日常生活において指を使わなければいけない場面は非常に多いですよね。
しかし「指を動かしたり曲げる度に痛い…。」「指の関節が腫れている気がする…。」といった症状でお困りの方はいらっしゃいませんか?
その痛み、何らかの原因によって炎症が起きていたり、思いもよらない病気のサインかも知れません。
今回は、指の関節に痛みが生じる原因や考えられる病気、その対処方法についてご紹介していきたいと思います。
動かす度に痛みが生じてしまうと日常生活に支障が出てしまう可能性も少なくありません。早めにチェックして早期回復を目指しましょう。
指の関節の痛みの原因
指の関節が痛い時、考えられる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。その症状や痛みを生じさせる病気について幾つかご紹介していきます。
腱鞘炎(けんしょうえん)
手首に起こるイメージが強い腱鞘炎ですが、指にも起こります。
■主な症状
- 指がスムーズに動かせない
- 指を動かす度に痛みが生じる
といったものがあります。
初期段階では瞬間的な痛みですぐに治まったり、痛いもののどこが痛いのか分からないといった状態ですが、進行と共に痛みが継続するようになり、痛みの箇所もはっきりとしてきます。
中には、指を動きが途中で制限され、ひっかかりを過ぎた際に「パキン!」と急に指が伸びてしまうという”ばね現象”が起こる「ばね指」と呼ばれるものもあります。
■主な原因
指の関節を為の筋肉の力を指の先端に伝える腱(けん)と、腱の浮き上がりを抑える腱鞘(けんしょう)との間に炎症が起きたものを腱鞘炎と言います。
一般的な原因として最も多いのは”指の使い過ぎ”によるものです。
長時間物を書く仕事をしている人や手で物を組み立てる仕事をしている人、家事で手を使うことの多い主婦などに発症しやすいと言われています。
最近ではスマートホン利用者が増え、頻繁に操作を行うことによって腱鞘炎が発症する場合に「スマホ腱鞘炎」と呼ばれることもあるようです。
■治療方法
長時間に渡って手を使う作業を行う場合は、定期的に休憩をして腱にかかる負担を和らげることが必要です。痛みを感じたらすぐに手指を休ませましょう。
このように時間をかけて自然治癒するまで待つ方法もありますが、何度も腱鞘炎を繰り返したりなかなか症状が治まらず自然治癒が見込めない場合は手術で治療することもあります。
この場合は腱鞘を切開し、傷んだ組織を取り除く方法をとります。ここまでならない為には、やはり初期段階で無理せず手指を休ませて治すことが重要です。
腱鞘炎については、腱鞘炎に湿布は有効?それともテーピング?適切な処置とは!の記事を参考にしてください。
関節リウマチ
関節リウマチの場合、指の関節に痛みが生じる症状があります。
関節リウマチとは自己免疫疾患の一つで、通常は体に細菌やウイルスが侵入した際に身体を守る為に自己免疫が働き体から追い出したり、退治しようとするのですが、この免疫機能が狂ってしまい自分自身の関節を攻撃してしまい炎症が起こってしまうのです。
■主な症状
- 起床時に関節に”こわばり”があり動かしにくい。
- 関節に腫れや痛みがある。
- 全身の倦怠感
- 貧血
これらは初期症状として起こりますが、特に指の第二関節に症状が現れる人が多いようです。
炎症がひどくなってくると関節周辺にある骨が変形し、更に動かしにくくなったり、痛みのないコブのようなしこりが出来たり、目や肺に炎症が起こることもあります。
程度は人それぞれですが、軽症の人もいれば痛みがひどく寝返りが打てなかったり、骨が壊れるかと思うくらい強い痛みを感じる人もいます。関節リウマチについては、リウマチの初期症状をチェックしよう!指のしびれに要注意!を参考にしてください。
■主な原因
自己免疫疾患であることは既に述べましたが、実はそれに至るはっきりとした原因はまだ明らかとされていません。
喫煙や出産、感染症、遺伝といった要因が影響しているのではないかと考えられています。
その他に、男性よりも女性の発症率が高い為、ホルモンバランスの変化などがきっかけとなるのではないかと言われています。
また、関節リウマチというと高齢者が患うものといったイメージが強いかと思いますが、高齢者特有の病気ではなく若い人でも発症します。
■治療方法
原因が分からない為完治させることは難しく、症状を和らげる為の対症療法となります。
薬物治療がメインとなり、抗リウマチ薬などを用いて関節の破壊を抑制したり、痛みを抑えます。
関節リウマチによって骨の変形が進んでいる場合は手術を行うことがありますが、基本的には早期発見・早期治療を第一に、薬で進行を食い止めることが重要となります。
この他に、動作がしにくい場合はリハビリテーション療法も用いられます。
変形性関節症
関節が滑らかに動くように、またクッションの役割を果たす為に、骨と骨の間には軟骨が存在しています。
この軟骨がすり減って骨に大きな摩擦が生じ炎症を起こしたり、関節に水が溜まって痛みや腫れを起こす病気を変形性関節症と呼びます。
変形性関節症には幾つかの種類があります。
・へバーデン結節
へバーデン結節とは、人差し指から小指にかけて第一関節(DIP関節)が赤く腫れ、指が曲がったり、水膨れのようなものができたりします。痛みを伴うこともあります。
関節リウマチと症状がよく似ています。
原因は明らかとされていませんが、40代以降の女性に多いと言われており、やはり手指をよく使う方が発症しやすい傾向にあります。
基本的に保存的療法となり、痛みを抑える薬物療法やテーピングを行います。それでも改善が見込めず変形が悪化している場合は手術によって腫れを切除したり、関節を固定する処置が行われます。
・ブシャール結節
へバーデン結節が第一関節に発症するのに対し、ブシャール結節は第二関節に発症します。
主な症状、原因、治療方法はへバーデン結節と同様になります。
・母指CM関節症
へバーデン結節、ブシャール結節に続き、母指CM関節症はその名の通り、親指の関節、主に付け根部分に発症するものを言います。
ビンの蓋を開ける時や物を持った際に親指の付け根が痛くなる場合、母指CM関節症が疑われます。
母指CM関節症の場合は老化に伴って発症する傾向が高く、進行すると腫れや亜脱臼をして親指が変形していきます。治療方法は他のものと同様、対症療法が行われます。
ホルモンバランスの乱れ
意外かと思われるかも知れませんが、ホルモンバランスが指の関節の痛みに影響している場合があります。
女性ホルモンには”エストロゲン”と”プロゲステロン”という二種類があり、それぞれの分泌量は調整されています。
しかし、妊娠や出産、更年期などにおいて女性ホルモンのバランスが大きく変化したり乱れることによって、エストロゲンが減少します。すると腱や腱鞘の柔軟性が失われ摩擦が起こりやすくなり、腱鞘炎や変形性関節症を引き起こしやすくなってしまうのです。
ホルモンバランスの乱れによって発症した場合、対症療法の他にホルモンバランスを整えることが必要となります。
指の関節の痛みの解消法と予防法
これまでに挙げた病気のそれぞれの治療方法の他に、自分でできる痛みの解消法や、関節の炎症を起こさない為の予防法をご紹介していきます。
ストレッチ
関節が疲れている時に効果のあるストレッチです。長時間指を使い過ぎず、定期的にストレッチを行いましょう。
ただし、痛みが強い場合は動かさずに安静にして下さい!
■グーパーストレッチ
- 腕を胸の前に出して伸ばす。
- 手をグーの状態にする。
- 次に手を広げてパーの状態にしてからゆっくり戻す。
これを10回ほど繰り返します。
■関節のストレッチ
- 片方の手をテーブルの上に置いて力を抜く。
- 反対の手で指先の関節をゆっくりと内側に曲げる。
- 次にゆっくりと外側に曲げる。
- 指は真っすぐにしたまま、付け根を持って内側にゆっくり曲げる。
指は一本ずつ、各10回ほど繰り返します。
ツボ押し
手の指の痛みに効くツボがあります。それぞれのツボを気持ちよいと感じるくらいの強さで押しましょう。はっきりと位置が分からない場合は、揉むようにしても大丈夫です。
強く押し過ぎないように注意しましょう。
・中衝(ちゅうしょう)
中指の腹の人差し指側側面。爪の生え際あたり。
・陽谷(ようこく)
手首(手の甲側)の小指側にある隆起部分のすぐ下のくぼみ。
・陽池(ようち)
手首(手の甲側)のちょうど真ん中あたり。手を広げて軽く反らした時にできる腱と腱の間にできるくぼみ。
温冷療法
痛みがある部分が熱を持っている場合は、冷水につけて絞ったタオルや袋に氷を入れたもので冷やします。
指を使い過ぎて疲労が溜まっている場合は逆に熱めのお湯につけて絞ったタオルをあてたり、お風呂でゆっくりと温めて血行を良くすることで痛みが和らぎます。
女性ホルモンを整える
女性の方は日頃から女性ホルモンを整えておくことで、関節の痛みを予防することが出来ます。
ホルモンバランスを整える効果のある栄養素をご紹介しますので、日常の食事に是非取り入れてみて下さいね。
・大豆イソフラボン
大豆イソフラボンはエストロゲンと似た働きをすることはよく知られています。
特に更年期にはエストロゲンが減少しますので、納豆や豆腐、豆乳などの大豆食品を積極的に摂りましょう。
・ビタミンB6
ビタミンB6は女性ホルモンの代謝に作用します。妊娠や出産時にはホルモン変化が大きくなりますので摂取すると良いのはもちろん、月経前症候群(PMS)で精神的に不安定となってしまう方にも効果的だと言われています。マグロやカツオ、にんにく、バナナなどに多く含まれます。
・ビタミンE
ビタミンEは血行を促進し、強い抗酸化作用を持っています。その為、冷え性の改善やホルモンを分泌する卵巣の細胞膜が酸化することを防ぎ、ホルモンバランスを整えてくれるのです。
”若返りのビタミン”とも呼ばれているほどで、シミを防いで美白効果が期待できたり、肌にハリやツヤをもたらしてくれる効果もある為、女性は特に摂りたい栄養素ですよね。
うなぎやかぼちゃ、アーモンドなどに豊富に含まれています。
まとめ
指の使い過ぎやホルモンバランスの乱れ、あるいは関節の病気など様々な要因で指の関節に痛みが生じることが分かりました。
軽症のうちは放置してしまう方も多いと思いますが、そこで無理をして指を使い続けてしまうと症状が悪化し治りにくくなったり、手術が必要となってしまう場合もあります。
関節に痛みや違和感を感じた場合は、出来るだけ早めに整形外科を受診しましょう。
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