腎血管筋脂肪腫とは?症状・原因・治療法を紹介!診断方法も知っておこう!

「腎血管筋脂肪腫」(じんけっかんきんしぼうしゅ)とはどのような病気なのでしょう。聞きなれない病名だという方も多いのではないでしょうか。あまり自覚症状もなく人間ドックや健康診断で初めて指摘される人も多いというこの病気。

また結節性硬化症という難病の症状の一つとしても現れる病気でもあります。その症状、そして診断方法や治療法などを詳しく説明します。

腎血管筋脂肪腫とは?

腎臓

腎血管筋脂肪腫とはどのような病気なのでしょうか。まずはその原因や特徴から説明します。

腎血管筋脂肪腫の原因は?

「腎血管筋脂肪腫(angiomyolipoma=AML)」は腎臓にできる良性の腫瘍のことです。この腫瘍は文字通り「血管、筋肉(平滑筋という筋肉)、脂肪」から形成されています。自覚症状はあまりないとされていますが、腫瘍の大きさによっては自覚症状がある人も中にはいます。また腫瘍が破裂することがあります。

腎腫瘍の約0.3パーセントを占める腫瘍です。悪性ではありませんが、出血が起きやすい腫瘍であることも特徴です。

腎血管筋脂肪腫の原因とは?

ほとんどは散発性、単発性といって特に原因がわからずに発症しますが、2〜3割程度の人に遺伝性疾患である「結節性硬化症」という病気の合併症状として腎血管筋脂肪腫が出ることがあります。

結節性硬化症とは関係なく散発性、単発性で発生する腎血管筋脂肪腫のことを「S-AML」といい、結節性硬化症由来の腎血管筋脂肪腫を「TSC-AML」といいます。

散発性の場合は片側の腎臓(右側)にできることが多く、中年の女性に多く見られます。結節性硬化症の患者さんでは思春期に発見されることが多く男女比は同じくらいです。また両側性であることが多く、腫瘍も大きめです。

腎血管筋脂肪腫の原因となる「結節性硬化症」とは?

診断中

ここで結節性硬化症の説明をしますね。結節性硬化症は国の難病に指定されている病気です。

難病に指定されています

皮膚や神経系だけではなく腎臓、肺、骨など体のいろいろなところに良性の腫瘍ができる病気です。この腫瘍は「過誤腫(かごしゅ)」ともいいます。これは腫瘍と奇形の間のものという意味です。

日本人結節性硬化症患者は約一万人程度です。人によって病気の程度は異なりほとんど何も問題のない人も多数います。症状がなく、自分がこの病気だとは気づいておらず病院を訪れていない患者さんもいると推定されていています。

母斑病の一つであり「小児慢性特定疾患」なので診療費はかかりません。医療費助成などは病院や自治体でよく相談してみることをお勧めします。

体に現れる主な症状にはどのようなものがあるでしょう?

腎臓の場合

その病気由来の腫瘍として、腎臓にできる腫瘍が「腎血管筋脂肪腫」なのです。両側性、つまり左右共に腫瘍が発生するのが特徴です。他に腎嚢胞ができる場合もあります。嚢胞(のうほう)というのは水袋のようなものです。腎臓については次の項で詳しく説明しますね。

脳の場合

まず脳に現れる症状としては新生児の時に現れる「てんかん」という症状があります。これは治療の必要な症状です。てんかんは80パーセント近くの患者さんに起こりますが、一方でてんかん症状のない軽症の患者さんもいることがわかってきました。

なかなかてんかんの治らない患者さんには知的障害が重度になってしまうこともあります。

また脳の中に石灰化の病変があらわられることで「水頭症」となることもあります。脳の腫瘍部位によっては知的障害や発達の遅れが見られることもあります。

皮膚の場合

皮膚症状として体やお尻、手足などの皮膚に「白斑」といって白いあざができることもあります。ほとんどの患者さんに現れる症状です。あざが木の葉状の形であることが特徴です。このためこの難病は古い医学用語の「母斑症」または「神経皮膚症候群と」いうグループに入っています。

他に皮膚症状としては顔に赤いニキビに似た腫瘍ができることがあります。これは2、3歳の頃から発症して、思春期にも続くので外見の問題で患者さんの精神的にも負担になることもあります。

目の場合

目の網膜に結節ができることもあります。ごく稀に失明の危険がある人もいますが、ほとんどの場合特に生活上の問題は少なく、経過観察という形をとることが多くなります。

心臓の場合

結節は心臓にもできることがあります。これは心音の検査で発見されることが多く、心臓の横紋筋というところにできます(横紋筋腫)。これは新生児の時に問題となる症状で子供の結節性硬化症患者の60パーセント以上に見られますが、成長に伴って腫瘍はだんだん小さくなっていくので、心不全を起こすなどのことがない限り手術はしません。

肺の場合

肺では「リンパ脈管平滑筋症(LAM)」という腫瘍があります。かつては深刻な状況になると言われていましたが、実際は治療が必要な人は20パーセントほどとなっていて、今は深刻な症状とは入れません。リンパ脈管平滑筋症(LAM)は女性にでやすい症状です。

では腎血管筋脂肪腫の症状は?

散発性の腎血管筋脂肪腫

腫瘍が小さい時は症状が全くでない人もいて、人間ドックなどの超音波検査ではじめて腫瘍があることを指摘されて気づく人もいます。腫瘍が小さい時は腎臓の機能そのものにも影響はありません。しかしこの腫瘍は血管が豊富なので出血が起こりやすく、血尿が出ることがあります。

さらに腫瘍が大きくなってくると腹部に圧迫症状が出てしまい、便秘を訴えたり腹部の膨満感を訴えたりする人も出てきます。また脇腹の痛みを訴えることもあります。手で触ると体の外からも腫瘍があることもわかる場合があります。

そして大きくなった腫瘍は自然に小さくなるということはありません。また良性の腫瘍ですがごく稀に悪性になってしまう場合があります。

腫瘍の血管や動脈瘤が自然破裂してしまうことがあり、そうなると腹痛や大量の出血をきたしてしまいます。出血量があまりに多いとショックを起こしたり危険な状態になってしまうこともあります。

結節性硬化症の腎血管筋脂肪腫

結節性硬化症の腎血管筋脂肪腫では小学生頃に発症しやすく、若い人では急に大きくなくことがあります。この場合でも出血を起こす危険性があります。大きさとしては3センチを超えていて、また血管が腫瘍内に豊富で、さらに動脈瘤がある場合だと特にしっかり経過観察をする必要があります。

思春期頃から発生する腎血管筋脂肪腫では先に説明したように、両側性と言って腎臓の両側にできることがあります。

大人の患者さんの多くに腎血管筋脂肪腫は見られるので、結節性硬化症と診断されている患者さんは特に症状がなくても腎臓の検査を定期的に行う必要があります。

腎血管筋脂肪腫の診断は?

CT検査

腎血管筋脂肪腫はどのような検査をして診断するのでしょう。

腎血管筋脂肪腫はどのような検査を行うのでしょう?

腎血管筋脂肪腫は自覚症状がなく、健康診断や人間ドックで受けた超音波検査などでたまたま見つかる場合もあります。腫瘍は小さいという方も定期的に検査することが必要です。急激に大きくなることもないとは言い切れないからです。

結節性硬化症の方は腎臓に自覚症状がなくても、また体の他の部位に症状が出ることもありるので定期的な検査は欠かせません。

詳しい診断は腹部CTやまた超音波検査やMRI検査で行われます。また血液検査や尿検査で腎臓の働きを調べることもあります。それぞれどのような検査なのかを説明します。

腹部CT検査

腹部CT検査とはどのような検査なのでしょうか。これはX線を照射し、腹部の横断面画像を撮影する検査です。断層面が5ミリで撮影することが多くごく小さな変化も読み取ることができます。病院の放射線科で検査を行います。

腹部CTでは造影剤を使わないで撮影する方法と、造影剤を使って撮影する方法があります。一般的には最初に造影剤を用いず撮影をし、必要と思われた場合に造影剤を用いて撮影することもあります。造影剤はヨード剤で、静脈から点滴で注入します。

造影剤を入れるときに体が熱く感じたり冷や汗をかく人もいますが、特に心配は入りませんが気分が悪くなったら、すぐに伝えるようにするといいですね。ダイナミックCTと言って、ヨード剤を急速に注入し撮影する検査もあります。

腎臓にできる腎細胞がんとの鑑別をするためにも必要な検査と言えます。検査に痛みはありません。食事制限や服用する薬などの指示がありますので、わからないことは相談するといいですね。

腹部超音波検査

腹部エコー検査とも言います。高い周波数を持つ超音波を腹部に送信して当てることで、はねかえってくる反射波を受診して画像化するのが超音波検査です。X線検査と違って被曝の心配がありません。そのため繰り返し検査をすることができます。

腫瘍の大きさ、深さを調べることができる検査です。検査をするときは腹部にゼリーを塗って、プローブという機会を当てながら観察します。この検査も検査前は食事の制限などがある場合があります。検査に要する時間はだいたい20分程度です。超音波検査も痛みはありません。

MRI検査とは

MRI検査とは強力な磁気を体の周囲からかけて、体の中の様子を確認する検査方法です。

MRI検査の長所

X線を使わないので被ばくする心配がありません。またCT検査の造影剤(ヨード剤)にアレルギーがある人にも有効な検査方法です。

腎臓の癌と腎血管筋脂肪腫との鑑別をつけるためにもMRI検査は大切な検査と言えます。輪切りの画像だけではなく、様々な角度から臓器を検査することができるのがMRI検査の優れたところです。MRI検査に関しても痛みはありません。

MRI検査の短所

短所としては検査の時は狭い空間の中で動くことができない、ということが挙げられます。またMRI検査は大きな音がします。狭いところや大きい音が苦手な人は予約の時など検査前などに医師や検査技師に相談するといいですね。

また大変強い磁力を使用するので、ペースメーカーや骨折治療の金属プレートなどが体内に入っている人は検査が行えない場合もあります。これも予約の時に相談することが必要です。

MRI検査でも造影剤を使用する場合がありますが、これは「ガドリニウム造影剤」といってヨード剤ではないのでヨードに対する過敏症がある人にも使えます。 ただし絶対にアレルギー反応が出ないとは言えません。

腎血管筋脂肪腫の治療法は?

医者

治療方法は人それぞれ異なります。どのような治療方法があるのか、説明しますね。

薬物治療

薬物治療には「mTOR(エムトール)阻害薬」といって腎血管筋脂肪腫を小さくする薬を使用します。このお薬は結節性硬化症の患者さんに使うお薬で、比較的新しい薬です。

副作用としては口内炎ができたり感染症にかかったり、息切れなどの呼吸困難が出ることがありますが、手術などの外科的処置をしなくてすむというメリットがあります。

腎部分切除術(腎摘除術)

腎部分切除術とはどういう治療でしょうか。これは手術療法で、腫瘍の部分とその周辺という腎臓の一部を切除し、腎臓の働きを温存する治療方法です。腫瘍が小さめの時などに行われます。また腎臓が一つしかない場合や左右共に多発性腫瘍があるときもこの治療法が行われることがあります。

腹腔鏡手術も可能に

従来から行われていた、お腹を切って取り除くという開放手術に加え、腹腔鏡手術で治療する場合もあります。この腹腔鏡手術は近年保険適応になりました。合併症の率はやや高いのですが、傷がごく小さく済むため手術後の痛みは少なく回復も早いというのがメリットです。また出血も少ないので退院も早くなります。

手術時間そのものは開放手術より長くなる可能性もあり、また腹腔鏡での手術中に出血が起きるなどの事情で途中で開放手術に切り替えるという場合もあります。腎臓は特に血流が豊富な臓器なので輸血の用意も必要となります。

動脈塞栓術(どうみゃくそくせんじゅつ)

動脈塞栓術という治療方法もあります。腫瘍が4センチ以上になったり、腫瘍に生じた動脈瘤が直径5ミリ以上になってしまった場合にこの治療を選択することがあります。

まず造影写真を撮ります

左右どちらか一方の大腿部の大動脈、場合によっては上腕の動脈に穿刺して2ミリの血管撮影用のカテーテルという細い管の先を大腿動脈から大動脈まで進めていきます。そこで腫瘍の栄養動脈血管の造影写真を撮ります。

これはインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)ともいいます。血管造影用のX線透視装置により血管造影をすることで血管の状態から血液の流れ、さらには動脈瘤の有無を確認したり病変の広がり具合を確認することができます。

動脈塞栓術が行われます

その後動脈塞栓術を行います。これにはスポンジ製剤とマイクロコイルというものが使用されます。スポンジ製剤を血管に注入して、腫瘍に血液が行き渡らないようにします。そうすることで結果的に腫瘍の壊死を起こさせます。マイクロコイルは動脈瘤があった場合、動脈瘤を塞栓させます。

この治療によって腫瘍を小さくすることができます。またもともと小さな腫瘍であった場合はなくなってしまうこともあります。そのため腹部の圧迫症状などが改善されます。さらにこの治療によって、動脈瘤の塞栓もできるので、出血の予防が行えます。

手術をしないで治療できるので体の負担が少なく済むというメリットがあります。副作用としては痛みや発熱、また感染症の危険性があることです。

まとめ

家族

腎血管筋脂肪腫は、難病の結節性硬化症の症状の一つとして発病する場合と、散発性と言って特に原因となるものがなく発病する場合があります。

散発性の患者さんは特に痛みもなく血尿もないからといってそのままにせず、定期的に検査を受けることが大事です。人間ドックでたまたま見つかった、などの場合も放置せずに必ず受診しましょう。

また結節性硬化症の患者さんは、腎臓の症状が出ていない、または腫瘍が小さくても定期的に腎臓の検査を受ける必要があります。急激に大きくなることがありその腫瘍から出血したり腫瘍そのものが自然破裂したりする恐れがあるからです。

結節性硬化症は患者さんの会もあるのでそういったところで相談をしたり情報を得ることができます。一生付き合っていかなくてはならない病気ではありますが、患者さんの人数も多いためわかっていることも多い難病です。

また「日本結節性硬化症学会」という学会も設立されています。今は新しい薬もでき、治療法もいろいろとあるのであまり深く心配しすぎないようにして生活していくことが大切です。

自分の子供がこの病気と診断された場合も、必ずしも遺伝性とは限らないので自分を責めたりせずに前向きに治療に向き合っていけるようにしていきましょう。患者さんの会などでは、患者さん同士だけでなく親同士の交流もできるので、励みにもなりますね。

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