尿崩症は2つに分類できる?原因・症状・治療法について!水中毒に注意が必要?

突然ですが、あなたはトイレが近い方ですか?遠い方ですか?1日に排泄する尿の量は人によって違いますし、トイレが近い人もいれば遠い人もいます。それが何だと思う人もいるかも知れませんが、実は、尿が出すぎてしまう病気があるのです。

その名も「尿崩症(にょうほうしょう)」文字だけ見ると、なんだか恐ろしい病気のように思えますね。実はこの病気、非常に厄介なのです。さらに、症状が重くなると命にかかわることもある、危険な病気でもあります。

では、どのような病気なのか、原因や症状、治療法などと合わせてご紹介します。

尿崩症とは?

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1日にトイレに行く回数、量は人によって違いがありますよね。しかし、一般的に、1日に1.2から1.5リットルほど出ると言われています。1日に必要な水分量もだいたい同じくらいですから、摂取したのと同じくらいの量がその日のうちに出て言ってしまうということですね。こう考えると、やはり水分はしっかり摂らなければ、と思えます。

また、尿崩症は非常にのどが渇くため、1日の水分量も大幅に増えます。およそ、3リットルから多い人では30リットルほど飲んでしまうというのですから、その異常さがよく分かりますね。それだけの水分を摂るとなると精神的にも肉体的にも負担になりますし、トイレの回数も増えてしまうので、日常生活に支障を来します。

では、そんな辛い尿崩症の原因は何なのか、以下で詳しくお話ししましょう。

尿崩症の原因

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尿崩症の原因を紹介します。

ホルモンの異常

抗利尿ホルモンは、腎臓に働きかけることで、水の再吸収を行うことで体内の水分量を調節しています。抗利尿ホルモンが何らかの理由で分泌を妨げられると、水の再吸収が行われないため、すべて尿として排出されてしまうのです。このために、尿の量が増えてしまうという訳ですね。尿が増えるということは、体の水分が足りなくなりますから、喉が渇いて、水を沢山飲みたくなります。

ではなぜ、抗利尿ホルモンの分泌に異常が起こるのでしょうか?その原因はまだ解明されていませんが、尿崩症のパターンから、ある程度考えることはできます。

尿崩症には、腎性尿崩症と中枢性尿崩症の2種類があり、原因はそれぞれ違います。ここからは、それぞれのパターンについて、詳しくご紹介していきます。

腎性尿崩症(じんせいにょうほうしょう)

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腎臓は非常に重要な働きをする器官ですが、その中の1つに尿量の調節というものがあります。尿の量は下垂体から分泌される抗利尿ホルモンによって決まります。抗利尿ホルモンの分泌をによって、腎臓では尿の量を調節する機能が働くわけですね。この抗利尿ホルモンのことを「バソプレシン」と言いますが、腎臓に何らかの異常があり、バソプレシンに反応する部位に障害が出ることがあります。そうなると、抗利尿ホルモンが分泌されても尿量が調節されず、で大量の尿が出てしまうわけですね。

抗利尿ホルモンは利尿に対抗する(利尿を抑える)作用がありますから、ホルモンが働かないことにより量が調節されないと、このように大量の尿となって水分が出て行ってしまうことになります。こうした腎性尿崩症の原因には先天性のものと後天性のものがあります。

先天性の原因

原因が先天性の場合、その多くは遺伝子異常にあると言われ、腎性尿崩症のほとんどが先天性の遺伝子異常だと言われています。また、遺伝するのは男性がほとんどのようです。

後天性の原因

原因が後天的なものの場合、その原因は高カルシウム血症や低カリウム血症、慢性腎盂腎炎、多発性のう胞腎などです。

薬の副作用

上記の先天性・後天性の原因以外にも、時として、薬の副作用として腎性尿崩症を発症することがあります。原因となる薬としては、

  • 抗ウイルス薬
  • 抗リウマチ薬
  • 抗HIV薬
  • 抗菌薬
  • 躁状態治療薬
  • リチウム製剤

などが挙げられますが、発症する時期については詳しく分かっていません。発症例としては、数日後から1年後までが多いようです。

中枢性尿崩症(ちゅうすうせいにょうほうしょう)

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抗利尿ホルモンはバソプレシンとも言われ、視床下部で作られたのち、下垂体に蓄えられる仕組みになっています。蓄えられたバソプレシンは、必要に応じて下垂体から分泌されることで、正常に働くのです。しかし、視床下部や下垂体に何らかの障害が起こると、正しくバソプレシンが分泌されず、尿崩症を引き起こします。

ではなぜ、バソプレシンの産生量や分泌量が減ってしまうのでしょうか?原因は先天性のものと後天性のもの、それぞれ考えられます。

先天性の原因

先天性の原因としては、遺伝子異常などが考えられます。生まれつきバソプレシンの分泌量が少ない遺伝子だと、尿崩症になる可能性が高いと言えるでしょう。

後天性の原因

後天的なものとしては、外傷や脳腫瘍、手術後などを契機として起こることがあります。頭部の外傷や髄膜炎、脳炎、動脈瘤、結核などの他、脳の手術などに関連して引き起こされるリスクがあります。

尿崩症の症状は?

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では、尿崩症になるとどのような症状が現れるのでしょうか?尿崩症には、いくつかの特徴的な症状があります。

喉の渇き

尿は水分です。尿崩症は大量の尿が排泄される病気のため、足りなくなった水分を補給しようと、強いのどの渇きを感じるのが特徴です。1日の水分摂取量は約3リットルと言われますが、人によっては30リットルもの水分を飲んでしまう例もあるようです。1日に必要とされている水分量は1.5リットルほどですから、その異常さがよく分かりますね。また、摂取する水は常温ではなく、冷水や氷水だと言うのも特徴と言えます。

水の多量摂取

多尿によってのどが極端に渇くため、それを補おうと大量の水を摂取します。また、尿がたくさん出過ぎるため、水分を多量に摂らないと脱水症を引き起こすこともあるようです。ひどい脱水症では、低血圧になったり、ショック症状が出ることもあるため、注意が必要です。

尿が多い

尿の量を調節するよう腎臓に働きかける抗利尿ホルモンが正常に働かないため、尿の調節がされず、大量に排泄されます。尿量は1日におよそ3リットル以上と言われ、多い人では20リットル以上出ることもあるようです。

これだけの水分が出てしまうのですから、水分摂取量が増えるのも当然ですね。また、夜間でも尿の量は減らないため、トイレの回数が増え、睡眠不足につながることもあります。さらに、腎臓の、尿を濃縮する働きも失われるため、濃度の薄い尿が出るのも特徴です。

夜間頻尿との違い

夜間頻尿とは、眠りに就いた後に、排尿のために1回以上起きなければならない状態を言います。原因としては、多尿(夜間多尿)、膀胱容量の減少、睡眠障害によるものがあります。多尿による夜間頻尿は尿量が多くなるために、夜間トイレに何度も起きるもので、日常生活に支障を来すこともしばしばです。

また、朝起きた時のトイレも含めると、夜間だけで尿量は1日のは尿量の3分の1を占めると言われます。ただし、1回における排尿量は通常と変わらず、正常値である150~200ミリリットル程度となります。

多尿の原因

多尿になる原因としては、糖尿病などの内分泌疾患や、水分の摂りすぎなどが考えられます。

夜間多尿の原因

また、夜間に尿の量が増える夜間多尿については、高血圧や鬱血性心不全、腎機能障害などの全身性疾患の他、睡眠時無呼吸症候群などが考えられています。

膀胱容量が減少する原因

膀胱容量が減少するというのは、膀胱に溜めておける尿の量が非常に少なくなる状態を言い、過活動膀胱や前立腺炎、膀胱炎などが原因と考えられます。これらの疾患により、膀胱が過敏になることで、膀胱に尿を溜めることができにくくなり、結果として夜間多尿になってしまうのです。

過活動膀胱とは

過活動膀胱とは、膀胱に尿が少ししか溜まっていないにも関わらず、勝手に膀胱が縮んでしまう病気です。膀胱のコントロールが効かなくなってしまう原因としては、脳卒中やパーキンソン病など、脳や脊髄の疾患が考えられています。この他の原因としては、老化現象や原因不明のこともあり、実生活への支障は大きいと言えます。

胎児や新生児に尿崩症が発症した場合

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尿崩症は先天的なものが原因となる場合もあり、胎児期や新生児期に発症するケースもあります。では、胎児期と新生児期に分けて、症状の違いをご紹介しましょう。

胎児期

胎児期に発症すると、大量の尿がお腹の中に溜まるため、羊水が多くなるのが特徴です。

新生児期・乳幼児期

まだ自分でのどの渇きをうまく伝えることができないため、知らない内に脱水症状を起こし、痙攣を起こしたり、原因不明の熱を出したりすることがあるそうです。

乳幼児は言葉で伝えることができない分、周りが気づいてあげるしかありません。体重があまり増えなかったり、頻繁におねしょをしたりするなどの形で異変が現れることがありますので、小さな変化もみのがないよう、目を配りましょう。

尿崩症によって起こる水中毒

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尿崩症は多飲と言って、水を異常に飲みたがる症状があります。この多飲によって引き起こされるものに、「水中毒」があります。最悪の場合、死に至るケースもありますので、詳しくご紹介しましょう。

水中毒とは

水分を摂取すると、それは汗や尿として体外へ排出されます。しかし、排出される量を上回る水分を過剰に摂ってしまうと、血液が薄まってしまい、低ナトリウム血症になってしまいます。

低ナトリウム血症とは

血液中にはナトリウムが含まれていますが、血中のナトリウム量が減ると、バランスが崩れ、血液は真水に近い状態になります。塩分を含んでいるべき血液が薄まると、脳の浮腫が起き、呼吸困難や痙攣などを起こした後、昏睡状態になり、命を落とリスクの高い症状です。

水中毒の症状

水中毒の症状には、初期・中期・後期とあり、後期になると死亡リスクが非常に高くなります。

初期症状

水中毒になると、まず現れるのがイライラや悪心です。さらに症状が進むと、疲労感や倦怠感などの症状が現れてきます。血中ナトリウム濃度の正常値は135〜145mEq/lくらいと言われていますが、この値が130くらいまで下がると、上記のような症状が見られるようです。

中期症状

さらに進行して中期になると、頭痛や吐き気といった症状が現れます。この段階では、軽度名症状の場合は水の量を制限し、ナトリウムを点滴することで、数日で改善が見られる場合が多いようです。中期症状では、血中ナトリウム濃度は120程度にまで下がります。

中期症状の注意点としては、症状の1つに嘔吐があるので、意識レベルの低い状態で嘔吐すると死亡するリスクがあるということを頭に入れておきましょう。もしも嘔吐した場合のことを考えて、顔を横に向けるなどして、嘔吐物がのどに詰まらないよう対策を取ることが大切です。

後期症状

中期症状からさらに水中毒の症状が進んで後期症状になると、痙攣や昏睡、呼吸困難などの症状が見られるようになります。ここまで症状が進んでしまうと、意識レベルはかなり低く、呼吸困難を経て昏睡状態に陥る他、そのまま死亡するケースもあるため、非常に危険です。この段階では、血中ナトリウム濃度は110くらいまでに下がります。

水中毒では低ナトリウム血症になっているため、治療法としてはナトリウムを点滴します。ただし、ナトリウム濃度が低くなっているところへ急激にナトリウムを投与して値が急上昇すると、脳幹が壊死する危険があるため、ナトリウム点滴の際にはゆっくり行うことが重要です。

水中毒については、水中毒の症状とは?原因や治療方法を紹介!を参考にしてください!

尿崩症の検査と診断方法

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尿崩症であるかどうかの検査方法はいくつかあります。種類ごとにご紹介しましょう。

浸透圧の検査

血中の抗利尿ホルモン・血中、尿中の浸透圧を調べることで診断する方法です。尿崩症になると、血中浸透圧は高く、反対に尿中浸透圧は低くなります。一方、血中抗利尿ホルモンは低い値を示します。

採決と採尿

また、水分摂取量を制限した上で、採尿と採血をして、浸透圧の変化を調べる方法もあります。正常ならば尿中浸透圧が上昇しますが、尿崩症の場合には上昇しません。

抗利尿ホルモン注射

これは、抗利尿ホルモンを注射し、効果を調べることで尿崩症かどうか判断する方法です。中枢性尿崩症の場合には尿の量が減少しますが、腎性尿崩症の場合には、原因が腎臓にありますから減少しません。

MRIによる検査

MRI検査を行うと、正常であれば認められるはずの下垂体後葉の信号が失われていることが分かります。ただし、尿崩症以外でも糖尿病や腎臓病などの区別、多飲多尿についても精神的な疾患でも起こりうるため、診断の際には区別が重要となります。

尿崩症の治療

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尿崩症の治療法は、原因が先天性か後天性かによって変わってきます。

先天性の場合

先天性な原因で起こりやすい腎性尿崩症は、残念ながら完治させることは難しい病気です。そのため、症状が軽度の場合は抗利尿ホルモン薬を点鼻、または注射製剤を使って尿量を減らす方法を取ります。

先天性の腎性尿崩症は、生後すぐに症状が現れます。ただし、言葉を話せないため見落とされることもあり、治療が遅れると脳や体の発達にも影響が出ますから、早急に対処することが大切です。

後天性の場合

尿崩症の原因が脳腫瘍などの場合には、原因となる疾患を治療することが重要となります。
また、多尿を治療するには抗利尿ホルモン製剤を1日に1〜2回点鼻するのが一般的な治療法です。点鼻以外には注射する方法もあります。薬以外では、減塩や低タンパクによる食事療法もなどを用いることもあります。

原因が薬の副作用の場合には、速やかに原因となっている薬の服用を中止しましょう。服用をやめて1ヵ月ほど経つと、自然と症状が改善されてきます。それでも改善が見られない場合には、抗利尿ホルモンを点鼻または注射することで治療を行います。ただし、尿崩症以外にも尿の量が増える病気はあるため、原因を絞り込む意味で、検査を受けることは重要です。

尿崩症は何科を受診するか?

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急に尿の量が増えた場合、その原因が尿崩症なのか、それとも精神疾患など、他の原因があるのか調べる必要があります。異常に気づいたら、まずは内分泌の専門医を受診するようにしましょう。また、頭部の外傷や脳の手術をした経験のある人は、まずは脳外科に相談することをオススメします。

まとめ

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いかがだったでしょうか?尿崩症というと、多尿が主な症状ですが、ただ尿の量が増えるだけでなく、体への負担が非常に重い疾患だと言うことを分かっていただけたかと思います。私の体は、ナトリウムが増えすぎても減りすぎても、重篤な事態に陥ってしまいます。非常に繊細で複雑な作りをしているのですね。

尿崩症の原因は遺伝性のものや他の疾患が原因になるものとありますが、大切なのは早期発見・早期治療です。尿の量が増えた、のどが渇きやすくなった、水を飲む量が増えた、など、少しでも異変を感じたら早めに医師の診察を受けましょう。

尿崩症は治療できます。軽度な内に治療しておけば、それだけ症状は軽く済みます。完治の難しい病気ではありますが、治療方法はありますから、気になる症状のある人は、ぜひ1度、医療機関を受診してみてはいかがでしょうか?

  
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