病気になった時「リンパが腫れている」美容効果で「リンパの流れを良くする」という言葉をよく聞きますが、リンパとは一体何なのでしょう?
リンパの働きやリンパが痛くなる原因など今回は”リンパ”について詳しく解説していきます。
リンパについて
まずは、リンパについて知っておきましょう。
リンパとは?
リンパとは「リンパ液」「リンパ管」「リンパ節」の総称でリンパ系とも呼ばれています。リンパは静脈に沿って全身をくまなくめぐっています。
- リンパ管:全身を網目のように張り巡らしているもの
- リンパ液:リンパ管を流れるもの
- リンパ節:全身のリンパ管の合流している部分
これらは第二の循環系、開放循環系と呼ばれています。第一の循環系は心臓・動脈・静脈など血液が通っている部分を言います。
第一の循環系の血液は心臓から動脈を通って毛細血管で静脈に入ってまた心臓に戻るという流れですが、第二の循環系(リンパ系)は体の隅々まで広がっている毛細リンパ管からリンパ液が運ばれて、リンパ管を通り鎖骨下静脈に繋がります。
たまに血管とリンパ管を同じ部分に勘違いしている人がいますが、まったく別を通っています。リンパには心臓のようにポンプとして液を送り出す役割を持った部分はありません。ですので、リンパは自分で収縮させたり骨格筋の収縮などを利用して圧力をかけ、リンパ液を全身に流しています。
リンパの働き
リンパの働きは大きく分けて「免疫機能」「老廃物の排出」の2つがあります。
●免疫機能
細菌から体を守り病気にならないように働いています。800以上ものリンパ節には生体のろ過装置としてフィルターの機能があります。そのフィルター部分で細菌をろ過して全身に細菌が行き渡らないようにしています。
また、リンパの細胞リンパ球は一度かかった病気を記憶する事で同じ病原菌が体に侵入しても対抗できるようになっています。
●老廃物の排出
栄養・酸素を動脈が全身に運び、それを使い切った後に出る老廃物は静脈から心臓に戻ります。静脈で運びきれなかった老廃物はリンパ管が回収してリンパ液に変化してくれます。そして、鎖骨下静脈でリンパ管と合流して心臓・腎臓・膀胱を通り体の外へ排出されます。
体に老廃物が溜まると老化の原因や肌に悪影響を与えてしまいます。ですので、リンパの流れを良くする事によって老廃物が体から無くなるので美容に良いとされているのです。
主なリンパ節の場所
耳介リンパ節
耳の周りにある耳下腺リンパ節です。耳の前と後ろにあり、風邪を惹いた時にリンパが腫れたという言い方をすると思いますが、その場合ここのリンパ節の事を指す事が多いです。滞ると耳鳴りや耳の炎症を引き起こします。
頸部リンパ節
あごの裏側の奥にあるリンパ節です。あごの一番奥で耳の下あたりにあり、顔や首のリンパ液の通過点になります。ここに滞ると顔のたるみ・しわ・しみ・二重あごなどに繋がります。
鎖骨リンパ節
左側の鎖骨上のくぼみ部分にあるリンパ節です。全身を巡ったリンパ液が最後にここに流れて静脈へと流れ込みます。
腋窩リンパ節
脇にあるリンパ節です。滞ると肩こりや二の腕のたるみに繋がります。
鼠径リンパ節
腿の付け根にあるリンパ節です。滞ると下半身にむくみや冷えを起こし、セルライトの原因にもなります。
膝窩リンパ節
膝の裏側にあるリンパ節です。滞ると浮腫みや関節炎などに繋がります。
リンパが腫れて痛くなる原因
体の中にあるリンパ系は数多くありますが、腫れを引き起こすリンパ腺が集まっているリンパ節は「後頭リンパ節」「耳介リンパ節」「頸部リンパ節」「鎖骨リンパ節」「腋窩リンパ節」「肘部リンパ節」「腹部リンパ節」「膝窩リンパ節」になります。
リンパ節炎
リンパ節炎はウイルスや細菌に感染する事によって引き起こります。リンパ節は感染するとその部分から全身に広がらないように食い止める役割りがあるので、リンパ節部分で炎症を起こしてしまいます。特に頸部リンパ節は感染症と一番関係してくるので炎症を起こしやすい場所になります。
●急性化膿性リンパ節炎
咽頭炎や扁桃炎などの感染症が原因でリンパの流れに乗って感染が広がり、リンパ節に炎症が起きた状態の事を言います。他にも口内炎・歯周炎・中耳炎などからも起こります。通常であれば感染した左右片側のリンパ節が腫れて痛みが出ます。
●急性ウイルス感染症
EBウイルス・風疹ウイルス・麻疹ウイルスに感染するとリンパ節が腫れて痛む事があります。細菌感染よりも腫れが小さいので痛みは少ないですが、両側に症状が現れます。
●結核性リンパ節炎
結核菌に感染する事によって起こるリンパ節炎で、頸部リンパ節部分に症状が出ます。
急性扁桃炎
口蓋扁桃の部分に何らかのウイルスが入り込み、炎症を起こし腫れている状態の事を言います。「喉の痛み」「発熱」「食欲不振」などの症状が現れます。この急性扁桃炎が起こると、その周辺のリンパ節が急に腫れて固くなり痛みが出てきます。
原因である扁桃炎を治療する事によってリンパ節のりこりが無くなり自然と痛みも消えていきます。
痛みは無いがリンパ節が腫れる場合
悪性リンパ腫が考えられる
リンパ系組織から発生する血液のガンの事を悪性リンパ腫といいます。リンパ系の細胞は白血球からできていて、全身に張り巡らされているので悪性リンパ腫は全身の組織や器官に発生する可能性があります。
白血病・多発性骨髄腫と一緒に悪性リンパ腫血液は三大悪性腫瘍の1つとされています。悪性リンパ腫は「非ホジキンリンパ腫」と「ホジキンリンパ腫」に分類され、ほとんどが非ホジキンリンパ腫と言われています。非ホジキンリンパ腫は「Bリンパ由来のB細胞性」「Tリンパ球由来のT細胞性」「NK細胞性」に分類されます。
リンパ節自体がガンになる事もあり、何かデキモノができた時良性であればリンパ節炎と呼び、悪性であればリンパ腫と呼ばれます。
悪性リンパ腫の症状
症状としては「リンパ節の腫れ」「しこり」が一番多く現れます。特に首・脇の下・脚の付け根部分のリンパ節に現れ、腫れているのにも関わらず痛みが無い場合は要注意です。また、B症状と呼ばれている「発熱」「体重減少」「盗汗」の3つの症状が現れます。
悪性リンパ腫になる人のほとんどがはっきりとした自覚症状が無い為、知らないうちに進行している事が多いようです。腫れもよく見ないと気付かない程度の物が多いので、気付くポイントとしては「しこり」を見逃さない事です。リンパ節の部分にしこりのような固い物がある場合はすぐに病院を受診するようにして下さい。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫には放射線や抗がん剤が良く効くので、放射線治療と化学療法が主な治療法になります。この2つの治療でも良くならない場合は造血幹細胞移植が行われます。骨髄にある造血幹細胞は白血球や赤血球などの血液の元となる細胞を作り出す細胞の事で、とても増殖力があるので1つ細胞があればそこからどんどん増えていく性質があります。
放射線治療や化学療法の副作用で造血幹細胞の機能が失われてしまうので、2つの治療を始める前に採取しておきます。治療後に体内に移植する事によって正常な血液を作り出す事が可能になります。
リンパマッサージ
リンパの流れは常に良く流れるようにする必要があります。病気の予防にもなりますし美容効果も期待出来ます。マッサージする時に必要な物は、マッサージがしやすいようにマッサージオイルやクリームなど滑りが良くなる物を準備すると良いです。
また、マッサージをする前にコップ1杯分の水を飲んでおくと、老廃物が流れやすくなります。
足のリンパマッサージ
●ふくらはぎ
- クリームを脚に塗り滑りをよくします。
- くるぶしの下にあるくぼみを押す。
- すねの骨に沿って下から上にリンパを流すようにマッサージします。
- ふくらはぎから膝の関節あたりにリンパを流します。
- 膝の下にあるくぼみを強めに回すようにマッサージします。
●太もも
- 太ももの内側と外側を両手で挟むように抑えます。
- 両手で太ももを揉み解すようにマッサージします。
- 足首から太ももの付け根まで足を持ち上げるようにマッサージします。
耳のリンパマッサージ
- 両手の親指以外の指で耳たぶの裏を優しく押してあげます。
- 同じように両手で耳の前の少しへこんでいる部分を優しく押してあげます。
- この時指を少し立てるように押しましょう。
頸部のリンパマッサージ
●首
両手の親指以外の指で首の側面を下に向かってさするようマッサージします。この時肩に血流を流す様にすると良いです。
●鎖骨
鎖骨部分は右手で左鎖骨、左手で右鎖骨を優しく揉んであげます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。リンパは免疫機能と老廃物の排出機能の大きな役割を持っています。体の健康にとって深く関わってくる部分なので、常に流れを良くして滞らないようにしておく事が大切です。マッサージ方法を紹介しているのでそちらを参考に、毎日お風呂の中やお風呂上りにマッサージしてあげると良いですよ。
リンパが腫れて痛みが出る原因としては
- リンパ節炎
- 急性扁桃炎
などが考えられます。他にもリンパ節が痛くなる原因はたくさんあります。また、痛くない場合でリンパ節の部分にしこりが出来て腫れている場合、悪性の物もあるので放置せず病院に行くようにして下さい。痛みが無い場合がほとんどなのでしこりを見逃さないようにして下さいね。