蚊に刺されたときの、どうにもならない、あのかゆみ。どなたでも一度は経験があるのではないでしょうか。思わず強くひっかいてしまうと、痕が残ることもあります。
肌の露出が多くなる季節に限って、蚊も多くなってくるというのは、大変厄介なものです。できるならば、一刻も早くかゆみを抑えたい、さらにはそれ以前に蚊に刺されないようにしたい、そう考えてしまうのも仕方がありません。
そこで、ここでは、蚊に刺されたときの症状と、かゆみを抑えるための正しい対処法、そして蚊から身を守るための予防策について、詳しくご紹介いたします。
蚊に刺されてかゆみが出る原因
私たちに気付かれない方法を知っているのではないかと思うほど、気付かないうちに身体に止まって、しっかりお腹を満たしていく蚊。見つけて手でパチンと叩いても、時すでに遅し。そのあとには、あのしぶといかゆみが出てきます。
では、そもそもなぜ蚊に刺されるとかゆみが生じるのでしょうか?まずは、蚊に刺されたときのかゆみの原因について、見ていきましょう。
蚊の唾液に対するアレルギー反応
やはり、蚊は、人間に気付かれないようにしていると言ってもよそさそうです。蚊は、刺す瞬間に自分の唾液も一緒に私たちの身体に注入しています。
蚊の唾液には、刺した瞬間と身体から針を抜く瞬間に、人間が痛みを感じないようにさせる麻酔成分と、吸い上げる時間を短くするため、血を固まらないようにさせる成分が含まれているのです。
蚊に刺されたあと、注入された蚊の唾液に含まれる成分を排出しようと、身体がアレルギー反応を起こすため、腫れを伴うかゆみが生じるというわけです。
また、身体に止まった直後から、たった15秒ほどで唾液を注入させてしまうので、私たちが見つける頃には、すでにかゆみの原因となる唾液成分が、身体に注入された後になることが多いのです。
かゆみに個人差がある理由
初めて蚊に刺されたときは、蚊の唾液成分を身体がアレルゲンとして判断しないので、かゆくなりません。しかし、蚊に刺される頻度が増えるにつれて、身体が蚊の唾液をアレルゲンと判断するようになり、かゆみや腫れが出てくるようになります。
そして、このアレルギー反応には、蚊に刺されてすぐにかゆみや腫れを生じる「即時型」と、刺されてから1~2日後に症状が出てくる「遅延型」の2種類があります。蚊に刺されてすぐに痒くなる人とそうでない人がいるのはこのためです。
傾向として、赤ちゃんや小さな子供は、遅延型の場合が多く、蚊に刺される回数が増えるごとに、徐々に即時型に変わっていきます。蚊に刺された経験が多くなるほど、即時型の症状に傾き、年齢を重ねて、何度も蚊に刺され続けていると、アレルギー反応が起きなくなり、かゆみを生じることがなくなります。
どんな人が蚊に刺されやすい?
同じ場所にいても、蚊に刺されやすい人とそうでない人がいますが、これには理由があります。もともと蚊は、いつも人間の血液を吸っているわけではなく、普段は植物から、蜜や樹液を吸って生息していますが、メスが産卵期に入ると、より栄養のあるエネルギー源を必要とするため、人間や動物の血液を餌にするのです。
このとき、蚊が何を頼りにターゲットを探しているかというと、人間や動物が出す「二酸化炭素」や、汗に含まれるアセトンや乳酸といった「揮発性物質」、そして「体温」です。
赤ちゃんや小さな子供が蚊に刺されやすいのは、身体の新陳代謝が良く、体温が高いためです。飲酒後も、これと同様と言えるでしょう。ほかにも、肥満気味の人やスポーツをする人、汗かき体質の人も、蚊に刺されやすい傾向があります。
また、着ている洋服の色も影響するようです。蚊は、白か黒の2色しか見えません。なかでも、黒い色を好むので、黒い洋服を着ているときの方が蚊に刺されやすいと言われています。
蚊に刺されたときの対処法
効果的にかゆみを抑えることができれば、必要以上にひっかくこともなくなるので、痕になるのも防げます。とくに、小さな子供は、皮膚が薄く柔らかいため、ひっかくとその後の肌トラブルにもなりかねません。
ここでは、かゆみを抑えるための方法をいくつかご紹介します。対処する前に、患部をキレイに洗い、清潔にしておくことも忘れずに行ってください。
塩を塗る
これは、昔ながらの知恵ですが、その効果は絶大です。方法はいたってシンプル。手を湿らせて塩をひとつまみ患部に乗せて、スクラブを使うときのようにくるくると撫でていきます。撫でたあとは、洗い流さず、塩を叩き落とすだけです。
塩の持つ脱水作用で、細胞内の蚊の唾液成分を吸い取ってくれるため、ウソのようにかゆみが引いていきます。小さな子供にも安心して使えそうですね。
温める
温めるとかゆみが増すイメージがあるかもしれませんが、やや高めの温度で温めることによって、蚊の唾液成分に含まれるたんぱく質を壊すことができるのです。
冷やすことも、かゆみを麻痺させるといった意味では間違った方法ではありませんが、唾液成分が残った状態ですので、常温になると、またかゆみが再発します。根本からかゆみを抑えるには、冷やすよりも温める方が効果的と言えるでしょう。
蚊に刺されたら、タオルを濡らし、レンジで温めてホットタオルをつくり、患部に数分当てましょう。この際、やけどには十分注意してください。
市販薬を塗る
ドラッグストアなどで手に入る、ムヒなどの市販薬を使用するのも方法の一つでしょう。市販薬には、炎症を抑えるステロイド配合のものと、痒みを抑える抗ヒスタミン剤を主成分とするものの、2種類があります。
かゆみだけではなく、腫れの症状も強い場合は、ステロイド配合のものを使うと効果的ですが、頻繁に使用しすぎると副作用が出る可能性があるので、用法・用量を守りましょう。小さな子供や、お年寄りへの使用も控えた方が良いかもしれません。
また、かゆみの症状が強い場合は、抗ヒスタミン剤を主成分とするものを使用するのが効果的でしょう。
ラベンダーのアロマオイルを塗る
ラベンダーには鎮痛・殺菌作用があり、蚊に刺されたときのかゆみにも効果的です。化学香料の含まれていない「精油」「エッセンシャルオイル」という表示のあるもので、純度の高いアロマオイルを選び、コットンやティッシュに1滴垂らして患部に塗ると、かゆみを抑えることができます。
しかし、ラベンダーには月経を促進する作用があるため、妊娠している場合は使用を避けましょう。また、肌の弱い小さな子供やお年寄りなども、控えた方がベターです。
蚊に刺されないための予防策
刺されてしまったものは仕方がありませんが、何よりまず、蚊に刺されないのが一番です。最近では蚊に刺されることによって感染する「デング熱」などの問題もありますので、蚊対策をしっかり行いたいものです。
さて、どのような対策があるのか、早速見ていきましょう。
効果的な場所に蚊取り線香を置く
蚊取り線香と言えば、日本の昔ながらの風物詩ですね。一軒家の縁側などに置かれているのをよく見ますが、「縁側」という場所に置くのには、ちゃんとわけがあるのです。
蚊は、自分が生まれた場所から、半径約15m以内に生息しています。つまり、家に蚊が入ってくるということは、近くに蚊が生息しやすい水場があるということです。
湿度の高い植物の茂みや、庭の排水管などにも蚊は産卵するので、水場近くの窓辺や、ベランダなどに蚊取り線香を置いておくと、蚊の侵入を防ぐことができます。
とくに、前日雨が降った晴れの日には、蚊が発生しやすくなりますので、気を付けましょう。
足を中心に虫よけスプレーをかける
外出時に、ひと役買ってくれるのが、虫よけスプレーです。最近では、さまざまな種類の虫よけスプレーが出ており、小さな子供や、肌の弱い人にも安心して使える、自然由来成分のものも多々出ています。
また、蚊は、人間の発する体臭にも反応します。裸足でサンダルを履くときなど、人間には感じなくても足の臭いに反応して寄ってくる場合があるので、足を中心に虫よけスプレーをかけるのも良いでしょう。
また、汗をかいたり、衣類との摩擦などによって虫よけスプレーが落ちるので、2~3時間ごとに、こまめにかけ直すのも効果的です。
肌の露出を避ける
肌が露出する分、蚊が肌に止まれる範囲が広くなります。また、汗をかくと揮発性物質が露出した肌から出るため、蚊のターゲットとなりやすくなります。
暑い季節にも羽織れる涼しいカーディガンやストールを一枚用意して出かけ、蚊がいる場所ではそれを羽織っておくと良いでしょう。
また、黒や紺など、濃いめの色を選ぶよりも、光を反射する白やパステルなどの明るい色の洋服を選ぶのもポイントです。蚊が好むことと逆のアプローチをして、蚊対策に挑みましょう。
柑橘系のアロマオイルを使う
蚊は、柑橘系の香りが苦手です。レモンやゼラニウム、シトロネラなどの柑橘系のアロマオイルを使って、自分で虫よけスプレーを作るのもおすすめです。
ミントやラベンダーなどのオイルも合わせてブレンドし、自分の好きな香りの虫よけスプレーができると、蚊対策の面倒も若干和らぎそうです。
炭酸水を置く
蚊が、炭酸ガス(二酸化炭素)に反応することを利用し、飲み残しの炭酸水やビールなどがあれば、それをベランダや窓の外に置いておくのも方法の一つでしょう。
しかし、これは、蚊が寄ってくることを利用し、人ではなく、炭酸水に群がることで気を反らすという方法なので、くれぐれも窓は閉めておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。蚊も、私たちと同じように生きているので、生きるために人間や動物の血を吸うのは仕方がないことなのですが、やはり、あのかゆみを経験する回数は、そうたくさん増やしたくはありません。
しかし、蚊が来る季節であると同時に、この時期は、太陽が燦々と降り注ぐ季節でもあります。しっかり対策をし、それでも刺されてしまったときは、適切な処置で早めにかゆみを抑え、せっかくならば、この季節を思う存分、楽しみたいものです。