迂遠ってどういう意味?症状や原因、思考障害について紹介!治療するにはどうする?

迂遠という言葉をご存知ですか?日本語としての意味は、まわりくどいという意味ですね。日常会話でも、使用されている方が多くいらっしゃると思います。

しかし、この迂遠という言葉が、精神医学上の専門用語として別の意味を持っていることを、ご存知の方は決して多くはないでしょう。

実は、精神医学用語としての迂遠は、思考障害の一形態を意味しています。そこで今回は、思考障害とその一形態である迂遠についてまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

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迂遠の意味

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まずは、迂遠の意味と精神医学用語としての迂遠の定義を確認しておきましょう。

国語的な意味

迂遠の国語的な意味は、まわりくどいさまを意味しています。また、まわりくどいが故に、実用に向かない・役に立たないといった意味も有しています。

精神医学用語としての定義

精神医学用語としての迂遠は、物事を考える道筋の途中で脱線することが多くなってしまい結論を導き出すまでに、通常の人よりも多くの時間を要する思考過程の異常と定義されます。

このような思考過程の異常である迂遠は、思考障害の一形態として位置づけられます。

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思考障害とは?

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では、思考障害とは、どのような障害なのでしょうか?

思考障害とは?

人間の精神機能は、意識・認識・記憶・感情・思考・行動・意欲などに分類することができます。このような人間の精神機能の中で、特に思考部分について異常や障害を来すことを思考障害と言います。そして思考障害は、精神機能の障害でもありますので、精神障害のうちの一症状とも言うことができます。

このような思考障害は、次のように3つに分類されます。

  • 思考過程の障害
  • 思考内容の障害
  • 思考体験様式の障害

思考過程の障害

思考過程の障害は、考えて結論に至る道筋そのものに異常が生じてしまった状態のことです。思考過程の障害は、思考の内容に異常を生じるものではないので、形式的思考障害とも呼ばれます。そして、思考過程の障害の主な症状には、次のような症状があります。

  • 途絶(思考途絶・思考阻害)
  • 制止(思考制止)
  • 保続(思考保続)
  • 迂遠(思考迂遠)
  • 観念奔逸
  • 支離滅裂(思考散乱・思考滅裂)

途絶(思考途絶・思考阻害)

思考途絶は、考えている途中に、突然考えている内容が消えたりすることで思考がストップしてしまう状態のことです。その後、思考が急に戻ったり、ストップしたりと思考が断続的になることもあります。

制止(思考制止)

思考制止は、考える力自体が弱いことで考えが頭に浮かばなかったり、頭が空っぽになったように感じて思考の進むスピードが極端に停滞する状態のことです。

保続(思考保続)

保続は、一旦考えたことが頭から離れず、その後も同じ言葉や内容の道筋ばかりを繰り返し考えてしまう為、思考が先に進まない状態のことです。

迂遠(思考迂遠)

迂遠は、物事を考える道筋は整っているものの、途中の言葉や内容について注釈を加えるなど道筋からの脱線が多くなってしまうことで結論を導き出すまでに、通常の人よりも多くの時間を要する状態のことです。

観念奔逸

観念奔逸は、考えが溢れるように次々と湧き出してくることで考える道筋が分散してしまい、最終的に考えが脇道にそれてしまう状態のことです。分散する道筋は、表面的な関連性があるものの、全体的なまとまりはありません。

支離滅裂(思考散乱・思考滅裂)

支離滅裂は、考えていることがまとまらず、思考の流れや道筋が突然飛躍したりして滅茶苦茶な状態のことです。それまでの思考の道筋と飛躍後の道筋の間に、論理的な関連が一切ないのが特徴です。

思考内容の障害

思考内容の障害は、考えている内容が現実からかけ離れている状態のことです。言い換えると、根拠が薄弱で非現実的な内容のことを考えている状態、つまり妄想をしている状態のことを思考内容の障害と言います。

妄想とは?

妄想は精神医学用語で、根拠のない自分勝手な思いこみのことです。そして妄想には、次のような3つの特徴があります。

  • 根拠がない、あるいは根拠が薄弱にも関わらず、本人の確信が強固
  • 証拠を示したり、説得によっても訂正が不能
  • 思いこみの内容が非現実的

思考体験様式の障害

人間が思考も含めた何らかの行動をする時に、人間は自分が何らかの行動をしているという能動的な感覚を持っています。このような能動的な感覚のことを体験様式と言います。そして、思考体験様式は、考えていることをとりまとめ結論を導き出すことを能動的に行っているという感覚のことです。

したがって、思考体験様式の障害は、この思考における能動的な感覚が何らかの理由によって失われることを言います。

思考体験様式の障害の具体例

たとえば、思考体験様式の障害の一つに、強迫観念があります。強迫観念は、本人の意思とは無関係に合理的でない考えが絶えず頭に浮かんで、本人がその考えを払い除けようとしてもできないことにより、不安感や恐怖心が生じることです。

つまり、本人の意思とは無関係に浮かんでくる不合理な内容の考えに思考を支配され、思考における能動的な感覚が失われているのです。

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迂遠の精神医学上の位置づけ

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このように精神医学用語としての迂遠は、思考過程の障害の一形態・一症状として位置づけられます。

思考過程の障害の症状の判別

迂遠と観念奔逸は、思考の流れが途中で本筋から外れるという点で似たような症状です。しかし、迂遠における思考の流れは、脱線しつつも本筋に戻ってきて結論を導くことができるのに対して、観念奔逸における思考の流れは、脱線したまま本筋に戻れず思考目標に到達できないという違いがあります。

また、迂遠と保続は、思考がなかなか先に進まないという点で似たような症状と言えます。しかし、迂遠における思考の流れは、途中で様々な言葉や考えの内容に注釈を加えることなどによって脱線しつつも思考は徐々に進んでいくのに対して、保続における思考の流れは、途中の特定の言葉や考えの内容に執着してしまうことで思考が停滞するという違いがあります。

思考体験様式の障害との判別

思考過程の障害、思考内容の障害、思考体験様式の障害は、それぞれ相互に関連しあっているため、その境界は曖昧な部分が残ります。つまり、それぞれを切り離して考えることが難しいのです。

たとえば、精神疾患の一つである強迫性障害で考えてみます。強迫性障害は、不合理な行為や思考を、自らの意思に反して反復継続してしまう精神疾患です。そこには、強迫観念が大きな原因として挙げられますが、保続や迂遠のような思考過程の障害も関与しているとも考えることができるのです。

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迂遠を発症する疾患

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このように迂遠は、思考障害の一形態・一症状です。思考障害は精神疾患の一症状ですから、迂遠は精神疾患の一症状でもあります。では、この迂遠という症状は、どのような精神疾患によって発症するのでしょうか?

迂遠の症状を発症する疾患には、次のような代表的な3つの疾患があります。

  • てんかん
  • 統合失調症
  • 認知症

てんかん

てんかんは、様々な病因によってもたらされる慢性の脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な放電から由来する反復性のてんかん発作を特徴として、色々な症状が現れる神経疾患のことです。

てんかんの発症メカニズム

大脳は、物事を知覚・分析し、記憶や思考を行い言葉を発したり、運動の命令を出すなど人間を特徴づける機能を有しています。この大脳では、非常に多くのニューロンと呼ばれる神経細胞が規則正しいリズムで電気信号をやりとりしています。

そのような規則正しい電気的リズムが、何らかの原因によって激しく乱れ過剰放電されることによって、てんかん発作が生じます。このような神経活動の異常が、てんかんなのです。

てんかんの原因

てんかんの原因は、人によって様々であり、原因が不明の場合もあります。てんかんの原因は、大きく2つに分類されます。

症候性てんかん

脳炎・脳梗塞・脳出血・脳外傷など脳に何らかの障害や病気があることによって生じるてんかんです。詳しくは、症候性てんかんとは?その症状や発作を知っておこう!予防方法や治療方法は?を参考にしてください!

突発性てんかん

検査をしても脳に異常が見つからない原因不明のてんかんです。

てんかんの症状

てんかんの症状(てんかん発作)も、人によって様々な形で現れます。てんかんの症状は、大きく2つに分類されます。

全般発作

全般発作は、発作の最初から脳全体で過剰放電が起こるもので、発作開始と同時に意識が失われるという特徴があります。全般発作には、次のような発作の症状があります。

  • 強直間代発作:意識喪失と全身硬直が現れ、直後に全身が痙攣をおこす発作です。
  • 単純欠神発作:突然、数秒から数十秒間の意識消失を起こし、すぐに回復する発作です。
  • 複雑欠神発作:意識障害に加えて、様々な行動が現れる発作です。
  • 点頭発作:全身の筋肉が緊張して、頭部前屈、両脚屈曲などが現れる発作です。
  • 脱力発作:全身の力が瞬時に失われて、崩れるように転倒する発作です。
部分発作

部分発作は、脳の一部分から始まる発作です。部分発作には、次のような発作の症状があります。

  • 単純部分発作:意識はありますが、運動徴候・神経症状・感覚症状・精神症状など様々な症状が伴います。
  • 複雑部分発作:意識障害に加えて、様々な行動や症状が伴います。複雑欠神発作との違いは、過剰放電が脳全体で起こるのか、一部分で起こるのかの違いです。
  • 二次性全般化発作:部分発作から始まって、全般発作に移行する発作です。

てんかんの随伴症状としての迂遠

てんかんの多くは、脳に障害が発生することによって発症します。てんかんの特徴的な症状は上述のてんかん発作ですが、脳の障害によって、てんかんに随伴する症状があります。

てんかんの随伴症状も人によって様々な現れかたをします。具体的に行動障害、知的障害、脳機能障害による失語、記憶障害、感情障害、思考障害などが現れます。

そして、てんかんによって現れる思考障害では、特に迂遠(思考迂遠)や保続(思考保続)の症状が現れやすいとされています。

統合失調症

統合失調症は、特に幻覚や妄想といった症状が特徴的な精神障害の一つです。このような特徴的症状に伴って、社会生活を営むことが困難となったり、自らが精神障害であることを認識できなかったりします。

ただし、幻覚や妄想が特徴的症状ではあるものの、症状の現れかたは非常に広範に及びます。

統合失調症の症状

統合失調症の症状は、非常に多岐にわたります。最も一般的な症状は、思考内容の障害(妄想)です。その他にも、次のような症状が現れます。

  • 思考過程の障害
  • 知覚の障害:幻覚・幻聴などが現れます。
  • 自我意識の障害:自分と他者を区別することができない状態です。
  • 認知障害:記憶力、注意力、思考力、判断力、実行力などの知的能力が欠ける状態です。
  • 感情障害:不安感、焦燥感、緊張感などが現れます。うつ状態になることもあります。
  • 行動が無秩序かつ予測不能となります。

統合失調症と迂遠

このように統合失調症では、人によって様々な症状が現れます。その統合失調症の一症状として、思考過程の障害が現われることがあります。

統合失調症では、思考過程の障害の中でも、特に途絶(思考途絶・思考阻害)、支離滅裂(思考散乱・思考滅裂)などが現れやすいとされていますが、迂遠や制止(思考制止)なども現れる場合があるとされています。

認知症

認知症は、いったん正常に発達した認知機能などの知能が、後天的な脳の器質的障害によって不可逆的に低下した状態のことです。言い換えますと、様々な原因で脳細胞が死んでしまったり、脳細胞の働きが悪くなることで認知機能が低下して生活に支障が出る状態と言えます。

ですから、認知症によって精神障害が現れると、器質性精神障害や脳器質性精神障害と呼ばれることもあります。

また、認知症は、特に高齢者に多く発症することがわかっています。

認知症の症状

認知症の中核的症状は、記憶障害、見当識障害(時間や場所などを見失う状態)、認知障害(記憶力、注意力、思考力、判断力、実行力などの知的能力が欠ける状態)とされています。これらの中核的症状は程度の差はあっても、ほとんどの認知症患者に発症します。

この中核的症状の他にも、患者によって次のような周辺症状が現れます。

  • 思考過程の障害
  • 思考内容の障害(妄想)
  • 知覚の障害:幻覚・幻聴などが現れます。
  • 感情障害:不安感、焦燥感、緊張感などが現れます。うつ状態になることもあります。
  • 異常行動:徘徊、暴言、暴力、異常な食行動(異食症)などが現れます。

認知症と迂遠

このように認知症では、人によって様々な症状が現れます。その認知症の一症状として、思考過程の障害が現われることがあります。

認知症では、思考過程の障害の中でも、特に迂遠や保続などが現れやすいとされています。

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迂遠の治療方法

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では、迂遠を治療する方法はあるのでしょうか?

迂遠の治療方法

迂遠は、様々な精神疾患の一症状に過ぎません。ですから、迂遠のみを治療する方法は、残念ながら存在しません。

そこで迂遠の原因となる精神疾患を特定し、その原因となる精神疾患を治療する必要があります。

てんかんによる迂遠の治療

てんかんは、根治不可能な疾患ではありますが、大部分は抗てんかん薬によって管理可能とされています。したがって、てんかんによって現れる迂遠については、抗てんかん薬によって緩和することができると考えられています。

統合失調症による迂遠の治療

統合失調症は、発生メカニズムや原因が未だ明確にされていない疾患ですが、大部分は薬物療法によって症状の緩和やコントロールができるとされています。したがって、統合失調症によって現れる迂遠については、抗精神病薬によって緩和することができると考えられています。

認知症による迂遠の治療

認知症は、脳に器質的障害をもたらす原因疾患によって、治療が可能であったり、治療法が存在しない場合があります。認知症の治療は、その症状や原因疾患に応じて治療方法も変化します。

受診する診療科は?

てんかんの場合は、精神科あるいは神経内科を受診するとよいでしょう。統合失調症の場合は、精神科の受診が一般的です。認知症の場合は、認知症専門の外来もできていますが、一般的には精神科や神経内科を受診することになるようです。

いずれの場合にしても、迂遠の他に問題行動が生じているならば、まずは精神科医の診断を仰いだ方が良いかもしれません。

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まとめ

いかがでしたか?精神医学用語としての迂遠について、ご理解いただけたでしょうか?

思考障害は、様々な精神疾患や脳の器質的障害によって現れる症状の一形態です。ですから、思考障害の一症状である迂遠も、様々な精神疾患や脳の器質的障害によって現れる症状の一つと言えます。

ただし、迂遠が全ての精神疾患に現れるかというとそうではなく、迂遠の現れやすい精神疾患があります。それが、てんかん、統合失調症、認知症なのです。

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これらを読んでおきましょう。

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