あなたは日頃からタンパク質を意識して摂取していますか?
実はタンパク質は人間の身体や心にとってとても大切な成分です。タンパク質が不足するとさまざまな場所に支障をきたします。タンパク質不足についてまとめてみました。
タンパク質とは?
タンパク質とは、炭水化物・脂質と並び3大栄養素といわれるもののひとつです。筋肉を作るほか、血液や骨、髪の毛や皮膚などもタンパク質で出来ています。さらに筋肉や内臓などの臓器がちゃんと機能を果たすためはさまざまなホルモンや酵素が必要となってきますが、それもタンパク質から出来ています。そのため、タンパク質は私たち人間が生きる上で大切な成分なのです。
タンパク質から出来ているもの
①ケラチン(爪や髪の毛)②アルブミン・ヘモグロビン(血液)③コラーゲン(皮膚や骨)④ミオシン・オグロビン(筋肉)⑤フェリチン(血液中に含まれる。鉄を貯蔵)
このように大切な成分であるタンパク質ですが、あまり重要視されていないようです。それどころか、ダイエットなどでタンパク質を避けてしまっている方も多いように感じます。
しかしそれではタンパク質不足になり、ダイエットどころか、身体に不調をきたす可能性もでてきます。タンパク質不足が私たちの身体にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
タンパク質の性質
タンパク質を含む食品は数多くあります。普段私たちがよく口にする食品の中にもタンパク質がかなり含まれています。肉や魚・卵・大豆製品などは毎日の食事の中で摂取することも多い食品でしょう。しかし、この食品の中に含まれるタンパク質は、体内でそのまま利用されることはありません。
タンパク質はまず体内に入ると、消化される過程でアミノ酸に分解されます。そして肝臓に送られます。ここではアミノ酸が蓄えられ、身体の必要な組織に送られます。アミノ酸が送られた組織ではそれを元に組織に必要なタンパク質が生成されるのです。
そしてこのタンパク質は一定の期間で分解や排泄、補充が行われています。そのため、私たちは常に身体に必要なタンパク質を摂取し、補わなくてはなりません。さらに細かく言えば、食品に含まれるタンパク質も何種類もあり、さまざまな食品から摂取したほうがより多くのアミノ酸を取ることができ、身体にとっても良いことになります。
しかし、もしタンパク質が不足したらどうなるのでしょう。肝臓は身体の中で必要なタンパク質の優先順位を決めて送るので、本来は必要な組織なのにたんぱく質不足で送ることができず、気がつかないうちに身体の不調が進むことになります。
さらに不足すると、身体は危機感を感じて筋肉などからアミノ酸を他の組織に送ったりします。このようにタンパク質(アミノ酸)は身体の中である程度融通を効かせながら働いているのです。そのため私たちはタンパク質不足にはあまり自覚が無く、症状として現れてはじめて自覚するのです。
動物性タンパク質と植物性タンパク質
ダイエットを行う人や、筋力トレーニングなどを行う人はよく知っている言葉かもしれませんが、タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。
動物性タンパク質は、一般的に肉や魚、卵などに含まれるタンパク質のことで、多くが動物から取れるのでそういわれています。一方で植物性タンパク質は、植物から取れるタンパク質で大豆や野菜、穀物などに含まれるタンパク質を指します。
この動物性・植物性の違いは何なのでしょうか?
もっとも大きな違いは、アミノ酸の含有量にあります。アミノ酸はおよそ20種類あると言われていますが、そのうちの9種類は必須アミノ酸と言われ、人間の体内で作ることができないアミノ酸です。
そのため主に食品からの摂取をしなくてはいけません。その必須アミノ酸がどれぐらいの量、その食品に含まれているか、そのバランスをアミノ酸スコアといいます。一般的にアミノ酸スコアの数値(1から100)のうち100に近い数値の食品であるほど、良質なタンパク質であると言われています。
動物性タンパク質は、そのアミノ酸スコアが100に近いものが多く、動物性タンパク質のほうが良質だといわれます。動物性タンパク質にしか含まれない、クレアチンという栄養素もあります。
しかし、一方で植物性タンパク質もアミノ酸スコアは低いものの、大豆などは動物性タンパク質に近いスコアがあり、さらに脂質やカロリーが低いなどのメリットもあるので、ダイエット中などのタンパク質補給には欠かせないものです。理想的なのは動物性・植物性共に適量を摂取することです。
厚生労働省が推奨する一日のタンパク質量は、成人男性でおおよそ60g、成人女性でおおよそ50gとされています。これはあくまでも目安ですが、だいたい体重1kgに対し、1gと考えておけばよいでしょう。
たんぱく質が不足すると現れる身体の外側の症状
まずは、たんぱく質が不足することで現れる身体の外側の症状を紹介します。
肌
特に女性にとって肌は気持ちまで左右するほどの大切な部分です。この肌にもタンパク質は欠かせません。
肌には角質層、表皮層、真皮層、皮下組織などの組織があり、それらのすべての部分でタンパク質が必要です。
①角質層
セリンやアルギニンなどが肌を潤す。
②表皮層
アルギニンやシステインなどが肌のターンオーバーを促し、新しい肌を作る。
③真皮層
アルギニンやプロリンがコラーゲンを生成する。
④皮下組織
アルギニンが肌の血行をよくしてクスミなどをとる。
⑤肌全体
セリンやアルギニン、システインなどが肌全体の炎症や老化を抑える。
さらに肌の潤いやハリなどに必要なコラーゲンもタンパク質からできています。コラーゲンは人間の身体の約30%を占めていて、身体全体の水分保持や柔軟性に大切な成分です。
髪の毛
髪の毛もタンパク質が必要です。髪の毛の主成分は18種類のアミノ酸からできたケラチンという成分です。ケラチンの中には必須アミノ酸も含まれています。
髪の毛のタンパク質で気をつけたいのは、シャンプーです。実は毎日のシャンプーで流れてしまうタンパク質があるのを知っていますか?
グルタミン酸やロイシン・イソロイシン・アラニン・グリシンなどのタンパク質は、水に流れ出やすく、注意が必要です。髪の毛が痛みやすい人にはアミノ酸系のシャンプーがよいといわれるのはこのためです。
爪
爪も髪の毛と同様、ケラチンという成分からできています。爪がいつもよりも薄くできたり、すぐに割れてしまうようなことがあれば、それはタンパク質の不足からくるものかもしれません。十分なタンパク質の補給で健康な爪が生えてきます。
たんぱく質が不足すると現れる身体の内側の症状
次は、身体の内側の症状を紹介します。
甘い物が欲しくなる
タンパク質不足と甘いものは一見何の関係もなさそうに思えますが、実はとても密接な関係にあります。
無性に甘い物を身体が欲しているとき、身体の中では、セロトニンという脳内物質が不足していることが分かっています。そのセロトニンという物質も実はタンパク質から出来ているのです。
では甘いものを欲しているからといって、食べれば治まるのか?といえば、それは違います。糖分にはセロトニンを生成する物質は含まれていません。なので糖分をいくら摂取してもセロトニンは生成されず、甘いものに対する欲求は治まることはありません。
このような状況に心当たりのある方は、一度タンパク質が不足していないか自分の日頃の食生活を振り返ってみるのもよいでしょう。もしダイエットなどを意識していてあまりカロリーや脂質を摂りたくない方には大豆製品やナッツなどを摂ることをオススメします。
大豆製品やナッツなどはタンパク質を含んでいるだけでなく、セロトニンの生成に必要な成分を含んでいますので、効果が期待できるでしょう。ビタミンB6を一緒に摂ることをオススメします。
ボーっとする
脳の伝達物質であるセロトニンやドーパミンなどの物質も、タンパク質がもとのアミノ酸から出来ています。
そのためタンパク質が不足すると、脳内の神経伝達物質もきちんと作られず、働きも疎かになります。ついボーっとしたり、疲れているように見えたり、集中できずにあまり考えがまとまらないなどの症状が現れたら、それはタンパク質不足からくる症状かもしれません。
風邪をひきやすくなる
タンパク質は身体を病気などから守る、免疫細胞や酵素やホルモンなどにも必要な成分です。
タンパク質を元にしたアミノ酸は、身体のさまざまな部分で必要な酵素や免疫細胞を作り出します。しかもこれらの成分は、分解や排泄が早いサイクルで行われているので、常に補給していないときちんと役目を果たせなくなります。
もしタンパク質が不足すると、自分の筋肉などから必要なタンパク質を補うようになるので、体力が低下したり、さらに免疫機能が低下する可能性もでてきます。血管などももろくなる危険性があり、タンパク質不足から脳卒中、子供などは成長障害などが現れることもあります。
病気などの予防で免疫力をつけたいときは、ビタミンなどの補給も大切ですが、まずはきちんと毎日一定量のタンパク質を摂り、身体の中と外、また免疫細胞をきちんと作り出せる身体作りが大切です。
ストレス
ストレスに対する耐性もタンパク質が関わっています。
ストレスを受けた身体は心拍数を上げて体温や血糖値を上昇させます。その状況はタンパク質を大量に消費する行動です。さらに外傷などを負った場合などは、15gから25g程度のタンパク質が消費されるともいわれています。
さらにストレスによる睡眠不足などからも免疫力が低下した場合、タンパク質不足で免疫細胞も不足している状態では、身体の抵抗力は低下する一方です。ストレスを感じたらタンパク質を摂るということを心がけておきましょう。
体力が落ちる
筋肉は人間の身体の中で最大のタンパク質でできた組織です。伸び縮みしたり、骨を支える働きを持つ筋肉はエネルギーを消費するだけでなく、タンパク質を大量に消費する箇所でもあります。
また、他の部分のタンパク質不足の際には、不足分を筋肉から補給するということもあり、常にタンパク質が不足していると、筋肉も落ち、体力も落ちてきます。さらにエネルギーを生み出しにくくなり、ダイエットには向かない身体になっていきます。
まとめ
いかがでしたか?
日常タンパク質を意識して摂るようなことはしなかったかもしれませんが、タンパク質はこのように人間の身体や心などにとても密接な成分であることがわかりましたね。心身ともに健康的な毎日を送るためには、タンパク質が不足することのないように心がけたいですね。