食あたりが発症する時間は?原因によって変わる症状について

突然強い痛みや吐き気に襲われる食あたり、何となく夏に起こりやすいものだと認識されていそうですが、仕事や勉強にならない程ひどい症状に見舞われるので、常に注意していたいものですよね。

食あたりは菌の種類によって発症するまでの時間や症状が違います。今回は「何となく」になりがちな食あたりの知識について紹介していきます。

食あたりの原因は?

食あたり

一口に食あたりと言っても、原因となる菌には種類があり、それぞれ特徴があります。発症の原因には体内で細菌が増殖するもの、細菌が体内で毒素を生み出して引き起こされるものに分けられます。

感染型の食あたり

細菌

食事により細菌が腸に入り込み、増殖することで起こる食あたりです。

カンピロバクター

・潜伏期間:1~7日

・症状:腹痛、下痢など

一般的な細菌で、最も発症件数の多いものがカンピロバクターによる食あたりです。発症するまでの時間(潜伏期間)が長いのが特徴で、主に食肉、特に鶏肉や牛レバーなどから検出されています。熱や乾燥に弱いので、食肉はよく火を通すようにしましょう。

また、生肉を触った手や調理器具から別の食材に移ってしまうこともあるので、生肉に触れた手や調理器具はすぐに洗ってよく乾かすようにしましょう。また、冷蔵庫内で他の食材に接触しないよう注意することも必要です。

腸炎ビブリオ

・潜伏期間:6~32時間

・症状:腹痛、下痢(血便)、嘔吐など

主に魚介類から検出される細菌のため、魚介類を好む日本人の発症数が多いのがこの腸炎ビブリオによる食あたりです。症状はカンピロバクター食中毒と似ていますが、血便を伴うことが多いのが特徴です。傷口から海水が入って感染することもあります。

元々は海底の泥に含まれている細菌なので、調理前の魚介類、使った調理器具や手はよく洗うようにしましょう。増殖も早いので、魚介類は購入後なるべく早く冷蔵庫にいれるようにしましょう。4℃以下で増殖しなくなります。

サルモネラ菌

・潜伏期間:12~48時間

・症状:発熱、嘔吐、腹痛、下痢など

サルモネラ菌が最も検出される食材は卵や食肉です。食材の他に犬や猫などのペットに付着している可能性もあり、実はとても身近な細菌なのです。そのため子供の発症例が多いことや、下痢の後に発熱するという発症の仕方も特徴です。

予防法としては卵や食肉をよく加熱し、使った調理器具はよく洗いましょう。また、ペットを飼われている場合は念入りに手を洗うことも重要です。食事の他に小さいお子さんの指しゃぶりなどで感染することもあるので、ペットを触った後は必ず手を洗わせるようにしましょう。

病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌O-157など)

・潜伏期間:2~9日

・症状:下痢、腹痛から血便になるなど

大腸菌には様々な種類があり、健康な人でも菌を持っていることはありますが、恐ろしいのはベロ毒素という合併症を引き起こす可能性のある毒素を出すものです。菌の数が100個程度と少ない数で発症するためあっという間に広がってしまいますし、人から人に感染することもあるため、ひとりひとりの注意が不可欠です。

食品をよく加熱し調理器具や手をよく洗うのはもちろんのこと、水からも検出される細菌なので井戸の水質検査や貯水槽の掃除はこまめにしましょう。

ウェルシュ菌

・潜伏期間:6~18時間

・症状:腹痛、下痢など

発熱を伴うことの多い食あたりですが、ウェルシュ菌による食あたりにはほとんど発熱の症状が見られません。家庭より給食や仕出し弁当などで症状を起こすことが多いため、発生件数に対して発症した人数が多いことも特徴です。10℃から50℃で発育を示すため、保存は10℃以下でするように心がけ、保存したものを食べる時には必ず再加熱しましょう。

リステリア菌

・潜伏期間:3週間

・症状:発熱、筋肉痛など

一般的な細菌同様に加熱で死滅する点は同様ですが、リステリア菌は4℃以下でも増殖が確認されており、検出される食品に生野菜やナチュラルチーズ、食肉や魚介類の加工品など加熱せずに食べるものが含まれているので、購入した食品は早めに食べてしまう必要があります。また、妊婦さんが感染すると胎児に影響が出てしまうこともあります。

毒素型の食あたり

毒素

食品内の細菌が生み出した毒素によって起こる食あたりがこちらです。

黄色ブドウ球菌

・潜伏期間:1~5時間

・症状:悪心、下痢、嘔吐など

多くは調理する人の手の傷や膿から感染するのがこの黄色ブドウ球菌です。細菌そのものは加熱で死滅するのですが、ブドウ球菌が生み出す毒素が耐熱であるため、調理前の予防が重要になります。

手に傷がある場合は、調理中は手袋をしましょう。また、10℃以下の保存環境で増殖を抑えられることも覚えておきましょう。

ボツリヌス菌

・潜伏期間:8~36時間

・症状:弱視、目眩、分泌障害など

黄色ブドウ球菌とは逆に細菌そのものは熱に強く、毒素が熱に弱いというタイプです。原因となる食品は酸素の無い状態が保たれた缶詰や瓶詰めされた食品で、加熱することもあまり無いため、保存や開封時の判別が重要になっていきます。レトルトパウチは十分に加熱し、缶詰めなどは開封した際に臭わないかよく確認しましょう。

セレウス菌

・潜伏期間:嘔吐型は1~5時間、下痢型は8~16時間

・症状:嘔吐型は嘔吐と吐き気、下痢型は腹痛、下痢

食品中で増殖した菌と毒素を食べることによって発症する嘔吐型と、腸管内で毒素が生み出されることにより引き起こされる下痢型に分かれているのがセレウス菌による食あたりです。

土壌に潜む細菌なので、米や麦などからよく検出されます。熱に抵抗があり28~35℃程度で増殖してしまいますが、毒素が生み出されるには細菌が10万個まで増殖する必要があるので、白米、チャーハン、スパゲッティなどは調理後すぐに食べない場合は8℃以下か55℃以上で保存するよう心がけましょう。

食あたりかも…と思ったら

病院

食あたりには食事療法と水分の摂取で治るものも多いですが、以上の通り似たような症状を起こすものも多く、発症までの時間も様々です。

合併症を引き起こす可能性もあるので、あまり自分で判断せず、辛くなったらすぐにお医者さんに行きましょう。

まとめ

何となく「高温多湿な保存環境」や「加熱不足」などが原因で起こると思われている食あたりも、菌の種類によって潜伏期間や原因となる食材に違いがあります。今の季節はあまり心配されないとは思いますが、この寒い季節にちょっとした不注意で食あたりを起こしてしまうのはあまりに辛いですよね。

予防方法自体はどれも簡単にできることなので、季節を問わずに実践していきたいところです。

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