎や十二指腸潰瘍は、逆流性食道炎に症状が似ていますが、痛みを伴うことが大きな違いと言えます。ひどい場合は、吐き気が止まらなかったり、胸が激しく痛んで起き上がることが困難な場合もあります。
タバコの有害物資によって、胃潰瘍や十二指腸炎を患い、吐き気を催すこともありますし、その逆に、胃潰瘍や十二指腸炎をすでに患っている状態でタバコを吸うと、粘膜を刺激して吐き気を催すこともあります。
どちらにせよ、これらの病気は、一度患うと癖になりやすく、さらに大きな病気を招く可能性もあるので、早めに受診する必要があります。胃潰瘍については、胃潰瘍の症状をチェック!治療するための方法は?を読んでおきましょう。
妊娠
人間の身体は、実に神秘的です。女性のみが経験することですが、女性は妊娠すると、突然食べ物の好みが変わるなどの変化が現れてきます。それと同じように、これまで普通に喫煙していた人が、妊娠すると急にタバコの煙を受け付けなくなるケースが多々あります。
喫煙は、胎児に悪影響を及ぼします。もし、妊娠の可能性がある場合は、赤ちゃんのためにも、今すぐに禁煙しましょう。
妊娠中にもタバコを吸い続けるという人も20人に1人程の割合で存在しますが、妊娠中に母体が喫煙をすることでは、胎児に低体重化が発生してしまうというデータがあります。
喫煙の度合いによっても体重の減少に幅が見られ、だいたい200グラム〜500グラム程の体重の減少が確認されています。
これは喫煙することによって母体の毛細血管などが全体的に収縮してしまうことで胎児に十分な血液や栄養素が送られなくなってしまう為だと言われています。
また、1日20本以上の喫煙では流産になる確率も上昇することがわかっています。妊娠が発覚している場合は喫煙を避けた方がいいでしょう。
ストレス・睡眠不足
ストレスや睡眠不足によって、身体の免疫力が落ちているときに、タバコが含む様々な有害物質を吸い込むと吐き気がすることがあります。
長年喫煙していると、感覚が麻痺してわからなくなりますが、もともと、タバコは刺激が強いものです。初めて吸ったときは、ほとんどの人がクラクラしたり、むせ込んだりしたのではないでしょうか?
そう考えると、心身が弱っているときに体内に入れてしまうと、体調が悪くなるのも頷けます。普段は喫煙していても平気な人に、このような症状が見られたときは、心身のサインだと思ってゆっくり休む必要があります。
自律神経の異常
タバコを吸うことでストレスが発散でき、精神状態が良好になったり、自律神経が整う場合も確かにありますが、吸いすぎることで逆に自律神経が乱れてしまう場合もあります。
特にタバコによって自律神経失調症に繋がってしまう人は、ヘビースモーカーなどの異常にタバコを吸っていて、完全に依存症に陥っている人が該当します。
たばこを吸うことで集中できるやリラックスしてストレスが軽減するという感覚が現れるのは交感神経を刺激して、自律神経を活性化させているからです。
しかし、逆にタバコが吸えない状態が続くとイライラが募ってきたり、普段からタバコによって自律神経をコントロールしているので、自分で自律神経の変化を起こすことが出来ずどんどん交感神経と副交感神経が乱れて自律神経失調症を引き起こしてしまいます。
タバコを吸うことで自律神経失調症を発症させ、その症状により胃炎や吐き気や便秘や冷や汗などの多くの症状を発症させます。
脳の病気
吐き気に加え、頭痛やめまいが生じた場合は注意が必要です。喫煙によって、酸素が回りにくくなるので、脳は酸欠状態になります。
さらに、喫煙には、血液の循環を悪くさせたり、血管そのものを脆くしてしまうので、脳卒中や脳梗塞など、何らかの脳の病気になっている可能性があります。このような脳の疾患は、悪化すると、突然倒れ、そのまま死に至るということも珍しくない、恐ろしい病気です。
喫煙時、吐き気とともに、頭痛やめまいを発症することが続いた場合は、病院で検査を受けることをおすすめします。
タバコを吸うと吐き気がするときの改善方法は?
身体は、害になるものが外から入ってくると、何らかの反応をします。それが喫煙の場合、長期に渡り、タバコを吸い続けることでその感覚が麻痺します。その結果、さまざまな病気を引き起こし、吐き気を催すなどの症状となるのですね。
また、病気ではなく、タバコの吸い過ぎによる吐き気においても、私たちの知らないところで身体は頑張っています。普段の喫煙量で吐き気を感じないのは、脳が無意識に「吸い過ぎ」にも「足りなさ過ぎ」の状態にもならないように、喫煙者が一番心地良くいられる一定のニコチンを摂取するよう、指令を出しているのです。
しかし、忙しさやストレスで、普段、脳が調節している一定のニコチン量を超えると、タバコによる化学物質によって、急に中毒症状を起こさないよう、タバコを受け付けなくさせています。
もう、想像がつくかと思いますが、これらを改善するための方法は、数多くはなさそうです。
禁煙する
ずばり、これに尽きるでしょう。タバコを吸って、吐き気を催すときは、身体が、「もうタバコはいらない」と言っているのです。
突然やめることができなくても、せめて、このような症状が出たときだけ、中断してみると、タバコを吸っているときと、吸わないときの体調の変化に、目を向けることができます。
「吸いたい気持ち」はあるけれど、吐き気が治まった、食欲が出た、肌の調子が良くなったなど、改善点に気づけるかもしれません。
人は、「心地良い」と感じる方へ惹きつけられう傾向があります。例えば、楽しそうな人のところと、つまらなさそうな人のところだと、圧倒的に楽しそうな人の方へ、人が集まってきます。
あるいは、それまで心地良いと“思い込んで”続けてきた、生活のタイムスケジュールにおいてもそうです。お風呂は、ご飯の前に入る、と何となく決めていたけれど、とあるきっかけで、寝る前にお風呂に入る日があったとします。
いつもとリズムが違うので、なんとなくぎこちなかったけれど、そのとき、ぐっすり眠れたとしましょう。身体は、その「ぐっすり眠れて心地よかった感覚」を必ず覚えています。そうすると、人間の身体は、徐々にその感覚を追い求めるのです。
結果、意識せずとも、いつの間にか「寝る前にお風呂に入る」というタイムスケジュールに変化していた、ということもあるのです。これはむしろ、自然なことと言っても良いのではないでしょうか。
それと同じように、少しずつ、「タバコを吸わないときの心地よさ」を身体が覚えると、少しずつ、無理をすることなく、禁煙を成功させることができるかもしれません。
また、最近では禁煙をする人も増えているようで、いろいろな禁煙補助グッズもあります。それらの力を上手に借りるのも、方法の一つでしょう。
タバコとの付き合い方を見直す
それでも禁煙はなかなかできない…と嘆く方も多いのではないでしょうか。これまでずっと喫煙してきたのですから、無理もありません。身体に良くないといっても、禁煙が精神的にかなりのストレスになるのであれば、無理をしながら禁煙するのも、考えものです。
禁煙は困難だと、現時点で感じている人は、まず、タバコとの付き合い方を見直してみるのはいかがでしょうか?
たとえば、食後の一服は、至福のひとときでしょう。しかしそれは、「吸いたいから吸っている」と言うより、「食後にはタバコを吸うのが習慣になって」吸っている場合も少なくありません。
朝起きて最初に一服する人もいることでしょう。それもまた、同じことが言えます。
飲み会に行くと、最初は美味しそうに、ゆったりと煙をふかしてタバコを吸っている人も、時間が経つにつれ、タバコに火をつけるものの、実際に口元まで運ぶ回数より、灰皿でタバコが長い灰をつけたまま、ぐったりしている時間の方が長くなっている光景がよくあります。それもまた、「何となく手持ち無沙汰で火をつけた」ニュアンスの方が強い気がします。
まずはそこから、タバコとの付き合い方を見直してみると、良いかもしれません。
「タバコを吸おう!」とタバコに火をつけるときは、じっくり吸う。けれど、何となくタバコに手が伸びて、火を付けそうになったときは、深呼吸して「本当に吸いたいのか?」と自分に聞いてみるのです。
そうすると、「今のは、癖だな」「今は、口寂しかったからだ」と、自分とタバコの距離を客観的に見られるようになり、“本当は必要ない時間”を発見できます。
そのあと、たとえ吸ってしまったとしても、そう言った経験を積み重ねていくと、禁煙を無理強いしなくても、自然とタバコとの距離が遠くなっていくかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。吐き気だけでなく、いろいろな病気や不調を引き起こすタバコ。これを機に、少しずつ、タバコとの付き合い方を見直し、自分の身体が健康であるということが、どのような状態なのかを、今一度確認してみてください。
「なんか調子が優れない」といった、原因の曖昧な不調は、もしかするとその一本のタバコにあるかもしれません。
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