妊娠するとホルモンバランスの変化で身体にも様々な変化が起きます。妊娠初期症状の一つでもあるつわりは、多くの妊婦さんが経験する辛い症状でもあります。
妊娠した事によって身体に変化が起きる事は仕方がないと思っていても、出来るだけ少しでも、楽に過ごしたいものですよね。ここでは、つわりのタイプ別の症状や日常生活で出来る対処方法について紹介します。
つわりが起きる原因とは?
妊娠すると女性ホルモンが急激に分泌し始める事で、身体には様々な症状が現れます。つわりの明確な原因は分かっていませんが、幾つかの原因といわれる仮設を紹介します。
胎盤を形成するhcgホルモンの影響
妊娠すると、受精卵が子宮体内で成長し続けるように、胎盤を形成するhcgホルモンという女性ホルモンが、急激に分泌し始めます。hcgホルモンは黄体ホルモンを刺激して、分泌が低下しないように働きます。
この急激に分泌し始めるhcgホルモンが脳の神経中枢を刺激する事が、つわりの原因になるのではないかといわれています。
アレルギー反応
身体が受精卵を異物と認識してしまう事でアレルギー反応を起こし、つわりの症状が出るのではないかといわれています。
自律神経の乱れ
妊娠すると急激に女性ホルモンに変化が起きて、その影響を受けた身体にも様々な変化が起こります。
急激に様々な変化が起こる事で自律神経が乱れてしまい、つわりの症状が起きるのではないかといわれています。
妊娠を継続させる為の反応
妊娠を継続させる為に身体が無理な動きをしないように、つわりの症状が起きるのではないかといわれています。
つわりはいつまで続く?
つわりは、妊娠中に一度も経験しない人や出産するまで続く人等、個人差が大きくあります。一般的には、妊娠週数5週頃からつわりの症状が出始めます。9週前後位がつわりのピークになり、11週~15週位までには治まってきます。
つわりのピークの時期にhcgホルモンもピークになり、つわりが治まってくる頃は胎盤が形成される時期でもある事から、hcgホルモンとつわりの関連があるといわれています。
つわりの赤ちゃんへの影響
妊娠中は食生活に気を付けたいものですが、つわりで思うように食べれない時は、赤ちゃんへの栄養が足りているかどうか不安になる事もあるのではないでしょうか。ママの身体の栄養は、赤ちゃんに優先的に送られるので、赤ちゃんの栄養不足の心配はありません。
しかし、水分も殆ど取れないような時は脱水症状の危険性があり、母子共に危険な状態になる可能性もある為、受診するようにしましょう。
つわりのタイプとは?
つわりの症状にもいろいろなタイプがあります。代表的なものに「吐きつわり」「食べつわり」「においつわり」「よだれつわり」「眠りつわり」のタイプがあります。それぞれのつわりのタイプをまとめました。
吐きつわり
吐きつわりとは、つわりの症状の中でも代表的で、最も多くある症状です。常に吐き気が起きる、吐いてしまう、特定のにおいや食べ物に症状が起きる等、吐きつわりの症状にも個人差があります。
吐きつわりの時は、食べれる時に食べれる分だけ、少しずつでも食べるようにしましょう。吐いてしまう場合は、水分が不足しがちになり脱水症状に注意が必要なので、細目に水分補給をするようにしましょう。
吐きつわりを軽減するには、ビタミンB6や生姜が効果的です。ビタミンB6を多く含む食品には、豚肉、赤身の魚、海藻類、あさり等があります。
食べつわり
食べつわりとは、お腹が空腹の状態になると、吐き気が起きるつわりの事を言います。朝起きてすぐの空腹時が辛い事が多いので、症状が出た時に食べれるように、枕元に軽食等を置いておくといいでしょう。
食べつわりは食べる事でつわりが軽減されますが、体重管理の為にも食べ過ぎには注意が必要です。一日の食事の回数を増やして、1回の量を減らして食べるようにしたり、カロリーを摂りすぎない食生活も心掛けるようにしましょう。
においつわり
においつわりは、においに対して敏感になり、吐き気が起きるつわりの事をいいます。敏感に反応するにおいは人それぞれ違いますが、ご飯を炊く時のにおいに敏感になるという人が多いようです。
においつわりは、今までは平気だったにおいが苦手になるので、いつどこで症状が起きるかわかりません。ご自身が好きなにおいを付けたハンカチを持ち歩いて、症状が出た時に、においを嗅げるようにしたり、外出時には、マスクに好きなにおいを付けておく等の対策をしてみましょう。においつわりの症状を緩和出来るような、ご自身の好みに合ったにおいを見つけておきましょう。
よだれつわり
よだれつわりとは、唾液の量が増えて、自分の唾液の味に敏感に反応して吐き気が起きるつわりの事をいいます。吐き気の症状が出たら唾液を口から出したり、うがいをして口の中がすっきりするようにしましょう。
外出時には、口の中がすっきりする飴や飲み物を持ち歩くようにして対処しましょう。脱水症状を防ぐ為にも少しずつ細目に水分を摂る事が大切です。
眠りつわり
眠りつわりとは、眠気が常にあったり、身体が常に怠かったり、急に眠気を感じるつわりの事をいいます。症状の程度は個人差がありますが、動けない位の怠さや眠気がある時は、身体が必要としているサインだと思って、横になって過ごすようにしましょう。
怠さや眠気が強い時は集中力も落ちている事が多いので、妊娠初期の不安定な体で無理をしない事が大切です。
つわりを軽減するには?
辛い症状のつわりですが、少しでも緩和させて毎日を過ごしたいですね。以下に紹介した日常生活で出来るつわりの対処法で、ご自身に合ったもの取り入れてみて下さい。
精油を利用する
アロマオイルとは合成の香料が使用されている物をいい、精油とは、100%天然成分で作られた物をいいます。つわりの症状によっては、アロマオイルの香りのリラックス効果で、つわりの症状が十分に緩和される事もあります。
精油は、身体や脳に直接働きかける作用があるので、妊娠初期でも使えるものを選ぶようにしましょう。つわりの症状の緩和に効果的な精油を紹介します。
◆グレープフルーツ
シトラス系の香りでリフレッシュ効果があり、胃の不調や吐き気を緩和する作用があるといわれています。食欲不振や消化不良にも効果が期待出来ます。
◆ベルガモット
フルーティーな香りが特徴的で、ストレス解消や心を穏やかにする作用があります。また、食欲不振や胃の不調等の症状の緩和に効果があります。
◆レモン
柑橘家のすっきりとした香りが、身体の不快感を和らげてくれます。また、心を落ち着かせて、リフレッシュ効果もあります。食欲不振や消化不良に効果あります。
◆ペパーミント
ペパーミントの爽快感が、つわりの不快な症状を緩和してくれます。胃の不調やリフレッシュ効果も期待出来ます。消化不良や吐き気の緩和に効果があります。
ハーブティーを飲む
ヨーロッパの医療でも使われるハーブの効果は、つわり対策も含めて妊娠初期の身体の不調や、ホルモンバランスを整える効果があります。暖かいハーブティーを飲む事で身体の血行が促進され、体調不良の改善にもなります。
◆ジンジャーティー
ジンジャー(生姜)には、吐き気を抑える効果があり、殺菌効果や吐き気止め効果があるハーブティーです。
◆オレンジピールティー
オレンジピールは、つわりの時に食べたくなる事が多い柑橘系の酸味が特徴的なハーブで、食欲不振の緩和やリフレッシュ効果も期待出来るハーブティーです。
◆ハイビスカスティー
ハイビスカスは、むくみや疲労回復に効果があります。疲労回復に効果があるクエン酸が含まれているので、つわりの時の水分補給にも適しています。さっぱりとした酸味が特徴的なハーブティーです。
◆ローズヒップティー
ローズヒップには、ビタミン類が豊富に含まれているので、妊娠中は特に必要な栄養素が豊富に含まれているハーブティーです。甘い香りと穏やかな酸味が特徴的で、リフレッシュ効果や疲労回復効果も期待できます。
漢方を利用する
東洋医学で用いられる漢方は、つわりの効果も含めて体調を整える効果があります。
つわりに効果があるといわれている代表的な漢方には、「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」があります。これらの漢方は、吐き気止めの作用や胃腸回復の効果があり、心を穏やかにする作用もあるといわれています。漢方は、体質によって合う場合と合わない場合があるので、受診して症状と体質に合った漢方を、処方してもらう事をおすすめします。
◆対処法を試してもつわりが軽減されず辛い時は、病院を受診して相談してみましょう。症状が酷くて水分も不足しがちな時は、糖分や電解質の入った点滴をしてもらう事で楽になる場合もあります。
妊娠悪阻とは?
つわりの症状や期間は個人差がありますが、繰り返し続く重い症状のつわりは、通常のつわりと区別される「妊娠悪阻」という病気の一種になります。診察や検査の結果で妊娠悪阻と診断されると、症状に応じた治療が行われます。妊娠悪阻の症状は、以下のようなものがあります。
- 一日に5回以上吐く
- 体重が5kg以上減る
- 尿検査の結果、ケトン体やタンパクが陽性になる
- 脈拍、低血圧、代謝異常が悪化する
- 脱水症状やめまい等が酷い
- 幻覚、幻聴等の神経症状が出る
これらの症状が重症化した場合等、入院による治療が必要になる事もあります。つわりと妊娠悪阻の区別がつきにくい事もあります。症状が辛い時は我慢し過ぎず、受診するようにしましょう。
まとめ
辛いつわりの症状は、症状の程度や状態も個人差が大きく、対処法もそれぞれ違ってきます。ご自身が一番楽になる対処法を見つける為に、紹介した様々な対処法を参考にしてみて下さい。つわりが終わる時期も様々ですが、「妊娠した事による身体の変化で、赤ちゃんが元気に育っている証拠」と思って、辛い時は無理をせずに身体を休めながら、つわりの時期を乗り越えていきたいですね。
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