メッケル憩室って病気?治すには手術が必要なの?症状・原因・治療法を紹介!

「メッケル憩室」という名前だけ聞いて、その症状がピンとくる方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。メッケル憩室自体は基本的に症状としては大したことのない病気です。

しかし、将来の合併症のリスクを高めるかもしれない、という研究結果を受けてにわかに注目を集めています。今回の記事ではそんなメッケル憩室についてご紹介していきます。

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メッケル憩室について

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病名だけ聞いても、「メッケル憩室」がどのような症状の病気なのかイメージしづらいかと思います。そこで、簡潔に言ってしまいますと、メッケル憩室というのは、腸の壁の厚さが変化することを指します。

特に腸の壁が厚くなる状態のことをメッケル憩室というような呼び方をするようです。それだけではまだ分かりづらいかと思いますので、まずは、メッケル憩室がどんな病気なのか簡単に見ていきましょう。

メッケル憩室とはなにか

メッケル憩室は最も頻度の高い腸管の奇形の一つです。日本でもだいたい100人いたらそのうち1、2人がメッケル憩室を発症していると言われています。メッケル憩室の発症の割合でみると、男性のほうがやや女性よりも頻度が高いというデータがあります。

さらに、特に小児でのメッケル憩室の発症率を比較すると、男児の発症件数が女児の発症件数の約2倍になったというデータもあります。そのため、小学生男子など、低年齢期の男児によく見られる病気として位置づけられることもあります。

腸管といってもさまざまですが、メッケル憩室が生じやすい部位はある程度腸管のなかでも決まっているとされています。症状として見つかることが多い部位としては回盲(かいもう)という小腸と大腸を繋ぐ境界部分が挙げられます。

メッケル憩室は普通の状態と何が違うのか

腸に憩室ができること自体は大した影響はありません。ただし、腸は食物が通過し、養分を吸収していく消化器官でありますから、場合によっては食物が憩室に溜まって流れていかず、そこから炎症が起きるといったことは考えられます。しかし、一般的にはほとんど目に見えるような症状がないことが多いです。

ただし、注意すべきメッケル憩室の症例もあります。それは、憩室を構成する組織が、小腸の組織としてではなく、胃粘膜や膵臓の組織として分化を起こしてしまうというものです。メッケル憩室はそれ自体では無症状です。しかし、たとえば、胃の粘膜細胞が小腸にできてしまった場合は、そこから胃酸が分泌されるようになり、腸が炎症を起こす事態となってしまうでしょう。

メッケル憩室の患者さんはどのような人か

基本的に、メッケル憩室の患者さんは子どもであることが多いです。本当は大人でもメッケル憩室の患者さんはいらっしゃるのですが、わざわざ調べないので自分がメッケル憩室だと知らずに暮らしているのです。そんなことして大丈夫かと思われるかもしれませんが、実はほとんどのメッケル憩室の症例の場合、何の治療も必要ないくらい良性の疾患なのです。

逆に、小児のころに自分がメッケル憩室だと分かる患者さんというのは、何らかの合併症、たとえば潰瘍(かいよう)ができたり、腸壁が炎症を起こしたりといった症状がメッケル憩室を原因として発症している場合が多いです。

そのため、問題のあるメッケル憩室の患者さんは大人になるまでに治療をしてしまうので、そうでない人、つまりメッケル憩室の患者さんのなかでも症状が表面化しない人は下手すれば一生自分の腸の症状を知らないまま過ごすということもありえます。

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メッケル憩室の特徴

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メッケル憩室は腸で発症する憩室のことであり、それ自体では良性の疾患ですが、合併症によって症状が表面化する場合があるということが分かりました。

続いては、メッケル憩室の特徴について見ていきましょう。

メッケル憩室の分類

メッケル憩室それ自体は体に害を与えません。しかし、合併症を発現したり、腸とは異なる組織を作ってしまうなどの症例もあります。そのため、大きく分けると、無害型、合併症型の2つのタイプに大きく分けることができるでしょう。

無害型はまったく問題にもあがらず、ほとんどの場合で患者さんはメッケル憩室の自覚もないままに人生を送ります。合併症型の場合、多くのケースでメッケル憩室内の組織が限定的な脱分化を起こして、胃の粘膜やすい臓の粘膜細胞として再分化している症例が報告されています。

メッケル憩室の症状

憩室内の組織が腸ではない別の組織であるというのはどういう状態なのでしょう。まず、憩室についてもう少し詳しく考えてみますと、憩室というのは、古いボールにパンパンになるまで空気を入れたときなどに生じるコブのようなでっぱり部分をイメージしていただければよいかと思います。つまり、腸という袋のなかに窪みというかポケットのような部分ができて、それが袋状に自分の部屋を作っている状態を憩室と呼ぶのです。

憩室は多くの場合、腸壁のなかにある筋肉の層にまで入り込んでいます。そのため、メッケル憩室はぱっと見では腸に弾力のある腫瘍ができているようにも見えます。この憩室も、基本的には腸の一部であるため、腸と同じ組織で作られていることが多いです。しかし、たまに腸以外の臓器の組織、特に胃粘膜やすい臓の粘膜となってしまうことがあり、これが問題となります。

メッケル憩室の具体例

先述したように、メッケル憩室自体はどうということはありません。症状が表面化するのは、たとえば憩室の組織が胃の粘膜に分化してしまった場合です。この場合、胃の粘膜では胃酸が分泌されますから、この憩室の組織からも胃酸が分泌されます。すると、当たり前ですが、腸は胃酸には耐えられないため、消化性潰瘍を生じます。

さらに症状が進行すると、消化管で出血が起きます。それにより、いわゆる、黒っぽいタール便や鮮やかな色の血便が症状として急に現れてきます。腸内での出血によって貧血になったり、腹痛を覚えたりという症状も当然生じてくることが予想されます。特にこのような出血は幼児期に多く、前ぶれなく大量の血便をお子さんがされるので、多くの親御さんはパニックになってしまう病気です。

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メッケル憩室の原因

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メッケル憩室には、無害なものと、組織の変異によって体にダメージを与えるものの二通りのタイプが存在することが分かりました。続いては、メッケル憩室の原因について見ていきましょう。

メッケル憩室の根本的な原因

なぜメッケル憩室が起きるのでしょうか?メッケル憩室には先天的なものと後天的なものが考えられます。先天的なものが症状として表面化することが多いです。先天的な症例の場合、受精卵から人間の体が発生してくる途中で、本来腸の一部に取り込まれてなくなってしまうはずの、胃やすい臓に分化しなかった余りものの消化管が、一つに溶けあわずに袋状に残ってしまっていることが原因となります。

先天性のメッケル憩室にしても、後天性のメッケル憩室にしても、なんらかの症状が被害として現れる小児はほとんどいません。ただし、腸管にできた憩室に食物の一部がはまり込んで、そこから感染症を発症するということは考えられます。

メッケル憩室になる遠因

メッケル憩室から腸内で感染症が発生する可能性があるといっても、腸もぜん動運動を行っているため、そうそう食物がはまり込んでまったく取れないということは考えづらいです。そのため、メッケル憩室が腸の組織を使用して作られている場合、特に問題はないと思われます。

後天的なメッケル憩室の場合も症状としては同様です。ただし、後天的なメッケル憩室は基本的にストレスや食生活が関係していると考えられています。暴飲暴食が胃腸に負担をかけることはもちろんですが、ストレスも胃腸をキリキリと締め上げるため憩室ができる間接的な原因となります。

締め上げられた腸の壁の筋肉の層のうち、他の筋肉の層よりも比較的薄い筋肉の層が風船を膨らますようにしてぷくっと押し出されてきてしまうことで憩室ができるのです。

メッケル憩室のメカニズムと鑑別

先天的なメッケル憩室を持っている乳児は100人に3人程度の割合だと言われています。ただし、患者さんの多くは自分の腸にメッケル憩室があることを一生知らずに過ごします。しかし、そうでないパターンの場合、症状が急激な症状として表面化することが多いです。症例として記録されているメッケル憩室のうち、約半数は胃やすい臓、もしくはそのどちらかの組織がメッケル憩室に含まれています。

特に、胃粘膜の組織がある場合、憩室内の組織が胃酸を分泌します。この胃酸が周囲の腸の表面組織を溶かし、潰瘍や出血を生じさせることがあります。さらに、メッケル憩室が炎症を起こしたり、腸重積といって、腸管が塞がり、食物の消化吸収が阻害され、場合には腸が壊死してしまう重篤な疾患を引き起こしたりすることもあります。

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メッケル憩室の治療

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メッケル憩室には先天的なものと後天的なものがあり、後天的なものはストレスや食習慣に関係する可能性があることが示唆されました。続いては、メッケル憩室の治療について見ていきましょう。

メッケル憩室の治療の種類

メッケル憩室の組織が腸ではない組織の細胞によって作られており、それによって出血その他の症状を起こす場合は、腸管にできている憩室を手術で切除しなければなりません。ただし、その手術の際に、たまたま症状のない別のメッケル憩室を見つけた場合、それを切除すべきかどうかは決まった方針がなく、医師の判断に任されます。

基本的に、症状が起きていない憩室というのは無害なので、切除しなくても問題はないと考えられるからです。ちなみに憩室は小腸と大腸の境界部から20~30㎝前後あたりまでの部位にあることが多いとされています。

治療の種類としては、無害型であれば見つけても積極的に治療しないことが多いです。症状が出ている合併症型の場合は様子を見ながら手術を適用することが多いようです。

メッケル憩室の治療の前に

メッケル憩室が炎症を起こしたり、もしくはメッケル憩室が分泌した消化液によって、周囲の腸の粘膜組織が炎症を起こすと、重度の腹痛や発熱、ときには嘔吐が起きることがあります。それらの症状は虫垂炎と間違われやすく、鑑別が難しいです。

そのため、通常の虫垂炎のつもりで受診したところ、メッケル憩室に起因する急性腸炎(憩室炎)だという診察結果を知らされることもあります。そのような症状を伴うメッケル憩室に関しては、まず全身にわたって発生している諸症状を投薬などによって鎮静化させてから、手術により憩室または腸管を切除します。

メッケル憩室の具体的な治療例

たとえば、メッケル憩室内の組織が胃の粘膜組織の細胞を含んでいた場合、そのメッケル憩室自体が自ら産生した胃酸で炎症を起こすというマッチポンプのような症例もしくは、胃酸で周囲の腸粘膜が傷ついた場合について考えてみましょう。

まず、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(シメチジンなど)を用いることによって胃酸の分泌を抑制することができます。胃酸の分泌が止まればこれ以上腸粘膜が傷つくことはありません。腸粘膜の様子を見ながら憩室の切除手術を行うことになります。基本的に手術が済んでしまえば、術後の感染症などにはもちろん気をつけなければなりませんが、予後は安定していることが多いです。

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メッケル憩室の診断

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メッケル憩室の症例のうち、体に被害を及ぼすものについては、憩室を切除する手術が行われることが多いと言うことが分かりました。

続いて、メッケル憩室の診断について見ていきましょう。

メッケル憩室の見た目

基本的に、無害型のメッケル憩室の患者さんは見た目では分かりません。ただし、CTやMRI、エコー検査などの検査によって腸に異常が発見され、それがメッケル憩室であったというようなパターンはあります。

合併症型の場合は症状が特に幼児期に、唐突かつ激しい形で現れるため症状が発現すればすぐに分かります。

症状の個人差

メッケル憩室があっても症状がない小児がほとんどです。なぜならメッケル憩室のほとんどは無害型だからです。成人の患者の方の場合でも、自分に憩室があることを知らないことがよくあります。なぜなら、たとえば腸を何らかの原因で手術することになったときくらいしか、腸の形状や外観について視る機会は限られているからです。

先天的なメッケル憩室のうち、憩室の組織が胃の粘膜組織などに分化している場合、症状が現れる年齢は低くなります。そのため、メッケル憩室の患者は5歳未満の小児によくみられます。その場合の症状というのは、痛みのない直腸出血が主です。これは憩室の組織が胃の粘膜に分化しているケースに多く、憩室が分泌した酸によって小腸にできた潰瘍が出血しているので、痛みを伴わないのです。

これによって鮮赤色やレンガ色の血便がでます。あるいは血液と粘液が混じったものが出てくることもあるようです。血液に含まれる成分が消化管内で分解されて、便に混じってでてくることもあります。その場合は、便が黒くみえることもあります。ごくまれにひどい出血が起こることがあり、このときは緊急手術が必要となります。

診断方法

放射性元素テクネチウムによるシンチグラフィという手法を使って胃酸の有無などを調べる検査を行えば、腸の組織が胃酸を産生しているかどうか判別できます。テクネチウムという元素には、硝酸や王酸のような酸化力の高い酸と反応してテクネチウム酸塩という物質を形成するという性質を持っています。そのため、あらかじめマーカーをしておいたテクネチウムを体内に入れ、胃酸と反応してテクネチウムがどのようにできるのか観察します。

テクネチウムが反応するような強酸を含む消化管は通常では胃しか存在しません。そのため、胃とは別の部位、この場合であれば腸管においてテクネチウム酸塩ができると、メッケル憩室の合併症、それも胃の粘膜組織が憩室に含まれているケースだと判断がつくわけです。もちろん、メッケル憩室自体はCTや腸の内視鏡検査などの手法によって、腸の断面図から発症を確認するという場合もあります。

近年では、最も有効な検査として、メッケル憩室に特化したメッケル放射性核種スキャンという画像検査も登場しています。この検査では比較的無害な放射性物質を少量、静脈内に投与する検査法です。この放射性物質がメッケル憩室内の細胞を認識します。これを放射線検出用カメラで映し出すことによって診断ができるというわけです。

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まとめ

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メッケル憩室の診察は腹痛や突発的な血便の症状が見られる小児を対象に、シンチグラフィ検査を用いることで多くの症例が確認できるようでした。今回の記事のまとめは以下の通りです。

  • 1.メッケル憩室とは、腸管にできたポケットのようなでっぱり部分のことを指す
  • 2.メッケル憩室自体は無害だが、その組織が腸管にダメージを与える場合がある
  • 3.メッケル憩室の合併症型で重要なパターンは、憩室の組織に胃の粘膜そしきが発現している場合である
  • 4.メッケル憩室の合併症型の場合は、手術が行われることが多い
  • 5.メッケル憩室に一生気付かない患者さんもいる
  • 6.メッケル憩室はテクネチウムによるシンチグラフィが発見に効果的

メッケル憩室の場合、合併症を引き起こす症例の場合、症状が突発的かつ見た目にも分かりやすいという特徴があります。症状が表面化した場合は、症状がそれ以上悪化する前に手術してしまうのがよいでしょう。ただし、その場合は医師やお子さんと相談は必須です。

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