近くが見えて遠くが見えにくい、ぼやける状態のことを近視と呼びます。この近視については、小学校の頃から視力検査などを通じて、知っている人も多いと思います。しかし、「仮性近視」という言葉を知っている人は少ないと思います。
実は、この仮性近視は近視の初期段階の状態のことで、治すことが可能です。本格的に近視になってしまうとレーシックなどの手術以外に治療方法はない為、早期発見・早期治療がとても重要になります。ここでは、仮性近視の概要や原因、治療方法について詳しく記事にしていきます。
仮性近視について
仮性近視とは、一時的な近視の事を意味し、この状態が続くことで近視になる可能性が高まります。現在、近視になる子供が増加傾向にあります。
仮性近視の状態を放置せずに、治療することが近視を予防する手段と言えます。ここでは、仮性近視の概要や発生するメカニズム、原因についてみていきましょう。
仮性近視とは?
仮性近視とは、その文字に仮(かり)と付いていることからも推測できるように、仮の近視状態、一時的な近視のことを指します。視力検査をした際に、裸眼視力が悪く近視のレンズを試してみると見えやすくなります。
しかし、近視の特徴である屈折異常や眼軸の長さが長すぎるといった問題がみられない状態です。この仮性近視の時に視力低下の原因を調べずに放置することで、本格的に近視になります。
近視とは
近視は、子供から大人まで悩まされる目の病気。この近視になる人が、昔に比べて増えてきていると言われています。中でも幼児から10代にかけて近視になる確率が高っている傾向にあります。子供の目を健康な状態に守る為には、親御さんがもっと注意しなければいけません。
裸眼視力1.0未満の割合を見てみると、幼稚園で約26%、小学生で約30%、中学生で50%、高校生で62%と言われています。この数値を基にすると、高校生になると、ほとんどの人が眼鏡やコンタクトで視力の矯正やレーシック手術で視力改善することが必要になります。
近視の種類は、「屈折性近視」と「軸性近視」の2つあり、大部分の人が軸性近視のタイプだと言われています。軸性近視になった場合、手術で近視屈折矯正手術(レーシック)を受ける以外治療方法はありません。
レーシック以外の方法としては、メガネやコンタクトレンズを使って、度数を調整する視力矯正を一生涯しなければいけなくなります。しかし、一時的な緊張により起こっている仮性近視の状態であれば、治療することが可能です。
目の役割と近視のメカニズム
私たちの目が物を捉える時、近くを見ている時と遠くを見ている時では、目の筋肉の動きが異なります。目の役割や仕組みを知ることで、近視が起こるメカニズムを知る事が出来ます。
ここでは、目の役割と近視のメカニズムをご紹介します。
目の役割
目はカメラレンズと似たような役割をしています。カメラのレンズ部分に相当するのが「水晶体」、フィルター部分が「角膜」、絞りが「虹彩」、フィルムの部分が「網膜」に例えることが出来ます。
目には、色や形など様々な情報が光として入ってきます。入った光は角膜と水晶体で屈折を起して、網膜の上で焦点を結び映像を映し出します。この情報を視神経を通じて脳に送ることで、情報を見る事が出来ます。
近視のメカニズム
近視は、この屈折に異常が起こることで、眼球に入ってきた情報が網膜の手前で焦点を結んでしまい、はっきりと見ることが出来ない状態です。この光の屈折をしているのは、レンズの「水晶体」とそれを調整する筋肉の「毛様体筋」です。
水晶体は弾力があり、毛様体筋をひっぱったり、緩めたりすることで、厚みを調整します。人が近くの物を見ている時は、毛様体筋が緊張状態にして、水晶体を厚くすることで物を見ることが出来ます。
一方で、遠くを見るときは、毛様体筋を緩めて、水晶体が薄くなる事で物を見ることが出来ます。水晶体を薄くしたり厚くして調節することで、ピントをあわせて物をハッキリと見ることが出来るのです。
近くのものを見続けていると、筋肉が常に緊張状態になり、凝りが生じて働きが悪くなります。この毛様体筋が過度に収縮し続けた状態(調節緊張状態)が仮性近視です。仮性近視は初期の近視の状態のため、このまま放置すると近視になります。
近視になる原因
近視になる要因は「遺伝要因」と「環境要因」があります。中でも、ゲームのしすぎや姿勢の悪さなど、環境要因の方が強いと言われています。ここでは、この2つのについてみていきましょう。
遺伝要因
遺伝要因とは、家族に強度の近視の人がいることで、遺伝的に子供にも近視が発生する事です。子供が小学生以下の小さい頃から強い近視がある場合は、遺伝的要因だと考えられています。
環境要因
近くを見続ける作業を長時間行うと、目が疲れ調節力が弱まる事で、仮性近視が起こります。現在、パソコンや読書、テレビゲーム、携帯電話など、近くを見る娯楽が増えています。これらの作業のやりすぎが、子供の視力低下を増加させている原因だと言われています。
この状態を続けると、近くをより見えやすくするように目が順応するようになり、眼軸長が変化したり、屈折力に影響を及ぼし近視を進行させます。
近視の種類と治療方法について
仮性近視を放置すると、近視になります。近視には大きくわけて2つあり、生じるメカニズムも異なります。近視の状態になると手術でしか治療が出来ません。
この状態になる前に、仮性近視の状態で早期発見、早期治療をすることが重要です。ここでは、近視についてとその治療法について詳しくご紹介します。
近視の種類とは?
近視は、仮性近視の状態が頻繁に生じることで、起こる目の病気です。近視になると、近くのものが見えるけど、遠くが見えずらいといった症状が起こります。
近視の種類は大きく分けて「屈折性近視」と「軸性近視」の2つあります。2つとも、近くが見えて遠くが見えないといった症状が起こりますが、原因が異なります。
屈折性近視
屈折性近視は、角膜や水晶体の屈折力が強すぎる為に生じる近視です。仮性近視と同様のメカニズムで発生し、常に調節緊張状態になることで視力低下を引き起こします。
軸性近視
軸性近視とは、眼軸の長さが長すぎることが原因で、網膜上にピントが合わずに生じる近視です。この近視は屈折近視をそのまま放置して重症化することで現れます。緊張状態が続いた網様体筋の血行が悪くなります。
また眼球運動が少ない為に、眼球を支えている外眼筋の目の筋肉の働きが弱まり、眼球が奥行きが広がり、ラグビーボールのような形に伸びていきます。
屈折性近視と異なる点は、進行や発生が成長期の子供に見られることです。屈折性近視が生じるのが早いと、軸性近視へと進行するのも早いと考えられています。近視と診断された大部分の人がこの状態です。
近視の治療方法
仮性近視の場合は治療が可能ですが、近視になってしまった場合は、メガネやコンタクトレンズで視力矯正するのが一般的です。
もしくはレーザー屈折矯正手術(レーシック)、有水晶体眼内レンズ(ICL)の手術により視力改善を行います。ここでは、近視の時の治療方法をご紹介します。
レーザー屈折矯正手術(レーシック)
近視や乱視などの屈折矯正手術はレーザーによるレーシック手術が登場し、普及しています。
今までの手術方法に比べて、視力改善する確率が高く、回復も早く痛みも少ないため、屈折矯正手術の人気の手術方法です。
水晶体眼内レンズ
目の中に眼内レンズを入れる手術方法で、フェイキックIOLとも呼ばれています。レーシックでは矯正することが出来ない強い近視の矯正もすることが可能なことがメリットとして挙げられます。
しかしレーシックより歴史が浅いことや、医師の高度な技術を要することが欠点です。
仮性近視の検査方法
仮性近視かどうかの判断は、検査器を通じて確認しないと判断できません。学校で行っている視力検査では、視力の度数の確認はしていますが、なぜ視力が低下しているのか原因までは分かりません。
クリニックで眼の状態を確認出来るので、視力が低下していると感じたら、クリニックで原因究明をしましょう。ここでは、検査方法についてご紹介します。
角膜形状解析
角膜の形状を測定・解析します。角膜のサイズを定期的に確認しておくことは、オルソケラトロジーレンズ(ナイトレンズ)を使用するのにも効果的です。
このナイトレンズは、就寝時に使用するコンタクトレンズで、角膜の形状を矯正することで、昼間は裸眼の状態で過ごせるようにする治療法です。角膜の形状を定期的に確認することで、効果的に視力改善させることが出来ます。
角膜内皮顕微鏡検査
角膜の内側にある角膜内皮細胞は、角膜の代謝や呼吸の役割をしています。この細胞が健康的で活発に働いているかを確認します。
眼軸長測定検査
この検査では、眼球の奥行の長さを調べます。近視が生じる大部分は、眼軸長が伸びて変形することで起こります。近視の進行を確認する為に、長さを定期的に確認していきます。
仮性近視の治療法について
検査を通じて目の状態や視力を測定した後、治療にうつります。仮性近視は治療で治すことが出来ます。
しかし治療の効果が現れず近視になった場合は、治すことが出来ないので、視力矯正しましょう。ここでは、眼科医が行う、仮性近視の治療法についてご紹介します。、
望遠訓練(調節緊張緩和装置 ワック)
こちらは、特殊な検査器を使った視力回復トレーニングです。検査器の中の風景を5分間眺めるだけで、目の緊張を緩和させ、週間的になっている調節緊張を改善させることが可能です。両目で検査器を覗いてみると、遠近感のある写真が近づいたり、遠くなったりと動きます。
見ているだけで自然と毛様体筋が縮んだり、緩んだりを繰り返し、リラックスすることが出来ます。絵が動くので子供も飽きずに楽しめると言われています。仮性近視の治療に主に用いられていますが、長く続けないと効果が見られません。1ヶ月から3ヶ月ほど治療を行って、改善されないもしくは進行している場合は、本格的に近視になっている可能性が高いです。
視力回復トレーニングは民間療法のものも多く出回っています。例えば、眼育(めいく)などもそのうちの1つです。音楽を聴きながら自宅で簡単に出来ると言われています。
点眼治療
毛様体筋の緊張状態を改善するのに、点眼薬を用いて治療を行います。この点眼は毛様体筋をリラックスさせる効果があります。
凝り固まった筋肉を改善することで、症状を緩和させます。ミドリンやアトロピンなどの調節麻痺剤や調節機能改善剤による治療を行います。
アトロピン点眼
子供の斜視や弱視治療に使われる点眼で、調節を完全に麻痺させ、眼軸長の伸びを抑制する作用があります。通常の濃度を点眼すると、2週間ほど瞳孔が広がり、日中まぶしさを感じて支障をきたします。
その為、処方される点眼治療は、副作用が現れない程度まで濃度を薄めます。
ミドリン点眼
就寝前に1日1回点眼すると、30分後に毛様体筋を緩ませる作用があります。毛様体筋をリラックス状態にすることで、症状を緩和させます。毛様体筋がリラックス状態になることで、ピントがあいずらくなります。その為、日中の点眼は危ないので避けましょう。
また、こちらの点眼を行った後は、非常に目がしみます。痛みや赤みは現れなければ特に問題はありません。
オルソケラトロジー(ナイトレンズ)
ナイトレンズは就寝時に専用のコンタクトレンズを使用して眠り、角膜の形状を矯正して、日中を裸眼で過ごせるようにする治療法です。夜に装着するだけなので、眼の負担も少ないです。
近視の手術をすると、元に戻すことは出来ませんが、このレンズは使用を止めれば角膜を元の状態に戻すことが出来ます。年齢が若いほど効果が出やすいので、若いうちから始めることをオススメします。
MCレンズ
MCレンズは、子供の近視進行を抑える為に、開発されたレンズです。近距離のものを見るとき、目の筋肉を使ってピントを合わせる為、筋肉が疲れます。この近距離に見るときに必要な調節をレンズが助けることで目の筋肉の負担を少なくするものです。
子供用に小さいレンズで設計されている為、付け心地もいいと言われています。近視抑制の実証実験を4年にわたり行ったところ、単焦点眼鏡と比較しても、MCレンズが15の方が15%抑制に効果的であったと考えられています。7歳ごろから始めて18歳までは抑制を続けるのがいいと言われてます。
仮性近視の予防方法について
仮性近視は、生活習慣が原因で起こります。その為、近視の第一の予防方法としては、生活習慣を正すことが挙げられます。
他にも休憩中に簡単に取り入れられるマッサージ方法があります。ここでは、自宅で簡単にできる予防方法についてご紹介します。
生活習慣の改善
仮性近視を改善するには、日常の生活を見直す必要があります。ゲームや読書、勉強などは30分~1時間に1回休憩を挟むようにして、目の負担を和らげましょう。休憩をしている時は近くではなく、遠くを見るようにする必要があります。近くを見た後は、遠くを見ることを習慣づけましょう。
また、部屋が暗いや姿勢が悪いと目に更に負担をかけます。近くを見る時は、部屋は明るくして椅子に座って、物との距離は40cm以上たもちましょう。
目の体操
下記のような手順で目のストレッチを行うことで、眼の疲れをとることができ、症状を緩和することが出来ます。休憩中に取り入れて、定期的に行いましょう。
目のストレッチ手順
ストレッチを始める前に、深く深呼吸を行ってから行いましょう。また、各ストレッチもイチ、ニー、サン、シー、ゴー、ロク、ナナ、ハチと呼吸をゆっくりしながら行いましょう。
- 目を閉じて開く運動(各2回)
目をギュッと閉じたあと、パッと限界まで見開く - 目を上下左右に回す運動(各2回)
目を上、下、右、左に動かし、反対周りも同じように行います。 - 遠くと近くを見る運動(各2回)
目と目の間の真ん中30センチ先にボールペンを持ち、その先を見つめます。その先にある遠くにあるものに目線をずらして、再度ボールペンをみるという内容を交互に行います。 - ツボを刺激
目の周りには多くのツボが存在します。目頭から目じりにかけて、指のひらをつかって、グッと押してマッサージします。
最後に深呼吸をして終了です。目の血行をよくするのに温タオルを10分のせたり、首や肩をまわすのも効果的です。
おわりに
学校の視力検査で視力が悪いと判断されたとしても、近視なのかどうかはまだ分かりません。まずは、眼科医を受診して視力低下の原因を突き止めましょう。近視ではなく、仮性近視の場合は、治る可能性があります。仮性近視と診断された場合は、今回紹介した治療法や予防法を取り入れて、治しましょう。
日本眼科医会のサイトでも目の健康の情報が多く掲載されています。一度相談したいという方は、電話で相談してみるのもオススメです。
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