季節を問わず、脇がかゆくなることがありませんか?女性の場合は、脱毛処理もするデリケートな部分なので、かいてしまうと肌トラブルを起こしやすくなります。
また、男女問わず脇をかく行為は大変見苦しい行為で、人前でするのはマナー違反です。脇のかゆみに関する悩みを解決するための、役立つ情報をお届けします。
日常生活に原因がある脇のかゆみ
脇がかゆいという、人に知られたらちょっと恥ずかしい悩みは、早く解決したいものです。まずは焦らず、脇のかゆみの原因を突き止めましょう。ここでは、日常生活に原因があるときの、よくあるパターンをご紹介します。
脇の汗をそのままに
脇は、両腕の付け根のすぐ下にあり、体側とひじの間にあります。肌と肌が直接密着していることが多いため、冬でも汗をかきやすい箇所です。汗をかいたまま放っておくと、肌の保温成分が蒸発してしまい、脇の皮膚が乾燥してしまいます。冬場の乾燥肌がかゆくなるのと同様に、脇も乾燥するとかゆみを生じます。脇の汗をかいたときは、ハンカチなどでこまめにふき取るようにしましょう。
汗を吸いやすい綿などの生地ではなく、おしゃれなシースルータイプなど汗を吸わない生地が脇に当たる場合は要注意です。多くのシースルータイプで見られる通気性の少ない生地だと、冬場でもかなり脇汗をかいてしまいます。汗をかいてそのままにしておくと、臭いの原因にもなります。
制汗スティックの使用によるかぶれ
近年、脇がかゆいと皮膚科を受診する人の多くが、共通して使用しているものがあります。それは、数年前に海外から日本にも入ってきた制汗スティックです。スプレーよりも肌にぴったりと密着するため、「臭わない」効果は高いのですが、その分皮膚トラブルを招くリスクも高いのです。制汗スプレーを使っていたときは何でもなかった、という人も多いです。
初めて制汗スティックを使用するときは、まずは皮膚の目立たない所でバッジテストをして様子をみることをおすすめします。そうはいっても、使い始めは大丈夫でも、徐々にかゆくなってしまう人も多いのです。肌に合わないと感じた時点で、使用はストップして皮膚科を受診しましょう。
脇の皮膚のカミソリ負け
毎日のように脇を剃っていると、つい何も考えず乱暴に剃ってしまいがちです。出血して気付く場合もありますが、脇のカミソリでのお手入れは毎日のことなので鏡を見ないで剃ってしまっている人もいます。その場合、脇をカミソリで傷つけてしまっていても気付かないことがあります。カミソリの刃が古くなっていたり、毛の流れに逆らって無理やり剃ると、皮膚を傷つけてしまいます。
丁寧にカミソリを扱っても、脇の皮膚はデリケートなので毎日剃っていれば皮膚はダメージを受け、敏感肌になってしまうこともあります。敏感肌になると、ちょっとした刺激でかゆみを覚えます。脇が隠れる服を翌日着ることがわかっているときや外出しないで家で過ごす週末は、カミソリでのお手入れをお休みできるといいでしょう。また、脇の脱毛処理後は保湿クリームでお手入れすることも、忘れずに行いましょう。
病気が原因の脇のかゆみ
脇が不衛生な状態が長く続いたり、カミソリでできた傷を放置して雑菌が入ってしまうと、病気を引き起こしてしまうことがあります。一層かゆみを招いてしまう原因となる、脇のトラブル・病気を挙げていきます。
炎症を起こしているケース
乾燥や切り傷がかゆいからと掻いてしまうと、爪で皮膚をよけいに傷つけてしまいます。脇は湿気がこもりやすいため、傷ができるとなかなか治らず、化膿しやすいのです。しかも、鏡を使ってよく見なければ肉眼で直接確認することが困難な箇所なので、気付かぬうちに炎症が進行していることが多々あります。炎症を起こすと、よけいにかゆみが増して、我慢していても夜寝ている間に掻いてしまい、どんどん悪化させてしまいがちです。
こうなると、とびひになって全身に広がる可能性もあるため、早く皮膚科を受診する必要があります。炎症やかゆみを抑える医師処方の塗り薬は即効性のあるものが多く、慢性的ではない症状には大変効果があります。「こんなに早く治るなら、すぐに皮膚科に行けばよかった」と言う人が多いので、かゆみがつらいときは予定を変更してでも、皮膚科受診を優先することをおすすめします。
カンジダ症
カンジダとは、空気中にも存在する真菌といわれるカビの一種です。健康な人には常在している菌ですが、風邪を引いていたり寝不足、栄養不足などで免疫抵抗力が衰えていると、感染症を起こしてしまいます。カンジダ症とは、カンジダ菌が原因で起こる病気全般をいいます。カンジダ症は、性病のイメージが強い人もいますが、口の中、皮膚、爪、気管支、肺などにも症状がでることがあるのです。
カンジダ症になると、治療をしない場合でもいつかは自然治癒するといわれますが、数週間かそれ以上かかることもあります。その間に、かゆみに耐えられず掻いてしまい、炎症を起こして別の病気を招いてしまうこともあるので、やはり皮膚科医を受診するべきです。脇のかゆみが治まらないときはカンジダ症の可能性も視野に入れてみましょう。皮膚科で処方してもらう薬を服用することで、症状は数日早ければ1~2日で治まります。
カンジダについては、カンジダの自然治癒させる方法は?症状や原因についても!を読んでおきましょう。
あせも
脇は汗をかきやすく、湿気を逃しにくいので、あせもを生じさせやすいのです。
あせもは、汗が皮膚表面に出ずに皮膚の内部や汗管に残ってしまうことによって生じる発疹です。赤みを帯びてかゆみを伴う紅色汗疹の場合は、湿疹化することもあります。放置しておくと、二次感染を招いてさらに深刻な膿疱性汗疹を引き起こしてしまうこともあるので、「ただのあせもだから大丈夫」と甘く見ないようにしましょう。
あせもによるかゆみ止めは市販薬でも出ていますが、先に説明したカンジダ症など他の原因も考えられるので、やはりこの場合も皮膚科を受診した方が安心です。通常のあせもであれば、保湿成分も含んだ非ステロイド薬や、症状がひどい場合に即効性があるステロイド薬などを症状に応じて処方されます。
詳しくは、あせもの原因と種類について!症状を見極めよう!を参考にして下さい。
アトピー
日本はアトピー患者がとても多く、子供だけでなく大人になってから発症するケースや、一度完治したと思っても大人になってときどき発症するケースなどさまざまです。
脇は、アトピーの症状がもっとも出やすい部位の一つです。もともとアレルギー反応を起こしやすい人は、脱毛やカミソリでのムダ毛の処理や、制汗剤の使用などでもアトピーを発症しやすくなります。「冬でも全身お手入れを」「服で隠れていても脇のムダ毛は処理して」といった美容本の文句などに惑わされず、かゆみの症状が出ているときは脇への刺激は極力なくすべきです。
アトピーは根本治療法がまだ見つかっていないため、対処療法になります。皮膚科医を受診して、症状に応じた薬を処方してもらいます。塗り薬が基本で、症状がひどいときはステロイド薬が出されます。ステロイドはこわいから使いたくない、という人もいますが、これは誤解です。ステロイドを使用すると皮膚の赤みが取れなくなるというようなことはなく、早くきれいに治す即効性のある薬です。長期間使用することで懸念される副作用はありますが、皮膚科医の処方のもと正しく使用していれば問題ありません。
むしろ、アトピーを治療せずに掻いてしまうことが、皮膚を赤黒くしてしまう原因となるのです。
脇のかゆみ対策
脇は普段は洋服で隠れていますが、男女問わず人の脇は意外と目についてしまうものです。夏、水着になるときだけでなく、オフィスで書類を渡そうと腕を上げたときなど、服の間から脇が一瞬見えてしまうこともあります。
脇がかゆみで荒れて赤くなっていたり、発疹があると気になって、夏場は特に外出が億劫になってしまいがちです。早く脇のかゆみとサヨナラするために、日常的に簡単にできる脇のかゆみ対策をご紹介します。
ぬるめのシャワーで流す
脇がかゆいと、ついつい体を洗うスポンジでゴシゴシしたくなってしまいます。でも、これはさらにかゆみを助長する行為なので、絶対にやめましょう。
また、熱い湯はかゆみを余計に感じさせるので、ぬるめのお湯で脇を流すようにしましょう。顔を洗うのと同じように、肌にやさしい弱酸性や低刺激のせっけんやボディソープを、手でしっかり泡立ててから脇にのせ、泡を動かすイメージで脇をそっと洗います。長い間洗うと、それもまた刺激になりますので、数秒で構いません。洗う時間よりも、流す時間に時間をかけましょう。洗浄成分が残っていると、これもかゆみの要因になるからです。
1日1回の入浴時に限らず、夏場の暑さで脇がかゆいときは、外から帰ったらシャワーを浴びて汗を流すようにすると効果的です。時間的にそれはできない、という人は低刺激のウェットティッシュでやさしく脇の汗をふきとるのも良いでしょう。
このとき、脇に中途半端に水分が残ったままにしていると、乾燥によるかゆみの原因となります。ウェットティッシュで脇を拭いた後は、しばらく両手を上げて自然乾燥させるか、ハンカチなどで水分を拭き取りましょう。
脇の保湿を怠らない
乾燥がかゆみを招くことは、先にご紹介しました。女性の脇は、お手入れのために毎日のように刺激を受けることが多いので、皮膚のバリア機能が奪われていることもあります。
顔や手も乾燥すると、かゆくなりませんか?そして乾燥を防ぐために、大半の女性は化粧水や乳液、クリームなどで顔はお手入れしているでしょう。顔や手と同じように、脇も乾燥によるダメージを補修するためのケアをしてあげましょう。脇だけの特別なクリームなどでなくても、敏感肌用の化粧水や乳液を脇にも使用できます。既に顔に使用しているものであれば、肌トラブルの可能性も低いので安心して使用できます。
ただし、アトピーやあせもなど発疹があったり、赤みやかゆみが既にひどいときは市販の保湿剤を使うことで症状を悪化させてしまうことがあります。この場合は、皮膚科医を受診・相談して、専門医の指示に従って適切な治療を受けるようにしましょう。
まとめ
脇がかゆいと、無意識に人前でも掻いてしまっていることがあります。
家族や友人でも指摘しずらいことなので、これは自分で意識して気を付けるようにするしかありません。言わないだけで、周囲は気付いているものです。かゆいだけだから、と我慢することなく早めに皮膚科医を受診するようにしましょう。乾燥によるかゆみであれば、自宅で保湿を中心としたお手入れをすることで改善、予防することができます。
あせも、アトピー、カンジダ症、その他の炎症は皮膚科で症状に応じた薬を処方してもらうことが、一番早くかゆみや赤みを抑え、元の健康な脇に戻す近道です。放置すると悪化の一途をたどることもありますので、脇のかゆみが長引いているときは、一刻も早く皮膚科に足を運びましょう。