「風が吹いただけで痛いから痛風」という言葉を聞いたことはありませんか?
かなり痛そうな病名の「痛風」ですが、”ビールをたくさん飲んでいるおじさんがなる病気”というイメージをもっている方が多いかと思います。しかし最近では食生活の変化などにより若い男性にも増えてきているようで、年齢に関係なく身近な病気の一つとなってしまいました。
成人男性ですと、いずれ痛風になるであろう『痛風予備軍』もかなり多いと言われています。
実際に痛風とはどのような病気なのか、また、痛風になる前に気付ける前触れはあるのかどうか、気になりますよね。今回は痛風の原因から症状、早期発見の為の前触れとその予防策についてご紹介します。
痛風とはどんな病気か
まずは痛風について知っておきましょう。
原因は「尿酸」
痛風は「尿酸」という物質が体にたまることによって、激しい関節炎を起こす病気です。
尿酸とは、私たちの体が作られている細胞が新陳代謝を繰り返したり、エネルギーを消費した際に分解されて最後に残った、いわば老廃物です。
普通、体にある尿酸の量は排泄されてバランスをとっており、ほとんど一定量を保っているのですが、尿酸が大量に作られたり排泄機能が低下することで尿酸がたまり、痛風を引き起こします。
その他に、遺伝的要素もあります。二親等以内に痛風を患った者がいる場合、そうじゃない場合と比較して約2倍の確率で痛風を発症すると言われています。
尿酸の元は「プリン体」
尿酸が老廃物であることを書きましたが、何から生まれる老廃物かというと「プリン体」です。
名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、一部のアルコール飲料や、レバー、魚の干物、タラコなどに多く含まれています。中でも最も多く含まれているのがビールです。
これらを多く摂取することで尿酸の生産も増えることになります。
圧倒的に男性に多い
痛風は圧倒的に男性に多く、その男女比は98:2程度と言われています。ここまで男女差があるのには理由があります。
女性は女性ホルモンによって尿酸の排出を促進する作用があり、尿酸が蓄積されにくいのです。しかし、閉経後の女性は女性ホルモンの分泌が減りますから尿酸値は上昇し始め、次第に男女差は近づいていきます。
初めての痛風発作と症状
痛風が悪化してしまうと激しい痛みを伴う為、日常生活に大きな支障が出てしまうことが少なくありません。
早期発見の為の前触れはあるのでしょうか。前触れがあった場合の対処法とあわせて紹介します。
初めての発症は突然起こる
初めて痛風になった場合、残念ながら前触れや初期症状はなく、突然発症することがほとんどのようです。
また、痛風は再発を繰り返してしまう可能性のある病気である為、二度目の発症時には前触れを感じることがあります。
痛風の症状
痛風の主な症状で代表的なものは関節の激しい痛みです。特に、痛風の約70%は親指の付け根で発症します。
その痛みは男性でも耐えがたい程の痛みと言われており、次第に赤く腫れ上がってきます。
痛みと腫れは10日ほど続いたあと自然と治まっていきますが、ここで治療せずに放置すると1年以内に再発すると言われています。
合併症に注意
痛風だけでも非常に辛い症状ですが、本当に恐ろしいのは合併症です。
中でも最も気を付けなければいけないのは腎臓です。腎臓は尿酸を排泄する働きがあり、ここに尿酸の結晶が沈着することで腎機能が低下し、更に尿酸が蓄積しやすくなる悪循環が起こります。その結果、腎不全といった重大な病気を引き起こす恐れがあるのです。
また、尿酸の結晶が結石となり、尿路結石となることも考えられます。更に痛風の人は肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病をを発病しやすいことも分かっています。
二度目以降の痛風と前触れ
再発する場合は、前触れを感じやすくなります。どのような前触れを感じるのかを知っておきましょう。
関節の違和感
人によって違いはあると思いますが、既に痛風を発症した経験のある人は再発の前触れとして関節(特に足の親指)に違和感を覚えることが多いようです。
具体的にはムズムズする、ズキズキとした鈍痛がある、ビリビリ痺れる、熱く感じる、こわばる等です。
対処法としては「コルヒチン」を飲むことです。初めての痛風の際に病院を受診していると、おそらくこのコルヒチンという薬を処方されているはずです。
前触れを感じたら痛みが出る前にコルヒチンを1錠飲んでおくと、再発しても痛みを感じずに生活ができます。痛みが出てしまった後ではコルヒチンの効果が薄くなってしまいますので、必ず痛みが出る前に飲むことを覚えておきましょう。
再発を繰り返すと悪化する
一度目の痛風発作が起こってそのまま治療をせずに放置した場合、およそ1年以内に再発すると言われています。
これを繰り返していると最初は1年程あった間隔が次第に短くなり、関節の腫れが肘やくるぶし等の他の関節、耳たぶにまで広がっていきます。
腫れは尿酸の結晶が溜まっていったものなのですが、この結晶が固まってやがて「痛風結節」と呼ばれるコブのような状態となります。
このコブはどんどん大きくなり、そのせいで関節が変形する等、骨の異常を引き起こします。
痛風を予防するために!
日頃の痛風予防と発症後の再発防止として、尿酸値を下げることがとても大切となります。
食生活の改善
原因の項目で記載した通り、尿酸値を上げる原因となる「プリン体」の摂取には特に注意が必要です。
アルコールやプリン体を多く含む食品は控え、1日のプリン体摂取量が400mg以内となることを意識しましょう。最近は”プリン体ゼロ”の発泡酒なども人気がありますが、プリン体の含有量に関係なく、アルコール自体が尿酸値を上げる働きがあるのです。
おすすめの食事は、アルカリ性の食品を摂り入れることです。アルカリ性食品には、尿酸を排出しやすくする効果がある為です。
代表的なものとして、
- ひじき、ワカメ、昆布などの海藻類
- 干しシイタケなどのきのこ類
- ほうれん草、ごぼう、にんじんなどの野菜類
- バナナ、メロン、グレープフルーツなどの果物類
があります。
勿論、これらの食品に偏るのではなく、主菜、副菜、汁物と栄養のバランスのとれた食事を摂ることが大切です。
水分を摂る
尿酸を排出する為に、水分を摂る必要があります。水分なら何でも良い訳ではなく、糖分がたくさん入っているジュースは肥満の原因となりますので避けましょう。
また、コーヒー等のカフェイン飲料は利尿作用により必要以上に水分が排出され、脱水を引き起こしてしまいますので飲み過ぎは注意です。※体内の水分が足りなくなると、尿酸値は上がります。
最もおすすめなのはミネラルウォーターです。目安としては1日2リットル程。一度に飲まず、1日かけてちょこちょこと飲んでいきましょう。
適度な運動
肥満の人は痛風にかかりやすいと言われています。食生活の改善と合わせて運動を行うことで、肥満予防および解消しましょう。
とはいえ、実は急に激しい運動は逆に尿酸値を上げてしまうことがあるようです。普段運動をやり慣れていな方は、ウォーキング等の軽めの運動を1日30分を目標に続けていきましょう。
運動とまでいかなくても、家事で体を動かしたり、エレベーターではなく階段を利用する等、日常でできることを意識的に行うこともおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。痛風は激しい痛みや重大な病気にも繋がってしまう怖い病気です。しかし、日頃から健康的な生活を心がけていれば予防できる病気でもあります。
お酒の付き合いの多い男性は、健康診断等で定期的に尿酸値をチェックするといった健康管理も必要です。一度発症してしまった方は、再発を繰り返さない為に特に食生活の乱れには注意し、健康を取り戻しましょう。
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