うどんは消化に悪いの?食べ方のポイントを紹介!

昔から、風邪で寝込んだときなどに、お粥と同様に供されてきたのが「うどん」です。消化にいい、胃腸にやさしいと古くから言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか? 疑問の発端は、最近すっかりおなじみになったシコシコとした歯ごたえのある、讃岐うどんを代表とするコシのあるうどんです。

弾力性があり、少量でも腹持ちがいいことから、サラリーマンを中心に愛されていますが、その太さとシコシコ感から食べるときにしっかり噛まねば、かえって消化に響く? そんな仮説に基づきながら真偽を探ります。

うどんは本来消化の良い食べ物

うどん1

食べ物の三大栄養素と言われるのが、ご飯やパン、うどんなどの「炭水化物」と、バターやマーガリン、植物油などの「脂質」、そして肉や魚、卵などの「タンパク質」です。

このうち、最も消化に時間がかかるのが、脂質と言われています。脂肪の多い肉類や、油を多く使う天ぷらなどの揚げ物などは消化するのに時間がかかり、胃に負担をかけやすいというわけです。これに対して炭水化物は最も消化時間が短く、摂取後にすばやくエネルギーに代わる、体に優しい食べ物だと言えます。

うどんは炭水化物の中でも、ひやむぎやそうめんなどと違い、油を使って延ばすことをしないので、単体で摂取する場合は消化のよい食べ物だと言えるのです。

かき揚げうどんや肉うどんは要注意?

うどん2

炭水化物の中では比較的消化が早いと言われるうどんも、組み合わせや調理法によっては消化に時間がかかることもあります。大人気の天ぷらうどんやかき揚げうどんなど、揚げ物と組み合わせたメニューがその代表例です。

サクサクとした歯ごたえと適度な油分が、あっさりとしたうどんのダシにコクをあたえ、揚げ物の衣も相まって満腹感は絶大です。多くの男性客から選ばれることでしょう。しかし前述した通り、脂質は最も消化が遅く、病気のときや体が弱っているときに揚げ物をプラスしたうどんを食べても、逆効果ということもあります。

また調理した油が古かったりすると、胸焼けなどでは収まらず、吐き気を催すことさえあります。また肉と玉ねぎなどを炒めて甘辛く味付けした肉うどんも、肉のタンパク質の分解・消化に時間がかかるため、病気のときの食事には向きません。

うどんの歴史

そもそも、うどんとはどういった食べ物なのでしょうか。

うどんと日本人の関わり

ここでうどんの歴史をひもといてみましょう。うどんの発祥には諸説あるのですが、奈良時代、遣唐使により中国大陸からその製法がもたらされたという説が一般的です。小麦粉で練った団子状の菓子「混飩(こんとん)」が起源で、今で言うワンタンを表す中国語から転訛して「温頓(うんとん)」から「饂飩(うどん)」と呼ばれるようになったと言われています。

またこれとは別に、かの空海が唐から讃岐(今の香川県)にもたらしたという説や、前述の団子菓子ではなく、中国から渡来した切り麦(冷麦)が日本で独自に進化し、現在のように熱湯で茹で、つけ汁で食す文化に発展したという説もあります。

神社や寺院の門前町で発展

遣唐使の多くは僧侶であり、彼らが当時の日本に持ちかえった産物はさまざま。うどんの原材料の小麦粉もその一つといわれ、今でもお寺の修行では、修行僧がひたすらうどんを食べる修業が行われているほどです。

仏教とうどんが切っても切れないのは、それだけではなく全国に名だたるうどんの名産地には古い社寺があることでも有名です。また三重県伊勢市や群馬県の水沢など、名だたる社寺の門前町で参拝客に好まれたのも、長旅の疲れを癒やすうどんだったのです。

うどんを消化良く食べるために

うどん3

日本人の中でもうどんを好む人は多くいます。そんなうどんを効率よく摂取するポイントを紹介します。

ダシの栄養分が疲労回復に最適

日本人の食生活に古くから関わってきたうどん。ではなぜ、病気や弱ったときにはうどんがいいと言われてきたのでしょう。小麦粉を練ってつくった麺の、炭水化物としての消化吸収率もさることながら、うどんのダシにも理由があるのではないかと思われます。

うどん自体は、北は秋田の稲庭うどんに始まり、南は長崎の五島うどんまで、全国各地で食べ続けられていて調理法もさまざまですが、そのほとんどが昆布やかつお節から取ったダシで味付けされたつゆを使用します。

ダシの効いたうどんつゆは、アミノ酸の一種、イノシン酸やグルタミン酸などの「うまみ成分」が豊富です。つまりうどんのダシは飲むアミノ酸とも言えるもの。麺はたくさん食べられなくても、つゆを飲めば十分な栄養が摂れると言っても過言ではありません。消化がよいとされる麺に栄養豊富なダシ。うどんが古くから病人食として認知されてきた理由はここにあると言えそうです。

病人食としてのうどんの理想形って?

病気や弱ったときに供されるうどんですが、味付けが濃かったり、麺が硬いと逆効果でしょう。では病人食としてのうどんの理想形は何かと言うと、

  1. 味付けは薄め
  2. 麺はやわらかめで、食べやすいよう短く切られたもの

が理想でしょう。

もちろんその家庭ごとに受け継がれているレシピがあると思いますが、大抵は卵やネギなど、滋養があり体を温めると言われる食材の組み合わせが定番です。そうしたうどんに使われる麺は、大抵があらかじめ茹でられて袋に入れられた「茹で麺」が大半です。

手軽で調理がしやすいことと、あらかじめ茹でられているので、さらに熱を加えることでトロッとやわらかい食感になり、弱った身体でも抵抗なく食べられるからです。

コシの強い麺も茹で過ぎれば同じ

では冒頭で述べた、讃岐うどんなどに代表されるコシの強い麺はどうでしょうか?ここでコシの強さについて、わかったことがあります。それはコシの強さ=麺の硬さではない、ということです。

コシとは、うどんの原料である小麦粉のグルテンが変化してもたらされる「弾力性」であり、生地の状態から、こねたり踏んだりすることで弾力が増すのです。一般的に弾力の強い麺は、噛みづらいことから、消化がよくないという説もあります。

しかし調理中に茹で過ぎたり、茹でてから時間が経つほど、この弾力は失われていきます。つまりどんなにコシが強い麺でも、適切に茹でなければ、市販の茹で麺と同じとも言えるわけです。

噛む回数が大事

コシの強い麺は消化に悪く、やわらかい麺は消化に良いのか?それは噛む回数にもよると思われます。噛むこと(咀嚼・そしゃく)には、唾液の分泌が伴いますが、この唾液こそ口の中で、食べ物が最初に出会う消化酵素・アミラーゼなのです。

噛む回数が多ければ多いほど、このアミラーゼが糖を分解して、胃に届く前の消化を助けるわけです。麺がやわらかいからと言って、ろくに噛まずに飲み込んでいては、唾液の分泌が低下するでしょうし、逆にコシの強い麺をしっかり噛んで食べれば、唾液の分泌が活発になり、消化を助けることにもつながるでしょう。

うどんはもともと消化にいいからと言って、かき込んで飲み込んでいては弱った胃には負担になることもあります。またよく噛んでこそ、小麦粉本来の味わいが口の中で醸し出され、消化に良い食べ物になるのです。

よく噛んで食べる

うどんと同様に病人食の代名詞たるお粥も、よほどの重傷ではない限り、よく噛んで唾液を十分に出してから飲み込む方がよいとされています。お粥が消化にいいと過信するあまり、患者の症状によっては、咀嚼による健康面を考慮して、あえてお粥を出さないという方針の病院もあるほどです。

シコシコとコシのあるうどんも、袋に入ったゆで麺も、できるだけよく噛んで唾液によって分解させながら胃へ送ることが消化を助けるためにも大切です。風邪や胃腸が弱る時期、うどんを効果的に利用して、食欲減退や栄養不足を補いましょう。

まとめ

日本人の食生活に昔から欠かせない「うどん」。元気なときはもちろん、体が弱っているときにども、滋養豊富なダシを使ったつゆと、エネルギーの元となる炭水化物の麺の絶妙なバランスで私たちを力づけてくれる”国民食”といえます。

麺のコシが強い・弱いにかかわらず、よく噛んで食べることでさらに消化の良くなる食べ物といえるでしょう。

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