健康診断で人間ドックなどに行った際、腎臓の石灰化が見られていることがあるというケースも中にはあると思われます。
腎臓は老廃物を排出したりする大切な臓器です。そこに石灰化ってどういうことだろうと思う方もいるはずです。今回は腎臓の石灰化とはいったい何なのかということを紹介していきます。
この記事を読んでご自身の健康に少しでも意識を向けて頂けたらなと思います。
腎臓とはいったいどういう役割を果たすの?
腎臓の石灰化に入る前に腎臓とはいったい何なのかということに行きたいと思います。これにより、正常を知って病気を理解しやすくなるためです。
腎臓は泌尿器系の臓器のひとつで左右に1対にあります。右の腎臓が左の腎臓に比べて低く位置しています。
腎臓の構成要素
腎臓は腎小体、尿細管、集合管というものからなります。これらをひっくるめてネフロンと呼ばれています。ネフロンは腎臓に100万個ある。
腎小体の所で血球や蛋白質などの成分をろ過して尿を生成しているのです。ろ過されたものを原尿といいます。腎小体は糸球体と糸球体嚢(ボウマン嚢)からなります。
腎臓の機能
腎臓の機能として、以下のものがあります。
- 不要物や水溶性の代謝物の尿中へ排泄する
- 水の再吸収による尿量の調節する
- 尿中への酸排出とアルカリの吸収による酸₋塩基平衡の調節を行う
- ビタミンD3の活性化を行う
- レニン₋アンギオテンシン₋アルドステロン系による血漿量の調節を行う
- エリスロポエチンによりう赤血球の数を調節する
つまり尿を生成して余分なものを出したり、血漿など水分量を調節する役割を果たしているということです。
腎臓の血管にはこんな役割が
腎臓の血管は臓器の大きさに比べてかなり太く、血流量が多いと言われています。また糸球体旁細胞というものが存在し、血圧上昇物質であるレニンを分泌しており、水分量などを調節する役割を果たしていると言えます。
腎杯と腎盂
尿を尿管に送る役割があります。
腎臓の機能を支えているもの
腎臓は神経性と液性調節により機能調節が行われています。
腰髄から出る腎神経叢を経た交感神経の血管運動神経の支配を受けています。交感神経が興奮すると、輸出細動脈の方が強く収縮します。これにより、腎血流量が少なくなりますが、ろ過量の低下やGFR(糸球体ろ過量)も変化しなくて済むのです。出血や精神ショックにより交感神経が強く興奮すると両細動脈が強く収縮し、GFRが低下し、尿量が減少します。脊髄損傷や神経変性疾患でここが上手く機能しないと、排尿障害も見られたりします。
液性調節に移ります。抗利尿ホルモンにより、体液の浸透圧調節を行っていきます。レニン₋アンギオテンシン₋アルドステロン系でナトリウムイオンやカリウムイオンの調節を行い、血漿量をコントロールします。心房性Na利尿ペプチドでナトリウムイオンを排出と尿量を増加させます。上皮小体ホルモンでカルシウムイオンを再吸収し、リン酸の再吸収を抑制します。ビタミンD3を活性型に変換します。プロスタグランジンは尿量を増加させます。
このように神経やホルモンを利用して、尿量や血漿をコントロールしていると言っても過言ではないと思われます。
もしも腎臓が機能しないと
もし腎臓が機能しないと、体から老廃物を排出することができなくなり、場合によっては腎不全や尿毒症を起こします。最悪の場合は死亡する可能性もあるので、生命を維持するために重要な臓器とも言えます。
腎臓の障害により起きる症状として、浮腫や尿蛋白、尿量異常、うっ血性心不全、高血圧、腎性貧血、低ナトリウム血症、高カリウム血症、低カルシウム血症、高リン血症、性欲減退、月経不順など様々なものがあります。
2個あるからこそ
腎臓は2個あるため、もし身近な人に腎不全など腎臓移植が必要な人がいる場合は生体腎移植を行い、片方を肉親に渡すといったこともあるのです。
腎臓の石灰化とは何なのか?
腎臓の説明を終えたので、本題の石灰化に移らさせて頂きます。腎臓の石灰化は腎臓の中に結石ができる前段階として表れる症状を指します。つまり、腎結石が起きると激しい痛みを伴うことを踏まえると、見逃してはいけないものと捉えた方がいいのかもしれません。結石の痛みは多くの人が経験しているのではないでしょうか?
腎臓の石灰化は具体的にいうと、体の中にあるカルシウムが過剰にある等の理由でカルシウムが腎臓の壁に付着してしまう病気なのです。このカルシウムが結石を形成し、耐えがたい痛みを引き起こすというわけです。具体的な原因などはこの後説明させて頂きます。
腎臓の石灰化のメカニズム
腎臓の石灰化は分からない部分もありますが有力なものもあります。それはリンの過剰摂取にあると言われています。
リンはカルシウムやマグネシウムと結合し、骨や歯を形成します。そのため、このリンが余分なカルシウムと結合し、結果的に腎臓の石灰化に繋がるわけです。たしかにリンは骨などを形成したり、脳や筋肉などでエネルギーとして使われたりするとても貴重な栄養素です。
ですが、過剰に摂取すると石灰化などの弊害が起きるというわけです。色々な食品に含まれているので、過剰に摂取しがちとも言えるのかもしれません。腎臓の石灰化というのは私たちの日常生活の中で身近な存在にあると言えます。
腎臓の石灰化の症状って一体何なの?
腎臓の石灰化の症状にはどのようなものがあるのか気になる方も多いと思われます。腎臓の石灰化は腎臓結石と違って、症状がほとんどないと言われているのです。これを聞いてびっくりした方も少なくないと思われます。
ここで考えないといけないのは、石灰化がこの後の腎臓結石を始めとした腎臓の病気に繋がる危険性があるということです。つまり、症状が何もないからといって油断してはならないということです。腎臓の病気は場合によると、死に至る可能性もあるので尚更です。
腎臓の石灰化の原因とはいったい何なのか
腎臓の石灰化には色々原因はありますが、何といっても食生活の乱れにあります。仕事などを行っていると、外出する機会も多く、外で食事を済ませるといった事が多いのではないでしょうか?
時々外食するくらいなら別に問題ないのですが、頻繁になってくると考えていかなければならないのです。飲酒なども加わると、腎臓への負担が大きくなり、石灰化へ拍車をかけることになります。多くの食べ物にリンは含まれているので、1日の栄養バランスというものは考えていかなければなりません。
腎臓の石灰化の治療法とは?
腎臓の石灰化の治療法に移ります。石灰化はエコーなどで見つかったとしても、治療しないケースがほとんどです。
そのため、主に食事療法で治療していくことになり、栄養バランスを調整することが重要となってきます。
食事療法
実際、食事療法を行っていく際は医師や栄養士などと相談し、3食のメニューを決めていくことになると思われます。バランスのいいメニューにし、偏った食生活にしないということを踏まえた上で治療が行われることになるでしょう。
まず腎臓の石灰化にはシュウ酸を取ってはいけないです。シュウ酸が含まれているものとして、ナッツ類、大豆や大豆製品、チョコレート、コーヒー、ほうれん草、お茶などがあります。ほうれん草なんかは腎臓結石に良くないと聞いている方も中にはいるのではないでしょうか?
主食は玄米がピッタリです。玄米はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。白米だと精米する際に色々な栄養素が無くなっているので、玄米の方が体にいいと言えます。
腎臓の石灰化を進行させないためにカルシウムを摂取することも有効とされています。ゴマや昆布、小魚から摂取するのがおすすめです。
根菜類や緑黄色野菜でナトリウムを摂取し、水分量や血漿量の調節に繋げていきます。
動物性蛋白質や生野菜の取り過ぎに注意しつつ、カルシウムの過剰摂取にも注意しないといけません。余分なカルシウムが腎臓に付着して腎臓の石灰化が起きては元も子もありません。1日600㎎が目安とも言われています。
また、多くの人が好きであろうビールも尿量を増加させる働きはありますが、尿酸を含み腎臓結石の原因にもなり得るので飲み過ぎ厳禁です。もちろん、夜食などの間食は腎臓の石灰化に悪影響を及ぼすので、控える必要があります。
このようにバランスのいい食生活を過ごすことが腎臓の石灰化の予防に繋がるということです。食生活を見直すことは明日からと言わず、今から見直していかないといけないのです。
同じ姿勢にならないようにする
また、仕事をしている方の中には1日中デスクワークという方も多いのではないでしょうか?座りっぱなしなど同じ姿勢を何時間も取り続けていると、首や腰に負担がかかるだけでなく、カルシウムが付着しやすくなります。
結果、腎臓の石灰化に繋がるのです。適度に体を動かす習慣をつけておく必要があるのです。体操やストレッチなど簡単なものでいいのでできることから行っていくことをおすすめします。
つまり
食生活の見直しと運動の習慣をつけるということが基本ということになります。つまり1日1日を健康的に過ごすことが腎臓の石灰化の治療でもあり予防と言えるでしょう。普段の生活の中で外食しがちになったり、座りっぱなしになるということは往々にしてあります。できる所から見直していくのが大切です。
まとめ
今回、腎臓の石灰化について紹介させて頂きました。
この病気は私たちの普段の生活習慣に身近に潜んでいるものとも言え、軽視してはいけないです。腎臓は私たちの体の中でとても重要な働きをしてくれる臓器です。その臓器を守るためにも食生活などを見直し、健康的な生活習慣を身につけていくことが大切になります。
この記事を読んで、少しでも食生活の見直しや運動の習慣を取り入れて行こうと思っていただいたら幸いです。