何気なく頭を触っていたら、何かでっぱっているものがある・・・そんな経験をお持ちの方、結構多いのではないしょうか?
どこにもぶつけた記憶がないのに、たんこぶのように出っぱっている「しこり」。場所が場所ですから、何か悪い病気ではないかと心配になりますよね。
「すぐに病院に行った方がよいだろうか?」と、不安に駆り立てられてしまう方もいらっしゃるかと思います。そこで、頭のしこりについて、その原因と対処法と合わせてご紹介します。
しこりが痛む場合や痛みのない場合など、一口にしこりの症状と言ってもそれぞれのしこりを発生させる病気には特徴がありますので、それらの特徴についても紹介していきます。
自分の後頭部に発生しているトラブルの原因を突き止めてみて、病院に行くべきかどうかの判断を正しく行っていきましょう。
痛みのない「しこり」の原因
頭のそばにしこりがあったら、不安になりますよね。触っても痛みもなく、でも放っておくのは怖いし・・・。病院へ行くべきかどうか悩んでいる方も多いかと思います。
ここではまず、しこりの種類とそれぞれの症状、その原因について、詳お話ししてきます。
軟部腫瘍による腫れ
軟部腫瘍とは、皮下組織や筋肉、血管などにできた腫瘍を指します。種類としては、脂肪腫や脂肪肉腫、平滑筋肉腫、骨膜肉腫などがあります。
良性のものは心配ありませんが、急激に大きくなるものや5センチ以上のものがある場合には悪性の可能性があるため、注意が必要です。具体的な種類については、以下の通りです。
①脂肪腫
病気としては決して珍しいものではなく、日常生活でよく目にする良性の腫瘍です。頸部や上腕、太ももなどによくできますが、頭にもできることがあります。触れた感触はやわらかいため、動くようにも思えますが、実際に動いているわけではありません。
脂肪腫は皮膚の下にできたあと、時間が経つにつれて徐々に肥大化していきます。通常痛みはありませんが、神経のそばにできると、神経が圧迫されて痛みを伴うこともあります。しこりが小さい内は無理に取り除く必要はなく、経過観察で問題ありません。
ただし、しこりが大きくなったり、痛みを伴ったりする場合には手術で除去することが必要です。
具体的な原因については明らかになっておらず、脂肪細胞には染色体異常が確認されていることから、若干の遺伝による発生の可能性も示唆されています。
②脂肪肉腫
脂肪腫によく似ていますが、こぶが大きなもの、急激に大きくなったものは「脂肪肉腫」の可能性があります。脂肪腫は良性の腫瘍でしたが、脂肪肉腫は悪性腫瘍ですので、ここの区別が非常に大切です。
判断材料としては、こぶの大きさが5センチを超える場合には、悪性である可能性が高いと言えます。少しでも気になる場合は、一度医療機関を受診されることをオススメします。
脂肪肉腫にはいくつかの種類があり、脂肪腫の性質によって危険度も変わってきます。全体の5〜10%程の脂肪肉腫が悪性の性質を持っている可能性があり、その脂肪腫になってしまっている場合には30%〜50%で他の内臓への転移が確認され、さらにそのうち20%以下で死亡する可能性があります。
30代〜50代の年齢に頻発しやすい症状ですので特にこの年代の人は注意して検査するようにしましょう。
③頭頸部腫瘍
こぶ自体は悪性ではありませんが、他のがんの症状とし、頭にしこりができることがあります。原因となるがんは、舌がん・喉頭がん・耳下腺がん・甲状腺がんなど、複数あります。
ただし、頭のこぶだけで判断するのは難しいため、気になる場合には医師の判断を仰いでください。
この腫瘍は基本的には口内や頸部、首付近に発生しやすい症状になります。耳鼻咽喉科で検査することが望ましいですが、頭部に発生した場合には判断が難しでしょう。
皮膚科、形成外科での診察でも大丈夫です。
④粉瘤
粉瘤は、耳の後ろなどの後頭部にできることがある、袋状のものです。その中に皮脂や角質などの老廃物が溜まることで、しこりのようなこぶができる病気です。
初期段階では粉瘤の真ん中に穴が開いているため、つぶすと中からニオイのある液体が出てきます。この液体はドロドロしていて、その正体は中に溜まった老廃物です。ただし、これを出したからといって治ることはないので、完治させたい場合には手術で取り除くことになります。内容物が圧迫によって出てきてしまって枕を汚してしまったり、髪の毛が汚れるなどの経験がある場合にはこの症状の可能性が考えられます。
通常は数センチ程度の大きさですが、10センチを超えるほどに肥大化することもまれにありあす。痛みがないのであれば、経過観察で問題ありませんが、ごくまれに皮膚がんになることもあるので、医師の診察を受けておくと安全でしょう。
もし、皮膚内部に溜まってしまった老廃物の中に菌が侵入し炎症を引き起こしてしまった場合には痛みや熱を持ってしまうこともあります。
専門家のいる病院は皮膚科もしくは、形成外科になります。後頭部に発生してしまった場合には大きさが小さい状態に内に治療しておいたほうが負担は小さいので、早めに治療したほうが良いでしょう。
⑤石灰化上皮腫
皮膚の一部がまるで石灰のように固くなる腫瘍で、良性の腫瘍です。たいていは無症状ですが、押すと痛かったり、かゆみがある場合もあります。
粉瘤など、他の腫瘍との区別がつきにくく、レントゲン検査で石灰化の確認をしますが、進行の度合いによっては写らないこともあります。
どの年代にも発生する可能性がある症状ですが、特に頻発しやすい年代は比較的若い世代で小学生以下の首や顔などに発生しやすい症状になります。
見た目的には皮膚のすぐ下に症状が発生していることで、皮膚の色が透けて皮膚の変色が発生していることが確認されます。黄色っぽかったり、黒っぽかったり、血色が悪い青っぽく見えることもあります。
手術で摘出する治療が行われますので、皮膚科、もしくは形成外科での診療を受ければそのまま治療が行なえます。
痛みが発生している場合に考えられるしこり
次にしこりに痛みが発生している場合に考えられる症状について紹介します。
それぞれの症状の原因なども合わせて参考にしながら、自分に発生していると考えられる症状を明らかにしていきましょう。
またこれらのしこりの症状は繰り返し発生することのある問題でもあります。発生原因を予防し、再発の防止の手がかりにもしていきましょう。
毛包炎(毛嚢炎)
「毛包」という、毛根を包んでいる部分にブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)が感染して起こる病気です。毛包部の浅い傷や、頭皮が湿った状態が長く続いた場合には、ステロイドなどの塗布が原因となって症状が現れる場合もあります。
痛みの症状が軽度に現れる事もありますが、基本的には痒みも痛みも強く発生する症状ではありません。
毛包の数が少ない場合には特に処置は必要ありませんが、次々と発生する場合や痛みを伴う場合には、化膿止めの抗菌薬を服用して治します。服用期間は、およそ3~4日です。
後頭部、首付近に発生しやすく、太ももなどの皮膚にも発生することのある症状です。
軽度の症状の場合は自然治癒で十分に治療を目指すことが可能な症状でもありますので引っかかないようにだけ注意して経過を観察していきましょう。
埋没毛
主にムダ毛処理などで発生しやすい症状になります。毛が生えているところであればどこにでも発生する可能性のある症状でもあります。
誤ったスキンケアや皮膚の炎症などが発生している場合に発生しやすい症状です。
ムダ毛を処理した時に皮膚が傷つき皮膚表面が荒れている状態で毛が伸びてきて、真直に成長することが出来ずに皮膚の中に潜り込んで成長してしまい、炎症が発生してしまう症状になります。
しこりはニキビほどの小さな膨らみで周囲が赤く炎症していて、しこりの中心には髪の毛が入っているので黒ずんだり変色していることが確認できます。
何かしらのタイミングで髪の毛を剃ったり、スキンヘッドにしている人に発生しやすい症状になります。
放置することで、自然に角質が剥がれていきそのうち治ってしまう症状でもありますので、症状がそれほど深刻でない場合には触らないようにして治癒を待ちましょう。
自分で毛を無理やり抜こうとしたり、ハリなどでほじくると症状が悪化してしまうことが多いので、あまりにも炎症がひどい場合や治療を行いたい場合は、脱毛サロンや皮膚科で適切な処置をしてもらうことをおすすめします。
リンパ節の腫れ
人間には、血管の他にも、タンパク質や水分を運ぶための道、「リンパ節」があります。このリンパ節の中には、リンパ液に含まれる不純物や細菌などをブロックするための「リンパ節」というものがあるのですが、ここが腫れてしまうとしこりのようになるのです。
リンパ節は、体内に侵入した細菌やウィルスをブロックするために戦っています。その時に、リンパ節が腫れるという現象が起きるというわけです。
リンパ節は太ももの付け根や脇の下、耳の後ろなど、全身にあるため、後頭部のしこりはリンパ節の腫れである可能性が考えられます。節が炎症を起こして腫れることもあり、風邪をひいた時にも腫れます。
このように、原因はいくつか考えられますが、悪性リンパ腫の可能性も考えられるため、早めに医師の診断を仰ぐことをオススメします。
通常の腫れは時間とともに引いていくので心配ありませんが、原因不明で耳の後ろが腫れるなどした場合には、注意が必要です。
皮下出血による腫れ
いわゆる「たんこぶ」です。「知らない内にたんこぶができるわけがない」と思われるかも知れませんが、日常生活の中には、意外と無意識の時間があるものです。
例えば寝ぼけていたり、ひどく酔っぱらっている時などにぶつけても、その時は痛いだけで忘れてしまうこと、ありますよね?そういった無意識状態でどこかに強く打ち付けたことが原因で、皮下出血が起こり、こぶになる場合もあるのです。
もちろん無意識の内にぶつけて、本人もこぶに触るまで気づかないくらいですから、あまり心配する必要はありません。たいていは数日経てば自然と治ります。
ただし、しこりと同時に吐き気や頭痛、上手く歩けないなどの歩行障害が起きている場合には注意が必要です。頭の打撲が原因で、脳内出血を起こしている可能性が考えらえるでしょう。この場合、1~3ヶ月という長い時間をかけ、ゆっくりと出血を続けるため、非常に危険です。慢性のくも膜下出血となり、命が危険にさらされることになります。このような症状を感じたら、先延ばしにせず、すぐに医師の診断を受けてください。
筋肉の緊張が原因の腫れ
意外に思われるかも知れませんが、筋肉の凝りでもしこりはできるものです。例えば同じ姿勢で何時間も仕事をしたり、姿勢が悪い状態が続いたりすると、頭部の筋肉は緊張状態が続いて固くなります。そのため、首筋や肩が凝り、肩や背中、側頭部や後頭部にしこりができる場合があるのです。
コメカミから耳の上あたりにかけしこりが現れ、鈍い頭痛を感じる場合には、筋肉の緊張が原因と考えて良いでしょう。
後頭部のしこりの治療法
では、後頭部のしこりが出来た時の原因別の治療方法を紹介します。自分でできる対処法から、病院で行われる治療法までそれぞれ紹介しますので、自分の症状に有効な対策方法で症状を緩和していきましょう。
毛包炎などのしこりの対処法
毛包炎の場合は、原因の多くが毛穴のつまりに起因しますので、毛穴のつまりを解消することが一番の解決法大切です。
これには頭皮を清潔に保つことが一番ですから、お風呂に入ったら丁寧に頭を洗いましょう。洗う時にの注意点としては、力を入れず、マッサージをするようにやさしく洗うことです。頭皮を傷つけてしまっては逆効果ですから、そこは意識してくださいね。
また、今は頭皮マッサージ用のグッズもたくさん出ていますから、そういったものを活用されるのもよいでしょう。簡単に頭皮マッサージでき、疲れと汚れを洗い流すことができますね。
筋肉の緊張によるしこりの場合
筋肉の緊張が原因のしこりには、マッサージによる緊張緩和が有効です。あまり痛みが強くない場合には、指で指圧して筋肉の緊張をほぐすのがよいでしょう。
ただし、痛みがひどい場合には炎症が発生している事で痛みが発生しているので、逆効果になりますので注意してください。
そして、指圧する場合にはゆっくりと、力を入れ過ぎないことが大切です。
また、温かいタオルなどで首を温めるのも、凝りをほぐすのに効果的です。気持ちがいいのでリラックス効果もありますね。しかしこれも炎症が発生している場合には血流が良くなることで炎症がひどくなりますので、炎症が発生している、患部が熱を持っている場合には冷やして対処しましょう。
石灰化上皮腫など腫瘍系の問題
こちらは自然に治ることはないため、治療するのであれば手術で除去することになります。
大きさや痛みなどの症状を観察しながら、出来るだけ早めに決断して除去してしまったほうが手術の負担も少なく治療が行えるポイントになります。
手術と言っても1時間以内に完了する簡単な日帰り手術ですので、恐れずに治療していきましょう。
何科で受診すればよいか
いざ病院へ!と思っても、何科を受診すればよいのかわからず、しり込みしてしまう方もいらっしゃることでしょう。症状を的確に伝えることが重要ですが、まずは以下に、大まかな症状ごとの受診科をご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
- 脂肪腫や粉瘤など→皮膚科を受診してください
- リンパ管の腫れ→耳鼻科を受診してください
- 筋肉の緊張による腫れ→受診される場合は脳神経外科へ
- 石灰化上皮腫→皮膚科や形成外科を受診してください
まとめ
このように、後頭部にできたしこりには実にさまざまな原因があります。安全なものも多いですが、中には危険が潜んでいる場合もありますから、しこりを発見した時には、他に併発している症状がないかをまずチェックしましょう。
また、素人目での判断するには限界がありますから、少しでも不安がある場合には、速やかに医療機関を受診されるとよいでしょう。専門家のお話を聞いて、自分に合った治療法を見つけてくださいね。
頭のそばにしこりができたら、すぐに不安になってしまいがちですが、原因をしっかりと見極め、症状に合った対策を取れば怖いことはありません。
頭皮のケアや体をほぐすことなど、普段の生活を見直す、よい機会になればと思います。体の変化をしっかりと受け止め、健康な毎日をお過ごしください。
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