健康食や美容食として人気の高い「納豆」を日々食べている方多いと思います。ですが、最近、納豆に含まれるプリン体についての噂を耳にします。
「納豆はプリン体が多いから、通風になる可能性が高まる?」と言われています。確かに、プリン体を多く含む食品を摂ることによって、通風になる可能性が高まったり、通風を悪化させてしまうことはあります。
ではいったい、納豆にはどのくらいのプリン体が含まれるのでしょうか。また、通風になる可能性が高い食品なのでしょうか。
知ったおきたい通風のメカニズム
まずは、痛風のメカニズムについて知っておきましょう。
通風は「贅沢病」?
通風は、世にいう贅沢品と呼ばれる食品を取り続けることによってなるため、「贅沢病」と呼ばれています。
例えば、明太子やウニ、イクラなどが代表的な食品です。また、お酒、特にビールを毎日飲むなど、偏った食生活や不摂生な食生活が原因のひとつとされています。
これらは、プリン体を多く含む食品です。
また、お酒を飲まず、食生活も規則正しい人でも通風になってしまうケースもあるそうです。通風の多くは、飲み過ぎ・食べ過ぎによるものですが、それ以外としては、尿酸が増えやすいという体質の人が通風になりやすい可能性があります。
そもそもプリン体とは?
プリン体は、肉・魚・野菜・穀物など食物全般に含まれる成分で、主に旨味成分といわれるものです。
<プリン体を多く含む贅沢食品>
- ビール
- レバー類
- 白子・ウニ
- 一部の魚介類(海老、いわし、鰹など)
- 明太子・イクラ
どれも、おいしいものと言われているものばかりです。プリン体は体に悪いというイメージがありますが、実は人の体内に常にあるもので、私たちが健康に行きていくために必要な成分のひとつです。
みなさんの体内にあるプリン体の20%は食品から取り込んだもので、残りの80%は新陳代謝などのエネルギー活動の際に体内で合成されています。プリン体は体内で分解されて尿酸に変化して、体外に排出されるのが普通です。排出しきれないほどの尿酸がたまり、体内に蓄積されると通風を引き起こすといわれています。
プリン体は悪いことだけじゃない
プリン体=通風のイメージがあるため、悪者のイメージですが、プリン体は私たちの体になくてはならない成分です。
細胞の核に含まれるDNAの主成分のため、体の細胞に存在しています。
エネルギー伝達のために欠かせない成分となります。プリン体そのものが体に悪いということではありません。成分量に差はあるものの、ほとんどの食品に含まれる成分です。問題は過剰な摂取をしてしまう場合です。そして、過剰な摂取は通風の原因となります。
通風はどのようにして起こる?
悪者じゃないプリン体ですが、摂取しすぎることによって、通風になる可能性が高くなってしまいます。
通風は、血液中に尿酸が増えすぎて、結晶化することで引き起こります。プリン体は尿酸をつくる元となるため、体内にプリン体が過剰にあることで、尿酸が大量生産され、排出しきれない状態が通風です。
私たちの体内では、毎日約700mgの尿酸がつくられています。それと同じ料が排出されるため、体内は尿酸の量が常に一定に保たれています。しかし、食品によるプリン体の過剰摂取や、何らかの排出異常によってバランスが崩れることで通風が起こります。
詳しくは、痛風の症状の前触れって?再発が起きる前に対処しよう!を参考にしてください。
納豆は通風の大敵?
納豆とプリン体の関係を見てみましょう。
なぜ納豆が大敵なのか
通風を避けるための食品として、納豆が挙げられるますがそれはなぜでしょうか。
そもそも納豆は、納豆菌や食物繊維が豊富。便秘解消や腸内環境を整えてくれる食品です。さらに、血栓を溶かす作用のあるナットウキナーゼは、動脈硬化の予防や骨を強くする働きがあります。しかし、通風の大敵を呼ばれるには理由があります。
それは、納豆に含まれるプリン体の量に問題があります。
納豆に含まれるプリン体値
それでは、納豆に含まれるプリン体の量がどのくらいか検証してみましょう。
納豆に含まれるプリン体の量は100gあたり、113.9mgとされています。この数値が高いかどうか、他の食品と比べてみます。
<プリン体値の高いもの>
- 鶏レバー 100gあたり/313.2mg
- 白子 100gあたり/305.5mg
- 海老 100gあたり/273.2mg
- いわし 100gあたり/210.4mg
- かつお 100gあたり/211.4mg
- (納豆 100gあたり/113.9mg)
プリン体の高い数値の食品と比べると納豆はそれほどの高さではありません。また、納豆と同じ数値のプリン体を含む食品は下記になります。
<納豆と同量に近いプリン体量を含む食品>
- 鶏皮 100gあたり/119.7mg
- 鮭 100gあたり/119.3mg
- マグロ赤身 100gあたり/111.3mg
- ウナギ 100gあたり/92.1mg
- 豚ロース 100gあたり/90.9mg
となります。一般的に普段口にすることが多い食品とほぼ同数の数値となります。
ただ、これらは毎日食べることはほとんどないのが納豆と違う所で、納豆は健康や美容のために毎日食事に取り入れる人も多いと思います。
数値に惑わされない!
食品に表示されているプリン体量は100gあたりの数値となります。
納豆の場合は、1パックは40〜50gほどです。そうなると、1パックあたりのプリン体は約56.6mgとなります。この数値は、プリン体の数値が低い食品の部類に入ります。通風を引き起こさないために制限しておきたい1日のプリン体数値は400mgです。
そこから換算すると、毎日納豆を1パック食べていたとしても、通風を引き起こすほどの問題にはなりません。
納豆の素晴らしい栄養に目を向けよう
煮た大豆を納豆菌により発酵させたのが納豆です。含まれる成分はプリン体以上に、下記のような素晴らしい栄養成分があります。
①ナットウキナーゼ
納豆菌が作り出す酵素です。納豆だけに含まれる成分です。主な効果は血栓を予防し、血液さらさら効果です。血栓とは、血管の流れが滞り、臓器に血が流れなくなってしまう状態です。
運動不足や肥満、高齢の方に起こりやすい状態のひとつです。血栓によって引き起こるのは心筋梗塞や脳梗塞です。これらを予防し、免疫力を高める働きがあります。
②大豆イソフラボン
女性に嬉しい栄養素です。大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと似た性質を持っています。摂取することによって、女性ホルモンを補ってくれる性質のある栄養素です。このエストロゲンは、乳がん予防や更年期障害、骨粗鬆症などの予防になります。
エストロゲンの働きは、
- 髪や爪にハリを与える
- 女性らしい体つきにする
- 子宮環境を整える
- 肌の新陳代謝を活発にする
などがあります。
③ビタミンB
1パックに含まれる納豆のビタミンB含有量はししゃも5尾分に相当すると言われています。ビタミンBは細胞の成長や再生を補うため、
- 全身や目の疲労回復
- 肌のターンオーバーを整える
などの働きがあります。
通風予防になる賢い知識
痛風の予防方法について紹介します。
1日に気をつけるプリン体量
どの食品にも含まれるプリン体は、摂取しないのは不可能です。そのため摂取しすぎにまず気をつけることが大事です。ここで知っておきたいのは、1日に食べる許容範囲量です。目安はプリン体400mgです。
体内にあるプリン体が代謝されるときに尿酸が作り出されます。
一定量の尿酸は尿として排出されます。ただし、尿酸が増えすぎると、血中で結晶化を引き起こし、炎症を起こして痛みが発生します。これが通風の症状です。
なるべく、食生活でも、体内に尿酸を貯めない工夫が必要です。例えば、野菜やきのこ、海藻などの食材は尿酸の排出を助けます。ぜひ、積極的に食べましょう。
また気をつけたいのは、甘いものです。砂糖の主成分であるショ糖や果物に含まれる果糖は、尿酸値の数値が上昇すると言われています。
<尿酸の排出をサポートする食材>
- 野菜 …ほうれん草、人参、ゴボウ、キャベツ、アスパラガス、カブ、茄子
- イモ類 …じゃがいも、さつまいも、里芋
- 海藻類 …ひじき、わかめ、昆布
- その他 …大豆
プリン体最大値!?「青汁」
プリン体を多く含む代表的なものとして有名なのがビールです。ですが、さらに占有量の高いものがあります。
それは、「青汁」です。
ビールの8倍近いプリン体を含むと言われています。ただし、青汁は粉末状になっていることが多く、水に溶かして飲みます。ですので、1g摂取したとしてプリン体の摂取は1mg、ビールは350mlの場合は17mgのプリン体を摂取することになります。一概に数値だけで判断しないほうがよさそうです。
また、青汁には尿酸値を下げるビタミン、カリウム、カルシウム、葉酸が豊富に含まれているため、通風の原因になる尿酸値を上げるより、下げるほう働きのほうが強いとされます。通風になるどころか、通風を和らげてくれるため、納豆同様に通風予防として積極的に摂りたい食品と言えます。
気になる通風の症状
もしかして通風かも!?と思った場合は、痛みなどの症状がどの程度が確認する必要があります。人によって痛みに感じ方は様々です。どんな症状があるのか紹介します。
<通風の初期症状>
- 立ち上がるたびに痛みを感じる
- 足の指に痛み・腫れを感じる
- 長時間痛みが持続して、急に収まる
- 膝などの関節が炎症を起こす
- 足が腫れて、指が変形したようになる
これらが初期症状です。
さらに、末期症状になると痛みが増し、継続的にやってきます。靴を履くのも困難な状態になるほど足が晴れ上がります。
こうなると日常生活が困難になっていきます。こうならないためにも、日々の食生活を整えることが大切になっていきます。
まとめ
納豆によるプリン体の数値は、決して多くはありません。毎日1パックずつ食べていたとしても、体内への影響はありません。健康はもちろん、美容のために食べ続けていた人は心配する必要はなく、積極的に食べ続けていい食品のひとつです。
プリン体の数値や通風の予防を考えるとしたら、ビールや数値の高い食品を多くたべることや不規則な食生活をしていないか、見直しましょう。