いぼ痔は自然治癒する?治療方法や症状、原因を知ろう!

人には言いにくい悩みの1つに痔があります。痔になってしまった時、恥ずかしいという理由ですぐに医療機関を受診するという人は少なく、誰もが自然治癒させようとするものです。

しかし、痔には自然治癒できるタイプのものもあれば、悪化したり再発するものもあるので注意が必要です。ここでは、痔が起こる原因から対処法・予防方法まで詳しくご紹介いたします。

痔について

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「痔になったかもしれない」と自覚症状がある人は日本の約3割いると言われています。その為、痔の問題は意外と身近な問題でもあります。

ここでは、痔の概要と痔を放置するとどうなるかについて詳しくご紹介します。

痔とは?

痔と聞くと「血が出たり」「痛い」というイメージを持っている方も多いですが、中には血が出ないタイプのものや痛みを感じないものもあります。痔には「イボ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「痔瘻」の3種類のタイプがあります。

この中で自然治癒しやすいといわれているのが、イボ痔と切れ痔の2つです。特にいぼ痔の中でも外核痔は自然に治る可能性があります。しかし、一般的には痔は自然治癒するものではなく、症状が軽かった場合に人間が本来持つ治癒力と生活習慣の改善をすることで症状をよくする事ができます。

痔になって病院を受診する場合は、肛門科・肛門外科が一般的です。これらの科が近くにない場合は、外科または消化器外科を受診しましょう。一度痔になると治療期間も長くかかり、再発する可能性も高いです。

痔を放置するとどうなる?

痔の自覚症状を感じていながらも病院に行く人は少ないです。それには「恥ずかしい」という気持ちをどこかで持っているからと考えられます。また、痛くないからという理由で受診しない方もいます。

しかし、例えばイボ痔の内痔核という種類を放置した場合は、次第にイボが大きくなり肛門の方へと垂れ下がり、排便時に肛門の外に飛び出します。これを脱肛と呼び、こうなると激しい痛みを伴います。

放置すると手術でしか治せないくらい症状が悪化する可能性もあります。市販薬を使ったり生活習慣を改善しても、緩和されないようであれば我慢せずに医療機関を受診しましょう。

痔になる原因について

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痔になる原因のほとんどは肛門周辺の血流が悪くなり、静脈内に血液がたまることで起こります。肛門付近は毛細血管が多く、デスクワークが多くて体重がお尻にかかったり、排便時にいきむことで圧力がかかったり、冷えなどで血流が悪くなり痔が生じます。

ここでは、痔になる原因についてご紹介します。

排便時のいきみ

便秘の人が排便時に思いっきり力を入れていきむと、肛門部分に大きな負荷がかかります。トイレに入るたびに、思いっきりいきむと力を入れたときに伸び縮みしていた部分がたるみ始めその部分に血流が流れ込み始めます。

そうなると、血液の停滞が起こり始め、イボができ始めます。

同じ姿勢をとり続ける

長時間椅子に座るとお尻が痛くなってくると思います。座りっぱなしになると体重がお尻に掛かります。そして、肛門にも同じだけの負荷がかかり、血流が滞りやすくイボができやすくなります。

だからと言って、立っていれば平気というわけでもありません。長時間立っていると足が痛くなり、むくみを感じると思います。これは重力によって足の方に血がたまって血流が悪くなるからです。その為、同じ姿勢でいる事が多く血流が悪くなる状態が作られると痔になりやすくなると言えます。バッグを持つ手がいつも一緒だったり、足を組む癖があったりと癖がある人も血流を悪くする原因になるので気をつけましょう。

冷え

冷えは血流が悪くなる原因になります。例えば、夕飯の残りものを冷蔵庫に入れたときに、白い脂の固まりを見たことある人はいると思います。これは脂が冷えて固まったもので、私達の人間の体でも同様の事が起こります。

冷えると血液の中がドロドロになりやすく血行不良を起こし始めます。痔の原因になるだけでなく、痔を悪化させる原因にもなります。

食生活

食生活の乱れも血行不良を引き起こします。食物繊維を多く含んでいる野菜やフルーツを食べずに、肉食中心の生活をしている人、またコンビニ弁当や外食中心の生活している人も血液がドロドロする原因になります。

また、このような生活を続けると便秘になりやすくなり、思い切りいきむ必要が出てくるため、痔を発生させる原因にもなります。

ストレス

ストレスと自律神経は密接な関係にあり、この自律神経は細い神経網で体の隅々まで張り巡らされています。また、血管、心臓、肺、腸などの器官にも伸びている為、自律神経が影響を受けると様々な臓器に負荷がかかるようになります。

その負荷がかかる1つが血管です。ストレスがかかると血管が収縮して血流が悪くなり、その結果痔を生じる場合があります。

アルコールやたばこ

お酒は適量であれば血流を良くして、血液をサラサラにする作用があります。しかし、飲みすぎてしまうと逆に血液をドロドロにしてしまいます。アルコールには脂肪の吸収を促す働きがあり、アルコールのおつまみには脂肪分が多いものや糖分の多いものを摂取しがちです。

その為、血中の中性脂肪値が上昇して血液がドロドロになりやすくなるのです。また、タバコは1本吸うだけでも血圧を上げて血管を収縮する作用があります。このように血液がドロドロになることで痔の原因になります。

痔の種類と治癒方法について

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痔にはイボ痔、切れ痔、痔瘻の3種類に分類できます。イボ痔の中でも歯状線よりも内側にできるものを内痔核と呼び、外側にできるものを外痔核と言います。

これらの種類別の詳しい症状と治癒方法にご紹介します。

内痔核

イボ痔の内痔核は歯状線よりも内側にできるもので、痔の中でも一番見られるタイプです。何らかの理由で血流が悪くなることで、イボ状の腫れが現れるようになります。この周辺は痛みを感じる神経(知覚神経)が通っていない為、初めは痛みを感じる事はなく、出血することで気付くケースが多いです。

排便時に便器の中が真っ赤になるほど、大量の血液がでる場合もあります。痛みがないからといって放置し、症状が進行するとイボが肛門の外に出てくるようになり、痛みを伴うようになります。イボが外に出てきたとしても指で押せば戻る状態ですが、次第に指で押しても戻らないようになります。

症状

  • 痛みはない、または少ない
  • 排便時に出血がある
  • 肛門からイボが出てくる

治療法

内痔核の場合は初期段階であれば、薬物療法や生活改善をすることで治る場合が多いと言われています。しかし、内痔核の場合は初期状態では痛みがないものが多く、放置されてしまい知らないうちに悪化し、その頃に気付くケースも多いです。

内痔核は、症状の進行によって治療方法は異なりますが、保存療法と手術療法の2種類あります。内痔核で手術を検討する場合は、脱肛が頻繁に起こり日常生活に影響を与えている場合です。それ以外には保存療法で薬や軟膏を用いたり、生活習慣の改善をすることが一般的です。他にも注射で治療することもできます。

外痔核

イボ痔の外痔核は、歯状線よりも外側の皮膚部分にできたイボのことです。肛門付近の皮膚には痛みを感じる神経がある為、外痔核の場合は痛みを伴います。

外側に血栓が出来て大きく腫れる状態のため、血栓性外痔核とも呼び激しい痛みを伴います。出血をするのは少ないと言われています。

症状

  • 痛みがある
  • 大きく腫れると激しい痛みが伴う
  • 出血はあまり見られない

治療方法

外痔核の場合は、症状が初期の状態の場合はイボが自然消滅する可能性があると言われています。外痔核の場合は生活習慣を改善すると、1週間前後で自然治癒する事が多いタイプです。しかし、症状が悪化すると大きな塊ができて、痛みや腫れがひどくなる場合もあります。

このように悪化してしまうと、塊を除去する必要もでてきます。また、出血がひどく貧血状態になったりして日常生活に影響を及ぼすようになると、イボを直接切除する手術を検討します。

裂肛(切れ痔)

きれ痔は、肛門付近の皮膚が切れた状態で「さけ痔」とも呼ばれています。この部分には痛みを感じる神経が通っている為、強い痛みを伴います。ダイエットで食事制限をして、便秘に悩む女性が多い為、男性より女性の方が発症率が高いと言われています。

無理なダイエットや食物繊維が不足すると、排泄されずらくなります。食べ物は大腸を抜けるうちに水分が吸収されるため、滞在時間が長くなると硬い便が作られるようになります。この硬い便が無理やり肛門を通過しようとすると肛門の皮膚が裂けてしまい、切れ痔になります。便秘の人は切れ痔が慢性化し、悪化してしまう場合があります。

切れ痔になると、排便時に激しい痛みが伴うため、排便を我慢しやすくなり、更に便秘を引き起こすという悪循環が生まれます。裂肛を繰り返すと炎症が起こり潰瘍やポリープなどができる場合があります。

症状

  • 排便時に強い痛みを伴う
  • 排便時にトイレットペーパーに着く程度の少量の出血が見られる

治療方法

初期の切れ痔は自然と治ります。しかし、切れ痔になると再発を起こしやすい為、早期に生活習慣を改善していく必要があります。

また、再発を繰り返して炎症が起こり潰瘍やポリープが気になったり、生活に影響が出る場合は手術が検討されます。

痔瘻(あな痔)

痔ろうは、肛門の周りに炎症を起し膿ができ、最終的に直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔です。老年~中年の男性に出来やすいと言われています。痔ろうの主な原因は下痢などで直腸から細菌が入る混むことで発症すると言われています。

肛門付近には肛門線と呼ばれる粘液を出す線があります。小さなくぼみの為、通常は粘液が入りませんが、下痢をしていると便がこの部分に入りやすくなり、細菌が入り込むようになります。免疫力が低下している場合、感染して膿ができると肛門の内外をつなぐトンネルができるようになります。

症状

  • 肛門周辺の皮膚が腫れてズキズキした痛みを伴う
  • 熱(38~39℃)がでる場合がある
  • お尻から膿が出て下着が汚れるようになる
  • お尻に熱を感じる

治療方法

痔瘻は膿が出ると楽にはなりますが、市販薬を使ったり自然治癒を望むことは出来ません。また一時的な対処法ではありますが、お尻の周辺が痛む時は患部を冷やすと痛みが和らぎます。

お尻に痛みや熱を感じる時は病院で切開して、膿を取り出してもらいましょう。痔瘻の治療は一般的に手術が必要になります。

痔の対処法・予防策について

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痔になってしまった時、病院に行かずに自然治癒したいと思う人は多いです。痔のタイプの中でもイボ痔と切れ痔は自然治癒できる可能性があるので、私生活に影響がでていない程度のものは市販薬や生活習慣の改善を試してみるのもオススメです。

また、痔は治っても再発する可能性が高いです。ここでは自然治癒や予防の為に出来る事についてご紹介します。

肛門に負担をかけない

痔は肛門に関わる病気の為、肛門になるべく負担がかからないように生活することが重要です。例えば、デスクワークなどで長時間座っていると、体重が肛門にかかり負担となります。

たとえ立っていたとしても同じ姿勢が続くと、筋肉が緊張して血行が悪くなるので、同じ姿勢を取らないように気をつけることが重要です。

また、長い間便座に座っていると肛門が開いたままの状態になり、負担がかかります。排便の時間は長くても5分程度で終わらせるようにして、負担を軽減しましょう。

食生活を見直す

便秘や下痢が習慣になっている事も痔の原因になります。その為、下痢や便秘にならないように食生活を見直しましょう。

便秘の方の場合

便秘の場合、排便しにくいので必要以上にいきみ肛門周辺の血管に負担がかかります。これによりイボ痔ができたり、肛門の周辺がが裂けて切れ痔になったりします。便秘の方の場合は、多く食べ過ぎずにデトックスをする事を心がけましょう。

お水にレモン果汁を入れたデトックスウォーターを取り入れることで、便通を改善することができます。また他にも、運動をして腸の運動をよくすることも重要です。

便秘解消方法

  • デトックスウォーター(水+レモン果汁)
  • 水分補給をしっかりして、便が硬くなるのを防ぐ
  • 水溶性の食物繊維(りんご・にんじん・海藻類・こんにゃく)を摂取して便通をよくする
  • 朝食を欠かさない
  • 乳酸菌やオリゴ糖で腸の働きを整える
  • 運動不足を解消する

下痢の方の場合

下痢になる主な原因は水分量が増えることです。腸が正常に動いていれば腸で水分が吸収されて排便されますが、腸の動きが活発になることで腸の中での移動速度が速まり多くの水と一緒に排出されて下痢となります。

また、ご飯やうどん、ジャイモ、サトイモ、バナナ、リンゴ、ヨーグルト、白身魚、豆腐などの胃腸への負担が少ないものを食べるようにしましょう。

下痢解消方法

  • 香辛料やアルコールを控える
  • 暴飲暴食をしない
  • 腸への刺激が少なく消化にいい食べ物を食べる
  • 不溶性の食物繊維を摂取する(大豆・芋類・キノコ類・ごぼうなど)

生活習慣の改善

血行不良になると痔になりやすい為、日々の生活の中で血行をよくするよう気をつけましょう。体が冷えないように軽い運動やストレッチをしたり、排便時には、温水洗浄式の便座を使ってお尻を温める事ができます。

他にも、質の高い十分な睡眠を取ったり、喫煙、アルコールを控える、ストレス解消なども重要です。

お風呂に入る

お風呂につかって体を温めるようにしましょう。全身がリラックスすればお尻の緊張がほぐれて血行を良くする事が出来ます。

熱いお湯を浴びると患部が過度に温まりすぎて炎症が悪化する可能性もあります。ぬるま湯程度の温度で半身浴をして、しっかり体を温めましょう。

市販薬

痔瘻の場合は病院での治療が必要になりますが、痔核や裂肛の症状が軽いうちは市販薬を使のも方法の1つです。治療薬には外用薬と内服薬の2種類あります。外用薬には軟膏、座薬、注入軟膏などがあり、炎症を抑えたり、痛みや痒みを抑えたり、殺菌作用のある薬もあります。

軟膏タイプは裂肛や外痔核などの肛門の外側にできるものに使用し、座薬は肛門内部の痔に使用します。注入軟膏は、裂肛、内痔核、外痔核など、外側も内側にも使えます。注入軟膏の市販薬は「ボラギノールM軟膏」が有名です。内服薬は鎮痛効果や止血作用、炎症を抑える作用のあるものがあります。

おわりに

「痔かもしれない」と気付いたとしても病院にはなかなか行きづらく、出来るだけ自分で治したいと思います。裂肛、内痔核、外痔核の痔のタイプの場合は症状が軽ければ、治療薬と生活習慣の改善で治癒できる可能性があります。

たとえ、痔が治ったとしても再発する可能性が高い為、今回ご紹介した対処法・予防法を参考に生活習慣を見直しましょう。

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