三尖弁閉鎖不全症はどんな病気?症状や原因、治療方法を知ろう!

「最近、足がむくんでいるなあ・・・」とか、「最近、お腹に張りがあって、なんとなく体がだるいなあ・・・」なんて感じている方、いらっしゃるのではないでしょうか?

そんな症状が続いている方、「きっと最近忙しすぎて疲れているせいだよなあ・・・」なんて、自分の中で片づけてしまってはいませんか?

そんな症状、実は、三尖弁閉鎖不全症という病気かもしれません。今日は、そんな方のために、三尖弁閉鎖症についてお話ししましょう。

三尖弁閉鎖不全症とは

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心臓のしくみとはたらき

心臓は、全身に血液を送るポンプの役割を果たしていることは、きっと皆さんご存知ですよね?

そして、その血液とともに、肺で取り込まれた酸素を全身に供給しているんです。その心臓には、左心室、左心房、右心室、右心房という四つの部屋があり、それぞれ血液を循環させるための役割があります。

全身を巡って、二酸化炭素をとりこんできた血液は、まず、大静脈をへて右心房に入ります。そこから、右心室に入り、肺動脈をへて肺に取り込まれます。

二酸化炭素をたっぷりと含んだ静脈血は、肺で二酸化炭素を放出し、酸素を取り込みます。そして、動脈血となった血液は、心臓の左心房へと戻り、その後左心室に入り、大動脈をへて、また全身へと運ばれていくのです。

このようにして、心臓は、人体に血液を運びつつ、酸素も供給するポンプの役割を果たしています。

このうち、右心房と右心室の間にある弁が、三尖弁です。それでは、三尖弁の定義を辞典で確認しておきましょう。

三尖弁

心臓の右心房と右心室との境にある3枚からなる薄い弁膜。房室口の周囲から起こり、そのとがった先端には、右心室壁または乳頭から起こった腱索(けんさく)と呼ぶ紐が帆綱(ほづな)のようにつく。右心房から右心室に入った血液が、心臓の収縮に際して再び右心房に逆流するのを防ぐ。

マイペディア

つまり、三尖弁は、右心房と右心室の間にあって、右心房から右心室へ血液が流れるのを助けている3枚の弁膜です。そして、それと同時に、右心室から右心房へ血液が逆流しないようにも開いたり、閉じたりする、心臓にとってとても大切な役割を担っているのです。

余談になりますが、左心房と左心室の間にも僧帽弁という2枚の弁膜があります。こちらも、辞典で定義を確認しておきましょう。

僧帽弁

心臓の左心房と左心室との境にある弁。2枚の弁膜からなるので二尖弁(せんべん)ともいう。左心室内の乳頭菌の頂から腱索(けんさく)というひもがその先端につき、その形が大僧正の帽子に似るのでこの名がある。血液の左心房への逆流を防ぐ役目をする。三尖弁とともに房室口にあるので、房室弁と総称される。

マイペディア

僧帽弁も、三尖弁同様、左心房から左心室ヘスムーズに血液が流れるように働くと同時に、血液が左心室から左心房へ逆流しないように、開いたり、閉じたりして血流を調整しています。

話を三尖弁に戻しますが、三尖弁閉鎖不全症とは、この三尖弁がうまく機能しなくなることにより発症します。

三尖弁閉鎖不全症の原因

心臓の痛み

それでは、三尖弁閉鎖不全症の原因についてお話ししていきましょう。

大きく分けて、三尖弁閉鎖不全症の原因には、先天性のものと後天性のものがあります。

  1. 先天性の原因によるもの
  2. 後天性の原因によるもの

先天性の原因によるもの

先天性の原因によるものとは、主に、弁そのものの構造に異常が見られます。

この場合、一次的な原因とも言われますが、三尖弁の構造に何らかの欠陥があり、その欠陥に起因して三尖弁がきちんと機能しなくなってしまい、三尖弁閉鎖不全症を引き起こしてしまっているのです。

定義の説明で少し触れましたが、右心房から起こっている三尖弁は乳頭より届いている腱索と結ばれており、この力加減で弁膜を開いたり、閉じたりすることで、血液の逆流を防いでいます。

弁膜が正常の場合、きちんと三尖弁が開いて血液が右心房から右心室に流れ、三尖弁がきちんと閉じられて、血液が右心室から右心房へと逆流しないように調節しています。

この三尖弁が、先天的に異常がある場合、三尖弁はこのように正常に機能することができません。三尖弁が閉じたままのときは、狭窄(きょうさく)と呼ばれて血液が流れなくなり、三尖弁が開いたままだと、閉鎖不全となり、血液が右心室から右心房へと逆流してしまうことになります。

この先天性の三尖弁閉鎖不全症の原因となる病気には、リウマチ性弁膜症や感染性心内膜炎、エプスタイン奇形と呼ばる先天性の奇形などがあります。また、その他にも、三尖弁逸脱性やカルチノイド症候群、外傷性、マルファン症候群、放射線術後など、多岐にわたって先天性に起因する三尖弁閉鎖不全症があります。

ですが、三尖弁閉鎖不全症の全体の割合としては、少数派に属することになります。

後天性の原因によるもの

後天性の原因によるものには、三尖弁は正常なのに、右心室の収縮期圧上昇による機能的な原因が多く見受けられます。

この場合、二次的な三尖弁閉鎖不全症とも呼ばれ、他の弁の異常である僧帽弁閉鎖不全庄屋肺高血圧症、心筋梗塞などの他の病気のために、右心室に負荷がかかりすぎ、その右心室の動きに影響が出ることに起因することが多く見られます。

その他にも、ペースメーカーを装着している患者さんなどで、リードが三尖弁のはたらきを妨げることによって三尖弁閉鎖不全症が引き起こされることもあります。

三尖弁閉鎖不全症の多くは、この機能的な原因によるものです。

三尖弁閉鎖不全症の症状

むくみ

三尖弁閉鎖不全症は、軽度あるいは中程度の病状の場合、ほとんど症状がありません。

三尖弁閉鎖不全症は、ゆっくりとゆっくりと進行していくことが多いので、症状が現れにくいのです。したがって、患者さんご自身も自覚していないことが少なくないようです。

聴診で独特の音を診たり、エコー図検査で偶然病状が発見されることも珍しくないとも言われています。

ただ、重症となって右心室不全症状が現れてくると、患者さんにも自覚症状が見られるようになります。たとえば、腹水と呼ばれる腹腔内に液体がたまって腹部に不快感を覚えるようになったり、けい動脈が膨らんで怒張するようになったりします。

その他にも、倦怠感を覚えるようになって、全身がだるく感じられるような症状や、身体に上手く力が入らない虚脱感のようなものを感じるときもあります。

さらに重篤化すると、チアノーゼや黄疸といった症状が現れてくるようになります。チアノーゼとは、うっ血によりその局所が青紫色になる状態を指します。

この症状は、血液中の酸素が減り、二酸化炭素が増えたために、静脈血の色が局所の皮膚や粘膜、静脈壁などを通して青紫色に見えるようになり、その局部の温度が下がる症状です。

黄疸とは、血液中の直接または間接ビリルビン(胆汁色素)が増加したために、皮膚や結膜、血漿などのその他の組織が黄色く染まって黄染してしまう症状のことを言います。

その他にも、体重の増減が激しくなる場合があるなど、このように、重篤化した三尖弁閉鎖不全症は恐ろしい症状を引き起こしてしまう可能性のある病気なのです。また、肺高血圧症を患っていると、病状はさらに悪化する危険性もあります。

三尖弁閉鎖不全症の治療法

心臓

三尖弁閉鎖不全症の診断

三尖弁閉鎖不全症は、聴診で三尖弁閉鎖不全症に特有の心雑音を聴いて診断することができます。また、心エコー図検査をすると、三尖弁の様体などもみてとれるようになります。

その結果、三尖弁閉鎖不全症を引き起こしている心奇形の有無や弁輪拡大、弁逸脱などの症状を把握することができるようになります。

さらに、血液の逆流を調べるには、カラードップラー法が幅広く用いられています。ドップラー法は、ドップラー効果を利用して血液の流れる方向や速度を調べる検査方法で、血管の閉塞や狭窄などの診断に利用されています。

ドップラー効果とは、近づいてくる音は次第に高くなっていき、遠ざかっていく音は次第に低くなっていく現象を指します。このドップラー効果を血液の循環に応用すると、近づいてくる音や遠ざかっていく音の波形に色をつけて診断することができるのです。

また、手術の際には、心カテーテルで、右心房や右心室、肺動脈の値を測定したり、胸部レントゲンを撮って、心拡大を確認することもあります。さらには、心電図で右室肥大や右脚ブロックが見られることもあれば、心房細動と呼ばれる不整脈が見られることもあります。

三尖弁閉鎖不全症の治療

三尖弁閉鎖不全症の場合、軽度および中程度の症状では治療は不要とされているようです。

しかしながら、右心室不全症を引き起こしてしまっているような重症の場合は、投薬などの内科的治療が施されています。

主に、利尿剤を投与して、尿量の増加をはかる処置が多く取られているようです。

また、他に、三尖弁閉鎖不全症の原因となっている病気がある二次的な場合は、その原因となっている病気の回復に伴い、三尖弁閉鎖不全症も治癒することが少なくなく、外科的手術は不要とされているようです。

外科的手術では、三尖弁を人工弁に置換する手術が行われています。三尖弁閉鎖不全症は、三尖弁のみ単独で病状が悪化することは少なく、重症の僧帽弁疾患や大動脈弁疾患に伴って起きることの多い病気です。

その理由は、他の病気のために、右心室に負荷がかかって肥大化してしまった結果、三尖弁の弁輪もこれに伴い拡大するためです。すると、三尖弁自体の調節がうまくできなくなるようになり、右心室から右心房への血流の逆流が見られるようになります。

そうすると、生体弁もしくは機械弁といった人工弁への置換手術となるのです。

生体弁について

生体弁は、豚や牛の心膜に特殊加工したもの使用して作られています。

生体弁の最大の利点は、ワーファリン内服、つまり抗凝固療法が必要ないことです。患者さんは、薬剤の服用という不便さから解放されます。

しかしながら、生体弁は耐久性の点で機械弁に劣っており、弁が劣化してしまうこともあります。いろいろと改良されてきた現在では、15年から20年ほどの耐久性があると言われているようです。

機械弁について

一方、機械弁の最大の利点は、その優れた耐久性です。機械が故障して再手術となることは稀で、パイロライトカーボンという炭素の素材でできています。

しかしながら、血栓が機械弁に付着するというデメリットもあり、付着した血栓は弁の開閉を阻害する要因となります。また、血栓が遊離して脳梗塞などの塞栓症を引き起こす原因にもなることがあります。

この血栓に対する予防的措置として、機械弁を使用している患者さんは、一生涯ワーファリンという抗凝固剤を服用し続けなければなりません。また、この薬剤を服用するために、定期的に採血し、薬剤の効能を判定する必要もあります。

ただ、三尖弁閉鎖不全症は、決して原因不明の治療方法が確立していない病気ではありません。それよりも、むしろ、治療方法が確立されていて、手術の成功率も低くない病気なのです。

おわりに

健康①

術後の経過があまり良くなく、心機能が回復しない場合も時にあり、日常生活で行動に一定の制限をしなければならなくなるときがあります。そんなときには、以下のことに気をくばるようにしましょう。

まず、激しい運動や作業を避け、なるべく心臓に負担をかけないようにします。それから、体重管理に気を配り、急激に体重が増加しないように気をつけましょう。

また、水分の取りすぎ、塩分の取りすぎも厳禁です。身体、特に下肢にむくみが出ていないかどうか、日頃から注意しておきましょう。

それから、睡眠は十分にとるように、あまり無理をしすぎずにきちんと休養をとるようにしましょう。最後に、風邪などはひかないように、日頃から体調管理に気をくばるようにしましょう。

「風邪は万病のもと」とも言います。ご自分の体のことです。「ささいなことは面倒!」などと言わず、健康な生活を心がけるようにしましょう。

  
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