最近、低gi食品という言葉をよく見かけますが、実際にどのような食品なのか…理解が薄い方も多いはずです。
この記事では、低gi食品の概要と、私たちの生活に与える影響について詳しく御説明いたします。
この記事の目次
giとは何?
giとはglycemic Indexの略称で、食後における血糖値の上昇を示す値の事を指します。食物を食べると、誰でも血糖値が上昇しますが、食品によって血糖値を上げやすいものと、血糖値を上げにくくするものがあります。
それは食品に含む糖質を、摂取2時間後までにどれだけ吸収するかの程度を示したもので、血糖値を上げやすいものは、糖質を素早く吸収し、血液中に入っていく経過となります。
gi値による食品の分類
では、giが高い食品と低い食品は、数値的にどのように分類されるのでしょうか?
giの値によって、高い・低いなど判断される訳ですが、具体的な数値の基準について説明したいと思います。数値によって、高gi食品、中gi食品、低gi食品と3つの部類に分けることが出来ます。高gi食品とはgi値が70以上のもの、中gi食品とはgi値が55から70のもの、低gi食品とはgi値が55以下のものを指します。
体内におけるgi値の変化の仕組み
体内におけるgi値の変化を知っておきましょう。
gi値をコントロールするインスリンの働き
炭水化物などより摂取された糖分は、消化器官から出る消化酵素などにより分解され、ブドウ糖となり、血液中に吸収されます。血液中に吸収されたブドウ糖量が増加すると、膵臓のランゲルハンス島という組織にあるβ細胞より、インスリンが分泌されます。
インスリンには、主として血糖値を下げる作用があります。そのため、正常な方だと食事によって上昇した血糖値も、インスリンの正常な分泌があれば、食後2時間程度で減少し、元の状態に戻ります。ブドウ糖は全身のエネルギー源となるため、筋肉・脂肪組織・全身の細胞などへと取り込まれ、食事前の血糖値に減少する仕組みとなっているのです。
インスリンの働きはこれだけにとどまらず、ブドウ糖よりグリコーゲンが合成されるのを促進したり、グリコーゲンがブドウ糖に分解するのを抑制したり、脂肪組織での合成・分解の手伝いをすることもあります。グリコーゲンは一時的に体内に蓄えておく糖質なので、蓄えがなくなってしまわないよう、インスリンの分泌量で調節されているのです。
gi値が上昇してしまうメカニズムとは…
通常はインスリンによって、血糖値が上昇することがあったとしても、調節される仕組みとなっているのですが、これが通常通り働かなくなると異常が起こります。この例としては、インスリンが分泌はされてもうまく働かない場合、急激に血糖値が上昇したためインスリンの分泌が追い付かない場合などがあります。
このような異常により、血糖値が一定の値を超えて高い状態が続いている症状を「糖尿病」と言います。ブドウ糖が正常に分解できない訳ですから、体内に分解されないブドウ糖が残り、それを体外に排出するために尿の回数が増えます。それによって水分が体外に必要以上に出てしまっため、喉の渇きも目立つようになります。ブドウ糖が正常に利用されないのは、慢性的なエネルギー不足に陥る危険性もあり、全身がだるくなり疲れやすいという異状も起こりえるのです。
giが低いものでおすすめな食品
では具体的に、スーパーで手軽に購入できるような低gi食品にはどのようなものがあるのでしょうか?
主食
白米、赤飯、うどん、餅などは高gi食品に当たります。低giを意識する場合は、玄米に切り替えるか、他、麺類ではそばがおすすめです。パンでは通常の菓子パンではなく、ライ麦パンを食べるのが良いそうです。
しかし、毎日白米を食べていたのが急に玄米になるのは抵抗がある場合は、白米の量を減らし、玄米を加えたご飯から始めるのも良いかと思います。
野菜
野菜は低gi食品の代表選手です。食物繊維が豊富なものも多いため全般的におすすめですが、にんじんやいも類に関しては炭水化物を多く含むため、食べすぎには注意が必要です。
食物繊維が多い食品は便秘解消にもなり、老廃物を外に出す働きがある点でも効果的です。
果物
果物は全体的にgi値が低いと言われており、特に代表的なのはりんごやオレンジだと言われています。しかし、一般的に甘いと感じるものは、果糖の摂取しすぎとなる場合があるため、食べ過ぎには注意が必要でしょう。
その他
その他、ヨーグルトやゼリーも低gi食品ですが、一緒に何が入っているかで変わってきますので、甘い食品との組み合わせには注意が必要です。
乳製品や豆類に関しては、一緒に食べる食品のgi値を下げるという変わった性質を持っていますので、高gi食品と組み合わせて摂取するのも効果的でしょう
gi値を低くする料理のポイント
gi食品の調理方法について紹介します。
食物繊維を最初に食べる
食べ物を食べる順番にも、gi値を下げるポイントが隠されています。
gi値を低くする食べ物には「食物繊維」が有名で、食物繊維を多く含む食べ物を摂取してから、比較的gi値が高い食べ物などを食べると、消化にかかる時間を延ばす事が出来るため、血糖値の上昇を緩やかにすると言われています。
食物繊維は野菜・海藻類・豆類などに多く含まれますが、食物繊維を豊富に含む食べ物は腹持ちが良いものも多いため、食べ過ぎを防止するという効果も備わっているのです。
もし食物繊維を多く含む食品がないとしても、低gi食品を食べてから、高gi食品を食べるのがポイントですので、食べる順番を意識するようにしましょう。
硬めに調理するとgi値の減少に…
スパゲッティやうどんなどの麺類は、硬めに調理してあげるとgi値を下げると言われています。中心に少し硬さが残るようなアルデンテくらいが良いそうです。すなわち、gi値を下げるためには、消化しにくくするのがポイントとなってきます。
他、お粥やリゾットについては、水増しして白米の量が減っているため、通常にご飯を炊いたよりはgi値が低くなってきます。こちらは消化を良くしたパターンですがgi値が低くなるという、若干ややこしいパターンですので、間違えないように気を付けましょう。
油を利用した調理でgi値を減少
例えばご飯ならば、炒飯にして油を用いた調理をした方がgi値が下がると言われています。油で揚げるとなると、エネルギーを摂りすぎてしまう可能性がありますので、炒め物などにちょっと入れるような油の加減が良いでしょう。
カレーや親子丼のように、野菜を炒める際に入れる程度の油でも効果がありますので、実践してみてください。
酢を用いた料理でgi値を減少
酢はgi値を下げる効果があるため、他の高gi食品と組み合わせての摂取をおすすめします。お酢が苦手でない方は食前に酢を飲むのが効果的のようです。今は、通常の酢以外にも飲みやすく改良された黒酢ドリンクも売られていますので、ぜひ食前に飲んでみてください。
ドレッシングにはお酢が含まれているものが多いため、食物繊維を含む野菜にドレッシングをかけて食べるのは効果的です。他、酢の物やお寿司などもgi値を下げる代表的な食べ物と言われていますので、比較的料理に取り入れやすいメニューかと思います。
お酢が苦手な方は、今までの炒め物に少し加える、味が目立たない程度でも構いませんので、ぜひ意識して取り入れてみてください。夏場は夏バテ防止、食欲増進にも効果を発揮しますので特におすすめです。
低gi食品はダイエットに最適
低gi食品を取り入れる目的としては、食後の血糖値を急激に上げないようにする事です。血糖値を下げる働きをするインスリンは脂肪を合成させる作用もあるため、低giの食事を継続することによって、脂肪をたまりにくくし、太りにくくなるとも言われているのです。
すなわち、インスリンが正常に分泌されない場合は、血糖値も急激に上昇し、脂肪の合成も正常に行なわれないため、太りやすい体質になってしまうのです。その結果、脂肪が血液中に増加することになり、糖尿病以外にも動脈硬化を促進させたり、心臓疾患を引き起こしたりといったリスクが増えてきます。
現代は間食をする方が増え、その上、お菓子や飲料のような糖質を多く含むものを休む事なく摂取する方もいます。高血糖状態が続くと、上記のような悪循環も考えられますので、間食のし過ぎや食べ過ぎには十分注意しましょう!
低gi食品摂取の上で注意すべきこと
低gi食品は、血糖値を上昇させにくい食品としてこれまで論じてきましたが、沢山食べれば同じことで、インスリンが上手く働かなくなり、血糖値が上昇する場合もあります。低giだからたくさん食べてよい訳ではなく、何事も加減が大切なのです。
また、低gi食品中心の食生活となると、炭水化物の摂取量が不足しがちになる場合があります。毎日毎食、低gi食品だけを食べれば良い訳ではなく、調理の仕方や食べ合わせが大切となってきます。そのため、giを上げにくくする食材とセットにして、giが高めの炭水化物も食事に取り入れるなど、工夫した食生活が大切です。
まとめ
低gi食品の詳細について、理解は深まりましたでしょうか?低gi食品はダイエットに効果的で注目を浴びている一方で、栄養バランスが偏ってしまうという問題点もあります。
さまざまな栄養素をバランス良く摂取するのが一番大切な事ですので、低gi食品を利用する場合は他の食品との食べ合わせにも、目を向けるようにしましょう。
みなさんの食生活に、低gi食品を取り入れる事により、より健康的に過ごせるようになると良いです。
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