臨月を迎えた女性は、身体の様々な部位に生理現象としてむくみが出やすい状態となってしまいます。臨月を迎えた妊婦さんにとって、むくみは生理現象ではあるのですが、そのむくみによって痛みやしびれなどの不快な症状を伴う場合もあります。
ではこのむくみ、なぜ起こってしまうのか、どうやって対処すれば良いのかを考えてゆきましょう。
妊娠中・臨月のむくみの正体はいったい?
妊娠中や臨月の時期のむくみの正体はいったい何が原因となっているのか、また、生理現象とはいうものの、身体の中でどんなことが起こっているのか、まずはその理由と原因とを良く知ることがとても大切です。
理由と原因とをきちんと把握することで、それに伴った対処方法が導き出されてきます。少し難しいおしになるかもしれませんが、少々お付き合い下さい。
妊娠中、臨月時期は通常時よりも血流量が増えます
妊娠中や臨月の時期には、お母さんの身体は赤ちゃんと二人分の栄養素を供給してゆかなければなりません。人間の栄養循環は、口から摂取した食物や飲み物を内臓で分解し、血液に乗せて身体中を循環させて供給しています。
その為、妊娠しているお母さんの身体には、母体の為の栄養と血液と、赤ちゃんの為の栄養と血液とが必要となります。これは血液の主成分が全て増えているのではなく、血液中の血清の量が増加しています。
- 「血液中の水分量の多い血清が通常時のおよそ1.4倍前後に増加」
- 「体内の水分管理がうまく行えない状態となる」
- 「むくみとして身体に現れる」
というような状況に陥ってしまいます。
出産時にお母さんは大量の出血(約1リットル前後)を伴いますが、単純に出血量1リットルというと人間の致死量の半分になります。しかし先ほどもお話しした通り、血清だけが急激に増加しているということは、簡単に説明すれば血液の成分が薄まっている状態である為に、単純に1リットルの出血量といっても、血液中の成分が通常出血の時よりも体内から抜けていない状況ですので、産後でも普通に話したりすることができるのです。
むくみによって起こってしまう痛みやしびれ
体内の水分管理などが影響しているむくみによって、身体の色々な部位に痛みやしびれなどの不快な症状が出してしまうことがあります。なぜそのようなことが起こってしまうのでしょう?
- 「身体の水分管理や循環がうまくいっていない」
- 「女性ホルモンがナトリウムや水分と結合しやすい性質がある」
- 「水分を溜め込んだ細胞が抹消血管などを圧迫する」
- 「血流を阻害したり神経を刺激することで痛みやしびれが出る」
というような体内状態となっています。
むくみが発生する原因
血流量が増えてしまうことがむくみや痛み、しびれなどの不快感が出やすくなる要因となっているお話しをしましたが、では実際に、血清が増えて体内の水分管理がうまく行き届かない状態の身体で、むくみを出してしまう原因というのはどのようなものがあるのかご説明してゆきます。
- 「腹帯や衣服などの締め付けによるもの」
- 「運動量の減少にともなって引き起こされるもの」
- 「塩分量の過剰摂取によるもの」
- 「女性ホルモンの変化によりホルモンの成分が水分と結合しやすく体内に溜め込んでしまう」
- 「子宮の大きさが大きくなることで周囲の血管を圧迫してしまう為」
- 「筋肉の働きが低下することで代謝機能がうまく働かない」
というように、様々な原因がむくみを引き起こしていますが、ここで大切なのは、妊婦さんの場合、上記に挙げたような原因が複数重なって引き起こされているということです。
その為、なにかひとつの原因に対しての対策を講じてゆくというのではなく、トータルバランスを考えた対策を練ってゆくことが大切です。
臨月のむくみの対策方法について
では、臨月の時期のむくみの対策方法を紹介します。
むくみ対策食事編
先ほどもお話ししましたが、妊娠時、臨月時期のむくみは複数の原因が折り重なって引き起こされていることがほとんどで、生活の中で何かひとつを気をつけてゆけば良いというわけではなく、生活の状況を総合的に見直してゆくことが必要となります。
その普段の生活の中で具体的にどのようなことに気を配ってゆけば良いのか?大切なキーワードは質の良い食事と適度な運動です。
1.「塩分とナトリウムをなるべく控えた食事メニューを心がける」
・マヨネーズやドレッシング、醤油などにも塩分が含まれている為、薄味での食事を心がけて下さい。
2.「穀類に含まれるカリウムは水分管理と塩分排泄をサポートしてくれる」
・カリウムには身体の代謝機能をサポートし、体内の水分管理を正常な状態に保つ為のサポートと、塩分を体外に排泄しやすくする作用があります。豆類、イモ類に多く含まれています。
3.「大豆や生姜、ブルーベリーに含まれるポリフェノールは血液をサラサラにしてくれる」
・ポリフェノールは血液をサラサラにしてくれる作用があり、妊娠中や臨月時期の血流が阻害されやすい時期の心強いサポーターです。カカオにもポリフェノールが含まれていますが、同時にカフェインも含まれているので、摂取量に注意が必要となる場合があります。
4.「ビタミンB1、ビタミンB6はむくみ対策の総合力を底上げしてくれる」
・豆腐、かぼちゃ、ごぼうなどに含まれるビタミンB1は血液をサラサラにしてくれる手助けをしてくれる重要な栄養素です。また、大豆やニンニク、魚類や鶏肉などに含まれているビタミンB6は、糖質の分解と血液環境を改善してくれます。
むくみ対策運動編
質の良い食事を摂取したあとは、それらを身体により運びやすくする為と、身体の筋肉に熱量を加えて代謝機能を引き上げる為に適度な運動をすることが望ましいと思います。
しかしここで考えるべきことは、適度という運動量の度合いではないでしょうか。やみくもに運動をしても逆に身体を痛めたり、思わぬ症状を招いてしまう可能性もありますので、大切なのは「生活の一部によりそった運動を行う」ということです。
- 「体調が極端にひどくない時はできるだけ家事をする」
- 「椅子などに座った状態で足首を動かすようにする」
- 「天気の良い日は軽めの散歩を心がけ、足首を動かして歩くことを意識する」
- 「自宅で43度くらいのお湯で足湯をして抹消を温める」
- 「マタニティヨガや温水プールでの歩行もおすすめ」
- 「ふくらはぎマッサージを行ってみる(または旦那さんにしてもらう)」
まとめ
妊婦さんとむくみの関係は切っても切り離せないほどつながりの強い症状だと言えますが、必要以上のむくみは普段の生活状況によって自分自信が招いてしまっている可能性もあります。
また筋系ではふくらはぎは二足歩行の人間でなければ発達しない部位と言われており、老廃物の蓄積や血流を抑制する影響のもっとも大きな部位になると言われていますので、心地よい程度のふくらはぎマッサージ、散歩で筋肉に刺激を与える、足湯、休む時は足を少し高めの位置に置いて休むということもおすすめです。
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