小さい子供が発症することが多い、手足口病は、大人も感染することがあるって知っていましたか?その発症は9割が5歳以下の子供に発症するもので、そんなイメージになりがちですが、これが大人に感染した時に重症化してしまうケースがあります。
同じような子供が良くなる病気で大人が発症すると重症化するものにはりんご病などもあります。いずれもイメージが子供のかかる病気なだけに、甘く見がちですよね。しかし思わぬ危険な目に合ってしまうかもしれないのでその前に予備知識を蓄えておき、対処できるようにしましょう。そして、手足口病気対しての危機感も持っておきましょう。
今回はそんな大人が感染すると重症化する危険性のある手足口病についてまとめてみました。
手足口病ってどんな病気?
まずは基本的な手足口病に関する基礎知識からおさらいしていきます。
手足口病とは?
手足口病とは、主に5歳以下の乳幼児に多く発症するウィルス性の感染症です。
その症状、口の中や手足などに水疱のような痛みを伴う発疹ができることから、手足口病と呼ばれるようになりました。原因となるウィルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)といわれています。多くが初夏から初秋にかけて発症します。その為夏風邪の一つとしても認識されています。ウィルス性の感染症のため、治療の薬はなく、多くが対処療法になります。また子供の場合は発熱もさほど高熱にはならず、およそ1週間から10日ほどで完治します。
この手足口病は、多くが子供の罹る疾患ですが、稀に大人にも感染することがあります。そのときは注意が必要です。なぜなら子供ではあまり重症でない症状も大人が感染すると、比較にならないくらい重篤化する危険性があるからです。
大人が感染するとどうなるの?
手足口病が大人に発症すると、どの様な症状が現れるのでしょうか。大人に現れる症状を紹介します。
手足口病の症状
手足口病の症状には下記のようなものがあります。また手足口病には原因となるウィルスが何種類か存在するので、そのウィルスの種類によっても症状は変わってきます。
・のどの痛みや発熱
発熱といっても、子供の場合はさほど熱は上がらないことが多いといわれています。しかし中には高熱を出す場合もあるので注意が必要です。
大人が感染した場合は、高熱になることが多く、40度近くの熱が出る人もいるそうです。
・脱水症状
口にできた水疱や口内炎が原因で、食べることが困難になる場合があります。水分も取れなくなると、脱水症状を引き起こしやすくなります。
特に病気の時の水分補給には経口補水液やスポーツドリンクなどを飲むようにしましょう。
・全身の倦怠感
全身がだるく、重く感じ、集中力が低下します。常にぼーっとしてしまうので、このようなときには無理をせず、車の運転なども避けましょう。
・食欲不振
全身の倦怠感や口にできた口内炎や水疱により、食欲不振になる場合が多いです。口に出来るものを少量づつでも摂取するようにしましょう。
固形物を摂取することが困難な場合はゼリーやプリンなどで胃に食物を入れ、他にも免疫力を高めるためにサプリメントや栄養剤で栄養補給をするようにしましょう。
・痛みを伴う水疱ができる
口の中や足の裏など、痛みを伴う水疱ができると、食べたり、歩くことが困難になります。
大人の感染の場合は、足の指や手のひら、足の付け根や膝の裏などの部分にも水疱ができる場合があります。人によっては首筋やわき腹など、全身に発生する場合もあります。
・口内炎
人によっては口内炎が口の中に多数でき、さらに食べることが困難になる場合があります。大人の手足口病では特に多く見られ、多い人では舌や唇や喉など口内全体に10個以上の口内炎が出来る場合もあります。
もっと多い人では50個近くの口内炎が出来ている人も居り、食事が困難になるほど症状が現れることがあります。つばを飲み込むことすら困難になるので、もしこのような症状が出たらゼリーなどの流動物で何とか栄養を補給するしか無いでしょう。
・嘔吐
人によっては、嘔吐の症状が出るそうです。嘔吐によって水分が外に排出されるために脱水症状になりやすくなります。嘔吐の症状があるときは水分をこまめに取り脱水症状にならないように気をつけましょう。
・頭痛
頭痛や悪寒などを感じる場合があります。頭痛の場合、あまりにもひどいときは髄膜炎の可能性も考えられるので、気になったらすぐに医療機関に受診するようにしてください。
・筋肉痛
風邪やインフルエンザなどで高熱が出たときのように、筋肉痛や関節痛が起こることがあります。この痛みは体がウィルスと戦っているサインで筋肉や関節が痛む際は特に免疫細胞と戦うために炎症が起こることによってこのような症状が体に現れます。
また、必要以上に体を動かさないように、安静にするために体を休めるサインを体に出しているという説もあります。
・爪がはがれる
水疱や痛み、かゆみの症状が治まった後に、手や足の爪が剥がれるという症状が起こることがあります。
このように大人が感染した場合も多くがこのような子供の症状と同じような症状になりますが、時に水疱が増えたり、痛みを多く伴ったり、また高熱が続いたりすることがあります。つまり大人が発症した場合は症状が重くなるのです。さらに、子供に比べ、水疱の出る部分が多くなるようです。
水疱のでるところ
・手のひら・足の裏・足の付け根・膝の裏・口の周り・口の中・お尻まわり・喉の奥・舌の付け根など。
さらに口内炎が多くできることもあり、その場合、痛さで食事やつばを飲み込むことさえも苦痛になることがあります。また足の裏に水疱が出来ると痛さで歩行困難になる人もいるそうです。
そして完治後には、子供は新陳代謝がよいので、発疹後の跡はキレイになるのですが、大人が感染した場合は、跡が残ることもあるようです。
水疱の大きさはだいたい2mm〜3mm程度で水ぶくれの症状は大人にはあまり現れない場合もあります。
潜伏期間
大人の手足口病の潜伏期間も子供のものと同様に、おおよそ3日から7日程度です。発症すると鼻水や糞便などからウィルスが排出されます。その期間はおおよそ2週間から5週間です。
そのため、発症後、症状が治まったからといって、周りにウィルスを巻き散らかさないように気をつけなければなりません。
なぜ大人だと重症化するのか?
一般的に手足口病に大人が感染すると症状が重くなることが知られていますが、どうしてなのでしょうか?
今その明確な原因は分かっていません。しかし、一説に免疫機能が関係しているのではないかといわれています。人間にはウィルスや細菌などが体内に侵入したときに働く免疫機能というものがあります。子供はこの免疫機能がまだきちんと確立される前で、症状は軽く済み、大人の場合は免疫機能がしっかりと確立されているので、より防御反応として症状が重くなるという説です。
また大人の場合は、日頃からのストレスや身体的疲労など、ウィルスが侵入したこと以外のさまざまな原因もあり、ゆっくりと身体を休めることが出来ずに症状を重くしてしまうということもあるそうです。そのため大人が感染した場合は、子供の症状よりも重くなるということを自覚し、早めの安静、休養をとることを心がけましょう。
手足口病の感染経路
手足口病の感染経路には主に3つ感染経路が考えられます。大人への感染は特に子供から感染していきます。感染する経路を知って感染を予防しましょう。
飛沫感染
くしゃみや咳などの飛まつが口から入り感染していきます。特に感染力が強いのが特徴です。この感染は広範囲に及ぶため、感染者がいる空間に一緒にいる場合はそこにいる全員に感染の可能性があります。
感染者がいる場合は特に感染者からの飛沫が空気中に舞ってしまわないように、感染者本人にマスクを着用させることで感染のリスクを減らすことが出来ます。同時にさらに効果を上げるため、自分もマスクを掛けるようにしましょう。
接触感染
患者との接触、粘膜の接触や水疱などの患部に触れたり、同じタオルなど、共有したものからの感染します。このような感染経路はウィルスによるものなので、風邪と同じです。
なるべく皮膚や粘膜の接触をしないように気をつけることが重要でしょう。手洗いを徹底し、回復後にもまだウィルスからの感染は口から1〜2週間、便からは3〜4週間行われるので、十分注意しましょう。
糞口感染
糞便などから排出された病原ウィルスが付くことが感染原因になっています。
また多くの大人の手足口病の感染経路で多いのは、感染した子供のオムツ交換などです。交換した後の手や指の洗浄が不十分で、そのまま日常生活を送ってしまい、食品など口にするものから感染してしまうのです。是非小さなお子さんを持つ保護者はオムツ交換の後の手洗いを徹底するように心がけましょう。
そして大人が感染するときには、疲れが溜まっていたり、過剰なストレスがあったりと心身共に弱っていることが多いです。さらに妊婦などもまれに感染することもあるそうなので、日頃から自分の心と身体のケアを心がけることも大切です。免疫力さえ高く保っていれば手足口病を始め、その他の病気への感染率も低くなりますので、腸内環境を良くするなど、免疫力の向上を目指しましょう。
手足口病の診断と治療法
何種類かある原因ウィルスによって引き起こされる手足口病ですが、どのように診断されるのでしょうか?
もっとも確実な診断方法としては、喉の扁桃腺付近から唾液などを採取して、そこに特定のウィルスが含まれるかどうかを検査する方法です。また採血で血清の抗体反応を見たり、糞便などからウィルスを検出する方法があります。しかし、ほとんどが水疱性発疹の状態や、発症した環境など、周辺の状況などですぐに判断が付くことが多く、このような検査は稀だといいます。
治療法は、ウィルス性の感染症なので、対処療法です。確実な治療薬や予防薬などはありませんので、そのときの辛い症状を緩和させる薬を処方してもらい、自然に治るのを待つことになります。症状の期間については大人の場合は、発症が確認されてから、おおよそ1週間から10日ほどで症状が落ち着くといわれています。ただし、症状が治まっても、鼻水や糞便などからはウィルスが排出されています。その期間はおおよそ2週間から5週間といわれています。症状が治まったからといって周囲にウィルスをまき散らかさないように注意しましょう。
治癒までの経過
手足口病に感染したらどのような経過をたどるのでしょうか?
- 初期症状として水疱がちらほらとあわられます。
- 水泡の発現から1日から2日後に発熱することがあります。
- 発熱から3、4日程度たった後に一般的な手足口病の症状が現れ始めます。
- 10日ほどすると症状が治まり始めます。
- ウィルスが完全に排出され終わるのは、2週間から5週間後になります。
たいがい、10日程度で症状は治まり、完治したようになりますが、ウィルスの排出は続いていますので注意が必要です。
さらにお年寄りや免疫力の低下している人には、髄膜炎や脳炎など合併症を引き起こす可能性もあるので、あまり楽観視せず、症状が重いと感じたらすぐに医療機関に受診してください。早めの対処で楽になります。
感染した場合、外出は?
ウィルス感染である手足口病は、学校や園などで指定されないかぎりは、出席停止の疾患ではありません。大人も場合も会社や学校など出席停止の決まりは無いところが多いでしょう。
しかし、感染経路にもあるように、飛まつ感染や接触感染などがあるため、主に人と関わる仕事や食品衛生に関わる仕事の場合は、会社や学校などに一言報告や相談をしたほうが良いでしょう。自己判断で感染を広げるようなことはやめましょう。またそうでない場合も、感染を広げないようにマスクを着用するなどの配慮は大切です。
困ったときは
もし、思わぬ問題や非常に重症な症状などで困るような事があれば「♯7119」に電話をすると緊急相談センターというところに繋がって医師、看護師、救急隊経験者等の職員などが相談に乗ってくれます。何科にかかったら良いのかとか救急車を呼んだほうが良いのかですとか不安に思った場合は相談に乗ってくれるので、困るようなことが合った場合は電話してみるといいかもあ入れません。
24時間体勢で対応してくれているので深夜などでも相談することが出来ます。
感染しないための予防法
手足口病には、予防する薬や治療薬なども無いために、感染しないように自己防衛が大切です。手足口病に感染しないようにするための予防法はあるのでしょうか?
手洗いうがいの徹底
手足口病に関わらず、さまざまな疾患の予防法として手洗い・うがいはとても効果があります。手や喉についたウィルスや細菌をきちんと洗い流すことで、予防にもなりますし、感染後の症状の軽減にもつながります。
特に感染源である子供への手洗いうがいを徹底させることで自分や家族への感染の可能性を下げることが出来ます。特に子供から子供への感染が最も多いので、子供が外から帰ってきた時は感染者といつの間にか接触しウィルスを持っている可能性があります。
大人に感染する前に子供の段階で感染を予防しておくことが非常に重要で、この予防方法が最も有効でしょう。
共有物は使用しない
あらゆる疾患には潜伏期間というものがあります。症状が出ていない状態でもウィルスは排出されている可能性があります。
そのため、日頃から共有のタオルやコップなどを使用するのは控えましょう。
感染した子供のオムツなどの処理
手足口病に感染する多くの大人が、感染した子供のおむつ交換などでの二次感染です。感染した子供のオムツや食事などの処理などは最新の注意を払ったほうが良いでしょう。また完治してもウィルスの排出は終わっていません。完全にウィルスが排出され終わるまでオムツや食事の処理後などには手洗いやうがいをきちんとしましょう。
また施設など集団生活をする場所では、施設にいる人すべてがこのような予防法について周知徹底することで、感染の拡大を防ぐことができます。
集団生活には注意
学校や幼稚園や保育園などお子さんが多いところに行く場合は特に感染に気をつけなくてはいけません。このような環境に身を置く場合は手洗いの徹底や物の貸し借りなどにも注意しなければいけません。
また、自分や子供が感染しないことも重要ですが、子供や自分が感染してしまった場合これを
まとめ
いかがでしたか?手足口病は子供の軽い疾患と思っていたら、大人が感染するととてもつらいものなのですね。
しかし、日頃からの予防や周りの患者に対する対応の仕方で予防できます。そして普段から生活習慣や食生活をきちんとして、免疫力を上げておくことも大切です。
もし子供がこのような病気になってしまったらまずは感染の拡大を防ぐために最新の注意を払い対処するようにしましょう。軽い病気だと思って軽視していたら思わぬ重症な症状に長期間苦しめられるかもしれません。
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