長時間正座をしていると起こる足のしびれが、正座をしていないのに起こる事はないでしょうか。ぴりぴりしたしびれから触ると痛いような重いものまで様々かと思いますが、中には病気の症状としてしびれが起きている事があります。
手足のしびれには血流と神経が関わりますが、病気や部位などによって両足ともがしびれる場合や片方だけの場合、手にも症状が出る場合など様々なパターンがあります。
思い当たる事をしていないのにしびれが起こる場合どのような病気が可能性として考えられるのかについてまとめました。
足のしびれが起こる理由
足のしびれは神経の症状の一つです。その症状は大きく分けて3つに分かれます。
・感覚の低下…触った感覚がない、暑さや冷たさを感じない
・運動の麻痺…力が入らなくなる
・知覚の異常…何もしていないのにピリピリした感覚を感じる
まず理由として考えられるのは、血流障害と神経の圧迫です。長時間座っていたら立ち上がれなくなったというような足のしびれはこれに相当します。正座をしていると膝下の血管が圧迫されて血流が悪くなります。そのため末梢神経に酸素が供給されなくなります。
さらに神経そのものも圧迫される事も加わり末梢神経の機能低下を起こし、異常を知らせる電流が流れ始めてしびれを感じるのです。この電流を無視しているとそのうちに運動を命じる神経の機能も低下して感覚が無くなります。
正座によりしびれるというのは物理的に血管を押さえているような状態ですが、何らかの病気によって同じような事が起きている場合があるのです。
足のしびれが起きる病気とは
前述の通り、足のしびれは大きくわけて「血流が悪くなっている」ことと「神経が痛んでいる」事を原因として起きています。そのため元々の原因となっている病気については非常に多くの可能性があるという事になります。しびれが症状として現れる病気の内代表的なものを以下にまとめました。
片足のしびれ
・脳梗塞
脳の血管が補足なったり、血栓がつまったりする事で脳に酸素と栄養が行き渡らなくなり、脳細胞がダメージを受ける病気です。
脳梗塞が起こる前兆と言われる「一過性脳虚血発作」の症状として、手足のしびれが出る事があります。血管が詰まり掛けている状態で、一時的に脳への血液の流れが悪くなります。
手足同時にしびれが出る事があり、この場合の足のしびれは一過性のものである事が特徴です。正座でしびれる時のように強いぴりぴり感があるものではなく、手袋越しに触っている程度の弱いものです。
・脳出血
脳の血管からの出血により、脳が圧迫されて起こります。脳腫瘍を原因としている場合もあります。片側手足のしびれに加えて頭痛や嘔吐が起こる場合や、視野に障害が出る場合があります。
・バージャー病
末梢血管の炎症が原因として四肢の末梢神経に閉塞が起こる病気です。手足の動脈が閉塞する事でそこから先に血液が供給されなくなるため、冷たくなったりしびれを感じます。長い距離を歩くと痛みが激しくなる症状が出て、重症化すると皮膚の潰瘍、壊死に至る場合があります。
しびれに冷えが伴うのが特徴で、蒼白になる場合があります。この病気には喫煙が大きく関わっているので、喫煙者の方は特に注意が必要です。
・閉塞性動脈硬化症
手足の動脈が硬化する事で血管が狭くなり、血液の流れが悪くなって手足への血液供給ができなくなる病気です。原因は異なるものの血流が悪くなるという点は前述のバージャー病と同様です。しびれの種類も似たもので、しびれが冷感を伴い蒼白になるしびれが起きます。
・腰椎間板ヘルニア
背骨の間に挟まっている椎間板に亀裂が起き、髄核とよばれる水分がはみ出して膨張する事によって神経に触れて痛みがでるものです。椎間板は水分を含む組織ですが、老化や強い衝撃により水分が失われる事が原因と言われています。
椎間板ヘルニアによるしびれの特徴は、朝に悪化する事と、立っているより座っている時の方がつらい場合が多い点、前屈姿勢でしびれが強くなる点などです。
・足根管症候群
足根管症候群は、かかとや足の裏の神経が圧迫されたり損傷したする事で、足首やつま先に症状が出る病気です。くるぶしあたりには足根管というトンネルのような部分があり、この中を神経が通っています。ここが圧迫されているので、しびれはつま先の方で起こります。
また、この病気だと踵にしびれは出ず足の裏のみにしびれが出る事や、しびれている部分を叩くと強い痛みがある事が特徴です。
・パニック障害
パニック障害の症状として、手足のしびれがあります。心因性のもので原因を特定するのは難しいとされています。
両足のしびれ
・糖尿病性神経症
糖尿病の合併症状として起こる神経障害です。高血糖の状態が続く事で、神経に異常を起こす「ソルビトール」という物質が蓄積し麻痺が起こるという説と、高血糖により血流が悪くなり、酸素や栄養が末梢神経まで届かなくなって起こる説がありますが、はっきりとした原因はわかっていません。
ぴりぴりとした痛みやしびれが左右対称に生じます。初期では手には症状が現れません。進行すると手にも症状が出て、やがて感覚がなくなります。
・ギランバレー症候群
ギランバレー症候群は、筋肉を動かすための神経に障害が起こる自己免疫疾患の一つです。進行性の運動麻痺が見られる事を診断の条件としています。
完全左右対称ではない場合も、比較的左右対称性のある症状の現れ方をするという特徴があります。
・脊椎損傷
脊椎の損傷箇所によって、身体に麻痺が残り、痛みやしびれが起きる事があります。麻痺が起こる程ひどい損傷で無かった場合でも、後になってしびれがひどくなる場合があるので、今平気だからといって放置するのは危険と言えるでしょう。
季節の変わり目や天候によって悪化する場合もあります。
足のしびれの対策・予防について
では、足のしびれの予防方法や対策方法について紹介します。
足がしびれたら
しびれには様々な原因があり、たとえば何かが一時的に神経を圧迫しているというような場合であれば、それを取り除く治療が行われます。ただし、別の病気が関わっている場合や特に脳の障害の場合などは、早急な治療が必要となります。
・どこがしびれているか
・いつから症状が起きたか
・最初にしびれた場所、進行しているかなど
・姿勢や動作など
を医師に伝える事でより正確な診断を受ける事ができます。
一時的なしびれであっても、症状を繰り返す場合は病院での診察が必要です。
しびれにくい体質
病気を直接の原因としていないような血行不良によるしびれは、日常生活のくせを原因としている事が多いといえます。
・姿勢が悪い
・座っている時間が長い
・しめつけのある衣類
・冷え
などの習慣があるとしびれやすくなってしまいます。
腹筋運動や背筋運動により、腰周りをバランスよく鍛える事で腰痛を防止し、椎間板や骨にかかる力に耐えられるようにしておく事や、太ももの筋肉を丈夫にするスクワットを行う事、むくみを防ぎ普段から血液の流れを良好に保っておく事などは、しびれを予防するために有効です。
まとめ
お坊さんは正座していても足がしびれないそうですが、足がしびれるのは修行が足りないからとは限りません。
しびれは末梢神経の異常を脳に知らせる信号であると言われています。たかがしびれだと放っておかず、神経からのサインをきちんと受け止められるよう気を配りましょう。
思い当たる事がないのにしびれを感じる場合は、まず整形外科や神経内科での診察を受けるとよいでしょう。病気は早めの発見が大切です。がまんせずに病院に行きましょう。
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