反抗期と言うものは、嫌でも訪れるものですし、子供から大人になるために必要な過程です。とは言え、いざ迎えてみると、何を言っても口答えされたり、言うことを聞いてくれなかったりして、ストレスを抱えてしまうのも事実ですよね。
「うちの子どもだけではないか?」「自分の育て方が悪かったのではないか?」と不安に感じてしまう人もいるかも知れません。そこで、子供の反抗期と上手に向き合うための方法をご紹介します。
反抗期の対処法
子供の反抗期は2度訪れます。幼児期の2歳頃に起こるいわゆる「イヤイヤ期」(第一反抗期)と、思春期に訪れる第二反抗期です。
一般的に反抗期として捉えられているのは、こちらですね。では、第二反抗期を迎えた子供とは、どのように接すればよいのでしょうか?学年別に詳しく見ていきましょう。
小学校入学まで
小学校に入るまでの反抗期には、2歳から始まるイヤイヤ期の名残があります。まだ幼いながらも、子供にはある程度の自立心が芽生えているため、親が過度に干渉することを嫌います。
子供が小さいからと言って、なんでもかんでも手出しするのはやめて、子供に任せるのが危険なことを除いては、見守ってあげる姿勢が大切です。子供が「やりたい」と言う気持ちを尊重しましょう。
低学年
小学校に入ると、生活の中心が家から学校に変わります。多くの人に囲まれて、パパやママ以外の大人を見て育つこの時期は、初めて外の社会に飛び出す時期です。
社会性も徐々に身について、新しい言葉もどんどん覚えていくこの時期は、徐々に口答えを始める子供もいますが、親が徹底的にやり込めるのは厳禁です。親子関係の悪化にもつながりますし、子供の反抗心を煽ることにもなります。口答えをしてきても、軽く聞き流すくらいの気構えでいましょう。
また、何かをしてほしい時には交換条件を出すのではなく、お願いする態度で接することも大切です。常日頃から交換条件を出していると、見返りを求めることに慣れてしまい、何においても見返りなしにはやらない子供になってしまいます。
中学年
小学生も中学年になると、本格的な自立が始まる時期です。まだ反抗期には早いかも知れませんが、その兆候が徐々に見え始める時期でもあります。子供の反抗的な態度は、やはり腹の立つものですし、「まだまだ自立には早い」などど子供扱いしてしまうかも知れません。しかし、親が過度に干渉をすることは子供の成長にとってマイナスです。
もちろん、親として間違ったことをしたり、悪いことをしたりした時にはきちんと叱ることが必要です。しかし、子供が自発的な取り組んだことに対する失敗については指摘せず、温かく見守るようにしましょう。
子供の自立心や自尊心を傷つけることなく、見守りながらも失敗はフォローしてあげる、大変ですがそんな姿勢で向き合うことが大切な時期です。
高学年
10代に入り、小学校も高学年になると、いよいよ反抗期に入っていきます。しかし、子供の反抗期は親の反応がほしかったり、意見を聞いてほしかったりと言う願望の現れです。子供の言うことを何でもかんでも聞く必要はありませんが、無視をしたり叱りつけたりという対応は絶対にしないようにしましょう。子供反抗的な態度に腹が立っても、大きな心で受け止めるくらいの心の余裕が必要です。
また、この時期になると男の子は男子らしく、女の子も女子としての自覚が芽生え始めます。体にも変化が現れ、性への関心も高まってくる時期です。自分自身や周りへの関心が高くなり、徐々に大人になってゆく時期ですから、行動も考えも、少しずつ変化していきます。これまでとは違った対応が必要になることもありますから大変ですが、大きな心で受け止めましょう。
中学生の反抗期
中学生にもなると、本格的に反抗期に入り、親子の対立も起こりやすい時期になります。この時期に対応を間違えると親子仲がこじれたり、反抗期がよりひどくなる原因にもなるため注意が必要です。
もちろん、子供を抑え付けるような態度や叩く、脅すなどはもってのほかです。どうしても子供が言うことを聞かない場合には、子供が元気でいてくれることだけを受け止め、ありのままの状態を受け入れる態度も必要です。親が叱りつけたり否定したりすることなく、自分を受け入れていくれていると分かれば、子供の方にも反抗する理由がなくなりますから、衝突は避けられますよね。不要な反抗を防ぐためにも有効な方法です。
また、子供の自立を促すと言う意味でも、親はあまり干渉せず、時には放任も大切な時期です。子供の成長を温かく見守ってあげましょう。
子供の反抗期に対処するためには、なぜ子供が反抗しているのか、その理由を知ることも必要です。子供の反抗対象は母親が多いですが、やはり子供と接する時間の長い人が対象となりやすいようです。そして、反抗する理由として多いのは、やはり自立心の芽生えです。ただし、親の態度に問題があると言う場合もあるため、家庭によって原因は複雑なようです。
また、反抗期の終焉に関しては、精神面での成長が多いものの、親に対する諦めや関係が疎遠になったなどと言う回答もあるため、親子関係が悪化したことによる反抗期の終了もあるようです。反抗期にいかに親子関係を築き上げていくかが大きな課題と言えそうです。
反抗期の特徴
子供が反抗期を迎えた時には、それなりの特徴があります。その特徴を掴み、適切な対応をすることが親子関係を上手く築いていく上でも、反抗期を上手く乗り越えるためにも重要ですよ。ここでは、小学生の反抗期に見られる特徴についてご紹介します。
小学生の反抗期は、思春期に始まる本格的な反抗期に比べるで中間反抗期と呼ばれますが、まだまだかわいいものです。ああ言えばこう言う、と言うように、親の言うことにいちいち口答えをしたり、小さなことですぐに怒ったり、叱られても謝らずに無視したりしますが、結局のところは甘えたい気持ちが強いのです。また、外では案外いい子である点も特徴です。
この時期には親に対して汚い言葉で文句を言うなど、口の悪さも目立ちますが、こうしたことも自立心の現れです。小学校で様々な人に出会うことにより視野が開け、絶対的存在だった親の矛盾点を見つけることもできますし、徐々に論理的に物事を考えることができるようになるので、反抗的な態度を取るわけですね。それまで反抗しなかった子が急に態度を変えると驚いてしまいますが、子供が成長している証拠でもあるので、温かい目で見守る姿勢が大切です。
反抗期の原因
小学生が反抗期になる要因は様々ありますが、近年言われていることに関して言うと、やはりスマートフォンやゲームへの依存があるでしょう。ゲームは昔から子供の遊び道具の1つでしたが、近年は家庭用ゲーム機に限らず、スマートフォンでいつでもゲームができ、コミュニケーションツールとしても発展してきました。幼い子供がスマートフォンを持っているのも珍しくなくなってきましたから、どうしても依存してしまう傾向にあります。
四六時中子供がスマートフォンをいじっていたら、親としては叱りたくもなりますし、ネット犯罪から守る意味でも心配材料ですよね。しかし、今やスマートフォンなどの端末は、子供にとって重要なコミュニケーションツールになっているため、禁じられると激しく反抗する、と言うわけです。時代の流れとは言え、やはり子供がスマートフォンに依存しすぎるのは、親としては心配な現象ですよね。
また、中学進学を控えた子供に関しては、中学受験も大きな要因の1つです。近年は、特に都会を中心として、中学受験が当たり前になりつつあります。しかし、受験と言うのは子供にとって大きなストレスですし、勉強させようと子供を鼓舞する親の言葉に苛立ってしまうこともあるでしょう。大切な時期だからこそ、勉強面でも親子関係の面でも、上手く付き合っていくことが大切です。
親が取ってしまいがちなNG行動
子供が反抗期を迎えると、親にとって目に余る言動も増え、ストレスが溜まってしまいますよね。
いくら子供が成長している証とは言え、親も人間ですから、イライラが言葉や態度に出てしまうこともあるでしょう。しかし、反抗期の子供に取ってはいけない態度があります。
これを守らないと、親子関係を悪化させてしまうことにもなりかねませんから、きちんと把握しておきましょう。
子供の主張を無視する
親がやってしまいがちな行動の1つがこれです。
子供が反抗的な態度を取っていたり、わがままばかり言っていたりすると、ついつい無視をしてしまいたくなるものですが、これは絶対にやめましょう。いくら相手が子供で、主張に無理があったとしても、無視するということは人格を否定することにもなります。
反抗期を迎えると、子どもたちは徐々に自己主張を始めるようになります。価値観が違えば、反論してくることもあるでしょう。まずは子供の意見や声に耳を傾け、きちんと向き合った上で話し合いをするようにしましょう。
謝らない
こちらも、ついつい親がやってしまいがちなことですが、間違った時や悪いことをした時にきちんと謝れない親は、子供のお手本としてはいけません。
親は子供に教える立場なのですから、自分に非があった時にはきちんと認めて謝る姿勢を見せることで、子供にとってもよい影響を与えることができます。間違った姿勢を見せれば、子供はそれが当たり前と思い、マネをするようになりますから、ここでの対処がとても大切です。
人格を否定する
人格を否定することは、どんな時であってもしていけません。どれだけ反抗していても、子供にとって親は絶対的なものですから、親からの言葉と言うのは子供の心に強く残ります。親が子供を否定すれば、子供は自分をダメな人間、価値のない人間だと思い込んでしまいます。子供の成長を促すためには、自己肯定感が必要不可欠です。
もしも子供に暴言を吐きそうになったら、口に出す前に深呼吸などをして気持ちを落ち着かせましょう。勢いだけで言葉を吐いてしまうと、取り返しのつかないことにもなりかねませんよ。
感情的になる
人格を否定してしまう項目にも共通しますが、親が子供に対して、あまりに感情的にものごとを言うのは避けましょう。子供は反抗期になると、口だけでなく、時には暴力を振るうこともあるでしょう。手に負えない子供を前に、ついつい苛立ってしまう気持ちは分かりますが、親が感情的になれば、子供はそれを見ています。そして、自分の反抗的な態度に対して感情的になっている親を見れば、「こうやって反抗すればいいのだ」と思ってしまうのです。
感情的な親ほど、子供の反抗期は長引くと言われています。また、親が何でもかんでも言い訳すると、子供も同じことをしますし、人のせいにする親を見ていれば、やはり責任転嫁をする子供に育ってしまいます。親が冷静に対応することで、子供の反抗を抑えることができますよ。
疲れが溜まっていると、どうしてもイライラしてしまいがちですから、例えば早起きをして日光を浴びてみてください。セロトニンと言う物質が活発化し、攻撃性を抑制してくれます。また、普段から会話が少ないと感じているならば会話の時間を増やすなど、子供との接し方を考えてみましょう。子供が反抗している理由を探すのも、親の仕事です。上手に付き合っていきましょう。
叱らない
叱ると言うことは、なかなか難しいものです。きつく言い過ぎてもいけませんし、かと言って全く叱らないのも問題です。子供をきちんと成長させるためには、適度に叱ることが必要です。間違ったことや悪いことをしたらきちんと叱りましょう。
叱るべき時に叱ることができないと、子供は人間として未熟なまま、正しい判断力を持たないままに成長してしまいます。子供のためを思うなら、その時は辛くてもきちんと叱りましょう。
父親の役割
もちろん、子供を叱るのは父親の仕事、と言うご家庭もあるかも知れませんが、一般的な家庭では、父親は普段、家庭のことに関わる機会が少ないものです。だからこそ、子供が悪いことをした時にはパパとしてガツンと叱る、と言うこともあるかも知れません。
しかし、子供を叱る場合、普段関わっていない人がいきなり叱りつけるのは避けましょう。子供を叱る時に大切なのは信頼関係です。いつもコミュニケーションを取っている母親ならば信頼関係を築けているのでよいですが、普段あまり関わっていない父親に急に叱られると、子供は不満に感じます。だからこそ、父親も普段から子供とコミュニケーションを取っておくことが大切なのです。
また、子供は叱られた時、逃げ場がほしいものです。母親から叱られている時、父親が味方になってくれればとても心強いですよね。甘やかすと言うことではなく、子供の受け皿になってあげると言う意味で、母親に父親が便乗して叱るということは避けましょう。どちらにも叱られてしまうと、子供は逃げ場をなくしてしまいます。
時には、片方の親が温かく子供を迎えてあげる姿勢が必要なのです。夫婦が協力して子供の成長と向き合っていくことが大切ですから、良好な夫婦関係を築いていくことがポイントです。
反抗期とは違う!反抗挑戦性障害とは?
子供には反抗期がつきものですが、反抗期によく似ていても、まったく違う原因によるものもあります。反抗挑戦性障害とは、親や学校の先生など、目上の人に対して反抗的または拒絶的な態度を取り、挑戦的な行動を取ってしまう障害です。
反抗期には子供はイライラしたり、反抗的な態度を取ったりするものですから、区別が難しいのですが、いくつか注意すべき点はあります。5歳未満の子供に当てはまるチェックポイントを上げておきますので、該当するものがないか、チェックしてみるとよいかも知れません。
- 乱暴な言葉で反抗したり、怒ったりすることが週に1度、半年以上続く
- 自分の失敗を人のせいにする
- かんしゃくを起こしやすく、神経過敏になりがち
- 故意に人を苛立たせる
- 目上の人に対して積極的に反抗したり、口論をけしかけたりする
- 執念深く、意地悪なことがしばしばある
行動自体は通常の反抗期のようでも、頻度や発症する期間によって判断することができます。
しかし、このチェックポイント以外にも、発達水準や性別など、いくつかの項目に当てはまることが条件となるので、判断は慎重さを求められます。
発症する原因
反抗挑戦性障害になりやすい人は、原因の1つに家庭環境があると言います。
幼い頃、保護者や周りの人と対立してしまった時、子供に対して改善策を提示するのではなく、一方的に非難したり批判したりすると、反抗的な感情が心の中に溜まり、やがて積み重なって発症してしまうと考えられていて、1日で急に発症するものではありません。
つまり、子供の言い分を聞かずに抑え付けてしまうことによって、子供は自身を守るために反抗的な態度を取るようになるのです。
反抗挑戦性障害の注意点
反抗挑戦性障害になると、周囲とトラブルになりやすいですし、子育てをする母親の立場からしても大変ですよね。しかしそれだけでなく、反抗挑戦性障害のある子は、違う疾患を持っている可能性が高いのです。
代表的なものに、発達障害の1つであるADHD(注意欠陥・多動性障害)があります。集中力がなくなったり(注意欠陥)、じっとしていられなかったり(多動性)、物事をよく考えずに行動してしまったり(衝動性)と言うのが特徴で、子供のADHD患者のうち20~56%が、反抗挑戦性障害を二次的に発症すると言われています。
これは、自分がADHDだと知らずに過ごしている人が多く、周りから理解を得られない場面を多く経験していく内に、周りの人間に不信感を抱くようになることが原因と言われています。本人も気づかない内に人間不信が募り、反抗挑戦性障害を引き起こしてしまう、と言うわけですね。
「自分の息子が、娘が、もしかしたら・・・」と思ったら、1度専門機関を受診してみると安心です。1人で抱え込んでいてもストレスや不安が募り、悪循環になってしまいます。お子さんと良好な関係を気づいていくためにも、早期の対応が重要になってくるのです。
まとめ
反抗期は誰にでも訪れるものです。急に子供が生意気になった、反論してくるようになった、大人の揚げ足を取るようになったと、その時は腹が立つでしょうが、子供が成長している証拠だと思って、どんと構えましょう。大人がイライラしてしまっては、子供にとってもよくありません。
また、実は反抗期ではなく、反抗挑戦性障害だった・・・と言う場合も考えられます。あまりにも反抗期が長かったり、態度が尋常でないと感じたりしたら、早めにプロの意見を聞くようにしましょう。反抗期を上手く乗り越え、良好な親子関係を築いていきたいものですね。
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