孤独感は現代日本において重要なキーワードのように思えます。SNSの発展が進み、現実世界の人間関係が希薄になっている中で、より孤独感を感じている人が増えているのかもしれませんよね。
では、どうして人は孤独感を感じるのでしょうか。また、どうやって孤独感を解消したり、回避すればいいのでしょうか。正しい「孤独感との付き合い方」についてみていくことにしましょう。
孤独感とは
孤独感とはその名の通り、独りでいて、誰とも繋がっていないような感覚を感じることです。疎外感、無力感とも類するようです。誰しも感じたことがあると思います。
人間は社会性の生物であり、集団を成し、他者と繋がりを持って生きています。しかし、その中でも人間関係の濃い・薄いがあります。また、繋がっていても繋がっていないと感じることもあります。
孤独感を感じたとしても、そのことをどう思うかで感情の受け方が変わってきます。「私はずっと独りだ」と思ったり「寂しいから誰かと話そう」と思うこともあります。
孤独感と自己愛
自己愛とは自分を愛すると書きますが、自己陶酔とも言い換えることができます。自分のことを素晴らしいと肯定するのですが、それが現実からかけ離れていることがあります。
この自己愛はしばし他者との比較で存在価値を感じることがあります。「あの人より私は優れている」「あの人よりも私はかわいい」。そういった心理が具体的な言葉として現れます。
自己愛が強い人は他者がいなければ、自分を決定づけることができないため、強い孤独を感じるという特徴があります。これを心理学では「自己愛性人格障害」といいます。
強い孤独感が病気の原因になる
強い孤独感は時として病気を発病してしまうことがあります。それはうつ病です。うつ病は脳の病気である、と最近の研究ではわかってきていますが、その過程では精神的な負担がのしかかっていることが多いのです。周囲と隔絶された世界され、繋がりがないように思ってしまう。強い孤独感や疎外感。これは強い精神的圧迫を感じ、精神状態を蝕んでしまうのです。
例えば仕事でうつ病になる、というのは働きすぎといった過労状態も1つの原因ですが、周囲に助けてくれる人、サポートしてくれる人が少ないことによる孤独感も1つの原因でしょう。
若い人の死因の第一位は自殺ですが、この背景には仕事上でサポートしてくれる人が周囲にいないことが関係あるのかもしれませんね。仕事が進めば進むほど絶望を感じます。慣れない環境で適応することは必要ですが、それが難しいケースもあるのです。
ちなみにうつ病には自己診断CESという方法があります。最近、やる気がまったくなく、時々死にたいとも感じることがある。そういった人はぜひ診断をしてみてください。
孤独感と環境
環境が作り出す孤独感というものもあります。例えば小学校でグループを作ってくださいねといわれたとき、自分1人だけ余ってしまった。そんなとき、孤独感を感じるものです。
もちろん、そんなときはどこかのグループにいれてもらえばいいのですが、そうできない子もいます。そこで周囲が声をかけてあげれば、問題は解決なのですが、そうならないこともあります。
この例は社会全体でもいえるかもしれませんよね。社会的に弱い立場の人が社会から拒否されるような雰囲気。孤独感はこういった環境的な要因がきっかけとなることもあるのです。
孤独感はどんなときに感じる?
では、孤独感はどんなときに感じるのでしょうか。人それぞれ様々なケースが考えられますが、その根本的な原因について以下のことがあげられます。
自分が辛いと思っているとき
仕事でもプライベートでも、なにかと嫌なことってありますよね。精神的に追い詰められ、八方塞がり。そんな状況まで追い詰められている人もいるかもしれません。
人はそんなとき、周囲に助けを求めます。助けてもらえれば、目の前の問題を解決するスピードは上がりますし、精神的な負担は軽減されますよね。
しかし、このとき周囲に助けてもらえる人がいないときや、理解者がいないとき、人は孤独感を感じます。辛いときほどそれは顕著に現れます。無力感ややる気の低下も感じるかもしれません。
育児に疲れたお母さん
自分が辛いと思っているとき孤独を感じる。このような具体的な問題として育児があります。核家族化が進み、親と同居しない子育て世代の夫婦が増えてきましたが、その犠牲となっているお母さんたちがいます。
赤ちゃんを育てていると様々な問題が起こります。お腹が空いたり、泣き止まなかったり。熱を出して病院へ連れていかなければならないなんてこともあるでしょう。
そういったとき、お母さんたちには助けてくれる存在がいません。ママ友といっても、そういった緊急事態に助けてくれるとも限りません。このようなことの連続でお母さんたちは非常に強い孤独を感じているのです。
時として孤独が恐怖に変わることもあるでしょう。他者との繋がりがなく、どうしたらいいかわからない。その時の心的ストレスはとてつもなく大きいのです。
また、旦那さんは遅くまで仕事をしています。今でこそ男性の育児休暇を推進する動きがありますが、それでもまだまだです。基本的には家にこもり、ずっと独り。そんな社会問題が今、起きているのです。
環境の変化があったとき
今まで慣れ親しんだ環境から別の環境へ変化したとき、人は孤独を感じることがあります。例えば、大学進学に伴って一人暮らしを始めた。こんなときは友達も知り合いもいませんから、寂しいと感じますよね。
仕事の転職や部署の転部なんかでも同じことがいえるでしょう。知り合いがいませんし、0から人間関係を作らなければなりませんから、強い孤独を感じます。
ただ、その孤独感が原動力になることは確かです。環境に適応しようという心な動きですから、悪いことではありませんよね。もしも、孤独を感じなければ、誰とも接点を持たないなんてこともあるかもしれません。
感情的な不足を感じるとき
例えば恋愛で恋人と付き合っているけども孤独を感じている人がいます。こういった人は相手に対して期待していることに対して、その見返りが少ないと感じていることがあります。
会えるって言ったのに仕事が忙しくて会えなくなってしまった。こんなときは孤独を感じますよね。期待していたけど、それが裏切られてしまった。相手が悪いわけではないのですが、気持ちはどこか落ち着きません。
孤独感の克服・対処法
では、孤独感をどうやって克服すればいいのでしょうか。様々シーンで独りと感じてしまうことがありますが、その克服法として以下があげられます。
他のことに意識を向ける
孤独を感じているとき、それはそのことを考えているに他なりません。自分は独りである。その考えが頭の中をぐるぐると回り、はまってしまうのです。
その克服法としてオススメなのが、他のことに意識を集中するということ。それは細かい作業、趣味、運動などがあげられます。自分の好きなことをすると、不思議と孤独感は解消されます。
とにかく人とコミュニケーションをとる
身近な友人が近くにいなくとも、今では電話でもアプリでも話すことができます。何か不安を感じたとき、とにかく人と話し、気持ちを落ち着けることが大切です。
一方で周囲に知人・友人がいないときは親でもいいかもしれません。親に何かを話すのは嫌だと思うかもしれませんが、些細な話題でもいいので、話してみることをオススメします。
外に出てリラックスする
運動や散歩は気分転換にとても効果的です。週3回のウォーキングがストレス軽減に大きな効果を示すことが研究で分かっているほどです。これは孤独感の克服にも効果的です。
日頃、あまり運動をしない人。仕事が終わったら家にこもっている人。このような人は、意識して外に出てみることをオススメします。風景に意識を集中させれば、孤独感を忘れることができます。
「今」に集中する
孤独を感じているとき、孤独に関する考えが頭の中にいっぱいにある、という話をしました。そのことから意識をそらすことが孤独克服の1つの鍵です。
1つの方法として「今」に集中する方法があります。これは楽な姿勢になり、呼吸や体の感覚、目の前に見えるものや肌で感じているものに思考を巡らせるという方法です。
人によってはこれを瞑想ということがあります。ストレス社会において、瞑想の効果が話題になっていますが、心を落ち着け、孤独感を解消する方法としてオススメです。
日記を書いてみる
自分自身を客観的に見ることは孤独感を克服する1つの方法です。今、自分が感じていること、考えていること。これを誰かの相談事のように客観的に見ると、不思議と解決策が浮かんできます。
そのために何か強い孤独感や感情の変化があったとき、日記を書いてみることをオススメします。不思議と心を落ち着けることができます。
他人と自分を比較しない
例えば自分より勉強ができたり、運動ができる人をみると、なんだか劣等感を感じることがあります。その劣等感が進むと、自分は何もできないと思うようになり、孤独を感じてしまいます。
しかし、比較するからそう思うだけで、自分は自分です。自分にしかできないことがあるはずで、まだそれが見つかっていないだけなのです。
他人と自分を悪い意味で比較することは、感情的な劣等感を助長させるだけです。そうではなく、自分の良いところを認め、育ててあげることが大切です。
孤独感の良いところ
孤独感と聞くと、なんだか寂しそうな人というイメージがあり、マイナスな言葉のようにも思えます。だけど、悪い面だけではなく、良い面もあります。
例えば孤独感がなければ、誰かと繋がりたいという思いそのものが生まれません。ずっと1人でも大丈夫というわけですから、協力性・協調性が欠けてしまうなんてことがあるかもしれませんよね。ある意味では生命力の源のようなものなのです。
誰しも大なり小なり孤独感が心の中にあるのです。その感情をどう動かしているか。これが孤独感とのうまい付き合い方のヒントになるのだと思います。
孤独感をうまく使う人は人との繋がりを積極的に保とうとし、関係を保つための努力をしているかもしれませんよね。誰かの相談に乗ったり、反対に相談に乗ってもらったり。そういった目的があるから人間関係をうまく築けています。
一方で孤独感を悪い方向に持っていってしまうと、自己否定や劣等感になってしまうでしょう。「自分なんて…」というようなマイナスな自己評価を下し、周囲との関係をうまく持つことができなくなります。
孤独感をうまく働かせるために
もちろん、そういったことが悪いといっているわけではありません。いかようにも孤独感を良い方向へ持っていくことはできます。では、孤独感をどうやって良い方向へ持っていけばいいのでしょうか。
自分を受け止めることから始める
他人と比較して、自分の悪いところばかりをみてしまう。こういったことは劣等感を始め、孤独の原因となる見方です。そうではなく、まずは自分自身を受け止めることが大切です。
自分はこんな性格の人間である。なになにが好きで、なになにが嫌い。できることはこれで、できないことはこれ。気分が悪いこともあるかもしれませんが、そんな自分も受け入れてみるのです。他人との比較の中ではなく、自分の価値観を考えてみます。
そして、自分がわかってきたところで、自分はこうであると受け止めてみてください。自己受容ができるようになると、不思議と他人と比較する自分が消えて、心が軽くなります。
自分らしさで行動する
自分らしい行動は自分にしかわかりません。そして、自分らしい行動をしているとき、人は最も自由を感じます。この指針に従い、行動することが孤独感を遠ざけてくれます。自分らしい行動をしている時は孤独を感じないほど、目の前のことに集中しているからですね。
誰かの目が気になったり、これはやっていけないという常識的なものが自分自身を縛ってしまっています。これを解放するには、自分が思ったことをとことんやる必要があるのです。
アファーメーションのススメ
アファーメーションとは自己暗示の一種です。人は自分自身へ常に何か語りかけています。その言葉はポジティブ・ネガティブな種類があり、それが人の行動を決定づけています。
例えば、ある問題が起きたとき、「できる!」と自分自身に語りかけている人は物事の解決に対してポジティブな行動をとることができます。一方で「できない…」と語りかけてしまうと、行動そのものをしなくなってしまいます。
アファーメーションではこういった自己暗示の言葉をポジティブなものにしていくだけ、というシンプルな方法です。まずは自分が日頃語りかけている言葉に気を配ってみてください。そのあと、その言葉をなるべくポジティブなものに変えてみましょう。
孤独感と周囲の人たちとの付き合い方
孤独を頻繁に感じるとき、周囲の人たちとの付き合い方にはどのような心構えが必要なのでしょうか。人間関係は自分1人で完結するものではありませんから、自分の感情をコントロールする必要があります。以下のことを考えてみることをオススメします。
現状を受け入れる
人間関係の中の欲求が満たされないとき、孤独を感じることがあります。恋人への期待、仕事仲間との関係不和。生きているといろいろな場面で孤独を感じます。
しかし、その中でも良い面があります。恋人がいるから幸せである。仲間がいるから仕事ができる。そういった現状の良いところを見つめ、受け入れることが人間関係を良好にするポイントです。
そして、そういったことを見れるようになると孤独感が薄れていきます。人は1人では生きていけない、という当たり前のことに気づくこともあるでしょう。孤独感を遠ざけ、充実した生活を送ることができます。
自分をさらけ出してみる
人間関係の繋がりが希薄であるとき、それは自分が相手と距離を取っている可能性があります。それは先入観によるものや過去の経験から自己判断してしまっているのかもしれません。
孤独感を克服し、周囲の人たちと繋がりを持つためには自分をさらけ出してみることが大切です。そうすると間にあった壁を壊すことができ、仲良くなれると思いますよ。
まとめ
人生をよりよく生きるためには、孤独感をうまく処理する必要があります。感じている感情を良い方向へ向けるか、それとも悪い方向へ向けるかによって結果は大きく異なるからです。
もし、今孤独を感じているのであれば、何か行動が必要とされているのでしょう。それは心からのサインであり、現状を変える必要があるという目的を持っているのです。
自分がしたいことをしてみたり、楽しいことをしてみたりすると、きっと気分が晴れると思います。少しずつでいいので、行動していってくださいね。
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