捻転毛(ねんてんもう)というクセ毛のタイプを知っていますか?このクセ毛は、遺伝で持って生まれる人もいますが、年齢を重ねてから急に捻転毛に悩まされる場合もあります。
「最近、スタイリングが上手くいかない」「髪の毛がパサついている」「髪を短くするとボリュームが出る」などを感じている方はもしかしたら、捻転毛かもしれません。こちらでは、捻転毛の髪質の特徴から改善策までを記事にしてきます。
捻転毛(ねんてんもう)について
くせ毛で悩んでいる人は多いと思いますが、普通のクセ毛とは少し違って髪の毛の形がデコボコしたり、ねじれてしまってしまう場合があります。
この異常な形を示すものを「毛髪奇形」「ネザートン症候群」「捻転毛(ねんてんもう)」「連珠毛(れんきゅうもう)」と呼びます。この中でも今回、捻転毛とは何か、なぜ発症するのか原因についてご紹介します。
捻転毛とは?
捻転毛とは、髪の毛がところどころ縄のようにねじれて、太さが均一でない髪の毛のタイプのことです。髪のねじれている部分が折れやすいので切れ毛になりやすく、太さが均一でない為にストレートパーマや縮毛矯正の薬剤やヘアアイロンなどを使うと、細い髪の毛の部分が切れてしまうのが特徴的です。
ねじれていることで、髪の表面に光が反射して、髪には艶がなくパサつきやすく、触ってみるとザラついています。
原因とは?
髪の表面は外側から毛表皮(キューティクル)、毛皮質(コルテックス)、毛髄質(メジュラ)と呼ばれる3層の表層から形成されています。毛質に大きく関わるのが中間にあるコルテックスと呼ばれる中間層のものです。
コルテックスの成分は水分を吸収しやすい性質を持つたんぱく質からなるAコルテックスと、水分を吸収しにくい性質を持つたんぱく質からなるBコルテックスの2種類あります。AコルテックスとBコルテックスの割合いが50:50の場合に直毛となり、この2つの異なる性質のコルテックスが、不規則な速度や方向に成長していくと捻転毛を作ります。
また、捻転毛ができる原因は毛根や毛穴の形にもあり毛穴の形が変わると髪が捻れる原因となります。
先天性の場合
この髪の毛の質は遺伝的な要因が一番大きいと言われています。くせ毛は優勢遺伝の為、親から子供に引き継がれる場合が多いです。毛を作る際に必要な遺伝子に何らかの異常が起こることで、症状が現れます。
思春期以降に自然と髪質が変化してくる場合もありますが、個人差があります。捻転毛に特別な治療法はありませんが、皮膚科の専門医にどうするべきか質問して適切な診断をあおぐのも効果的です。
後天性の場合
生活習慣が影響して髪に栄養が十分にいきわたらない事などが原因となって、後天的に現れる場合もあります。海野もちさんというブロガーの方も以前はストレートヘアだったにも関わらず、歳を重ねてから急に捻転毛に悩まされるようになったことをブログに綴っています。
若い頃に比べて髪質が悪くなってきてどうにかしたいなーと日々悩んでいます……。昔は直毛中の直毛で、幼稚園の時は髪がサラサラ過ぎて、しばってもゴムが取れてきてしまうくらいサラッサラだったんです。
後天性の場合は、全身性強皮症(ぜんしんせいきょうひしょう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、感染症などの病気が原因となって発症したり、やせ症、栄養失調、経口合成レチノイド治療、炎症性頭皮疾患などの治療の影響で捻転毛になる場合もあります。
これらの病気が原因となって現れた捻転毛の場合は、病気の治療をすることが改善策へと繋がります。また、病気とは関係なく捻転毛だけが現れている場合は、特別な治療方法はなく、ヘアケアをすることが重要です。
原因と対策について
髪質改善をするには原因について知ることが重要です。どのような事が髪に悪影響を与えるのか、原因を知ることで同時に対策することもできます。
ここでは、原因と対策について詳しくご紹介します。
急激なダイエットを控える
栄養が不足すると髪が痩せてしまう原因となり、逆にリバウンドをすると髪が太る原因にもなります。
その為、急激なダイエットを行ったり、痩せたり太ったりとリバウンドを繰り返していると、髪がところどころに細くなったり太くなったりする原因を作ります。
食生活の改善
健康な髪の毛へと髪質改善するには、十分な栄養が必要です。偏った食事や不規則な食事をすると髪を健康に保つことはできません。健康な髪の毛を保つには「たんぱく質」「ビタミンB」「亜鉛」は欠かせない栄養素です。
全ての栄養素をいつも気にして取り続けるのは難しいですが、比較的に魚類には髪に必要な栄養素が豊富に含まれているため、お魚を食べる習慣を身につけるのがオススメです。
たんぱく質
髪の毛の主要成分はたんぱく質で構成されているため、健康な髪の毛を作るのに一番重要な栄養素と言えます。たんぱく質の中には肉、魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質と納豆、豆腐などの大豆製品、豆類などに多く含まれている植物性たんぱく質の2種類あります。
これらの中から様々な食材を選び、良質なたんぱく質を摂取するように心がけることが重要です。特に植物性たんぱく質の摂取を心がけるのがオススメです。動物性たんぱく質の場合は、摂取しすぎると内臓に脂肪がつきやすくなったり、内蔵機能低下や血流が悪くなる原因を作ります。
ビタミンB
ビタミンには様々な種類がありますが、どのビタミン類も頭皮の環境を整えて髪の成長を促進する重要な役割があります。中でも、ビタミンB2やビタミンB6、ビタミンEを積極的に補いましょう。ビタミンB2やビタミンB6は細胞を活性化する働きがあり、ビタミンEには血管拡張の作用があります。十分な栄養素を髪に届けて健康な髪に保つ働きをしてくれます。
- ビタミンB2を含む食材:レバー、青魚、卵、大豆、乳製品、ウナギ
- ビタミンB6を含む食材:肉類、サケ、マグロ、バナナ、ナッツ
- ビタミンEを含む食材:すじこ、あんこうの肝、いくら、いわし、たらこ、めんたいこ
亜鉛
亜鉛は、タンパク質を毛髪合成するのに必要な栄養素です。
亜鉛を豊富に含む食材は限られていますが、特に牡蠣に多く含まれています。その他に亜鉛が含まれている食材は、レバー、牛肉(肩)、かに缶、牛ひきにく、卵などが挙げられます。
ストレスを発散する
ストレスを感じると、アドレナリンというホルモンが分泌され心臓がドキドキしたり、全身の筋肉を緊張状態にします。その為、慢性的にストレスを感じていると毛穴が締め付けられて、毛根の形状が変わりクセ毛を引き起こします。
また、他にもストレスにより血流が悪くなる事で、髪に栄養が十分にいき届かずに健康な毛髪が作られなくなります。
睡眠をしっかり取る
前髪や頭頂部は特に男性ホルモンの影響を受けやすい場所と言われています。成長期でホルモンが増えてくる時期や、逆に老化によってホルモンが減少する時期にクセ毛が見られる場合があります。
ホルモンバランスを安定させるには、生活リズムを整えることが大変重要になります。質の高い睡眠を取ってホルモンバランスを整えましょう。
ヘアケアをしっかりする
毛穴に皮脂や老廃物が詰まっていると髪の毛が毛穴の老廃物を避けるようにして生えるので髪の毛がねじれます。
クセ毛の悩みの中で最も多くの原因となっているのが毛穴の汚れだと言われています。正しいヘアケア方法を行いましょう。
ヘアケア方法について
捻転毛を改善するには、毎日の髪のお手入れがとても大事になってきます。クセ毛を直すのに効果的なアミノ酸配合のヘアケア用品なども販売されている為、これらを使って正しいシャンプーを行いましょう。
ここでは日ごろからできる髪の毛のお手入れ方法、改善法についてご紹介します。
シャンプーの仕方
毛穴に皮脂や汚れが詰まっていると、髪がねじれて生えるため、頭皮をしっかりと洗うことが重要です。美容院でも行われている頭皮の洗い方を家でも行い、頭皮をしっかりと洗いましょう。
シャンプーをしすぎて頭皮が乾燥すると髪がチリチリになって余計に広がる可能性があるので、シャンプー選びやシャンプーの仕方は重要になってきます。また、お風呂に入るときは、洗い流すお湯の温度にも注意しましょう。お湯が熱すぎると、頭皮の油分が取れすぎて乾燥やかゆみの原因となります。
オススメのシャンプー
シャンプーはアミノ酸系のシャンプーを使用するのがオススメです。アミノ酸は私達の体を作っている成分で、コラーゲンやケラチン、NMFなどの美容成分もアミノ酸からできています。アミノ酸配合シャンプーはこのアミノ酸と脂肪酸と呼ばれる洗浄成分を混ぜて作ったものです。
肌への刺激が少なく、頭皮を痛めにくい洗浄力で、髪が乾燥しすぎずにしっとりとおさまりのいい髪にしてくれます。アミノ酸シャンプーの見分け方は、シャンプーの成分表を見てみましょう。水の次に「ココイルグルタミン酸na」「ラウロイルメチルアラニンNa」「ココアンホ酢酸Na」などの表記があればアミノ酸シャンプーです。
多くのメリットが挙げられる中、デメリットは洗浄力が弱いために、正しくシャンプーをしないとしっかりと頭皮の汚れを落とすことができません。毎日の生活の中で頭皮がひどく汚れることはなく、始めにお湯をしっかりと当てるだけでもほとんどの汚れは流れ落ちます。
ポイントは頭皮マッサージするような感覚でシャンプーをすると汚れが落ちます。下記の頭皮の洗い方を参考に、しっかりと汚れを落としましょう。
頭皮の洗い方
- お湯の温度は寒い時期は40度、その他の時期は37度~38度に設定します。
- シャンプーをする前にシャワーヘッド頭皮にあてて、しっかりと髪を濡らします。
- 2分ほど頭皮をもみながら洗い流します。
- シャンプーを手に取ります。セミロングの人は500円玉1枚程度、ロングの人は500円玉2枚程度の量が目安です。
- シャンプーは直接頭皮につけずに、手の平でしっかりとあわ立ててから髪全体に馴染ませます。
- 頭皮を洗うときは、頭の上に手の指を閉じたまま両手を置き、手のひらをくぼませて髪の手の間に空気が入るようにしながら円を描くように動かてあわ立てます。
- 7.後頭部に手のひらを移し、指の腹を使って頭皮全体を押し上げるようにしてもむようにマッサージします。
- フェイスラインの頭皮は、指を閉じた状態でもみあげから上に押し上げるようにマッサージします。
- (6)~(8)を3回ほど繰り返したら、頭皮を軽くもみながら泡がなくなるまですすぎます。
髪の乾かし方
髪の毛の水分はタオルでしっかりと取ります。タオルでゴシゴシすると摩擦でキューティクルが崩れてボリュームが出る原因となります。
髪を優しく包み込み、タオルの吸収力で水分を取り除きます。水分を取った後はくしを通して一度髪の毛の流れを整えます。
保湿ケア
捻転毛は切れ毛になったり、パサつきやすいので、しっかりと保湿ケアをすることも重要です。シャンプー後タオルで水分を取った後に、洗い流さないトリートメントや天然の植物オイルを髪全体につけて、ドライヤーを使って髪の毛を乾かします。
この状態で髪の毛を乾かすと保湿もされてうねりやパサ付きを抑えることができ、クセ毛が伸びやすくなります。
ドライヤーの使い方
ドライヤーを使用するポイントは、ドライヤーの風をあてて水分を飛ばすようにすることです。ドライヤーの口は20センチ以上髪の毛から離して根元から毛先に向かいながら手ぐしを通しながら乾かします。
熱をあてると水分が取れすぎてしまうので、あてる距離には十分に気をつけましょう。温風を使って髪の毛が乾いてきたら、最後に冷風を髪の毛にあてます。髪を冷やすことで状態が長持ちします。
ヘアスタイル・ヘアセット
捻転毛は髪の毛がまとまりにくいため、毎日のヘアセットが難しいやっかいなクセ毛です。髪を軽くしすぎると、パサ付きが強調されてしまうので捻転毛には向いていないヘアスタイルです。ある程度重みを残してヘアカットしてもらうのがオススメです。
特に、ボブヘアなどの短い髪型は広がってしまいやすいため、敬遠されがちですがクセを生かしてカットしてくれる美容室であれば重みをつけたボブにしてスタイリング剤をつければ短くても広がりません。信頼のできる美容室を探すことでクセのある髪質でも様々なヘアカットを楽しむことができます。
また、ロングの方の場合はゆるく大きめなカールをつけるように髪の毛を巻くと、捻転毛が目立ちにくくなります。
美容室でのケア
普段からホームケアをしっかりとすることも大切ですが、捻転毛が気になる方はこまめに美容院に行ってプロのケアを受けることをオススメします。
炭酸泉によるシャンプー、スチームを使ったトリートメント、頭皮マッサージ、スカルプケアなど美容院でケアをすると切れ毛対策になったり、髪にツヤがでてくるようになります。
間違ったヘアケア方法について
捻転毛を直そうとストレートパーマをかけたり、アイロンを使って直そうとしたり、ブラッシングをたくさんしたり、気になる毛を抜いたりなどしていませんか?
これらは全て間違った改善方法と言われています。ここでは間違った改善方法について詳しくご紹介します。
縮毛矯正・ストレートパーマ
クセ毛を改善する人の中には、ストレートヘアにあこがれて縮毛矯正をかける人もいますが、髪が切れやすい捻転毛の場合は髪に与えるダメージが大きく髪が切れる原因にもなるので向いていません。
どうしてもかけてみたいという方は、縮毛矯正が上手くいくかは、美容師の技術による部分もある為、経験豊富な美容師に連絡をしてよく相談してから施術を検討しましょう。また、1度ストレートに出来たとしても、次回生え際部分だけをリタッチをする際、 既ストレートにつける薬剤が弱すぎたり放置タイムが短いと伸びきらずに癖が残ってしまう場合もあります。
ブラッシングのしすぎ
ブラッシングをしていると髪の毛が引っかかりやすくキューティクルをはがし、髪の内部にある水分やたんぱく質が外に流れやすくなり、更に髪がパサつく原因になります。
何度もブラッシングをするのは控えましょう。
癖毛を抜く
部分的なクセ毛の場合、数本であればとついつい抜いてしまいたくなりますが、抜くと更にクセが悪化したり、薄毛を招く原因になったり、頭皮環境の悪化を招くので止めましょう。
毛穴の形が変化したり、毛根が傷つくとクセ毛ができる原因となる為、どうしても気になる方の場合は、抜くのではなく髪の毛を切るようにしましょう。
おわりに
捻転毛は、髪の毛がところどころ縄のようにねじれて、太さが均一でない髪の毛のタイプの為、ヘアケアも大変です。
この髪質を持って生まれる場合もありますが、突然髪質が変化することもあります。
健康的な髪質へと改善する為には、こちらの記事で紹介した改善方法を参考に、普段の生活習慣を見直していきましょう。
関連記事として、
・くせ毛を治す方法を知ろう!自宅で行える方法と美容院での治し方を紹介!
・髪が広がる人必見!その原因と対処方法を知ろう!パサパサの人は広がりやすい?
これらの記事も読んでおきましょう。