朝の歯磨きはいつするのがベスト?得られる効果と歯磨きの注意点を紹介!

朝の歯磨きのタイミングは朝食前と朝食後のどちらが良いのか、迷うことがありますよね。

歯磨きするのは「毎食後と就寝前」の1日4回をススメる歯医者さんが多いようです。朝も朝食後でいいように思いますが、「寝起きの口の中は細菌だらけ」と聞くと、その口で食事をするのはイヤな気分です。

歯磨きは虫歯予防や歯周病予防の他にもいろいろ効果があるといいます。

朝の歯磨きのベストタイミングと歯磨き方法、歯の磨きすぎによる摩耗(まもう)症や歯周病と全身疾患との関係についてお伝えしますね。

朝の歯磨きはいつするの?

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朝の歯磨きは90%の人が朝食後といいます。朝起きてすぐ歯磨きする人は10%程度のようです。

しかし、就寝中は唾液(だえき)の分泌が激減するので口の中が乾き、虫歯菌や歯周病菌などの細菌が口内にはびこっています。

[寝起きの口の中は細菌でいっぱい]

口内には虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌だけでなく、カンジダ菌(カビの1種)・黄色ブドウ球菌・緑膿菌・肺炎桿菌・インフルエンザウィルスなど全身疾患を引き起こす菌をはじめ300~400種類の細菌が棲息しています。

よく歯磨きする人で1000~2000億個、あまり歯磨きしない人には4000~6000億個もの細菌が口内に棲みついています。口腔内の菌の数は肛門より多いといいます。

唾液の自浄作用で細菌を洗い流す

唾液には口腔内の細菌を洗い流す自浄作用があります。唾液が正常に分泌され、毎食後きちんと歯磨きする習慣があれば、口の中を清潔に保つことができます。

しかし、加齢・緊張やストレス・薬の副作用・口呼吸などが原因で唾液の分泌が減ると、口内が乾燥して細菌が繁殖します。口臭が強くなったり虫歯ができやすくなったりするだけではありません。風邪やインフルエンザにかかる可能性が高くなります。

口内のケアが悪いと悪玉菌が増える

唾液の減少だけでなく歯磨きなど口内のケアが悪いと、細菌数が増えます。悪玉菌が増えて胃や腸に細菌感染が広がり、最悪の場合、大腸ガンや痔を発症する可能性もあります。

睡眠中は唾液の分泌が激減する

睡眠中は唾液の分泌が激減します。口腔内の雑菌の繁殖スピードは覚醒時(起きている時)の3倍になります。口内細菌の数が爆発的に増えます。そのため起床時の口臭はとても強くなります。口の中がネバネバして不快になります。

起床の直後に水を飲むと、雑菌も一緒に呑み込む

朝起きぬけに水を飲むのは健康に良くありません。口内で増殖した細菌を水と一緒に呑み込んでしまいます。

高齢者は誤嚥性肺炎を起こす危険性があります。細菌が胃に流れ込めばまだしも、誤嚥して肺や気管に流れ込むと重篤な肺炎を発症することがあります。

起床直後の歯磨きは風邪やインフルエンザの予防になる

朝起きてすぐ歯磨きすると、歯垢(プラーク)や歯周ポケットの中など口内で繁殖している細菌を除去することができます。

インフルエンザウィルスの増殖には、プロテアーゼという酵素が関与しています。プロテアーゼは口腔内の細菌によって産生されます。口中の細菌が除去されるとプロテアーゼの産生が減り、インフルエンザウィルスが増殖しにくくなります。

[歯磨きは毎食後と就寝前が効果的]

歯磨きをするのは、食べ物のカスを栄養にしてできる歯垢(プラーク)を除去するためです。食べ物のカスを養分にして細菌が繁殖すると、ネバネバした白いプラーク(歯垢)になります。歯垢が歯や歯茎につくと、虫歯や歯周病になります。歯垢は水に溶けないので、歯ブラシで除去します。

毎食後すぐに歯を磨いて歯垢を除去する

歯垢(プラーク)は2日間ほどで硬い歯石になります。歯石が増えると細菌の作用で歯周病が悪化します。歯石は歯ブラシで除去できません。歯科医院で歯科医師か歯科衛生士に除去してもらう他はありません。

そこで、食事をした後に歯磨きをして食べ物のカスや歯垢を取り除きます。歯ブラシだけでは除去しきれないので、デンタルフロスや歯間ブラシを併用します。

毎食後の歯磨きは口臭予防

食べ物の残りカスは口臭の元になります。朝・昼・晩の食後に歯を磨いて食べカスを取り除くと、口臭予防になります。ビジネス関係者特に営業の男女は、昼食後の歯磨きで午後の口臭を防ぐようにします。

就寝前の歯磨きが最も大事

虫歯予防と歯周病予防には就寝前の歯磨きが最も効果があります。歯科医師も就寝前の歯みがきを習慣にするよう指導します。

睡眠中は唾液の分泌が激減します。唾液には殺菌成分や免疫成分が含まれています。唾液の分泌が激減すると、細菌は食べ物の残りカス(食物残滓)を栄養にして増殖します。

就寝前には、歯ブラシ・デンタルフロス・歯間ブラシを使用して丁寧に食べ物のカスと歯垢を除去します。

[寝起きと朝食後に歯を磨く]

朝は、寝起きと朝食後に歯を磨くようにします。少し面倒ですが、健康のためには2回の歯磨きがベストです。毎朝の歯磨きには、2つの方法があります。

①起きたらすぐに歯を磨き、朝食後にも歯を磨く

朝起きたらすぐに、水など飲む前に歯を磨きます。就寝前に歯垢(プラーク)を丁寧に除去してていても、睡眠中に歯垢が溜まります。プラークは細菌の塊ですから、朝食前に取り除いて口中内の環境を清潔に整えます。

朝食後は、食べ物のカスや歯垢を歯磨きで除去します。朝食にはご飯やパンを食べます。ごはんもパンも糖質ですから歯垢を増やします。歯垢の細菌は糖分を栄養として増殖し、糖分とともに歯のエナメル質を溶かす酸を産生します。

液体歯磨きがオススメ

朝食前後2回も歯磨きすると、歯面が傷つく「摩耗症」になる危険性があります。液体歯磨きは研磨剤が含まれていないので、歯面を傷つける可能性がありません。液体歯磨きで口中をすすぎ、ブラッシングします。液体歯磨きを口中に含んだままブラッシングしてもかまいません。起き抜けの歯磨きは液体歯磨きがオススメです。朝食後の歯磨きも研磨剤を含まないフッ素配合の歯磨き粉が良いようです。

②起き抜けはデンタルリンス、朝食後にきちんと歯磨きする

起きた直後はマウスウォッシュやデンタルリンスなど洗口液でうがいして雑菌を除去し、朝食後に丁寧に歯磨きして歯垢や食べカスを取り除きます。

忙しい朝に2回も歯磨きする時間的余裕がない人にオススメの方法です。磨きすぎの心配もありません。

洗口液と液体歯磨きは使用方法が違う

液体歯磨きは練り歯磨きと同じようにブラッシングして歯垢を除去します。虫歯予防・歯周病予防になります。

洗口液は、うがいして口中を浄化します。口臭予防になります。

歯磨きの正しい方法

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歯磨きの効果効能は虫歯予防と歯周病予防です。虫歯と歯周病の予防に歯磨きは欠かせません。

しかし、歯磨きは正しい方法で行わないと、歯垢(プラーク)を取り除くことができません。歯の表面や歯茎を傷つける可能性もあります。

[なぜ歯磨きは必要か?]

歯みがきが必要な理由は、歯垢(プラーク)が虫歯や歯周病を引き起こすからです。毎日の歯磨きの習慣でプラークを取り除くことが、虫歯や歯周病の予防になります。

歯垢は虫歯の原因となる

虫歯を作る原因となる菌はミュータンス菌とラクトバチラス菌です。これらを虫歯菌と呼びます。ミュータンス菌は生後10ヶ月~31ヶ月の間に母親から子供に感染します。ミュータンス菌などの細菌は集合体を成して、歯の表面にバイオフィルムという膜を形成して張り付きます。

歯垢は食べ物の残りカス特に糖分を栄養とする細菌の塊です。歯垢の成分の90%はミュータンス菌やラクトバチラス菌などの菌です。歯垢の糖分と虫歯菌が酸を産出します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かして孔を開けます。これが虫歯の始まりです。

歯垢のコントロールでラクトバチラス菌は減る

ミュータンス菌は1度感染すると、歯みがき程度では菌の量を減少させることはできません。しかし、ラクトバチラス菌は歯垢(プラーク)をコントロールすることで減少させられます。

子どもに砂糖を与えるとミュータンス菌が増殖する

母親から子供に感染したミュータンス菌は、子どもが砂糖を大量に摂ることで増殖します。日本小児歯科学会では、子どもの歯みがきを奨励するとともに甘い物の摂りすぎに注意するように指導しています。

乳歯の時から歯磨きが必要

日本小児歯科学会や予防歯科では、乳歯が生えた時から歯磨きするように指導します。赤ちゃんなど自分で磨けない子供はお母さんが磨きます。

歯垢は歯周病の原因となる

歯垢は細菌の塊です。歯と歯肉(歯ぐき)の境目に歯垢(プラーク)が付着すると、細菌が作用して歯ぐきに炎症を起こします。歯周病の始まりです。歯周病が進行すると、歯の周りに歯周ポケットという隙間ができます。この隙間に歯垢が溜まり、毒素を出します。歯周ポケットの中の歯垢はバイオフィルムという細菌の膜を形成するので、除去しにくくなります。歯肉の炎症が進み、歯槽骨や歯根膜を溶かします。

歯周病の治療は歯周病専門医がオススメ

歯周病の治療法は対症療法から原因除去療法までいろいろあります。虫歯や歯列矯正の歯科ではなく歯周病専門医を受診して、専門家による適切な治療を受けます。

[1日4回の歯磨き習慣]

多くの歯医者さんが、1日4回の歯磨きを習慣にするようにススメています。朝・昼・晩の毎食後と就寝前の歯磨きです。でも、前述した通り、朝の歯みがきは起床直後と朝食後の2回必要です。起床直後・朝食後・昼食後・夕食後・就寝前の5回の歯磨きでは、磨きすぎの危険性もあります。起床直後はデンタルリンスのうがいにして朝食後に歯磨きすれば、虫歯予防効果と歯周病予防効果を高めます。インフルエンザなど全身疾患の予防効果もあります。

食後は30分経ってから歯を磨く

歯を磨くのは食後30分経ってからが、虫歯予防の効果が上がります。

食事をすると、口の中に細かな食べカスが残ります。食べカスは酸を発生しますが、唾液によって中和されます。唾液が酸を中和するには30分ほどかかります。

食後は酸が残っているので、歯の表面の硬いエナメル質が溶けやすい状態になっています。食後すぐに歯磨きすると、歯ブラシなどでエナメル質を傷つけてしまいます。

正しい歯磨き方法ならば食事直後でもOK

でも、朝食や昼食の30分後に歯磨きするのは、時間的に難しい人が多いですね。また、唾液の中和力が弱い人もいます。

正しい方法で歯ブラシを握り、力を入れず優しく細かく磨くようにすれば、エナメル質を傷つけたり削ったりすることはありません。正しい方法で歯を磨くならば、食後すぐに歯磨きしても全く問題はありません。食後すぐに酸化が進むわけではありませんから、酸化が進む前の段階で歯磨きするのは良いのです。

夜寝る前は念入りに歯垢を除去する

歯医者さんによっては、「歯垢を完全に除去できるならば、就寝前に1回歯磨きするだけでもいい。しかし、歯垢を完全に除去することは難しいので毎食後歯磨きする必要がある」と言います。それほど、就寝前の歯磨きは重要性が高いのです。

就寝前に細菌の塊である歯垢をできるだけ取り除いておくと、菌の繁殖を多少抑制できます。でも、睡眠中は唾液分泌が激減して殺菌力・免疫力が低下します。口腔内の細菌が爆発的に増殖します。就寝前の歯磨きをいい加減にすると、細菌が比較にならないほど増殖します。

夕食後と就寝前に磨くのは磨きすぎ?

夕食後はお風呂に入ってすぐ寝るという人も少なくありません。夕食後30~60分経ってから歯を磨くのがグッドタイミングなので、夕食後の歯磨きを省略して就寝前の歯磨きを丁寧にするのも良い方法です。磨きすぎにもなりません。

お風呂に入りながらゆっくり歯磨きしてもいいですね。

昼食後に歯磨きできない時は歯磨きガムを利用

仕事をしていると、昼食後に歯磨きできないことが多々あります。その時は「歯磨きガム」を噛んで歯磨きの代わりにします。歯磨きガムにはミントやフルーツの香りがするものがあり、口臭予防の効果もあります。

歯磨きガムはあくまで緊急対策

最近の歯磨きガムにはいろいろな成分が配合されて歯磨き効果を高めているようですが、歯磨きガムはあくまでも多忙な時の緊急対策です。どうしても歯磨きする時間がない時に利用するもので、歯磨きガムを毎日の習慣にするのはNGです。昼食後もきちんと歯磨きするのが、正しいオーラルケアです。

赤ちゃんや子供も毎食後に歯磨きする

赤ちゃんや子供も虫歯を予防するために、毎食後歯磨きが必要です。お母さんが磨いたり、正しく磨くように指導したりします。就寝前の歯磨きは眠くなる前に済ませます。乳歯の時からケアすることが大事です。

乳歯が生え始める6~8ヶ月から、お母さんが歯を磨いてあげるようにします。

お母さんが「仕上げ磨き」をする

「仕上げ磨き」とは、子どもが自分ではきちんと歯磨きできない時にお母さんが歯磨きしてあげることです。子供が自分で磨きたがったら磨き方を教え、後で仕上げ磨きをします。

子どもが自分でしっかり磨けるようになるまで、仕上げ磨きを続けます。乳歯から永久歯に生え変わる時期は大事なので、1日1回は仕上げ磨きが必要です。

[歯科医オススメの歯磨き方法]

日本では多くの人が1日3~4回の歯磨きを習慣にしています。「朝晩しか磨かない」とか「歯磨きは朝だけ」という人は少なくなっています。しかし、歯みがきの仕方や歯磨きにかける時間は、人によって違います。正しい方法で歯磨きしている人は案外少ないようです。

昔は歯医者さんがススメる歯磨き方法は「3・3・3」でした。毎日3回・食後3分以内に・3分かけて磨くのです。現在、歯科医がススメる歯磨き方法は少し違います。

歯磨きの基本ポイント

歯磨きは1ヶ所20回、歯並びに合わせて磨きます。基本ポイントは5つです。

①歯ブラシは鉛筆を持つように握ります。ブラシの毛先を歯の面に直角にあてます。歯と歯茎の間、歯と歯の間に毛先をきちんとあてます。

ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力を入れて細かく動かします。歯ブラシは5~10㎜幅で小刻みに動かし、1~2本ずつ磨きます。1ヶ所20回が目安です。

②凹凸している前歯には1本ずつ縦にブラシをあてて、毛先を細かく上下に動かします。

背の低い奥歯は歯ブラシを斜めに入れて細かく動かします。奥歯のかみ合わせ面には凹凸があるので、ブラッシングが行き渡るように丁寧にします。

③歯ぐきや歯周ポケットには45度の角度で歯ブラシをあて、5㎜幅程度に細かく動かします。

④歯磨きの目的はプラーク(歯垢)を取り除くことなので、プラークのつきやすい箇所をチェックしておきます。歯と歯の間・歯と歯茎の境目・噛み合わせ面がプラークがつきやすくなっています。矮小歯にも注意が必要です。

⑤歯磨きする順番を決めておいて、磨き残しがないように注意します。歯の表面を舌で触りツルツルしているか確かめるのも良い方法です。

歯ブラシは柔らかめでコンパクトヘッド

歯ブラシの毛は柔らかめで、ブラシの頭の小さいコンパクトヘッドが使いやすいようです。歯科医に相談することもできますが、歯科医師推奨や歯科衛生士おすすめの歯ブラシが市販されています。

(矮小歯)

何らかの原因で標準よりも小さい歯が生えることがあります。標準より小さい歯を「矮小歯」といいます。前歯の辺りに生えることが多く、乳歯にも永久歯にも現れます。すきっ歯になったり噛み合わせが悪くなったり、支障が生じることがあります。歯科医師に相談して対処法を決めます。

歯ブラシだけでは歯垢は取り除けない

デンタルフロスや糸ようじを使って、歯の根元から歯垢をかき上げるようにして除去します。歯間ブラシは歯の部分によってブラシの種類が異なります。ブラシのタイプにより使用方法も違います。

歯ブラシだけでは、どんなに丁寧に磨いても歯垢の60%程度しか除去できません。歯ブラシとデンタルフロスを使用すると歯垢の80%、歯間ブラシを加えると歯垢の85%を除去できます。

デンタルフロスや歯間ブラシの使用は歯科医に相談する

デンタルフロスや歯間ブラシを使用したい時は、歯医者さんに相談することをオススメします。歯科医師推奨のフロスや歯間ブラシを紹介して、使用方法を指導してくれます。

歯磨き剤はたっぷり使う

歯磨き剤(歯磨き粉)には歯の汚れを落とす成分や歯を強くする成分フッ素が含まれています。歯磨き粉はたっぷり(1㎝以上)使う方が歯垢が落ちやすくなります。

歯科医推奨の歯磨き粉は、①あまり泡立たない ②研磨剤が入っていない ③フッ素入り です。

歯医者さん自身は2度磨きをすることが多いそうです。1度めは歯ブラシと水だけで磨き、2度めは歯磨き剤を練り込むようにして磨くそうです。

歯磨き剤が苦手な人は、水だけで磨いた後にフッ素洗口液を使います。

フッ素は歯を再石灰化する

フッ素配合の歯磨き剤は歯垢を除去するとともに、酸で溶けた歯を再石灰化して修復します。

歯を磨いた後は軽くうがいするだけ

歯磨き粉で歯磨きした後は、軽くうがいするだけにします。歯磨き粉の味を消そうとして何度も口をすすぐと、歯を強くする成分が流れてしまい効果が減ります。

歯磨きには20分程度かかる

正しい方法でブラッシングすると、10~15分はかかります。デンタルフロスや歯間ブラシを使うと20分程度はかかります。

朝や昼の忙しい時でも、最低5分以上かけて歯磨きするようにします。就寝前の歯磨きは、20分以上かけて丁寧に磨きます。

歯磨きだけでは100%歯垢を除去できない

どんなに丁寧に歯磨きしても、自分自身で100%歯垢を除去することはできません。定期的に歯科医院に行き、歯科医師または歯科衛生士に歯垢と歯石を除去してもらいます。虫歯や歯周病の状態もチェックしてもらい、必要な治療を受けます。

定期的な歯のクリーニングと健診が、歯と全身の健康を保ちます。

間違った歯磨きでは支障が生じる

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間違った歯磨きの方法では歯垢が除去できず、虫歯や歯周病が進行します。それだけではなく、全身に影響を与える可能性があります。

[歯の摩耗症]

硬い歯ブラシや研磨剤入りの歯磨き粉(歯磨き剤)を使用して歯を磨きすぎると、歯の表面のエナメル質が削られる危険性があります。

歯頚部や歯根部のエナメル質は薄いので、硬い歯ブラシで力を入れてゴシゴシ磨くと摩耗してしまいます。エナメル質が削れて象牙質が剥き出しになると、象牙質は弱いので摩耗がどんどん進みます。

摩耗症の症状

摩耗症の症状は知覚過敏と歯の変色です。

知覚過敏が起きる

エナメル質が摩耗すると、歯の神経が通っている歯管に近くなるので「知覚過敏」を誘発します。ほんのちょっとした刺激で痛みを感じるようになります。歯ブラシが歯に触るだけでも痛みが生じることがあります。

歯が白濁したり黄色く変色したりする

摩耗症が慢性化すると、象牙質の再石灰化が促進されます。歯の表面が白濁したり黄色く変色したりします。

摩耗症の予防方法

摩耗症を予防するには、ブラシの毛が柔らかい歯ブラシを使います。力を入れてゴシゴシ歯をこすらないようにします。研磨剤を含まない歯磨き粉か液体歯磨きを使います。

電動歯ブラシよりも普通の歯ブラシを使う

電動歯ブラシは無意識に強く歯に押し付けてしまいがちなので、歯医者さんは普通の歯ブラシをすすめます。電動歯ブラシは歯垢除去率もそれほど高くありません。歯科医師自身も普通の歯ブラシを使っているようです。

歯のホワイトニングは一時的に歯を弱くする

歯のホワイトニングは、簡単に言うと過酸化水素で歯の表面を漂白することです。一時的に歯のエナメル質のカルシウムが失われて、歯が弱くなります。外部からの刺激を受けやすくなります。知覚過敏が起こる可能性があります。

歯の摩耗症で知覚過敏が起きていると、過酸化水素がしみやすくなります。

[歯周病と全身疾患]

歯の磨き方が間違っていると歯垢が除去しきれず、歯周病を発症しやすくなります。

日本臨床歯周病学会など歯周病学会では、歯周病が歯や歯槽骨など口腔内の病気に留まらず、歯周病菌が全身疾患に影響を及ぼすと発表しています。

食生活の改善や毎日の正しい歯磨き習慣が歯周病の予防になるとともに、生活習慣病の予防効果も高めます。

歯周病菌と心臓疾患・脳血管疾患

不適切な生活習慣や運動不足やストレスなどで動脈硬化が起こります。最近、歯周病菌が刺激となって血管内にプラーク(粥状脂肪性沈着物)ができ、血液の通り道が狭くなることがわかってきました。

歯周病菌の刺激により心臓や脳の血管が詰まると、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞が起こります。

歯周病の患者さんが脳梗塞を発症する確率はそうでない人の2.8倍といいます。血圧・コレステロール・中性脂肪が高い人は、歯周病の予防と治療に努めることをオススメします。

歯周病を治療すると糖尿病が良くなる

歯周病は糖尿病の合併症と言われてきました。最近では、歯周病になると糖尿病が悪化することがわかってきました。歯周病と糖尿病は深い関係があります。

歯周病を治療すると、糖尿病が改善します。

歯周病菌の内毒素が血糖値に影響する

歯周病菌の細胞の細胞壁には「内毒素」という毒素があります。歯周病菌が死んでも内毒素は生き延びます。歯周病菌は内毒素をまき散らしながら血管内にも入ります。血管内で歯周病菌は死滅しますが、残った内毒素が血糖値に悪影響を与え血糖値が下がりにくくなります。

歯周病を治療すると、血糖値のコントロール状態が改善します。

歯周病と認知症

歯周病と認知症に関係性があるようです。歯周病菌が刺激となって脳梗塞が起きると、脳血管型認知症を発症する可能性があります。

歯周病により歯が失われ噛む力が弱くなると、脳を刺激して活性化することができなくなります。歯周病は認知症のリスクを高くするようです。

[健康は歯から]

ある医師は「健康は胃腸から」と言いますが、歯科医師は「健康は歯から」と言うでしょう。歯の健康を保つことが、全身疾患の予防になります。

歯の健康を維持するためには、毎日の歯磨き習慣・適正な歯磨き方法・定期的な歯のクリーニングと健康診断が必要不可欠です。虫歯や歯周病は予防が第一ですが、早期発見早期治療も大事です。

子どもの頃から定期的に歯科医院に行く習慣をつけ、わずかでも違和感がある時は気軽に歯科医に相談するようにします。歯医者さんと仲良くすることが歯の健康を守ります。

まとめ 朝の歯磨きは起床直後と朝食後

口の中は口内細菌でいっぱいです。300~400種類の口内細菌が棲みついています。その中には虫歯菌や歯周病菌もあります。細菌は食べ物のカスを養分として繁殖し、歯垢という細菌の塊を作ります。歯垢は虫歯や歯周病の原因になります。

虫歯と歯周病を予防するために、歯磨きして歯垢を取り除きます。歯垢を除去するには、毎食後と就寝前に歯磨きするのが効果的です。

口内は細菌が多いのですが、唾液が洗い流しています。唾液には殺菌成分と免疫成分が含まれ、自浄作用があります。唾液の分泌が減少すると、口内の細菌数が増えます。

睡眠中は唾液の分泌が激減するので、口内細菌が爆発的に増えます。起床した時、口の中は細菌で溢れています。このまま飲んだり食べたりすると、細菌も一緒に胃腸に入ります。起床直後に歯磨きするかうがいするかして、細菌を除去する必要があります。

朝食を食べると歯垢がつくので、朝食後にも歯磨きをします。磨きすぎて歯を傷めないように研磨剤の入っていない歯磨き剤で力を入れずに磨きます。

起床直後はデンタルリンスでうがいして、朝食後に丁寧に歯磨きすることをオススメします。

歯の健康を守ることは全身の健康を守ることになります。毎日の歯磨き習慣と歯科医院での定期的な歯のクリーニングが、歯の健康を維持します。

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