浣腸というと、特に便秘の解消方法に使われますが、他には大腸などの検査は腸内をきれいにする必要があるので、稀に使用します。
一般的に浣腸は、便秘で苦しい思いをしているときに使用すると即効性もあり、効果が期待できます。ただ、強制的ゆえに副作用もありますし、そう何度もすることもできないのが難点です。
ただ、精神的な便秘も多いという統計もでています。これはストレスが原因でおこる便秘で、仕事中や通勤中にトイレに行けない、または行きたくないという精神状態が便秘を招くことも多いようで、このような便秘には、浣腸は効きづらいということもあるようです。
浣腸はアナルに注入してから5分以上は成分を浸透させ、しっかり直腸を刺激しないと排便を促すことが出来ず、薬剤のみが排出されてしまいます。浣腸を我慢できずにすぐに排出してしまい便秘が解消されないという悩みを抱えている人が多いようなので今回は、その浣腸について詳しくご紹介していきたいと思います。
浣腸の目的
浣腸はどの様な目的で使用されるものなのでしょうか。浣腸が使用されることもある具体的なシーンを見ていきましょう。
またどのような効果でそれらの目的解消が達成されるのかも一緒に見ていきましょう。
浣腸ってどういうもの?
浣腸は、その成分がグリセリンという液体で、円形のプラスチックの中に入っていています。先端が細く、丸まっていて、この部分に穴を開けて肛門に5~6センチほど挿入、中の液体を直腸の中に排出します。
すると、このグリセリンが便を柔らかくしてくれ、排出を促してくれます。つまり、肛門から液体を入れて便を柔らかくし、強制的に排出するということになります。
浣腸が使用されるシーン
目的としては2つあり、一つは検査のために腸内を空にしておく必要がある場合に浣腸を使用し腸内を掃除する目的で使用する場合。もう一つは、純粋に便秘で排便がないときに、強制的に排出する場合の2点になります。
検査の場合は、腸内に内視鏡を入れたり、造影剤を入れ、撮影する場合などですが、最近では浣腸を使用せず、下剤を服用して排便をすることがほとんどです。
下剤ですと、主にマグネシウムが含まれていて、2~3時間かけて飲み、完全に排出できるものです。この下剤の登場により浣腸での排便を行う病院は数を減らしました。
基本的に下剤の使用で腸を掃除しますが、下剤の効果が薄かった場合に浣腸を使用する場合などに使用される事がまれにあります。
浣腸の効果と副作用について
浣腸は便秘の時などに有効な改善手段でもあります。同様の効果を持っている下剤とはどの様な効果の違いがあるのでしょうか?具体的な浣腸の効果の違いについて紹介していきます。
また、浣腸の使用で発生してしまう注意したい副作用についても紹介していきますので、浣腸を使用している人は合わせて参考にしてみてください。
下剤と浣腸の効果の違い
一般的な下剤でも便秘を解消したり、排便を促す効果は得ることは出来ますが、どうしても効果があらわれるまでに8時間程の時間がかかってしまいます。寝る前に服用して次の日の朝に症状が現れたり、昼に飲んだ薬が夜に現れたりするゆっくりとした効果の実感になります。
人によっては個人差があるために仕事中や移動中が控えている場合には使用する事が出来ないデメリットもあります。
それに比べると、浣腸は即効性がありその日、すぐのタイミングで排便を促すことが出来ます。この点で効果に差別化ができていて、翌日に大事な会議が控えていたり、大会や旅行などで長時間移動をするなど、急な便意に対応できない事が予測される場合に前日から使用して、当日までに間に合わせることが可能です。
また下剤は、漢方などの生薬が主で、腸の蠕動運動を促す役目を果たします。蠕動運動とは、腸が動いて排出をするための腸自体の運動です。このため、漢方が腸に付加をかけるために腸内が漢方焼けを起こします。つまり、若干黒ずんだりします。逆に浣腸の場合は、グリセリンが作用しますが、このような作用は腸に引き起こさせません。
浣腸の効果があらわれる時間
浣腸は実際に行うときは大変ですが即効性があり、だいたい10分ほどで効果を確認できます。ただ、その際にひどい腹痛を伴うことも多いようです。もちろん強制的に出すのですから、あまり身体にいいものではありません。頻度を踏まえて、お使いなるのがいいと思います。
また、浣腸しても出ないときも稀にあります。そんな時は、続けざまに追加で浣腸をしてはいけません。この場合は、半日ほど空けてから行ってください。特に便秘がひどい場合、便が固まってしまっていた場合、なかなか便が柔らかくならない傾向があります。
浣腸の副作用について
即効性が認められる分、副作用もあります。腸の中には悪玉菌と善玉菌がありますが、強制的に排出するため、両方の菌が排出されてしまうことです。
本来ですと悪玉菌のみ、排出されればいいのですが、この場合はそのようにはいきません。どうしても善玉菌も排出されてしまうのです。ですから、頻度を多くすると善玉菌が少なくなり、逆に便秘になりやすい腸内環境になってしまいます。浣腸以後はこまめに、乳酸菌を取り、腸内の善玉菌を増やすように、ヨーグルトなどの発酵食品をとることをおすすめします。
コーヒーを使用した浣腸もある!?
この、腸内をきれいにする方法としては、コーヒーエネマというものもあります。これは、肛門からコーヒーを流し込み、腸内を清掃するというものです。
これも効果があり、いわゆる宿便という腸内に長年残った便も排出してくれるというものです。が、近年この考案者が、60台前半の年齢で亡くなってから、その使用に関し信憑性が問われています。
これもやりすぎで、腸内の菌が排出され過ぎてしまい、免疫力が落ちてしまったのではないかとの説が高いようです。
正しい浣腸の仕方・注意点について
浣腸を行うにあたっての注意点を紹介します。正しい浣腸の使い方を守って、排便を促していきましょう。誤った方法で使用してしまうと、事故を引き起こしてしまう可能性もありますので十分注意しましょう。
子供に使用する場合の注意点
浣腸は、行うにあたり、注意しなければならないこともあります。まず、子どもは量を間違えないということです。子供用のものがありますから、それをすれば間違いがないのですが、大人用のもので分量を考えて行う場合は要注意です。
子供用の使用量がしっかり記載されている物を使用するようにしましょう。
浣腸を使用する手順
商品ごとの詳しい浣腸の使用方法については病院での処方の際に専門家や看護師からの説明があったり、同封されている説明書にその方法が記載されています。
殆どの商品は使用方法が似ているので、基本的な商品の使用手順について紹介します。
- 浣腸自体をお湯などで体温と同じくらいに温めます。
- 身体を右を下にする体勢にします。これは腸の形にあった体勢にすることで、液体がスムーズに入りやすくするためです。
- 浣腸本体の先端を少しづつ、肛門から挿入します。(この時に自分で行う場合にはしっかりアナルの奥まで差し込めずに、手前で注入してしまって薬剤が奥まで届かずに効果が現れないことがあります。しっかり奥まで先端を挿入しましょう)
- 中の液体を徐々に押し込みます。一気にやらずに、ゆっくりと行うのが良いようです。
- 注入がおわったら、10分ほどじっとしています。この際、便意を催しても多少は我慢してください。注入した液体を奥まで浸透させた方が、より多くの排便が期待できるからです。
- できるだけ我慢をした後に、トイレで排便する。
浣腸を誤って飲んでしまった場合にはどうなるの?
浣腸の使用方法をよく読まずに誤って服用してしまう場合には速やかに吐き出すようにしましょう。浣腸の成分のグリセリンは胃や腸では吸収されません。
なので、服用してしまった場合にはすぐに嘔吐感が襲ってくるでしょう。その後、発熱などの症状が発生してしまう場合もあります。僅かに腸内に流れ込んでしまった分に関しては、下痢や腹痛を引き起こす問題に繋がります。
もし浣腸を飲んでしまった場合はしっかり水分を飲みながら成分を薄めて、直ちに病院で検査を受けましょう。
浣腸を沢山使用するのは危険
1つの浣腸では中々奥まで成分が届かないこともあり、2つ以上の浣腸を同時に使用して奥にまで薬剤を届けようと考える人も稀に存在します。
どうしても、薬品は多くの量を使用することで本来以上の効果を発揮できるはずだと期待してしまいますが、実際は適当量使用することが最も効果が高い状態になります。
浣腸も同様に数を使用すれば効果が高まるわけではありません。何個も同時に使用してしまうと、更に腹痛の症状が強く現れてしまい短時間で薬剤がでてしまったりします。
過剰に使用して腸が破裂してしまったケースも存在します。そうなってしまうと、自力での排便や肛門からの排便が困難になり、別の排泄孔をお尻に作る手術をしなければいけない場合もあります。
また、浣腸は連続して頻繁に使用することで薬剤慣れが発生してしまい、余計に排便が行いにくくなります。あくまで浣腸は最終手段として使用するようにしましょう。
使用期限を守って使用する
浣腸には使用期限が存在します。使用期限が記載されているのは、市販品ですと箱の裏面や表面部分に記載されています。
大体製造から5年ほどの期間が使用期限として記載されています。箱を捨ててしまって中身だけで保管している場合には、古すぎるものを使用しないようにしましょう。
保管方法としては一般的な薬品などと同様で直射日光は避けて、高温多湿の環境を避けて、なるべく日陰の涼しい場所で保管するようにしましょう。
浣腸をしないようにするには?
浣腸を使う時ほとんど場合は、便秘による使用ということになります。ですが、やはり便秘にならない方法も知っておき、浣腸に頼らないようにすべきかと思います。
浣腸で排便を行うだけでなく、便秘解消を目指せる生活習慣や有効な方法を知って便秘を解消していきましょう。
水溶性食物繊維をとる
腸には水溶性食物繊維が不可欠です。これは、ごま、のり、海藻類、キクラゲ、サツマイモ、納豆、寒天、しいたけなどに豊富に含まれております。現代人はこの食物繊維が非常に不足しており、それが便秘を招いているようです。食事の際には、これらを意識的に摂るようにするといいと思います。
乳酸菌をとる
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は腸内の菌を増やし、健康を保つように働きます。ただ、ヨーグルトの乳酸菌は合わず、逆に便秘がひどくなるケースもあるので、摂取してみて調子が良くないようであれば、即やめるほうがいいでしょう。
乳酸菌の栄養となる、糖分やビタミンCをとる
乳酸菌には善玉と悪玉があり、善玉が多いと腸も健康を保ちやすくなります。この善玉を増やすには、糖分とビタミンCがえさになるのです。
糖分は、純粋な糖ではなく、炭水化物であるごはんやイモ類です。
水分を多く取る
腸内の水分が不足すると、やはり便が固くなりがちです。最近では水のペーハーが高く、便秘に非常にいい水も売っているので、試してみるのもいいかと思います。
油分をとる
油も、質の良い油のことです。サラダ油など、加工油はあまり身体によくないので、便秘の解消だけでなく、普段からも意識的に変えていく方がいいでしょう。そういう意味では、オリーブオイルは、良い油と位置づけられており、いわゆる潤滑油として便のすべりをよくすると言います。これを意識的にとるといいでしょう。
油はカロリーが高いからと、敬遠する人も多いのですが、血管を柔らかくするなど、他の健康面にもいい影響がありますので、よい油は積極的に取ることが望ましいでしょう。体にいい油については、体にいい油と悪い油について!理想の摂取量は?の記事を読んでおきましょう。
無理なダイエットをしない
ダイエットを行うと、便となる排出物も少ないため、便秘になりやすくなります。男性に便秘が少ないのは、いわゆるどんぶり飯など、ごはんを大量にかきこむことが多いからと言われています。
ダイエットも大事ですが、それが便秘を招いていることも認識しておく必要があります。
軽い運動を行う
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を行うことで腸のぜん動運動を活性化させることが出来、排便活動を促すことが出来ます。しかし汗の代謝により、便の水分が少なくなってしまうこともありますのでしっかり水分補給することを忘れないようにしましょう。
運動では排便だけでなく、ガス抜きにも効果を発揮してくれます。お腹が張っていて苦しい場合には無理をして動くことは気分を悪化させてしまう場合もありますので、体調を加味しながら、便秘の症状がひどくならないうちから運動をして改善していきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
浣腸といっても、むやみにすると逆に身体のほうに無理がきてしまうことや後々のことを考えると、普段からの心がけが大事であると思われます。ですが、やはり肝心の時には非常に効果が高いので、その辺の対応をうまくやっていければ、それほど心配することはないかと思います。
ただ、重複しますが、根本の原因が何かを突き止め、その改善をすることが重要です。他の病気などもそうですが、結局はその時その時に対応ばかりをしていくと実は根の深いところで重大なところを見逃してしまい、大事に至ってしまうことが過去にはたくさんの事例があります。単純な発想で、簡単に考えずに根本的な回復を目指すことをお奨めいたします。
非常に即効性があり、時には有効です
頻繁に行うことは、排便力を弱める
腸内の良い菌が出てしまうので、その後の腸内の改善のフォローが必要です
日頃の食事で腸内の環境を良くする
関連記事として、
・便秘の解消に効果のあるストレッチの紹介!放置は絶対NG!!
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