見た目で年齢を感じる身体の部分、果してどこだと思いますか?化粧品会社が調べた調査では「年齢の判断指標として首元を見る」と答えた女性は全体の67%にも上ったそうです。
また、首が太く二重あごだったり、皺(しわ)があることで見た目年齢は10歳程老けてみえるとの調査報告もあります。皺を含めた首周りはそれだけ女性にとってエイジング(老化)と深い関係を持つ部位ですが、お顔のように目立つところのケアと違い、気にかけない人も多いのが現状でしょう。
そこで本稿では首痩せや皺の対策についてその原因と取り上げ、どうしたらすっきりと美しい首元になるのかについてその対策法を検証していきます。
最後までお読みいただければ、毎日のちょっとした気遣いで後々の状態が大きく変わる首痩せの改善法を試したくなる情報が満載です。
首の仕組みとその特性
知識を得るということは身体や動きの仕組みを学ぶということです。首痩せや皺の改善を目的とするならその仕組みや動きのメカニズムを知っているのとそうでないのでは後々の効果に雲泥の差がでるということです。
首にはどういった特徴があるのでしょうか。その動く仕組みと共に詳しくみていきましょう。
首の動きを体感しよう
ここで一つ実験をしてみましょう。自分でまず椅子に腰かけてください。両足は肩幅より少し狭めて開いて床に付き、両手を左右の太腿におきます。身長や座高を測るときのように背筋をシュッと伸ばすイメージをとります。
もうひとつ!左右の肩甲骨を背骨(中央)に近づけるようにしてください。ではその状態で以下の動作をしてください。
- ①首を前後にゆっくりと動かしてみます
- ②首を左右に傾けます
- ③首を時計回り(反時計回り)に動かします、出来れば後方を振り返るようにしましょう
如何でしたか?①、②、③とも自分の思い通りに動かせましたか?
3つの動作で自分で満足がいくような動きができればあなた首周りはおそらくシュッとしていて動作も妨げられていない状態です。今後首周りが太くなったり皺ができる可能性は高くはないかもしれません。
制限される首の動き
しかし多くの成人(大人)は頸の動作に何らかの動きの制限や不具合、そして痛み・違和感を感じるのが普通です。①の前後動作だと前に傾ける場合、頸の後部の突っ張り感、後ろに傾ける場合の動作制限等です。
②の動作であれば左右どちらかの突っ張り感や動作制限、そして③の動作ではやはり左右どちらかの強制的に伸ばされる感覚や硬い動き、そして痛み等が伴うかもしれません。
どうして頸の動きは制限されてしまうのでしょうか?そこには頸の骨である頸椎(けいつい:Cervical vertebra)が大きく関わっています。
頸椎がどのような動きをするのかも観ていきましょう。
頸椎の役割
首は頸(けい)とも書き、頭と胴を繋ぎ太い血管やリンパ管、脳と心臓との体液循環の重要な中継点の役割を担っています。頸の骨は頸椎(けいつい)と言われ7つの骨が積み木のように積み重なって頭蓋骨を支える構造です。
関節の動く範囲のことを可動域(かどういき:Range of Motion)、通称ROMと言います。頸椎のROMは以下の通りです。
- 前屈/後屈:60度/50度
- 側屈:50度
- 回旋:40度
この内、前屈/後屈は前後の動作、側屈は左右に傾ける動作、回旋は後ろを振り向く動作です。
人の頭(頭蓋)は体重の8~13%前後あると言われます。体重50kgの女性では5~6kgといったところでしょう。ボーリングのボール1個分を優に超す重りが四六時中首の上に乗っかっていると考えてみたらちょっと恐ろしくありませんか?
あの細い頸でそれだけの重さを支えなければならないなんて・・・。でもそこには人体のとても驚異的な仕組みが関係していることを知っている人は少ないのです。
頸椎の緩衝作用
これだけ重い頭蓋を頸椎だけで支えようとすると非常に無理があります。当然ですがケガのリスクもとても高くなります。
そこで関節間にある椎間板(ついかんばん:Intervertebral disc)という繊維性軟骨(せんいせいなんこつ)でショックを和らげます。つまり頭の重さの圧を吸収する役割です。椎間板は頸椎だけでも6か所、背骨全体でみれば24か所もあります。
さらに頸椎の前彎(ぜんわん:Cervical Lordosis or Curvature)が頭の重量圧を分散します。正常な頸椎であれば第7・6・5までは前側に約15度傾いていますが、第4頸椎(C4)からは徐々に真上、さらに後方に向かって計30度程傾きます。
真横からみて頸椎の後方への傾きを前彎といいますが、この前彎があることでボーリングの球程もある頭の重さをそれほど感じることなく日常生活が送れるわけです。
こうした骨格(頸椎)の基本構造が緩衝装置としての役割を担い、その上で首周辺の筋肉によって頭部を支える全体的なシステムが完成しているのです。
首周りが変わる原因
首のボテッと感や皺が目立つ最も大きな原因は首周辺の筋肉の萎縮・減少に対する表皮のたるみといった組織のアンバランスにあります。筋肉は適度に使われない状態では徐々に体積や断面積が減少します。
一方表皮は加齢と共に伸びる傾向があり、またそこには脂肪組織の蓄積も重なり、両者のこの特徴の違いが見た目のバランスの悪さを生む原因となります。
組織のアンバランスを生む姿勢
首周辺の筋肉と表皮のアンバランスに最も影響を与えるのが姿勢です。姿勢が崩れる原因は加齢と共に進む筋肉の衰えや硬化、そして骨格や軟部組織の変形等といった構造的な変化です。
姿勢の崩れは首の動きにも大きく影響を及ぼします。姿勢が崩れることで最も影響を受ける場所が頸椎です。頸椎は前述の通り前彎していることでその機能を思う存分発揮することができますが、姿勢が崩れた場合、上部頸椎の後方への反りが失われ前方への傾きが顕著となります。
頸椎の前方への傾きをストレートネック(首の骨が真っ直ぐという意)といい、成人女性の実に8割がストレートネックという報告もあります。背中がまるくなる(円背:えんぜ)と重心が後方に変位しそのバランスを保とうと頭だけが前にでてしまう状態です。
ストレートネックの場合、首前面が常に縮まっている状態で筋肉は使われずに萎縮し皮膚も余ってしまうため弛んでしまうのです。うつむく時に首の前面がどうなっているかを観れば一目瞭然でしょう。
また頸や肩凝り・腰痛、さらに時に頭痛・視力低下・疲労が回復しない等、とてもやっかいな症状を呈します。見た目も顕著で女性であれば後ろ姿が疲れきった感じに見えたりとマイナス要因がとても大きくなります。
首痩せを実現する思考法と対策
首痩せに効果のある対策について考えてみるとそれは体調、つまりコンディションの維持を如何に上手にするかに繋がります。
基本的なことですが規則正しい日常生活と栄養価の高い食事や定期的な運動、そしてストレスを溜めない生活習慣等に大きなヒントがあると考えて良いでしょう。
「首を伸ばす」ではなく「肩甲骨を下げる」
首が太く見えたり皺が目立つとき一般的には頸が短くなったと考える人が多く、姿勢を良くしたり首を伸ばそうとする等の動作をする場合を多くみかけます。この考え方は間違っているとは言えませんが、少し視点を変えてみるとびっくりする程見た目の首の長さが変わることを知っている人はそれ程多くありません。
首が伸びるため(首が長いように見せるため)には肩甲骨の使い方が非常に大切です。左右の肩甲骨を背骨中央に少し寄せつつ、斜め逆側の下方向へググッとおし下げることが重要なのです。
この動作を難なくこなせ「首痩せ」を実践している人達がバレリーナです。現役はもちろんそうですが、年齢を経た指導者でも首がシュッとしてシャープなラインを形成している人達は少なくありません。
肩甲骨は“その位置”で最も安定しその機能が最も高まった状態になります。肩甲骨が背骨に近づき逆側の斜め下方に下がることで全面にある鎖骨と胸郭がしっかりと開き動きを獲得します。さらに顎(あご)も若干上がり気味になることで見た目の首の面積が大きく広がります。
すると首周りの皮膚にしっかりとした縦のテンション(引っ張りの力)が発揮されて【下顎(かがく)-頸部-デコルテ】という一連のしっかりとしたラインが完成するのです。
身体の仕組みを知ることの意味
なぜ彼女たちはそうした“美しく”ほっそり、それでいて力強さも表現できる首のラインを維持できるのでしょう。
彼女たちは理論は別として、美しい立ち振る舞いや効果的な動きの仕組みを身体の動きを通して学んでいるのです。前述したように首を長く見せるには、肩甲骨が背骨に近づきながら逆側斜め下方向に“しぼる”動作が重要なことを身体で理解し、肩甲骨を自在に動かせるよう訓練を積んでいます。
そういった反復練習も確かに大切ですが、その仕組みを知っていることはさらに重要です。知識があれば身体を動かすこと自体が面白くなってくるのです。肩甲骨の特徴や動きがわかればなぜ“首が伸びる”かが身体の動きを通して比較的簡単に実感できるというわけです。
「首痩せ」にもいくつもの方法があります。しかしそれが効果的かどうかの判断は難しく、謂わば“対症療法”として考えられるものがほとんどです。
骨格の動きを変えてみることが「首痩せ」の根本的な対処法に値するかは別として、身体の中身を変えていくことの面白さを知ることは継続という意味においても改善の最も有効な手段となり得ます。
体重コントロール
姿勢の改善にも繋がる体重のコントロールは首への圧力負担軽減や周辺筋肉の動作改善にも役立つ対処法と言えます。ダイエットの目的は筋肉量をできるだけ落とさずに脂肪の量を減らすことです。
急激な減量になれば身体への様々な負担やリバウンドのリスクも高まります。まずは週500g~1kgを目標にしてみましょう。月2~4kgのダイエットをまずは3ヶ月のスパン、実行できたら後3ヶ月の計半年間で6~7kgを目安にダイエットしてみてはいかがでしょうか。
効率的な脂肪燃焼のためには運動は不可欠です。有酸素運動と筋トレを上手く組み合わせた効果的なプログラムを組めることが成功のポイントといえるでしょう。また全身のストレッチをすることで関節可動域が高まり大きくダイナミックな動きの獲得にも繋がりカロリー消費にも貢献します。
現代の部分痩せ対策
近年、部分痩せを実現する新たな痩身美容法が確立されています。頸周りの余分な脂肪をとったり皮膚のたるみや皺をとるというのがメインですが、手技だけでなく食べる(飲む)といった自ら実践できる栄養食品の開発も進んでいます。
カロリーコントロール食品
マイクロダイエット等のカロリーコントロール食品はダイエット方法として一般的になりつつあります。1日に必要な栄養素をほぼ網羅し且つカロリーを抑えているのである程度の継続により比較的簡単に痩身にも貢献してくれるかもしれません。
マッサージエステ・ダイエットマッサージ・痩身エステといった美容関連技術も首痩せへの効果が高いと言われます。また肌の質感変化も促すことから横ジワ改善にも貢献しトータルな美しいデコルテライン形成に役立つ「ダイエット美」としての価値は高いといえるでしょう。
お腹の中から綺麗に
酵素(こうそ:enzyme)とは、人が生きていく上で欠かせない比較的新しく発見された栄養素のひとつで、人体内で起こる様々な化学反応に対して触媒(取り込んだ栄養素を消化・吸収・代謝に変える働き)として機能するものです。
日本人には馴染みの深い味噌・醤油・納豆・ヨーグルト等の発酵食品は元々の大豆や牛乳を麹菌や乳酸菌の助けを借りて変化させた食品です。発酵とはある食材や食品が微生物の助けによって別の食物に変化することです。
食物の発酵過程で微生物が使う道具を酵素といいます。酵素の働きによって化学反応が促進された結果、味噌・醤油・納豆・ヨーグルト等の発酵食品ができるというわけです。
最近ではこの「酵素ダイエット」や「ダイエット即効」と称されるダイエット効果を謳った方法が一種のブームになっています。特に『お嬢様酵素』等のブランドネーム商品が「酵素ドリンク」としては即効性が高いとして有名であり、1日に必要な栄養素を数回飲むことで摂取できるという触れ込みです。
酵素ドリンク摂取によるダイエット法は様々な憶測が流れていることもあり真偽の程はこれからでしょう。但し酵素自体、身体に必須の栄養素であり他の栄養素とのバランスを保ちながら上手に摂取することで、体調に良い影響を与える可能性が高いと考えられます。
活発なリンパの流れを獲得する
さらに頸部両側にはリンパが通っています。リンパとはリンパ液・リンパ管・リンパ節の総称でリンパ液は血液成分の1種である血漿(けっしょう)です。リンパは血管のように心臓を中心に循環しているわけではなく、末梢から中央に向かう一方通行の流れのみです。
さらに心臓や血管にある自発的なポンプ機能は存在せずその動力源は筋肉の収縮のみしか存在しません。従ってリンパ液の流れは血液に比べると非常に遅く、血液が約40秒で体内を1周して心臓に戻ってくるのに比べリンパは12~24時間もかかります。
つまり頸周りの筋肉が動かない(動きずらい)状態ではリンパの流れが著しく阻害されるためお顔や頭蓋、そして首周りの浮腫みが出現する原因となるわけです。
リンパマッサージはこうしたリンパの流れを正常に戻し浮腫みや筋肉の張りを除去する役割があります。また美顔ローラー等のお顔ダイエットグッズ等を利用することで誰でも比較的簡単にフェイスラインや首周りを引き締めることも可能です。
お顔のお手入れ
表情筋は顔そのものだけでなく下顎や首周辺の動きにも関係する大切なボディパーツです。このフェイス-ネック-デコルテラインの活発な動きを獲得するためにも表情(筋)エクササイズは欠かせません。
特に頬骨(きょうこつ)より下にある上顎骨・下顎骨に付着する表情筋群(笑筋・咬筋・頬筋・大小頬骨筋等)は不活性化により皺やたるみの原因となり結果的に見た目の老化に繋がるため気を付けるべき部位と言えましょう。
首痩せ:まとめ
元々は良く動く首周りですが姿勢が崩れる状態ではその可動域が制限されることで筋肉の緊張と硬化が見られます。さらに皮膚のたるみ等組織のアンバランスとリンパや血液の流れの低下により見た目に太くなる、皺が目立つといった症状が出現します。
姿勢が崩れると体幹、特に肩甲骨の動きが制限されることで肩をすくめやすくなり首周辺は一層その見た目が不恰好になるという悪循環に陥ります。
改善のポイントは肩甲骨の特徴や動かし方を理解することです。バレリーナが美しいほっそりとした首筋を維持できるのは、首痩せをしようと首を伸ばすのではなく、普段の訓練により肩甲骨を絞り下げるという感覚を身に付けているからです。
基本の仕組みを知ることで理想的な頭の位置や肩の張り方も可能になり、さらにダイエットへの貢献度も高くなることから結果として首痩せに大きく繋がっていくでしょう。
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