現代の業務内容に液晶画面はつきものです。最近では電子カルテが一般化して、医師も液晶画面を見ながらの診察になりました。
対人業務のほとんどの職種にパソコンは導入されています。対物業務ならパソコンの普及はすっかり定着しています。仕事のみならず、携帯画面、スマホ、ゲーム、テレビ・・・公私共にどれだけの時間、眼球は液晶画面にあぶられていることでしょう。
更に元々、眼球にトラブルがあればなおの事、眼精疲労はきつくなって頭痛の発症リスクが高まるのです。ここでは頭痛を招きやすい眼精疲労についてご説明します。
眼精疲労からくる頭痛
眼精疲労を招く原因は近視・遠視・老眼・乱視などの視力的なものや、液晶画面を長時間見るなどの環境的なものもあります。
そこから発症しやすい頭痛を大きく分けて2つ、挙げました。
緊張型頭痛
頭全体を締め付けるような鈍い痛みが、長時間続きます。目の奥に痛みが出て、首や肩がこるのが特徴です。
眼球の疲労、まぶたを常時開けていることからくるドライアイ、眼球周辺の筋肉が硬直していることが理由の過労現象です。
血行不良であることが原因なので、冷やしてはいけません。休息が先決ですが、対処療法として目の周りを軽くマッサージしたり、蒸しタオルで目を閉じたまぶたの上から温める、などが有効です。
眼の疲れで首、肩がこるのであれば逆に身体を温めて目の疲れをとることができます。目の疲れを、目の周りだけ血流を良くしても改善できません。循環しないからです。古い、うっ血してたまった血を流すことが必要です。できればお風呂に入って手足の先から温めましょう。それによって毛細血管の多い眼球の周りはほぐされ、頭痛の緩和も期待できます。
液晶画面から離れてリラックスできる場所に行きましょう。電磁系と真逆の環境が効果的です。例えば、森林公園や浜辺のような自然に触れて緊張を緩和するのは良い方法です。
好きな音楽にひたるのも良いでしょう。視覚の酷使でトラブルになったわけですから、聴覚でストレス解消につながれば早く頭痛が楽になります。
片頭痛
これは先ほどの緊張型頭痛と全く逆の傾向にあります。こめかみがズキズキと脈打つように痛みます。時に吐き気を伴い、光に過敏になって液晶画面は直視に耐えません。
血管が拡張すると悪化しますので、血行を促進してはいけません。冷やして安静にするのが一番になります。痛い部位も触らないように、暗い部屋で横になって過ごす方が楽になります。この対応が緊張型頭痛との大きな違いになります。
片頭痛を発症すると、光だけでなく様々な刺激に過敏になります。音はできるだけ静かにして会話は控えましょう。食欲がなく、水分も嘔吐の引き金になる時は病院での受診をお勧めします。特効薬があるわけではありませんが、鎮痛剤を胃薬と共に処方してもらえる可能性があります。
食べれない、飲めないで弱った胃に、鎮痛剤は刺激が強すぎて胃を荒らす恐れがあります。市販で値段で決めて購入するより、成分を選んでもらう方が安心です。
もし、食欲不振と嘔吐が長引いて栄養失調や脱水の可能性がある時は、病院なら点滴できます。時間が長いと体力を失う時間が長くなるので、病院に行こうと思った時は動けなかったりするので早めに受診しましょう。
頭痛改善ボディケア
液晶画面を使わないわけにはいかないご時世、せめて疲労をため込まない工夫をしたいものです。毎日、自宅で手軽にできるボディケアをご紹介します。
まぶたのストレッチ
眼精疲労は目の周辺筋肉も酷使して、血行不良から組織に栄養が届けられない状態を指します。眼球の表面や粘膜は潤いを失って乾燥しがちです。いわゆるドライアイですが、粘膜の水分が枯渇すると感染しやすく傷つきやすくなってしまいます。
まばたきを忘れて液晶画面に長時間、没頭するとドライアイ、眼球周りの筋肉の硬直が避けられません。それを予防するのが、まぶたのストレッチです。方法は簡単で、パソコンの前に座ったままでも可能な手軽な方法です。
驚くほど単純な方法ですが、あえてまばたきをするのです。ぱちぱちとするだけではだめです。ストレッチですから、しっかりとまばたきします。
まず、パソコンの前で座っていてもいいので液晶画面から目を反らしましょう。少し上の壁でも天井でも構いません。そして、目をそっと閉じます。10秒くらい閉じたままにして、ゆっくり目を開けていきます。もう、これ以上開けられないところまで開けたら、そこで止めます。5秒くらいで結構です。それを何回も繰り返します。開ける時間が短くて、閉じる時間が長いのはドライアイ対策です。
これを定期的に繰り返すことで、粘膜に潤いが戻り、目の周りの薄い筋肉にも血行が行き届くことができるようになります。
ヨガ・うさぎのポーズ
このポーズはササンガーアサナと呼ばれるで、あらゆる眼精疲労の緩和に効果のあるものです。中でも特に、目の疲れからくる頭痛を和らげ、首や肩のコリを解消できるポーズとして知られています。
まず軟らかいシートか何かの上に座りましょう、ゆっくり四つんばいになって膝を骨盤の幅まで広げましょう。そして足指を立てておでこを床につけてください。背中に両腕をまわして指をしっかり組みます。息を吸いながら顎をひいて両腕を天井に向けて、頭のてっぺんを床につけます。
あくまでも頭のてっぺんです。おでこをつけてしまうと首を傷めてしまうのでご注意ください。このまま30秒維持して、ゆっくりもどします。これを数回、実行してみてください。
首の後ろや肩のまわりが伸びていくのを実感できたら、成功です。
ツボの刺激
液晶画面のない、はるか昔の古代から伝わるツボも有効です。疲れを軽減することで、頭痛を軽くするという視点から、5つのツボを挙げました。
ツボは身体の中心に位置しない限り、左右対称のツボを刺激します。右目が辛いから、といって右目だけのツボを刺激せず両目を押してください。自覚症状は右目かもしれませんが、実は左目も疲れていた、というようなことは充分に考えられます。
どちらの目が疲れていても、頭痛になりますので両方のツボを押していただくこと、そして押し方ですが顔面はグイグイ押さないでください。指の腹の柔らかいところで優しく押していただきたのです。皮膚の薄いことろを強く刺激しすぎるとかえって頭痛がきつくなります。下手をすると吐き気まで誘発しますので押し加減は「気持ちいい程度」を目安にしてください。
そして気をつけてほしいのは押す順番です。大きな筋肉にあるツボから押してください。肉厚のところから、と覚えていただければ安心です。体表に脈を取るような手首は別として、大きな筋肉には大きな血管があります。大きなコリを解消してから、細い血管の血流を良くすれば流れやすくなります。
風池(ふうち)・・・後頭部、うなじの毛の生え際にあります。頭蓋骨と首の骨の境目にくぼみがありますが、ツボはそこに位置します。押し方にコツがあります。右の風池は左目に向けて押し、左の風池は右目に向けて押します。ここは力を入れて押して構いません。
- 晴明(せいめい)・・・鼻と目頭に間にあります。軽く押しても効きます。
- 承泣(しょうきゅう)・・・瞳の中心の下で、骨の縁にあるくぼみに位置します。
- 瞳子膠(どうしびょう)・・・目のへりの外側のくぼみにあるツボです。承泣というツボから指1本外側にあります。頭の中心をめがけて押しましょう。
- 太陽(たいよう)・・・目よ眉、それぞれの端の中心点から指2本分外側にあるくぼみにあります。
そして、顔面のツボについてはここからが肝心です。押しっぱなしにしないことです。押し終わったら、両手で顔面を覆って掌全体でさすりましょう。蒸しタオルを置いてもかまいません。
皮膚の毛細血管を刺激した後、じっくりと全体の血行を良くする工夫をすれば効果が長持ちします。
環境を変えて頭痛改善
ちょっとした工夫で眼精疲労は大きく変わります。このような工夫を自分に合わせて数多く変えていけば最高の予防になります。何より素晴らしいのは、ケアと違って一度すれば何度もしなくていいことです。
輝度の調整
同じ液晶画面でも、角度によって見え方がずいぶん違うものです。暗い所で液晶画面を見続けると頭痛、眼痛だけでなく脳波にも異常が出る事が知られるようになりました。
仕事で視力を酷使する、といえば今やパソコン、スマホ、タブレットの液晶画面です。適切な明るさであれば疲れ具合が全く違います。自分の視力にとって、どれくらの明るさが楽なのか知っておきましょう。オフィスなら自分の視力に合わせることが難しいかもしれませんが、明るすぎるようなら薄めのサングラスの使用を申し出てみましょう。
照明を変えられるようなら白熱灯に変えることをお勧めします。目に優しい商品が多種、出回っていますので選んでください。
少しの変化で大きな改善
パソコンディスプレイの位置を目線より下にしてみましょう。見上げる角度では、まぶたを大きく開けて眼球の表面積が広くなってしまいます。ドライアイになる場所が大きくなり、重い頭を支える首の負担も大きくなって、更に頭痛が増してしまいます。少し角度を下げて見下ろすだけで、ドライアイや頭痛を起こす頻度が改善されます。
液晶画面に照明が移って反射していないでしょうか。明るくするときの盲点なのですが、このケースが意外に見落とされがちです。少しディスプレイを動かして違いを検討してみてください。
椅子の背もたれもチェックしてください。背骨のカーブにフィットする背もたれでしょうか?長時間になると姿勢を保てることも重要です。
まとめ
眼精疲労そのものは急性症状ではありません。外圧や化学物質などで傷めたわけでなく、日常生活からくる慢性症状です。その悪化した症状として頭痛が発生します。一番の予防は眼の使い方を変えていくことです。
悪化する環境で長時間、同じことをすれば間違いなく繰り返します。繰り返すたびに症状は頑固なものに進行して、様々な形で疾病化していきます。眼の疲れと侮らず、しっかり対策をして文明の利器と付き合いましょう。