たまに腰が痛くなるけど、特に朝は辛い…朝腰が痛くても、動いているうちに痛みを忘れてしまう…
そんな “朝の腰痛” に悩まされている方は、意外と多くいらっしゃいます。朝だけだと思って油断していると、慢性的な腰痛へ移行してしまうかもしれません。
原因を知って、早めに対策していきましょう。
そもそも腰痛とは
私たちの体の中心を通る背骨の腰の部分を腰椎(ようつい)といいますが、この腰椎の中の第4、5腰椎という部分で異常が起こると腰痛の原因になるようです。
この部分は上半身を支える大事な役割を果たしている為、日常生活の中で負担がかかりやすくなっています。
ヒトは腰痛になりやすい?
腰痛と聞くと、少し症状が重いように感じてしまうかもしれませんが、腰が痛い程度なら誰しも一度くらい経験したことがあるのではないでしょうか。
腰の位置は体の中心にあります。普段何気なくしている、立ったり座ったり歩くといった動作には、常に「腰」を使っています。
つまり、普段の動作から腰に負担がかかっているため、何か1つバランスが崩れるだけで腰痛が起こる可能性が考えられます。
腰痛のメカニズムについて
人間の頭の重さはどれくらいあるかご存知でしょうか。
平均では体重の10%といわれています。つまり、体重50Kgの方では約5Kgが頭の重さとなります。これに胴体が加わると、相当な重さを腰が支えていることが分かります。
人間の体の中心には大きな背骨が通っています。通常はなだらかなS字状のカーブを描いた状態で体のバランスを保っていますが、無理な姿勢を取ろうとすれば、体は様々な箇所でそれを補おうと緊張を強いられます。
例えば、猫背の場合…頭は前に突き出て、肩から背中にかけ後ろに下がることになります。なだらかなハズのS字状のカーブが大きくカーブすることになるのです。
腰はそれに合わせてバランスを取ろうとするため、腰を反らせた状態になります。すると、腰にも大きな負担がかかり、腰痛になりやすくなるのです。
朝起こる腰痛の原因
では、腰痛のメカニズムを知った上で本題に入りましょう。
なぜ朝に腰が痛くなるのでしょうか。
寝返りが打てていない
寝返りとは、睡眠中に血液や体液の循環を促したり、体温調節をするために欠かせない動作です。日本人の睡眠時間は統計上6~8時間が平均で、この間に30回程度寝返りを打つと言われています。
そして睡眠中は、昼間に酷使した体の筋肉や骨をリセットする大切な時間でもあり、寝返りにはその体をほぐすような役割もあるのです。
寝返りを妨げる原因として・・・
寝具が合っていない
今お使いの布団やマットレスはどのようなものでしょうか?
横になった状態では、ヒトは腰からお尻にかけて重心が集中します。柔らかい寝具では腰の辺りが沈み込んでしまうことになり、寝返りを妨げてしまうことになります。
しかし、これとは逆に硬すぎる寝具では腰が反った状態となり、また腰に負担をかけてしまうことになります。
寝具は硬すぎず、柔らかすぎず…自然と寝返りが打てる体に合ったものが理想的だといえます。
枕が合っていない
体が寝返りを打とうとする時、当然頭も体に合わせて動くことになります。
頭が枕に沈み込んでしまうと、頭が自由に動かすことができず寝返りにも影響してしまうことになります。
”低反発”という言葉は、最近ではとても馴染みのあるものとなりました。体に気持ち良くフィットするということで一気に人気となり、枕やクッション等でも数多く販売されています。しかし、これにもメリット・デメリットがあります。
メリットは体にフィットするということで心地よさが抜群ということです。しかしデメリットは、耐久性があまり良くないために反発力が低下しやすいということ、体の重心に合わせて沈み込むために体の負担になることがあるということが挙げられます。
低反発が一概にダメとは言えませんが、腰痛には低反発はあまり向かないようです。寝具や枕は毎日使うものであるため、老朽化も早いようです。定期的なメンテナンスを心がけましょう。
腰まわりの血行不良
睡眠中は体温が下がることをご存知だったでしょうか。
ヒトは日中、脳と体が活発に働きオーバーヒートを起こしている状態です。それが夜になると、活動も落ち着いて自然と体温が下がっていき、睡眠中はさらに下がり早朝に一番低くなります。
体温が下がることで、自然と血行の流れも落ち着くことにります。
しかし、運動不足などで筋肉が衰えてしまうと代謝が滞り、脂肪がつきやすくなります。脂肪は体を冷やすため、腰回りの筋肉の衰えや脂肪の付きすぎによって血行不良となり、腰痛を引き起こすことになります。
就寝前の食事や間食
腰回りには内臓が集中しています。内臓が活発に働くと腰回りの筋肉は緊張状態になります。
寝る前に食事を摂った場合、未消化で内臓に負担がかかったまま眠りにつくことになるので、寝ている間も筋肉に緊張がかかり筋肉の疲労へとつながります。
すると、目が覚めてからも腰が痛い、ということになるのです。
朝起こる腰痛の対処法
それでは、対処法をご紹介します。
寝具を新調する
現在ご使用のマットレスや枕が明らかに体に合っていないと感じられている方や、老朽化が進んでいるとお気づきの方…この際思い切ってそれらを新調してみましょう。
高いものがいいとは限りません。高いものにはそれだけの良い理由が存在するはずですが、ご自身の体に合うかどうかが何より肝心です。
色々と他の対処法を試してみても、結局寝具が原因であれば意味がなくなってしまいます。
体に合うかどうかは実際にお店で試してみましょう。
寝た感じの寝心地も大切ですが、長時間の睡眠での体に対する効果が大切です。少し横になったまま、体の沈み具合や寝返りを打ってみた感じも忘れずチェックしてみてくださいね。
軽い運動を取り入れる
腰回りの血行不良には軽い運動やストレッチがおすすめです。けれど、運動したらいいのは何となく分かっていても、そんな時間はないし正直面倒くさかったり…
新しいことはちょっとした勢いで始められても、それを継続させるには相当な根気が必要となってきます。
そこでオススメなのが、「ながら運動」です。
- テレビを見ながら…
- 歯を磨きながら…
- オフィスの椅子で座りながら…
普段の習慣となっている日常で、簡単な運動をあくまで”ついで”に行うのです。気構えなく、まずは無理なく始めてみましょう♪
①腰回し運動+歯磨き
その名の通り、腰を回すだけの簡単運動です。
≪方法≫
- まず、立ったままで腰の幅程度に足を開きます。
- 足を固定したままその場で腰をゆっくりぐるぐると回します。
たったこれだけです♪イメージはフラフープをするような感じです。この時、膝はフラットな状態で柔らかく使うことがポイントです。
≪目安≫右回しx10回、左回しx10回・・1日3セット
その他料理の合間など、気づいた時にすぐできちゃいます。
②腰回し運動その2+テレビ
これも同じ腰回し運動ですが、少し体勢を変えておこないます。
≪方法≫
- まず、四つん這いの姿勢になります。手のひらは肩から真下の位置、膝は足の付け根から真下の位置にそれぞれ固定します。
- その姿勢のまま、腰を大きくゆっくりと回します。前から後ろにかけて、円を描くようなイメージです。
この運動は骨盤の調整にも効果的です。
≪目安≫右回しx10回、左回しx10回・・1日3セット
③寝ながらストレッチ
寝たままの状態で簡単にできるストレッチです。寝る前や朝目覚めた時におこなうのがオススメです。
≪方法≫
- 仰向けの状態で、一度ゆっくり息を吐きます。
- 息を吸いながら右膝を軽く曲げて両手で右膝をそっと持ち、息を吐きながらその膝をゆっくり胸に近づけていきます。
- 気持ちいいと感じるところでキープしたまま、ゆっくり3回呼吸をしたら、ゆっくり右足を戻し、同じように左をおこないます。
- 左も行ったら、次は両足をおこないます。
ポイントは決して無理をしないことと呼吸です。筋肉は息を吐いた時に緩みます。腰からお尻にかけて、気持ちよ~く筋肉が伸びていくのを感じながらおこないましょう。
激しい運動よりも、毎日少しずつストレッチをおこなう方が効果的ともいわれています。まずは「ながら運動」から始めてみませんか?
ゆっくり入浴をする
入浴は血行を促進させる、最も簡単で効果的な方法です。
ゆっくりと湯船に浸かることで、水圧による軽いマッサージ効果があるだけでなく、副交感神経というリラックスな状態で優位に働く神経が活発になることで、筋肉や緊張もほぐれます。
夏場でもクーラーなどの刺激で体が冷えることで腰回りの血行不良につながるため、できるだけ夏場でも湯船に浸かることをオススメします。
食事は3時間前に済ます
食事をした後は胃腸が活発に働き、腰回りの筋肉にも緊張を与えます。
睡眠時は消化機能が低下するものの、消化は続きます。すると、胃腸や腰回りの筋肉に負担がかかるだけでなく、体のエネルギーが消化に費やされるため、睡眠を妨げたり血液の循環が悪くなる原因となります。
食後すぐ寝ることで、太りやすくなったり、血液が体の隅々に行き渡りにくくなって脳卒中のリスクが高まる可能性があります。なるべく決まった時間に早めの食事を心がけましょう。
姿勢を意識する
いつも寝る姿勢がうつ伏せという方は、注意が必要です。なぜならうつ伏せでは腰が反った状態となり、常に腰に負担がかかることになります。また、寝返りも打ちにくくなります。
普段の姿勢では、いつも同じ姿勢や無理な体勢を取っていると、その部分の筋肉がいつも緊張した状態になり血行不良を起こしやすくなります。
昼間はそれでも歩いたりして筋肉を動かしている為気づきにくいものの、夜になって急に筋肉を動かさなくなると痛みとして表れることがあります。
普段の何気ない姿勢が腰に負担をかけているかもしれないので、普段の姿勢をまずは意識してみましょう。
ここまでいくつか対処法をお伝えしましたが、朝に腰が痛くなるという、まだ腰痛としては軽度の状態の方向けです。
夜だけでなく一日中痛みが続くような場合や、我慢できないような激しい痛みの場合は、無理な体勢や運動は絶対に控えて早急に専門医で診察を受けましょう。
まとめ
朝から腰痛に悩まされると、スッキリと目覚めることができなかったり、一日を気持ち良くスタートできなくなってしまいます。
少しでも早く、みなさまの腰の痛みが解消されることを願っています。