耳が熱い、または痛い、かゆい、赤みなどがあるといった耳にまつわる症状に悩む人は実は結構多いものです。ですが、人によって感じる度合いはさまざまなようです。
例えば、「熱はないのに耳が熱い」、「耳が熱くて赤い気がするけど、気になるときと気にならないときがある」、「赤くなるだけで痛くもかゆくもない」など、多くが他のところに問題がないのに、耳だけに異常を感じているようです。
これらは何が原因で起きているのか原因を探ってみましょう。
耳が熱い原因で多い外耳道炎
耳が熱くなる症状がある炎症の症状に外耳道炎があります。外耳道炎が起きやすい人そうでない人も居ます。
外耳道炎になった場合には耳が熱くなる症状の他にはどの様な症状があるのか、原因は何なのか対策法などについてもみていきましょう。
どんな症状?
耳の病気としてなりやすのが外耳道炎です。これは、熱い、かゆみ、痛みといった症状が表れますが、人によっては全く気にならなかったり、なんとなく違和感がある程度だったりします。それは初期症状の段階で、普通ならこのまま治っていくことが多いのですが、悪化してしまうとかゆみや痛みがひどくなってしまいます。
また、悪化の症状として、耳から膿が出る、夜眠れなくなるほどの痛みや耳鳴りを感じる人もいます。
どうして起こる?
外耳道炎は耳かきや耳掃除を念入りにしすぎる余りに外耳道を傷つけてしまい、雑菌が入り炎症を起こしてしまうことでなってしまいます。
外耳道は、耳の入り口から鼓膜に通じる細い通路のことです。ここが傷つくことが、熱い、痛い、かゆいという症状へとつながります。また、髪につけるワックスやムースなどの整髪料やピアスなどによる金属アレルギーで炎症を起こしてしまうこともあります。
他にも、外耳道を傷つけたり雑菌が入る原因は、風呂上がりやプールや海などに入る時です。例えば、海やプールに入る前に外耳道が傷ついていると耳に水が入った時に雑菌が混じり炎症を起こしてしまいます。
また、何もない状態でも、耳に水が入り水あかが膨張したことによって、耳かきをするそのタイミングで傷つけてしまうことも考えられます。耳に水が入るといつも以上に力を入れて耳かきをしがちなので注意が必要です。
注意しておきたいこと・対策方法
外耳道炎になった場合、初期であればかかずに放っておくことで、数日で炎症はおさまってきます。ただし、痛みやかゆみが強く感じるときは耳鼻咽喉科へ受診することをおすすめします。特に、できものができている場合は膿がたまっている可能性があります。自分でつぶすのは悪化させるだけです。
また、予防策として正しい耳掃除の仕方を知っておくことも大切です。耳掃除は、一番耳あかが溜まりやすい耳の入り口から1cm前後のところを中心に掃除しましょう。外に押し出すような感じで耳あかを取り除きます。耳の皮膚はとても薄く、耳かきではかき出す時にひっかいてしまう可能性もあります。できれば綿棒を使う方がおすすめです。
つい、耳の奥にあかがたまっているような気がしてしまいますが、無理に鼓膜近くの奥まで入れてしまうと逆に耳あかを鼓膜にくっつけてしまう可能性がありますので十分気をつけましょう。また、耳掃除のペースは1〜2週間に1回ぐらいがベターです。
大人に多い、自律神経の乱れ
熱はなく、風邪でもないのに、耳だけがほてったような熱さや赤くなる…。明らかに耳以外に体調不良の箇所の自覚がない場合は、自律神経の乱れが原因と考えられます。
自律神経失調症の詳しい症状や原因についてみていきましょう。
どうして自律神経は乱れる?自律神経が乱れる原因
自律神経は、消化器、循環器、呼吸器などの活動を調整するために24時間フル稼働で働き続けている、最も大切な神経です。この自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから構成されています。それぞれの働きと特徴は以下のようになります。
- 交感神経…日中に私たちの活動をサポートしてくれる神経です。
交感神経が優位になると、血圧や心拍数、血糖値などが上がり、肺は酸素をたっぷりと受け入れる状態になります。目は冴え、空腹感は感じにくく、頭の働きがよくなります。
- 副交感神経…夜に働く神経で、リラックスし、疲れた体を癒します
副交感神経が優位になると、血圧や心拍数、血糖値などが下がり、空腹を感じます。体が興奮を冷まし、休めるモードになります。睡眠時や夜のゆったりとした時間に副交感神経が優位に働きます。
本来ならば、この2つの神経がそれぞれバランスよく働くはずですが、ストレスにさらされる状態になると、うまく働かなくなってしまいます。
また、過労や事故、ケガ、温度なども気候による外からの刺激も身体的にストレスがかかり、自立神経が乱れる原因となります。不規則な生活でも自律神経は乱れます。
どんな症状が出るのか
自律神経の乱れによる症状は以下のようなものがあります。
<全身にみられる症状>
- 倦怠感(だるさ)・疲労感(慢性的な疲れ)
- 微熱
- 冷や汗
- 食欲不振
- 不眠
<体の各部位にみられる症状>
- 頭痛
- 耳鳴り
- 動悸
- めまい・立ちくらみ
- のぼせ・冷え
- 吐き気・胃もたれ
- 味覚障害
- 下痢・便秘
- 生理不順
<精神的にみられる症状>
- うつ症状
- 不安感
- イライラ
- 情緒不安定
このうち、耳が赤くなる、熱いのはのぼせにみられる症状のひとつです。もし、耳以外にも上記の症状にあてはまる場合は、これを機会に内科などで相談をしてみるのもいいかもしれません。
また、ストレスを解消しようと、お酒を飲む、外食を楽しむ、ゲームや映画に没頭するなどの方法がありますが、意外と身体的にはストレスがかかっている場合もあります。というのも、本来リラックスするはずの時間帯の夜(副交感神経が優位に働いている時間帯)に、興奮を高める飲酒やゲームなどはかえって逆効果の可能性もあります。
特に、胃腸や内蔵にかかるストレスは気づきにくいので、暴飲暴食や不規則な食事は気をつけるようにしましょう。
自律神経を整えるのは自分!自律神経を整える対処法
耳が熱い、赤いのを含めて、自律神経のバランスが乱れた様々な症状に対しては、医療機関で薬などの対処療法を取ることは可能です。ただし、根本的な治療は自分の中にあるストレスとどのようなものか向き合うことがポイントになってきます。
とはいえ、それすらも考えたくないという気持ちの時は、何もせず、考えずに寝てしまうという手もあります。ストレスがあっても打たれ強い自分を構築していくことが近道ではありますが、一夜にしてなれるものではありません。時には逃げることも有効な手のひとつです。
また、医師やカウンセラーなどのプロの手を借りて、自分を見つめ直すのも手です。これまでの状態や症状、気持ちを説明して原因を探ってもらうことで、ずっと思い悩んでいた症状が解決する糸口が見つかるかもしれません。
その他に気になる耳が熱くなる原因
上記の二つの原因が当てはまらない場合に他にどんな原因が考えられるでしょうか。その他の原因についてみていきましょう。
また病気を心配する場合でなくとも耳が熱を持って熱くなってしまう日常的なシーンなどについても合わせて紹介していきたいと思います。
赤血球が増えすぎてしまう
赤血球が減る=貧血ということは知られていますが、逆の症状もあります。赤血球が増加する病気を多血症と呼びます。多血症は、耳が火照って熱くなる症状を引き起こします。
これは、タバコを吸う人に多く表れる症状と言われています。喫煙者は慢性的な酸欠状態に体がなっているため、それを補おうとして赤血球が全身へ酸素供給をしようと働きます。
しかし、酸素の供給効率が悪いので、赤血球の数を増やして症状を補おうとするのです。その結果、血中の赤血球の数が異常に多くなり、その症状として耳が熱くなったり、赤くなるという事が起こります。
また、多血症は進行すると顔全体が赤らむ、いわゆる「赤ら顔」になってしまう場合があります。この場合は早めに病院へ受診しましょう。子宮筋腫など意外な病気のサインの場合もあります。
子どもにも多い、中耳炎
風邪を引く、なんとなく体調が優れない時に、耳が熱いと感じる場合は、中耳炎の可能性があります。
中耳炎は、喉と耳をつなぐ耳管が炎症を起こしている状態を言います。耳の奥に痛みを感じる、音が聞こえなくなる突発性難聴などの初期症状が表れます。
また、インフルエンザになった後も要注意です。インフルエンザの菌が耳の奥にまで侵入し、耳の管で炎症を起こすときがあります。
中耳炎は、急に症状が表れて、ゆっくりと徐々に治るのが特徴です。耳の熱さは2〜3日で解消されますが、耳の奥にたまった膿はゆっくりと時間をかけて、鼻を通って外へと出ていきます。また、大人に比べて子どもは中耳炎にかかりやすいとされています。
なぜ子供に中耳炎が発生しやすいのか
中耳炎は喉と内耳を繋いでいる耳管に風邪などの感染症の菌が侵入し、内耳まで到達して炎症を引き起こすものです。
大人に比べて子供の方が元となる感染症の病気にかかりやすいことや、体がまだ成長過程で耳管が発達しておらず喉と耳までの距離が近い、結果耳管の長さが短いことが関係して内耳の炎症に繋がりやすいという理由があります。
子供は上手く症状を言葉で伝えられないので中耳炎が慢性化してしまいやすい傾向があります。
もし、子どもの耳が熱かったり、耳が聞こえない、呼んでも中々返事しないなどの症状が感じ取られた場合は中耳炎の症状を疑ってみてください。子どもの場合は、中耳炎が完治するのに1ヵ月〜数ヶ月はかかると言われています。
慢性化してしまうと突発性難聴の症状が更に重くなってしまいます。
まずは元となる風邪やインフルエンザなどの感染症を長引かせないように早く治すことが重要です。耳が熱くなっている場合は風邪などを引いていないか診断して、早期に治療するようにしましょう。
化学物質による反応かも!?
例えば、家やオフィスの新築や内装工事などによる、化学物質によるアレルギー反応の可能性も考えられます。化学物質に反応して耳が熱くなります。これはシックハウス症候群も同じ症状です。
また、新しく使用し始めた室内クリーナーが合わなくて、反応してしまう場合もあります。家やオフィスの他に、いつも通る道での大規模な工事など、どこが原因になっているかをまず特定することが改善の第一歩です。
季節限定の可能性も
もし、冬場だけに耳が熱く、赤くなるのであればしもやけの可能性が高いです。
痛みやかゆみがほとんど感じられないしもやけの場合もあります。冬に寒暖差が大きい場所にいるとしもやけはできやすくなります。
特に子どもはしもやけになりやすので、外出時は耳まですっぽりと被う帽子で寒さをガードするなど、耳の露出を減らしてあげることが大切です。しもやけができたら、皮膚科で処方される軟膏で対応できます。
女性特有の原因
女性の場合、更年期障害を始めとした女性特有の病気の可能性もあります。何かが引き金となってホルモンバランスが崩れ、多血症を引き起こす場合もあります。
もし、生理痛がひどすぎる、生理そのものが重すぎるなど女性特有の症状があり、耳が熱い、赤いなどの症状がある人は注意が必要です。産婦人科などで検診を受けるのがおすすめです。
万が一、他の病気が潜んでいたとしても、早めの発見や対処をすればすぐに健康な状態を取り戻せます。
緊張や動揺(赤面症)
対面で人と話す時に顔や耳が赤くなる、図星の事を言われた時に動揺して耳が赤くなる、など緊張や動揺によって耳が赤くなって同時に熱を持つと言う人は多いのではないでしょうか。
この症状は一時的な自律神経の乱れが関係していて、いきなり極度の緊張状態や臨戦態勢に入ると人間の脳は一気に自律神経を活発に働かせてドーパミンやアドレナリンを排出します。
結果、これが抑えられずに血圧が上昇し耳が赤くなったり、顔が赤くなるなどの現象が起きます。
これは一時的なものですので、緊張や動揺がほぐれるとすぐに元の状態に戻ります。なので逆に言えば相手の耳を確認すれば、相手の心理状態を読むことが出来るということになります。
体温調節機能(熱中症の危険性)
顔の外に飛び出している、いわゆるみなさんが耳と認識している部分のことを医学的には耳介(じかい)と言います。
この耳介は軟骨と皮膚で出来ており脂肪はほとんど含まれていません。耳介には毛細血管が沢山通っていますが、普段耳介は冷えた状態であることがほとんどです。
熱いものを触ってしまった場合に耳たぶを触るなどの行為を目にしたことはないでしょうか?これは、耳が体の中で最も冷えている部分であることから昔から取られていた行為です。
耳介は皮膚が薄く筋肉なども存在していないので、血液を効率よく冷やすことが出来ます。ですのでお風呂から上がった場合などに耳が赤く熱くなっている光景をよく見かけると思います。
なので、耳が熱くなっている場合は体の血液を冷やそうとしている状態であることがわかります。
これはウイルスによる風邪などの感染症の場合にも見られますし、運動後などの特に病気でない場合にも確認できます。
逆に暑い夏の日などは耳が熱くなっていることで体温が上昇しすぎていて熱中症の手前の段階であることも予測できます。夏場に子供の耳が熱くなっていていたり赤くなっていてぐったりしている状況を見かけたら熱中症を疑いましょう。
虫刺され
特に夏場に発生しやすい症状ですが、虫刺されに刺されることでも耳が異常に熱くなることがあります。
虫刺されの症状がひどい場合は湿疹などの症状にまで発展する場合があります。殆どの場合が耳を虫に刺された場合、痛みや痒みなどの症状を伴うと思います。
また大きく腫れたり、しこりの様な物が発生している場合も確認できるでしょう。
この場合は痛みや痒みの症状のピークは2日目に訪れて次第に楽になっていきます。また、湿疹性アトピーや蕁麻疹、アレルギーなどを持ってる人の場合はより強く症状が発生する場合もあります。
一般的な虫刺されの症状でしたら、市販の塗り薬を使用していれば少し楽になります。もし大きく腫れるなどの症状が発生していれば、市販の薬では対応できず、症状が拡大し、掻くことでとびひの症状に繋がってしまう事もあります。
早めに皮膚科などの専門家のいる病院を受診し、治療を行いましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。耳の熱さや赤みはあっても、痛みがないとつい見逃してしまうこともあるかもしれません。
それは、体が発している危険信号を見逃してしまうのと同じです。どんな病気や症状も早期発見と早期治療が何よりも大切です。
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