オシッコに行ってもすっきりしない、全部でていない気がして度々トイレに用を足しに行く、などの症状はありませんか?尿が全部出た気がしない、スッキリしない、それは【残尿感】とよばれる症状です。残尿や頻尿などの尿に関する不調は、40代からの世代に多いものでしたが、最近では20代くらいからでも悩んでいる方がいらっしゃいます。
人に聞くにはちょっと恥ずかしいですし、かといって放っておくのも怖いですよね。今回は特に【女性の残尿感】について考えられる病気や原因についてご紹介します。
残尿感の原因
女性にとってはちょっと恥ずかしいおしっこの問題。女性の残尿感に的をしぼって、病気や原因についてまとめました。
■膀胱炎-ぼうこうえん-
◇膀胱炎の原因と症状
尿道から細菌が入り炎症することで起こる膀胱炎。排尿時の痛みや、【頻尿-ひんにょう-】の症状があります。放置すると、腎臓にまで細菌が感染し【腎盂腎炎-じんうじんえん-】を発症する場合があります。
女性の尿道は男性よりも短く、細菌の侵入しやすい形状をしているため、女性のほうが膀胱炎になりやすいのです。慢性化しやすい病気ですから、早めの治療をオススメします。免疫力が落ちていたり、水分をあまり摂らない、排尿を我慢すると細菌感染し発症しやすくなります。性行為(セックス)で感染する場合もあります。
◇予防と治療
通常尿道に入ってきた細菌は、尿で流されたり免疫力でやっつけてしまいます。免疫力も落ちて排尿も我慢していたら、細菌の思うツボです!細菌の繁殖と感染を防ぐため、月経(生理)時にはこまめにナプキンを交換し、陰部周りを清潔にしてください。
多めの水分(1.5~2リットル/1日)をこまめに摂り、排尿を我慢せず菌をしっかり流し出しましょう。炎症が原因なので、治療は主に抗生物質を用いて行われます。膀胱炎については、膀胱炎の治し方を紹介!自力で治すことは可能なの?の記事をよく読んでおきましょう。
■神経因性膀胱-しんけいいんせいぼうこう-
◇神経因性膀胱の原因と症状
神経の障害によって尿意の機能がうまく働かなくなり【残尿感】【尿漏れ】【失禁】などが症状としてあらわれます。神経障害の種類によって【過活動膀胱】【低活動膀胱】に区別されますが、残尿感が強いのは低活動膀胱といわれています。
神経因性膀胱は脳障害や神経変性、末梢神経障害などが原因の一部として挙げられます。放っておくと、膀胱炎や腎機能低下などに繋がるので、きちんと治療をしましょう。
◇予防と治療
主に、神経に作用するお薬を使った薬物療法などが用いられます。また、例に挙げた原因となる病気などの治療が必要になります。
■骨盤臓器脱-こつばんぞうきだつ- (女性特有の病気)
◇骨盤臓器脱の原因と症状
通常骨盤の中にある膀胱や子宮などが、本来の位置より下がってしまう病気です。加齢や筋力低下、肥満の他、出産によって骨盤周辺の靱帯(じんたい)が緩くなることで内臓を支えられなくなると考えられます。膀胱が下がってきた場合【頻尿】【残尿感】【尿漏れ】などが症状として現れます。
◇予防と治療
骨盤周辺の筋肉を鍛えるなどが有効です。悪化していなければ、骨盤体操や様子見で改善する場合もみられるようです。ただ、進行してしまうと手術をするしかなくなるので、日頃から予防に努めたほうが良いでしょう。
■膀胱癌-ぼうこうがん- (男性に多い癌)
◇膀胱癌の原因と症状
50代以上の、女性より男性に多い膀胱癌ですが、女性にも発症します。【血尿】【残尿感】【頻尿】など、膀胱炎に似たような症状があらわれます。喫煙者や特定の化学物質を常時扱う方の発症率が高く、外国では吸虫(きゅうちゅう)による感染でも発症する。ガンのできる場所によってはほとんど自覚症状が無い場合があります。
◇治療と予防
禁煙が一番の予防法となります。治療方法は基本的に手術で、癌の切除や膀胱の切除など病状で変わります。抗がん剤治療や放射線治療も行うのが一般的です。
■尿道症候群-にょうどうしょうこうぐん- (女性に多い疾患)
◇尿道症候群の原因と症状
【頻尿】【残尿感】【痛み】などの症状があらわれます。今までご紹介したどの病気にも当てはまらず、その他の病気や原因が考えられない場合に【尿道症候群】と診断されることが多いようです。膀胱炎や尿道炎のような症状をきたしますが、炎症がみられるのに細菌が感染していないなど、原因は不明です。
女性ホルモンの乱れや、精神的な疾患、外部刺激、自律神経の乱れなど様々な原因が考えられていますが、まだハッキリと原因は分かっていません。
◇予防と治療
原因が分かっていないので、尿道周辺に良くないことは極力しないようにします。膀胱炎の予防と同じく水分をこまめに摂り、無理に排尿を我慢しないようにしましょう。陰部周辺を清潔に保つ、摩擦などの刺激は出来るだけ避けるなど、尿道に炎症が起きそうな原因を減らしていくように気をつけましょう。
残尿感の診察
女性の残尿感から考えられる病気の一部を見てきました。放っておくと怖いものはありましたが、勝手に治ってしまうようなものはありませんでしたね。残尿感がある場合は、なるべく早くに診察を受けたほうが良さそうです。
女性の残尿感、診察はどこで?
基本的に【泌尿器科】【泌尿器センター】で構いません。ですが、女性としてはやはり恥ずかしい気持ちもありますよね?「男性の先生だったらやだなぁ」なんて思ってしまいます。女性は膀胱炎になりやすいので、今までも泌尿器科を訪れる女性は多かったようです。
そのためか女性が病院へ行きやすいように、女性の先生が担当してくれる所も多くなったみたいですよ♪【婦人科】【女性総合診療センター】などでも残尿感について受診ができます。
病院によってはいつも女性の先生じゃなかったりするので、最寄りの【婦人科】【女性総合診療センター】へ電話で問い合わせてみてください。
残尿感の診察
女性の残尿感、原因のほとんどが【膀胱炎】です。問診、血液検査や血圧測定の他、尿検査で炎症を引き起こす細菌の有無を調べます。尿検査の結果によっては他の検査をすることもありますが、膀胱炎であればあとは膀胱を観察するくらいで終わると思います。
上の【残尿感の原因】でも一部の病名を挙げましたが、自然治癒は難しく悪化すると大変なものが多いので、検査が長引いてもぐっとこらえましょう。不安なことがあれば担当のお医者様に相談しながら検査を受けてください。
「ただの膀胱炎」と言われることもありますが、膀胱炎もきちんと治療をしないと慢性化してしまい、その後何年もおつきあいし続けなければならない・・・ということにもなりかねません。残尿感の原因をしっかりと特定して治療をすることの大切さを分かっていただけましたか?
まとめ
◇女性の残尿感の原因
・膀胱炎 ・神経因性膀胱 ・膀胱癌
・骨盤臓器脱 ・尿道症候群…などの病気が考えられる。
・放置しておくと危険な病気が多いので早めに受診したほうが良い
◇診察は何科?
・泌尿器科
・泌尿器センター
・婦人科
・女性総合診療センター
◇残尿感の診察
・血液検査や血圧検査
・尿検査
・膀胱の観察、検査
・その他必要に応じて検査項目が増える可能性がある
女性の残尿感についてのまとめは以上です。残尿感のある方には不安になる記事だったのではないでしょうか?しかし、残尿感で泌尿器科を訪れる女性の大半は【膀胱炎】だそうです。膀胱炎は早期発見早期治療によって再発も防ぎやすくなります。
慢性化してしまうと何度も再発したり、なかなか治らなくなってしまいますし、腎盂腎炎など他の病気を併発してしまうこともあります。その他の泌尿器科系疾患も、早期治療することが大切です。病気の予防として、多めの水分をこまめに摂り禁煙を心がけて健康に過ごしましょう♪
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