先入観ってどういう意味?メリットやデメリット、改善する方法を紹介!

皆さんは、仕事場や友人との会話の中で「先入観(せんにゅうかん)を持たない方がいいよ」とアドバイスを受けた経験はありますか?先入観とは持たない方がいいと思われがちですが、人は誰しも先入観を持っており、これが機能することで膨大な情報量を脳で処理出来るようになります。

しかし、誤った先入観を持ってしまったり、他の意見を聞かないという凝り固まった観念を持ってしまうと、人間関係の構築が上手くいかなかったり、最終的には視野を狭めてしまうことで様々なチャンスを失う原因にもなります。ここでは、先入観について詳しく記事にしていきたいと思います。

先入観について

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先入観と一言で言っても、悪い場合もあれば良い場合もあります。人は誰でも少しの情報で物事を捉える術を持っており、その先入観のまま物事を判断してしまうと、後々大きな影響を与えることになります。

先入観とは何か、先入観のメリット・デメリット、先入観の強さについてご紹介します。

先入観とは?

実際の体験に先立って,ある特定の対象に対してもつ主観的価値判断。体験に先立つ歴史的,社会的,宗教的など種々の要素によって形成され,好意的な場合と悪意のある場合とがみられる。

参照辞典:ブリタニカ国際大百科事典小項目事典

先入観とは、人が前もって抱いている主観的な価値観です。直接対象のものに出会う前に、他の人の言葉やメディアの情報、書物から得た一部の情報を基に、対象のものに対する態度を決めたり、把握することです。情報が不十分な為、誤った認識をする場合が多くあります。

先入観は全てが間違っているわけではありませんが、不十分な知識から導き出されている為、 妥当性に欠ける評価や判断の原因となります。類義語では先入主が挙げられ、固定観念や偏見などの似たような意味を持つ言葉もありますが、これらは意味が若干異なります。

固定観念や偏見は先入観の中の一部に含まれているもので、初めに先入観を持ってから時間の経過とともに、 固定観念や偏見へと変わっていきます。それぞれの解説や例文を見ていきましょう。

先入観

最初に得た知識によって形成される観念です。初めての経験や体験やメディアの情報などちょっとした情報源を頼りに観念を持つことを先入観と言います。これにより、自由な思考が妨げられる場合があります。

■例文

  • イスラム教徒がテロを起しているというメディアの報道は、イスラム教徒に対して誤った先入観を持たれる。
  • 女性の多くはワインはオシャレで日本酒はダサいという先入観を持っている。
  • アメリカ人はハンバーガーを毎日食べいるから太っていて、自己管理が出来ていないという先入観が邪魔をして正しく判断できない

先入主

先入主の意味は先入観と同様に、最初に得た知識によって形成される観念です。先入観よりも古風ないい方です。

■例文

  • 韓国人はキムチばかり食べているという先入主を抱く
  • 先入主を捨てて、正しく物事を判断しましょう
  • 喫煙者に対して、だらしがなくバカだという先入主を持つのは仕方のない事だ

固定観念

自分は間違っているという認識があるにも関わらず変えることのできない観念、こうに違いないと凝り固まった思考をすることです。ステレオタイプとも呼びます。

■例文

  • 男性は外で働く、女性は家にいるという固定観念を持つべきではない
  • 平成生まれはゆとり世代だから、根性がないという固定観念は捨てるべきだ
  • 携帯電話は若者に悪影響を与えるから、買い与えるのはよくないというのは固定観念だ
  • クレジットカードを持つのは借金をするのと一緒だと言う固定観念を持つ父親

偏見

先入観の中でも悪意のある観念です。国、人種、宗教などで物事をくくってしまい、差別的な考え方を持ち合わせています。

■例文

  • イスラム教徒の人を見たら、テロリストだと思ってしまうのは偏見だ
  • 中国人はマナーが悪いので嫌いだ
  • ユダヤ人は拝金主義者だ
  • アフリカ系アメリカ人(黒人)は暴力や犯罪を犯しやすい

先入観のメリット・デメリット

先入観のまま判断してしまうことでデメリットになることが多いですが、先入観を持つことは私たちの日常生活で重要な役割を果たしています。ここでは、デメリット、メリットについてご紹介します。

メリット

人にとって先入観を持つことは大切な事です。人の脳は1日の中でも、膨大な量の情報を処理する必要があります。様々な物を見たり読んだり聞いたりして、たくさんの情報を処理し、その中から必要な情報と必要でないものに情報を精査して、必要なものはインプットしておきます。

この作業をするだけでも、脳は多くのエネルギーを使っています。そして、何かが起きた時に瞬時に選択と判断を繰り返しているのです。しかし、多くを情報処理するのは大変な作業の為、脳の中で先入観を持ち、処理を簡単にするようにしています。

例えば、窓を見たときに窓を開けようと思うのは、脳が過去の経験や情報を検索した結果を基に行う行為です。過去の経験や情報がなければ窓を見たら「これはどうするものなんだろう」と考える必要が出てきます。

このように人には先入観が備わっているからこそ、脳の負担を軽くする事ができ、経験豊富になればなるほど、先入観の数も増えていきます。

デメリット

先入観を持つことは人が生活する上で欠かせないものですが、時には逆効果になる場合があります。それは、一部の情報で形成された先入観を持ったまま、それを正しいと思い込んでしまい、誤った判断をしまうことです。これは、心理学用語で「確証バイアス」と言われています。

この確証バイアスとは、何かを判断する際に、自分に都合のいい情報を集めてしまうことです。詐欺にかかりやすい多くの人が確証バイアスにかかっていると言われ、リスクを見ないようにして、自分の都合のいいように解釈してしまうために詐欺にかかりやすくなります。

「これをやれば誰でも簡単に儲かる」「すぐに300万円稼ぐ方法」「無料で登録して必ず商品が貰える」など怪しい広告を見ることがあると思います。始めは何だか怪しいなという気持ちが少なからずあるのにも関わらず、話を聞いてみると、すぐに人を信じてしまう傾向にあります。そして、自分はいい判断をしていると思う為に、もともと持っていた怪しいという気持ちや考えられるマイナス要素を排除します。

また、先入観が固定観念や偏見に変わってしまうと、人との付き合い方にも影響が出てきます。人の意見に耳を傾けずに、柔軟に対応が出来なかったり、周りから頑固ものと思われてしまいます。他にも、宗教や民族、国などの括りで人の事を瞬時に判断、評価してしまうと、人種差別とも捉えられてしまいます。このように先入観が悪い方向に働いていしまうと、人に不快な思いをさせたり、判断ミスが多くなったり、チャンスがなくなる原因になるので注意が必要です。

先入観の強さについて

ある心理学の実験で先入観の強さが分かる興味深い研究結果があります。この実験ではAとBの2つのグループに被験者を分けて、ある人の性格の特徴について話しました。Aのグループに「その人は知的で、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い」と伝え、Bのグループには「その人は、嫉妬深くて、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的」だと伝えました。

これは、伝えている情報は同じですが、話す順番が異なります。Aは長所を先に話して短所を後に話しており、一方Bのグループでは短所を先に話して、長所を後に話しています。この後に、この人の性格に対して各グループで話あってもらったところ、Aグループでは、この人の性格はいい人と結論づけたにも関わらず、Bグループではこの人は性格の悪い人だと結論付けました。

この実験結果から、人は最初の情報を過度に重視してしまう傾向にあり、後から出てくる情報に対しては、注意力が失われてくると考えられています。その為、人は断片的な情報であったとしても、初めてもつ印象や情報などから、人や物事の良し悪しを形成してしまう傾向にあり、その後に重大な影響力を持ちます。

また、初めにいい印象を受けたものが悪い印象に変わる事は、なかなかありませんが、悪い印象があったものからいい印象に変わるのには時間がかかると言われています。その為、この初めて持つ第一印象というのはとても重要であるともいえます。

先入観に捉われない物の判断をする為にするべき事

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先入観は人間誰しもが持ってしまうものではありますが、間違った先入観を持ったり拘ってしまうことで、判断ミスをする可能性が高くなります。

ここでは、誤った先入観を持たない為、先入観に捉われない物の判断をする為にするべき事をご紹介します。

自分を疑う気持ちが大切

先入観で失敗を起さないようにするには、自分自身に疑いを持つことです。特に大事な判断をしなければいけない時には、周りに聞いてみることをオススメします。例えば、何か契約をしなければならない時、身内や自分の周りにいる詳しい方に一言相談しましょう。

客観的に物事を見ることで、リスクに目を向けられるようになり、判断をするのに慎重になります。これを繰り返すことであらゆるリスクを想定した上で、判断する事ができるようになります。年を重ねれば重ねるほど、先入観が強くなり、更に自分は間違っていないという凝り固まった固定観念を持ち始めます。

周りから頑固者で聞き分けがないと判断されると、呆れられてしまう原因にもなる為、素直に周りの意見に従ってみるという事も重要です。時には、多数決をとってみて回答数の多い方に意見を寄せてみるくらいの気軽な気持ちを持ってみましょう。

相手の話に耳を傾ける

誤った先入観を持っている人は、偏見や固定観念の部類に入ります。そのような方は他人の意見に耳を傾けることが難しく、自分の意見を押し通そうとする傾向にもあります。まずは人の意見に耳を傾けるように努力しましょう。

どうして、この人はこういう意見を持っているのか、疑問があれば素直に聞いてみましょう。しかし、自分の意見は押し通すのではなく「私はこう思うけど、あなたの意見も間違っていないと思うわ」と相手の意見に対しても敬意を示すことで、人間関係も良好に築くことができます。

また、外国人に会った時に「黒人は苦手」「白人は嫌い」などという印象を持ってしまうと、仲良くなれるものも仲良くなる事ができません。相手のことを知ろうとする努力をする事が重要です。国や人種、宗教などで人をくくってしまうのではなく、1人の人間として人を見るように心がけましょう。

価値観の違う人と話す

誤った判断をしない為には、自分と違った価値観を持つ人と話してみるのオススメです。価値観が違う人と話すと、ぶつかりあってしまう事も多い為、どうしても敬遠しがちになります。しかし、誤った判断をしない為に重要な事は、1つの観念に拘らないことです。

1つの観念にこだわりを持つと、価値観の違う人と話しをした際に必ず衝突してしまいます。しかし、人は十人十色であり、様々な違った意見を持ち、全く一緒という事はありえません。そして、人の意見には正解というものがなく、色んな事が正解であり、それに賛同する人もいれば、しない人もいるというだけです。

そのような違う価値観の人たちと話をする事に面白さを見出せれば、広い考えを持つことが出来、更に自分の価値観も磨きがかかり、成長することができます。人と衝突しないようにするには、相手の意見を否定せずに受け入れることが重要です。「こういう考え方もあるんだな」「こういう人たちもいるんだな」という気持ちが大事で、正解に拘らないようにしましょう。

読書をする

違った価値観や新しい物の情報というのは、本を読むことで手に入れることが出来ます。人の体験談を読むことで、違った価値観を手に入れることが出来るので、手軽でオススメです。色んな人の人生、考え方を知ることで、自分の価値観が変わるきっかけになります。

本を選ぶときには、自分の好きな著者やカテゴリばかりを選ぶのではなく、今まで選んでこなかったジャンルについても手を出すことで先入観から抜け出すことができます。今ではインターネットでボタン1つで新品の本や中古品の本をカートに入れて購入することが出来ます。空いた時間を利用して、本を探してみてはいかがでしょうか。

また、先入観に関する有名な著書には、武田邦彦さんの「先入観はウソをつく 常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法 (SB新書)」があります。このような先入観に関する本を読むことでも、少しずつ視野を広げるきっかけになります。

出会いの場所に行く

今まで自分が築きあげてきた交友関係の中でだけでは、新しい発見をする可能性は低いです。その為、出会いのある場所に出向くことで、新しい人と繋がることができ、そこから新しい発見をできるチャンスが広がります。

例えば、習い事を始めたりSNSなどのコミュニティグループに参加してみるのが簡単でオススメです。興味のある題目に対して他の参加者の視点を聞くことができます。また、疑問がでた場合にSNSの知恵コレなどの質問サイトを利用して、疑問を投げかけてみるのもオススメです。

SNSの場合は信頼がおける人の意見ではありませんが、自宅ですぐに他の人の意見を聞くことが出来ます。自分の行動次第で価値観を磨くことが出来ます。殻に篭らずに積極的に外に出ましょう。

海外旅行へ行く

自分の価値観が大きく変わるきっかけになるのは、海外に旅行に行くことです。今まで日本の中では常識であったことでも、海外に行くと非常識になったり、常識が通用しない場合も多く遭遇します。

自分が今まで築いてきた常識が新しい世界で覆されることにより、新しい価値観が生まれたり、他の文化を受け入れられるようになります。日本人観光客が多い観光地に行くと、日本のお客様向けのサービスもあり、日本語も喋れる方が多くいるので、あまり大きな変化を受けることができません。

観光地だけでなく田舎町もまわったり、ツアーを利用せずに1人で旅をしたり、日本人が少ない場所を選ぶのがオススメです。新しい文化や考え方を知ることで貴重な体験ができ、新しい価値観を生み出すことが出来ます。

短所と長所を見つける

何か物事を判断するときには、長所と短所を挙げる癖をつけるようにしましょう。例えば、街中でオシャレな洋服を見つけたときに「これ欲しいな」とついつい衝動買いをしてしまう方もいると思います。この場合、確証バイアスがかかってしまい、服のいい部分しか見えなくなっています。

いいところしか見ずにすぐに判断して購入してしまうと、帰った時に後悔してしまう場合もあります。その為、パッとみて瞬時にいいなと思ったものでも、悪い部分も考えてみることが重要です。

例えば、「この洋服、可愛いけど流行ものだから今年しか着れないな・・・今年だけと考えると値段が高いな」といった事を考えましょう。長所と短所の両方を並べた上で、それでも欲しいと思った時に購入することで、先入観だけで購入するのではなく、きちんと考えた上で購入することが出来るようになります。

恋愛をする

人と恋愛をすることも先入観をなくすポイントの1つです。恋愛をすると「人を好き」だという感情から、自分以外の考え方を受け入れやすくなります。分かり合えない部分ももちろん出てきて、喧嘩になってしまうこともあります。

しかし、2人の関係性を上手く進めるためには、どうすればいいのかと考えながら進んでいくことで、誤った先入観がなくなっていきます。

固定観念をもったまま恋愛を進めていくと、必ずどちらかに無理が生じていきます。お互いが自分の言いたいことを言いあい、相手を受け入れる事が出来るようになると2人の絆もどんどんと深くなっていくでしょう。

おわりに

先入観を持たないという事は難しいことですが、先入観に捉われない判断をすることはできます。そのような考えを持つには十分な知識をつけたり、他の意見をたくさん聞いたり、色んな角度から物事を見れる力をつけて、自分の価値観を養うことが重要です。

今回ご紹介した先入観に捉われない物の判断をする為にするべき事を是非、試してみて下さい。

  
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