中耳炎は一度なると繰り返しやすく、クセになりやすい病気のひとつです。さらに赤ちゃんは中耳炎にかかりやすいとも言われています。もし中耳炎になってしまって、親が気づかないまま放っておくと、再発しやすくなったり、難聴になってしまって重症化する恐れもあります。
赤ちゃんは言葉が話せないので自分で身体の不調を伝える事ができません。ですから親御さんが赤ちゃんが出しているサインに早めに気づいてあげるのが大切です。今回は中耳炎のサインや症状について紹介します。
中耳炎ってどんな病気?
「中耳」に炎症が起こり、液体がたまって耳の痛みや発熱、重症化すると難聴などが起こる病気です。耳は「外耳」「中耳」「内耳」に分かれています。「中耳」に細菌やウイルスなどが入ってしまうと、炎症が起きたり液体がたまってしまうことが現れます。
誰でもかかる病気ですが、赤ちゃんや幼児がかかりやすいと言われていて、5〜6歳までには約8割程度の幼児がかかるともいわれています。
中耳炎の種類
中耳炎はどの様な種類があるのか知っておきましょう。
急性中耳炎
一般的でよくかかりやすいと言われているのがこの急性中耳炎です。細菌やウイルスが中耳に入って炎症をおこしてしまう病気です。
だいたいは数日、遅くとも10日前後で薬を服用することで完治しますが、なかなか治らなかったり、繰り返し中耳炎にかかりやすくなる「反復性中耳炎」になるケースもあります。
滲出性中耳炎
中耳に、滲出液といわれる液体がたまってしまう病気です。急性中耳炎と違って発熱の症状や耳が痛いなどはありませんが、「難聴」を起こすことが多いです。
軽いと1ヶ月程度で治ったりはしますが、数年かかるケースもあります。子供だけでなく、高齢者にも多くみられる病気です。
慢性中耳炎
中耳炎がなかなか治らずに、炎症が慢性化してしまう病気です。耳漏や難聴などの症状が起こり、鼓膜に穴があいてしまって治らなくなることもあります。
鼓膜が中耳にくっついてしまったりするケースもあります。
中耳炎のサイン
まだ言葉を喋れない赤ちゃんが中耳炎になった際に、中耳炎に気づくサインを紹介します。
発熱
一番わかりやすいのが発熱です。赤ちゃんの平熱は個人差はありますが少し高めです。37度くらいが平熱の赤ちゃんも多いです。赤ちゃんの平熱については、赤ちゃんの平熱って何度くらいなの?測り方などを紹介!の記事を参考にしてください。
しかし、37.5度以上の熱が3日以上続く事があれば急性中耳炎の疑いがあります。最初は発熱したときは小児科にかかることも多いと思います。小児科で処方された風邪薬でなかなか治らない!ということがあれば耳鼻科をすぐに受診することをおすすめします。
39度以上の高熱も出る場合がありますので風邪と見分けがつきにくいですが、風邪かもと思ったのと同時に中耳炎かもしれない、ということを頭の片隅に置いておきましょう。ただし、滲出性中耳炎のときは発熱がありません。
耳だれ
黄色いどろっとした液体がでる耳だれも中耳炎のサインのひとつです。赤ちゃんの耳の周りがカピカピ乾燥していたり、耳あかが黄色く固まっていたりしたら要注意する必要があります。
普通の耳あかの場合もありますが、鼓膜が破れてうみが出たという可能性もあるので、心配になったら耳鼻科に相談してください。
耳の聞こえが悪そう
赤ちゃんに声をかけても反応がなかったり、いつもは音のするほうに顔を傾けるのに、反応が鈍いと感じたら注意してください。熱や痛みとは違った、特徴があまり感じられない滲出性中耳炎の可能性があります。
耳が詰まって声が聞こえにくくなることもあります。風邪や急性中耳炎が治りかけのときに発症しやすいです。赤ちゃんの反応が鈍い時は念のため受診してみてください。
耳を触る
赤ちゃんは眠たいとき耳をさわり仕草をします。けれど、眠いと時とは違う様子で頻繁にさわると中耳炎の可能性があります。
急性中耳炎のときは、しきりに耳をさわる仕草が増えるので遊んでいる最中やお食事中など、さまざまな場面で耳を触っていることがあれば耳鼻科を受診してください。
急に泣き出す
昨日まではおとなしくしていたのに、突然機嫌が悪くなり、愚図ったりすることが続くようでしたら急性中耳炎の可能性があります。
かかってすぐの頃は赤ちゃんも自分の耳の変化に伴い、耳痛の症状がでるためです。痛みがひどく、夜なかなか寝付けない事もあります。鼻をふがふがいわせてたり、風邪っぽく機嫌が悪い様子のときも早めに受診するようにしましょう。
頭を左右にふる
耳に不快感があると、赤ちゃんは頭を振ってそれを少しでも抑えようとします。これは急性中耳炎のサインです。
耳をさわるのと同様、耳が痛いという訴えですので早めに気づいてあげましょう。様子をみて頻繁に続くようでしたら耳鼻科を受診してください。
中耳炎の治療法
赤ちゃんの急性中耳炎の軽度の場合は、痛み止めや吸入器などで鼻水をこまめにすってあげることで改善されます。自宅で吸入器がある場合は自宅で吸ってあげてください。腫れがひどいと診断された場合は抗生物質を服用して治します。抗生物質を飲む事で炎症が抑えられますので数日で改善されるでしょう。
ただし、中耳炎は痛みが治まって赤ちゃんの機嫌がよくなったとしても、細菌が残ったまま再発するケースもあります。処方されたお薬は、必ず最後まで飲み続けるようにしてください。
中耳炎の膿みが完全に抜けるのは早くても1ヶ月です。遅いと2〜3ヶ月くらいかかることもあります。腫れや痛みが引いても風邪のように1週間で治ることはなかなかありません。なかなか治らないというよりは、完治するまでに時間がかかる病気だということを覚えておいてください。
ですので、かかりつけの耳鼻科の先生がもう大丈夫ですよ、というまでは必ず続けて様子を見てもらいに通院しましょう。鼻通りをよくしてあげて、膿みが抜けやすくすると早めに治りやすくなります。
まれに抗生物質で治らない事もあります。その場合は鼓膜切開手術をする場合がありますが、鼓膜は再生しますし、耳が聞こえなくなると言うことはありませんので安心してくださいね。
お風呂やプール、予防接種は大丈夫?
中耳炎は風邪や鼻づまりが原因の病気なので特別お医者さんからの指示がなければ、入浴やシャンプー、プールなどは普段通りで大丈夫です。耳に水が入ってしまって中耳炎になることはなく、さらに悪化するということもありませんので安心してくださいね。
また、予防接種も発熱がなければ問題はありません。ただし予防接種の際は小児科の先生に現在中耳炎の治療中であることは伝えるようにしましょう。
まとめ
中耳炎は風邪とは違って薬を飲んだらすぐに治るというわけではありません。赤ちゃんの調子が良さそうでも、寒くなり急に鼻水が増えたりすると急に膿みが増えたりします。ですので発症して、中耳炎と診断されてから1週間ぐらいのペースでかかりつけに診てもらいましょう。
中耳炎は完全に治るまでは月単位かかる病気のため、親としては焦らず、根気よく耳鼻科に通ってしっかりと治るまで赤ちゃんとともに頑張りましょうね。
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