世の中には色々なタイプの人たちが存在しますが、そのような様々なタイプの中でも好感を抱くことができないのが負け惜しみばかり言っている人です。周りにいる人が負け惜しみを言っていると、どうしても見苦しく感じてしまいますよね。
そもそも「負け惜しみ」とは、自分の負けや敗北、自分自身の失敗などを素直に認めることができずに言い訳を言ったり、強がりな捨て台詞を言ったりすることです。客観的には相手に敵わない事実が存在するにもかかわらず、その事実を認めずに虚勢を張るわけですから、それを周囲で見ている人は不愉快な気持ちにさせられてしまいます。
そこで今回は、負け惜しみを言ってしまう心理、負け惜しみを言う人の特徴、負け惜しみを言う人への対処方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
負け惜しみとは?
そもそも「負け惜しみ」とは、どのような心理のことを言うのでしょうか?日常生活の中でも比較的に良く使われる「負け惜しみ」という言葉ですが、だいたいの意味は把握していても、改めて辞書的意味を問われると回答に窮してしまう人も少なくないでしょう。
そこで、まずは「負け惜しみ」という言葉の意味について、改めて確認をしたいと思います。
負け惜しみの意味
負け惜しみの意味について、複数の国語辞書にあたり調べてみると、概ね以下のような意味を有しています。
- 自分の負けや敗北、自分自身の失敗などを素直に認めることができないこと。
- 自分自身のミスを素直に認めず、強情や虚勢をはること。
- 自分の負けや失敗を認めようとせずに、言い訳や屁理屈を言うこと。
このように負け惜しみとは、客観的には相手に敵わない事実や明らかな自分自身の失敗の事実が存在するにもかかわらず、その事実を素直に認めようしない態度のことを言います。そして、自分の敗北や自分の失敗を認めない態度として、強情や虚勢を張って無駄に強がってみたり、言い訳をしてみたり、あるいは屁理屈をこねてみたり、と様々な態度が現れるのです。
負け惜しみの語源
負け惜しみという言葉は、「負け」と「惜しむ」という二つの単語が結び付いてできた言葉だと考えられます。
この点、「負け」は、何らかの争いに敗れること・劣勢になること、を意味します。また、「惜しむ」の意味には、主に次のような二つの意味があります。
- 心残りに思う。残念に思う。
- 金品や金銭を出すことを、もったいないと思う。
これらの意味を踏まえて、負け惜しみとは「負けを残念に思うあまりに悔しさがつのる」という意味から、「負けを残念に思うあまりに悔しさがつのり、負けた事実を素直に受け入れることができない」というように用法的意味が拡大変化したものと考えられるのです。
負け惜しみの具体例
このような負け惜しみの意味を良く理解するために、具体的な例文を挙げてみたいと思います。
男性で良く見られる負け惜しみのシーン
例えば、スポーツ大会などで成績の良くなかった男性が「普段通りの力が発揮できなかった。今日は朝から体調が悪かったので、せめて体調がもう少し良ければ、こんな結果にならず良い成績だったはずなのに。」と独り言のように呟いているケースがあります。
本来の男性の実力がどうであるかは別にして、この男性は負けを素直に認めることができずに、体調が悪かったからという言い訳をしているのですね。そして「男性は試合に負けて、体調が悪いせいだと負け惜しみを言っている」と表現するのです。
女性で良く見られる負け惜しみのシーン
例えば、会社などの所属組織で評判のイケメン男子Aが同僚女性Bと恋愛関係にあることが発覚した際に「Aさんは、どうして見る目がないんのだろう。あんな子に引っかかるなんて。」という周囲の女性(CとD)たちの会話があります。
このように同僚女性Bをやっかむ女性CとDは、自分たちがイケメン男子に見初められなかった事実を素直に認められずに、男性Aの女性に対する選択眼が酷いと評論したり、暗に自分たちは同僚Bよりも女性として魅力的であると虚勢を張っているわけです。
日常で良く見られる負け惜しみのシーン
様々なダイエット法やダイエットグッズを試す女性に対して、ちょっとぽっちゃりした女性が「そんなにダイエットに必死になるなんて、引くよね」と言うのも、負け惜しみだと言えるでしょう。
また、綺麗な女性と付き合う男性に対して、別の男性が「あいつは身長が高いだけだから」と言うのも、綺麗な女性と付き合う努力をしない自分を棚に上げた負け惜しみだと言えるでしょう。
このように負け惜しみは、私達の日常に広く溢れているのです。
負け惜しみを言ってしまう心理
このように負け惜しみの意味や具体例を確認してみると、自分も負け惜しみを言っているかもしれない、とお思いの人も少なくないのではないでしょうか?実は、多くの人が実際に声に出すかは別にして、負け惜しみのような思考をすることがあります。
それでは、どうして多くの人が負け惜しみを言ったり、負け惜しみのような思考をしてしまうのでしょうか?そこで、負け惜しみを言ってしまう心理について、ご紹介したいと思います。
心理学における「合理化」
人が負け惜しみを言ったり、負け惜しみのような思考をする背景には、心理学でいうところの「合理化」という現象が存在しています。
心理学における「合理化」とは、自分にとって受け入れがたい都合の悪い現実について、事実とは異なる理由で覆い隠したり、あるいは自分を正当化することによって心理的に自己防衛を図ることを言います。
心理学における「合理化」とは?
心理学における「合理化」について、もう少し噛み砕いて説明します。
自分にとって受け入れがたく都合の悪い現実に直面するということは、自分の欲求が叶わないと自覚させられることでもあります。そして、人は自分の欲求が叶わなければ欲求不満に陥り、不安・恐怖・苦しみなどといった負の感情を生じます。このような自分の心の内で湧き起こる負の感情から逃れるための一つの方法が、事実を自分に都合よく解釈したり、屁理屈をこねたりすることにより、自分は正しいのだと自分自身を納得させることなのです。
ですから、自分にとって受け入れがたく都合の悪い現状に対して、自分の心の中に湧き起こる負の感情を軽減しようとする心理的なメカニズムが、心理学における「合理化」という概念なのです。
「合理化」の具体例
前述した恋愛関係にあるイケメン男子Aと同僚女性B、それをやっかむ女性たちCとDの例で言えば、イケメンで将来有望なAに対して、B・C・Dそれぞれが好意を抱いて、Aと恋人同士になりたいという欲求を持っていたわけです。
そのような状況で、AとBの恋愛関係が発覚したことで、CとDは自分たちの欲求が叶わないと自覚させられ、AをBに取られた悔しさやBが近しい存在であるだけに余計に憎いといった負の感情が生じて心に苦しさが生じるのです。このような負の感情から逃れるために、「女性としては私達CとDのほうが魅力的なのに、Aさんには女性を見る目がない。」と自分たちに都合よく解釈しているのですね。
「合理化」によって得られる効果
このように自分にとって受け入れがたく都合の悪い現状に対して、事実とは異なる理由で覆い隠したり、あるいは自分を正当化する「合理化」によって得られるのは、一時的な安心や心の平穏です。客観的な事実や状況に変化はありませんから、あくまでも得られる効果は一時的な安心や心の平穏にすぎません。
とはいえ、自分にとって受け入れがたく都合の悪い事実を突きつけられれば、それを心の中で消化して受け入れるには、それなりに時間がかかります。そういう意味では、逆に一時的ではあっても安心や心の平穏をもたらす「合理化」は、心の平衡や精神のバランスを保つ上では非常に便利かつ有意な心理的メカニズムと言えるでしょう。
「合理化」も周囲から見れば、単なる負け惜しみ
このように心理学でいうところの「合理化」という現象は、本人にとっては心の平衡や精神のバランスを保つ上で、非常に便利かつ有意な働きをすることは間違いありません。
しかしながら、このような「合理化」という現象も、周囲の人にとっては単なる負け惜しみでしかなく、決して周囲の人に好感を抱かせるものではありません。むしろ、負け惜しみは周囲の人を不快・不愉快にさせる可能性があり、負け惜しみを言っている人は自分で自分の信用を失墜させているとも言えるかもしれません。
負け惜しみを言う人の特徴
このように人が負け惜しみを言ってしまう背景には、心理学でいうところの「合理化」という現象が存在し、自己防衛を図る心理が隠されているのですね。それでは、負け惜しみを言う人には、どのような性格的な傾向や共通する特徴が見られるのでしょうか?そこで、負け惜しみを言う人に見られる傾向や特徴について、ご紹介したいと思います。
負けず嫌いである
負け惜しみを言う人に見られる性格的な特徴の一つとして、負けず嫌いであることが挙げられるでしょう。
負けず嫌いな人は、よく言えば競争意識が旺盛で向上心に溢れていると言えますが、一方で相手に勝つというよりも負けたくないという意識が強くなりがちです。また、負けず嫌いな人の多くは、自尊心やプライドが高い傾向があり、周囲の人よりも優位なポジションに立ちたい欲求が強いタイプでもあります。
それゆえ、負けず嫌いな人たちは、何らかの競争など成績の優劣がつく物事において自分が周囲の人たちよりも下位になった場合や、明らかな自分のミスや失敗が周囲の人たちに迷惑を及ぼした場合に、その事実を素直に認めようしないのです。そこには、負けず嫌いな人たちの悔しさや、プライドを傷付けられた怒りが存在することから、心のバランスをとるために無意識的に負け惜しみを言ってしまうのですね。
ですから、負け惜しみを言う人の中には、性格的に負けず嫌いな人たちが相当数いると言えるでしょう。
嫉妬深い人
負け惜しみを言う人に見られる性格的な特徴の一つには、嫉妬深い人であること・嫉妬心が強い人であることも挙げられるでしょう。
嫉妬をする人は、自分自身の境遇・立場・環境などを周囲の他人と勝手に比較しがちで、自分よりも恵まれた状況にある相手に対して、その恵まれた状況を羨ましく思いすぎるために、憎しみや恨みといった感情を向けてしまう人です。
このように嫉妬深い人は相手の状況を羨む一方で、自分がその恵まれた状況に到達できないが故に欲求不満に陥っており、憎しみや恨みといった負の感情が生じているのですね。そして、嫉妬深い人は、その負の感情を軽減するために、負け惜しみを言いやすいわけです。
ですから、負け惜しみを言う人の中には、性格的に嫉妬深い人・嫉妬心が強いタイプの人のも存在するのです。
精神的に弱く、気弱である
負けず嫌いな人や嫉妬深い人は、どちらかと言うと気が強いタイプに分類できますが、負け惜しみを言う人に見られる性格的な特徴の一つとして、正反対で精神的に弱く気弱なタイプを挙げることもできます。つまり、メンタルが弱いタイプの人も、負け惜しみを言いやすいのです。
そもそも負け惜しみとは、前述のように心理学でいうところの「合理化」という現象を背景にしています。心理学における「合理化」とは、自分にとって受け入れがたく都合の悪い状況に対して、自分の心の中に湧き起こる負の感情を軽減しようとする心理的なメカニズムであり、心の平衡や精神のバランスを保つ心理的な防衛反応と言えます。とすれば、負け惜しみの言動は、心の平衡や精神のバランスを保つための防衛行動と言うこともできるでしょう。
この点、精神的に弱く気弱な人は、そのメンタルの弱さ故に、自分の負けや失敗によって自分の心が人一倍傷つきやすい人です。言い換えれば、精神的に弱く気弱な人は、自分の負けや失敗によって、不安・恐怖・苦しみなどといった負の感情を抱きやすく、心の平衡や精神的バランスを崩しやすい人なのです。それゆえ、精子的に弱く気弱な人は、負け惜しみを言うことによって、心の平衡や精神のバランスを保っているというわけです。
ですから、負け惜しみを言う人の中には、精神的に弱く気弱なタイプ・メンタルが弱いタイプの人も存在すると言えるでしょう。
負け惜しみを言う人への対処方法
ここまで説明したように負け惜しみを言う人と一口に言っても、その性格的な特徴は一様ではありません。それでは、周囲に負け惜しみを言う人がいて、自分が不快にさせられてしまうような場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか?
そこで、負け惜しみを言う人への対処方法について、ご紹介したいと思います。
自分とはタイプが違う人間だと割り切る必要
負け惜しみを言う人への対処法として最大のポイントは、負け惜しみを言う人が自分とはタイプが違う人間なんだと割り切ってしまうことです。
相手が自分とは違うタイプの人間だと捉えることができれば、予想外の相手の言動にも動じることが無くなり、自分の感情が振り回されることも無くなります。というのも、相手の言動にイライラさせられ不快な思いをする理由は、相手の言動が自分の想定通りでないからです。
ですから、負け惜しみを言う人は自分とは異なるタイプの人間だと予め割り切ってしまえば、相手の言動が自分の想定外であっても動じることが無くなります。そうすれば、相手にどれだけ負け惜しみを言われようとも、自分の感情が高ぶり不快な思いをすることもなくなるのです。
負け惜しみを否定せずに受け流す
負け惜しみを言う人が自分とはタイプが違う人間なんだと割り切った上で、相手の負け惜しみに反応して言い負かすようなことはせずに、受け流してしまうことも一つの対処法と言えます。
前述のように負け惜しみの背景には心理学における「合理化」という現象が存在し、負け惜しみは負の感情を軽減しようとする一種の心理的防衛反応なわけです。それゆえ、相手の負け惜しみを否定したり言い負かそうとすると、相手が軽減しようとしていた負の感情を刺激してしまい、余計に相手の怒りや恨みなどを助長してしまいかねません。
ですから、負け惜しみを言う人に対して、負け惜しみを注意したり言い負かすことは可能なかぎり回避して、受け流すようにすると良いでしょう。
負け惜しみに同調してあげる
負け惜しみを言う人が自分とはタイプが違う人間なんだと割り切った上で、相手の負け惜しみに同調してあげることも対処法の一つと言えるでしょう。
当然ですが、自分の考えを曲げて相手の負け惜しみに同調する必要はありません。あくまでも負け惜しみを言う人が違うタイプの人間だと割り切った上で、相手の負け惜しみに対して少し理解を示してあげるのです。そうすることで、負け惜しみを言う人の溜飲が下がりやすくなります。
相手の負け惜しみを受け流してばかりいると、負け惜しみを言う人は無視されていると受け取りかねませんから、人間関係に悪影響が及ぶかもしれません。ですから、より人間関係を良好に保ちたいと考えるならば、相手の負け惜しみに適度に同調する機会を作ると良いかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?負け惜しみを言ってしまう心理、負け惜しみを言う人の特徴、負け惜しみを言う人への対処方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、負け惜しみを言っている人がいると、周囲の人にしてみれば見苦しく感じられ、決して良い気持ちにはなりませんよね。しかしながら、負け惜しみの心理を解きほぐしてみると、実は自分にとって受け入れがたく都合の悪い現状に対して、自分の心の中に湧き起こる負の感情を軽減しようとする心理的な防衛反応であることが分かります。
このような負け惜しみの心理が分かってしまえば、負け惜しみを言っている人に対して、少しは大目に見ようという気持ちも湧いてくるのではないでしょうか。是非、本記事を参考にして、周囲の人と良好な関係を築いてください。
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